杜甫 《陪王侍御同登東山最高頂宴姚通泉晚攜酒泛江》 姚公は公平無私で寛容な政治を行うということで誰がその類になるのだろうか、昔のころでいえば「陳太丘」(陳寔)を置いてほかにはいないだろう。
2013年7月12日 | 同じ日の紀頌之5つのブログ |
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陪王侍御同登東山最高頂宴姚通泉晚攜酒泛江【案:東山在潼川涪江上。】 成都 杜甫 <496ー#1> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2665 杜甫詩1000-496ー#1-727/1500
作年: 寶應元年 762年 51歲
卷別: 卷二二○ 文體: 七言古詩
詩題: 陪王侍御同登東山最高頂宴姚通泉晚攜酒泛江〔東山は涪江支流の潼川の上【ほとり】に在る〕。
寫作地點: 目前尚無資料
寫及地點: 東山 (劍南道北部 梓州)
通泉 (劍南道北部 梓州 通泉) 別名:沈家坑
交遊人物/地點: 王掄 當地交遊(劍南道北部 梓州 通泉)
詩文:
陪王侍御同登東山最高頂宴姚通泉晚攜酒泛江
(王侍御に同行して東山の最高の頂上に昇って、通泉の夕暮に姚公の宴席があり酒を携えて涪江に舟を泛べる。)
姚公美政誰與儔,不減昔時陳太丘。
姚公は公平無私で寛容な政治を行うということで誰がその類になるのだろうか、昔のころでいえば「陳太丘」(陳寔)を置いてほかにはいないだろう。
邑中上客有柱史,多暇日陪驄馬遊。
梓州の城郭の街中のこれといった上客とされるのは「柱史」とされる王御史であろう。ゆっくりとした暇が多い時でも日がな一日、後漢の桓典侍御史のように驄馬につきっきりでいるのだ。
東山高頂羅珍羞,下顧城郭銷我憂。
ここ東山の一番高い所に昇ってきてうまい食い物を手にしている。下の方を見てみると平穏な梓州の城郭があり、それを見ると政局不安な時で心配していることが消え失せる。
清江白日落欲盡,復攜美人登綵舟。」
涪江支流潼川は清らかに流れ、太陽が沈んでいこうとしている。また、謝安が美人を携える五彩に飾られた船に乗るのである。#2
笛聲憤怨哀中流,妙舞逶迤夜未休。
燈前往往大魚出,聽曲低昂如有求。」
三更風起寒浪湧,取樂喧呼覺船重。
滿空星河光破碎,四座賓客色不動。
請公臨深莫相違,回船罷酒上馬歸。
人生歡會豈有極,無使霜過霑人衣。」
(王侍御に陪し、同じく東山最高頂に登り、通泉の晚に酒を攜え江に泛び姚を宴す)
姚公 美政 誰と儔にし,昔時 陳太の丘を減せず。
邑中 上客 柱史有り,暇を多くし日ち陪して驄馬の遊。
東山 高頂 羅珍の羞,下顧 城郭 我憂を銷す。
清江 白日 落ちて盡さんことと欲,復た美人を攜えて綵舟に登る。
#2
笛聲 憤怨 中流を哀み,妙舞 逶迤 夜未だ休まず。
燈前 往往 大魚出で,曲 低昂を聽きて 有求の如し。
三更 風起 寒浪湧き,取樂 喧呼 船重を覺える。
滿空 星河 光 破碎し,四座 賓客 色 動かず。
請公 臨深 相違する莫ことれ,回船 酒を罷め 上馬して歸る。
人生 歡會 豈に極め有らんや,霜 霑人の衣を過らしむなし。
『陪王侍御同登東山最高頂宴姚通泉晚攜酒泛江』 現代語訳と訳註
(本文)
姚公美政誰與儔,不減昔時陳太丘。
邑中上客有柱史,多暇日陪驄馬遊。
東山高頂羅珍羞,下顧城郭銷我憂。
清江白日落欲盡,復攜美人登綵舟。」
(下し文)
(王侍御に陪し、同じく東山最高頂に登り、通泉の晚に酒を攜え江に泛び姚を宴す)
姚公 美政 誰と儔にし,昔時 陳太の丘を減せず。
邑中 上客 柱史有り,暇を多くし日ち陪して驄馬の遊。
東山 高頂 羅珍の羞,下顧 城郭 我憂を銷す。
清江 白日 落ちて盡さんことと欲,復た美人を攜えて綵舟に登る。
(現代語訳)
(王侍御に同行して東山の最高の頂上に昇って、通泉の夕暮に姚公の宴席があり酒を携えて涪江に舟を泛べる。)
姚公は公平無私で寛容な政治を行うということで誰がその類になるのだろうか、昔のころでいえば「陳太丘」(陳寔)を置いてほかにはいないだろう。
梓州の城郭の街中のこれといった上客とされるのは「柱史」とされる王御史であろう。ゆっくりとした暇が多い時でも日がな一日、後漢の桓典侍御史のように驄馬につきっきりでいるのだ。
ここ東山の一番高い所に昇ってきてうまい食い物を手にしている。下の方を見てみると平穏な梓州の城郭があり、それを見ると政局不安な時で心配していることが消え失せる。
涪江支流潼川は清らかに流れ、太陽が沈んでいこうとしている。また、謝安が美人を携える五彩に飾られた船に乗るのである。
(訳注)
陪王侍御同登東山最高頂宴姚通泉晚攜酒泛江
(王侍御に同行して東山の最高の頂上に昇って、通泉の夕暮に姚公の宴席があり酒を携えて涪江に舟を泛べる。)
・王侍御 一年前に浣花渓の杜甫の家に訪れている。『王十七侍禦掄許攜酒至草堂,奉寄此詩,便請邀高三十五使君同到』(侍御史王掄が酒をもって草堂へくることを承諾していたのについて、此の詩をやり、高適をもついでに呼んで一緒にきてもらいたいといって作った詩。上元二年冬成都での作。)
○王十七侍禦掄 侍御史王掄。
○高三十五便君 蜀州の刺史高適、使君は刺史の敬称、高適はこのころ何かの事について成都へでてきていたものとみえる。
姚公 美政 誰與 儔 ,不減 昔時 陳太丘 。
姚公は公平無私で寛容な政治を行うということで誰がその類になるのだろうか、昔のころでいえば「陳太丘」(陳寔)を置いてほかにはいないだろう。
「姚公」姚公とは不明の人物。今後の考証に待つとされている。段文昌と唱和している姚向はこの時期より7・80年後世である。ここではおそらく三国時代の蜀漢のこの梓州の長官クラスのものと解する。
「美政」諫言を受け入れる君主であること、屈原の理想とする政治をいう。
「儔」類とする。
「昔時」(今昔)、昔であった時。
「陳太丘」語義類別:人、人名、他稱、陳寔(漢)。陳寔(ちんしょく、104年 - 187年)は、後漢の人。字は仲弓である。 子に陳紀。三国時代の陳羣は孫。玄奘三蔵や小説家陳舜臣の祖先ともされる。穎川許の出身。太丘県の長を務めていたので陳太丘とも呼ばれた。潁川陳氏の高祖であり、潁川清流派の中心人物でもある。 貧しい家に生まれた陳寔は若い頃から学に親しみ、また公平無私で寛容な政治を行ったので民からすこぶる評判がよかったが、宦官の専横に反対したため、党錮の禁を受けることとなる。
邑中 上客 有 柱史 ,多暇 日陪 驄馬 遊 。
梓州の城郭の街中のこれといった上客とされるのは「柱史」とされる王御史であろう。ゆっくりとした暇が多い時でも日がな一日、後漢の桓典侍御史のように驄馬につきっきりでいるのだ。
「邑中」都城の街中。
「上客」上位の客。
「柱史」古代の官職。内記の別称。
「日」日日。
「驄馬」後漢の桓典が侍御史となると剛直な性格のため役人たちが恐れたという故事。桓典はいつも驄馬に乗って往来した。驄馬は白黒混ざった毛の馬のこと。職官爵位、御史。
東山 高頂 羅 珍羞 ,下顧 城郭 銷我憂 。
ここ東山の一番高い所に昇ってきてうまい食い物を手にしている。下の方を見てみると平穏な梓州の城郭があり、それを見ると政局不安な時で心配していることが消え失せる。
「東山」東山は涪江支流の潼川の上【ほとり】に在る。
「珍羞」珍しくてうまいごちそう。珍しい料理。珍肴(ちんこう)。珍膳(ちんぜん)。
清江 白日 落 欲盡,復攜 美人 登 綵舟 。
涪江支流潼川は清らかに流れ、太陽が沈んでいこうとしている。また、謝安が美人を携える五彩に飾られた船に乗るのである。
・「清江」杜甫はここ涪江にこの語をよく使う。清らかな川の水が静かに流れている状況を云う。
・「白」語義類別:其他、顏色、原色、白。
・「美人」携えるのは、美人である。謝安の故事にならう
・「登」登る。
・「綵舟」:綵女(穿著花衣的宮女);綵舟(結綵或飾以五彩的船). 染め模様の美しい絹。また、美しい色を取り合わせて染めた絹。 ・あや。模様。また、いろどり。