杜甫 《大麥行》 天候不順で大麦は成長せず乾燥敷かれている、小麦は実らず黄色くなっている。食べることが期待できないことになって婦女子は鳴きながら売られていく、その夫はその金で貯蔵の蔵に向かう。


 

2013年6月11日 同じ日の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩
Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩《擬魏太子鄴中集詩八首 應瑒》 謝靈運 六朝詩<83-#2> 792 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2508
●唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ
Ⅱ中唐詩・晩唐詩奉和武相公鎮蜀時,詠使宅韋太尉所養孔雀 韓愈(韓退之) <143>Ⅱ中唐詩706 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2514
●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。"
Ⅲ杜甫詩1000詩集大麥行  楽府(七言歌行) 成都6-(12) 杜甫 <477>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2510 杜甫詩1000-477-696/1500
●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている
Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集
●●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩
Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩・女性和郭員外題萬里橋 薛濤 唐五代詞・宋詩 薛濤-193-59-#53  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2512
 
 ■今週の人気記事(漢詩の5ブログ各部門)
 ■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex

『楚辞・九歌』東君 屈原詩<78-#1>505 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1332http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67664757.html
『楚辞』九辯 第九段―まとめ 宋玉  <00-#35> 664 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2304
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/archives/6471825.html
安世房中歌十七首(1) 唐山夫人 漢詩 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67710265.html
為焦仲卿妻作 序 漢詩<143>古詩源 巻三 女性詩 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67729401.html
於凊河見輓船士新婚別妻一首 曹丕(魏文帝) 魏詩 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67759129.html
朔風 (一章) 曹植 魏詩<25-#1>文選 雑詩 上  http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67780868.html
謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html 謝靈運詩 六朝期の山水詩人。この人の詩は上品ですがすがしい男性的な深みのある詩である。後世に多大な影響を残している。
謝靈運が傲慢で磊落だったというが彼の詩からはそれを感じさせるということは微塵もない。謝靈運、謝朓、孟浩然は好きな詩人である。
登永嘉緑嶂山詩 #1 謝霊運 <20> 詩集 386ー http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67474554.html
登池上樓 #1 謝霊運<25>#1  ー http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67502196.html
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩 盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。

李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html
李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。
女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人 古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。
孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首

 

大麥行  楽府(七言歌行) 成都6-(12) 杜甫 <477>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2510 杜甫詩1000-477-696/1500




  
詩 題:大麥行楽府(七言歌行) 杜甫 成都(6部)浣花渓の草堂(6-(12)) 
卷別: 卷二一九  文體: 樂府 
作時:762年寶應元年1月杜甫51歳 
掲 載; 杜甫1000首の477首目-場面6-(12)
杜甫ブログ1500回予定の-696回目 
成都(劍南道北部 / 益州 / 成都) 
・集州 (山南西道 集州 集州)     
・梁州 (山南西道 梁州 梁州) 別名:漢中
・壁州 (山南西道 壁州 壁州)     
・洋州 (山南西道 洋州 洋州)     
 

詩題: 大麥行 
大麥乾枯小麥黃,婦女行泣夫走藏。 
天候不順で大麦は成長せず乾燥敷かれている、小麦は実らず黄色くなっている。食べることが期待できないことになって婦女子は鳴きながら売られていく、その夫はその金で貯蔵の蔵に向かう。
東至集壁西梁洋,問誰腰鐮胡與羌。 
巴水側の集州から東へ璧州に至り、その北、漢水の最西側にある梁州と洋州がある。ここでまた反乱がおこったのだ。誰に問いただすのかかまを腰につけるものが異民族の胡と羌のようになるのかどうかを。
豈無蜀兵三千人,部領辛苦江山長。 
どうして三千人もの蜀の兵がいないのだ。部門の領袖はこれまで大江、山南を長い間辛苦を舐めてきたのである。
安得如鳥有羽翅,托身白雲還故鄉。  

どうやったら羽や羽の骨を取りのように得ることが出来るだろうか。鳥のようにいかないものなら、せめてあの白い雲にこの身を託して故郷に帰りたいと思いのである。

大麥 乾枯して 小麥黃となる,婦女は泣きて行く 夫は藏に走る。
東至るは集と壁 西は梁と洋,誰にか問う 腰に鐮して 胡と羌とならんや。
豈に 蜀兵 三千人無しか,部領は辛苦して 江山の長たり。
安んぞ得ん 鳥の如く 羽翅に有んや,身を托して 白雲 故鄉に還らん。

-----------------------------------------------------------------------
大麥乾枯小麥黃,婦女行泣夫走藏【婦人行泣夫走藏】。
東至集壁西梁洋,問誰腰鐮胡與羌。
豈無蜀兵三千人,部領辛苦江山長【簿領辛苦江山長】。
安得如鳥有羽翅,托身白雲還故鄉。 

DCF00106
大麥行 
大麥 乾枯 小麥黃,
婦女 行泣 夫走藏。
東至 集壁 西梁洋,
問誰 腰鐮 胡與羌。
豈無 蜀兵 三千人,
部領 辛苦 江山長。
安得 如鳥 有羽翅,
托身 白雲 還故鄉。 


『 大麥行』 現代語訳と訳註
(本文) 
大麥 乾枯 小麥黃,婦女 行泣 夫走藏。
東至 集壁 西梁洋,問誰 腰鐮 胡與羌。
豈無 蜀兵 三千人,部領 辛苦 江山長。
安得 如鳥 有羽翅,托身 白雲 還故鄉。 


(下し文)
大麥行
 
大麥 乾枯して 小麥黃となる,婦女は泣きて行く 夫は藏に走る。
東至るは集と壁 西は梁と洋,誰にか問う 腰に鐮して 胡と羌とならんや。
豈に 蜀兵 三千人無しか,部領は辛苦して 江山の長たり。
安んぞ得ん 鳥の如く 羽翅に有んや,身を托して 白雲 故鄉に還らん。 


(現代語訳)
天候不順で大麦は成長せず乾燥敷かれている、小麦は実らず黄色くなっている。食べることが期待できないことになって婦女子は鳴きながら売られていく、その夫はその金で貯蔵の蔵に向かう。
巴水側の集州から東へ璧州に至り、その北、漢水の最西側にある梁州と洋州がある。ここでまた反乱がおこったのだ。誰に問いただすのかかまを腰につけるものが異民族の胡と羌のようになるのかどうかを。
どうして三千人もの蜀の兵がいないのだ。部門の領袖はこれまで大江、山南を長い間辛苦を舐めてきたのである。
どうやったら羽や羽の骨を取りのように得ることが出来るだろうか。鳥のようにいかないものなら、せめてあの白い雲にこの身を託して故郷に帰りたいと思いのである。


(訳注)
大麥行 
冬に雪が少なく、本来雪解けは山間部の富養なものを田畑に運んでくる農業にとって重要なものであった。それが無くて春夏の天候不順が飢饉を起こし、これが徐知道の乱につながっていく。


大麥 乾枯 小麥黃,婦女 行泣 夫走藏。
天候不順で大麦は成長せず乾燥敷かれている、小麦は実らず黄色くなっている。食べることが期待できないことになって婦女子は鳴きながら売られていく、その夫はその金で貯蔵の蔵に向かう。
・大麦 大麦の収穫. 6月(旧暦5・6月)、穂が出てから40日ほどたつと収穫できる。小麦は前年秋に種をまき同時期に収穫する。
・乾枯 乾ききって枯れること。人の言説などが味わいに欠けること。


東至 集壁 西梁洋,問誰 腰鐮 胡與羌。
巴水側の集州から東へ璧州に至り、その北、漢水の最西側にある梁州と洋州がある。ここでまた反乱がおこったのだ。誰に問いただすのかかまを腰につけるものが異民族の胡と羌のようになるのかどうかを。
・東集壁/西梁洋 山南西道の北部に位置する四州のこと。集州と壁州は巴水側で梁州と洋州は漢水側のみねをへだててせっしているちいきである
・腰鐮 蘇軾の七言絶句『山邨五絶其三』「老翁七十自腰鎌、慚愧春山筍蕨甜。豈是聞韶解忘味、邇來三月食無鹽。」(老翁七十にして自から鎌を腰にし、慚愧す春山筍蕨の甜きに。豈に是れ韶を聞いて解(よ)く味を忘れんや、邇來三月食に鹽無し。)
老翁は七十にもなって鎌を腰にさし、春山の筍や蕨をとってはその味に満足している、だが別に孔子のように肉の味を忘れたわけではない、もう三ヶ月も塩のない生活が続いているだけだ。
・胡與羌 異民族をいうが、ここでは唐王朝に対して反乱を起こすものを示す。


豈無 蜀兵 三千人,部領 辛苦 江山長。
どうして三千人もの蜀の兵がいないのだ。部門の領袖はこれまで大江、山南を長い間辛苦を舐めてきたのである。


安得 如鳥 有羽翅,托身 白雲 還故鄉。 
どうやったら羽や羽の骨を取りのように得ることが出来るだろうか。鳥のようにいかないものなら、せめてあの白い雲にこの身を託して故郷に帰りたいと思いのである。
麦畑02