杜甫 《野人送朱櫻》西四川のさくらんぼうは都で食べたそれと変わりなくその持ち前の色として紅色である、近所の百姓が竹かごにあふれんばかりにそれを贈り物にくれたのだ。なんども注意深く皿にうつすのだが、それでもなおその薄い皮が破れはせぬかと気づかうのだ。このおびただしい実の粒がどれもこれのまんまるなのでよくこんなに同じようなおおきさにそろったものだと不思議に思う。



2013年7月17日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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野人送朱櫻  蜀中転々 杜甫 <500>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2690 杜甫詩1000-500-732/1500 
桜桃001詩 題: 作時:762年 寶應元年 杜甫51歳 
掲 載; 杜甫1000首の500首目-場面
杜甫ブログ1500回予定の-732回目   40831


作年: 寶應元年  762年  51歲 
卷別: 卷二二六  文體: 七言律詩 
詩題: 野人送朱櫻 
寫作地點: 成都(劍南道北部 / 益州 / 成都) 
寫及地點:  大明宮 (京畿道 京兆府 長安) 別名:永安宮、蓬萊宮、含元殿、蓬萊殿     
詩文:

野人送朱櫻
(野良の百姓がさくらんぼうを届けてくれた時の詩。)
西蜀櫻桃也自紅,野人相贈滿筠籠。 
西四川のさくらんぼうは都で食べたそれと変わりなくその持ち前の色として紅色である、近所の百姓が竹かごにあふれんばかりにそれを贈り物にくれたのだ。
數回細寫愁仍破,萬顆勻圓訝許同。 
なんども注意深く皿にうつすのだが、それでもなおその薄い皮が破れはせぬかと気づかうのだ。このおびただしい実の粒がどれもこれのまんまるなのでよくこんなに同じようなおおきさにそろったものだと不思議に思う。
憶昨賜霑門下省,退朝擎出大明宮。 
わたしは思い出すのは、むかし門下省の一員として、この果物の恩賜にうるおい恭しく捧げもって大明宮の朝賀から退出したことであった。
金盤玉箸無消息,此日嘗新任轉蓬。 
しかしそのときの黄金の大皿と玉の箸の消息もいまや絶えたままである。今日この日、わたしはこの初物を味わいながら、轉蓬の様な自分の人生をうち任せるしかないのだと思うのである。
野人 朱櫻を送る
西蜀の櫻桃【おうとう】也た自ら紅なり,野人 相い贈りて 筠籠【いんろう】に滿つ。 
數回 細寫して 仍お破れんかと愁い,萬顆 勻圓にして 許も同じかと訝る。 
憶う昨 賜霑【してん】す 門下省,退朝 擎出【けいしゅつ】す 大明宮。 
金盤 玉箸 消息無し,此の日 新しきを嘗めて 轉蓬に任す。 
桜桃002



 

『野人送朱櫻』 現代語訳と訳註
(本文)
西蜀櫻桃也自紅,野人相贈滿筠籠。 
數回細寫愁仍破,萬顆勻圓訝許同。 
憶昨賜霑門下省,退朝擎出大明宮。 
金盤玉箸無消息,此日嘗新任轉蓬。 


(下し文)
野人 朱櫻を送る
西蜀の櫻桃【おうとう】也た自ら紅なり,野人 相い贈りて 筠籠【いんろう】に滿つ。 
數回 細寫して 仍お破れんかと愁い,萬顆 勻圓にして 許も同じかと訝る。 
憶う昨 賜霑【してん】す 門下省,退朝 擎出【けいしゅつ】す 大明宮。 
金盤 玉箸 消息無し,此の日 新しきを嘗めて 轉蓬に任す。 


(現代語訳)
(野良の百姓がさくらんぼうを届けてくれた時の詩。)
西四川のさくらんぼうは都で食べたそれと変わりなくその持ち前の色として紅色である、近所の百姓が竹かごにあふれんばかりにそれを贈り物にくれたのだ。
なんども注意深く皿にうつすのだが、それでもなおその薄い皮が破れはせぬかと気づかうのだ。このおびただしい実の粒がどれもこれのまんまるなのでよくこんなに同じようなおおきさにそろったものだと不思議に思う。
わたしは思い出すのは、むかし門下省の一員として、この果物の恩賜にうるおい恭しく捧げもって大明宮の朝賀から退出したことであった。
しかしそのときの黄金の大皿と玉の箸の消息もいまや絶えたままである。今日この日、わたしはこの初物を味わいながら、轉蓬の様な自分の人生をうち任せるしかないのだと思うのである。


桜桃003(訳注)
野人送朱櫻
(野良の百姓がさくらんぼうを届けてくれた時の詩。)
ある農夫がさくらんぼうを届けてくれたことをうたう。成郡にあっての作。

西蜀櫻桃也自紅,野人相贈滿筠籠。 
西四川のさくらんぼうは都で食べたそれと変わりなくその持ち前の色として紅色である、近所の百姓が竹かごにあふれんばかりにそれを贈り物にくれたのだ。
○西蜀 (四川省)は東蜀西蜀に分かれ、成都は西蜀剣南西川節度使に属する。
〇桜桃 朱桜、さくらんぼう。


數回細寫愁仍破,萬顆勻圓訝許同。 
なんども注意深く皿にうつすのだが、それでもなおその薄い皮が破れはせぬかと気づかうのだ。このおびただしい実の粒がどれもこれのまんまるなのでよくこんなに同じようなおおきさにそろったものだと不思議に思う。


憶昨賜霑門下省,退朝擎出大明宮。 
わたしは思い出すのは、むかし門下省の一員として、この果物の恩賜にうるおい恭しく捧げもって大明宮の朝賀から退出したことであった。
○賜霑 ご下賜の恩恵にうるおう。唐朝では四月一日、初物として桜桃を宗廟に供え、そのお下がりを百官に賜わった。
○門下省 天子の命令を審議する役所。杜甫はかって左拾遺の官としてそこに属していた。
○大明官 唐の首都長安には、太極官・大明宮・興慶宮の三つの宮殿があったが、.大明宮はもっともしばしば朝賓の行われるところであった。


金盤玉箸無消息,此日嘗新任轉蓬。 
しかしそのときの黄金の大皿と玉の箸の消息もいまや絶えたままである。今日この日、わたしはこの初物を味わいながら、轉蓬の様な自分の人生をうち任せるしかないのだと思うのである。
○金盤玉箸 桜桃を賜わる行事を指していう。
○転蓬 砂漠の植物で、茎が四方に伸びて広がり、上で合して球状になったころ、秋風にあうと根こそぎ吹きちぎられ、すさまじい勢いで砂漠をころがって行く。人があてどもなく流浪することの比喩に用いられる。
○韻字 紅・籠・同・官・蓬。