《戲為六絕句,六首之三》たとえば四傑に詩文を作らせたとして、それは漢魏が『詩経』、「楚辞」に近いおもむきがあるのとくらべれば劣るにしても、どうして四傑の作品はたいしたものではないか。
2013年8月2日 | 同じ日の紀頌之5つのブログ |
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩 | |
Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩 LiveDoor |
蘇武 《詩四首 其二》#1 古詩源 詩<101-#1>Ⅱ李白に影響を与えた詩844 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2768 |
●唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ | |
Ⅱ中唐詩・晩唐詩 LiveDoor |
平淮西碑 韓愈(韓退之) <163-#14>Ⅱ中唐詩757 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2769 |
●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。" | |
Ⅲ杜甫詩1000詩集 LiveDoor | 戲為六絕句,六首之三 蜀中転々 杜甫 <515> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2770 杜甫詩1000-515-748/1500 |
●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集 不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている | |
Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集 Fc2 | |
●●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩 | |
Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩・女性 LiveDoor | 贈楊蘊中 薛濤 ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-245-111-#101 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2607 |
■最近の人気記事(漢詩の5ブログ各部門) | |
■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex | |
『楚辞・九歌』東君 屈原詩<78-#1>505 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1332http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67664757.html 『楚辞』九辯 第九段―まとめ 宋玉 <00-#35> 664 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2304 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/archives/6471825.html 安世房中歌十七首(1) 唐山夫人 漢詩 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67710265.html 為焦仲卿妻作 序 漢詩<143>古詩源 巻三 女性詩http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67729401.html 於凊河見輓船士新婚別妻一首 曹丕(魏文帝) 魏詩http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67759129.html 朔風 (一章) 曹植 魏詩<25-#1>文選 雑詩 上 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67780868.html 謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html 謝靈運詩 六朝期の山水詩人。この人の詩は上品ですがすがしい男性的な深みのある詩である。後世に多大な影響を残している。 謝靈運が傲慢で磊落だったというが彼の詩からはそれを感じさせるということは微塵もない。謝靈運、謝朓、孟浩然は好きな詩人である。 登永嘉緑嶂山詩 #1 謝霊運 <20> 詩集 386ーhttp://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67474554.html 登池上樓 #1 謝霊運<25>#1 ー http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67502196.html 孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩 盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。 李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html | |
戲為六絕句,六首之三
蜀中転々 杜甫 <515> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2770 杜甫詩1000-515-748/1500
1(戲れということで六絕句をつくってみた,六首の一番目)
北周の庾信はその詩文章は老年になってからさらに成熟している、雲をもしのぐほどの健筆、その意は縦横無尽にのべられている。
今の時代の軽薄文士たちは伝来の庚信の賦をあれこれと鼻先で笑うなどしている。孔子が「後生長るべし」といわれた意味を知っていないのは残念なことであり、庚信は後生ではあるが畏るべき人なのである。
戲れに六絕句を為る,六首の一
庾信が文章老いて更に成る、凌雲 健筆 意 縱橫。
今人 嗤点す 流伝の賦、覚らず前賢後生を畏れしことを。
2 戲為六絕句,六首之二
(戲れということで六絕句をつくってみた,六首の二番目)
楊王盧駱當時體,輕薄為文哂未休。
初唐、則天武后の時代に楊・王・盧・駱の四傑が華麗な詩文を作った。そのころの文体をいまの軽薄文士どもは小馬鹿にしていることを批判する。
爾曹身與名俱滅,不廢江河萬古流。
汝ら皆はからだも、名も共に滅びてしまうものであるが、四傑の作品は長江、黄河の大河が万古濠濠として流れてつきないように滅びることなどないものなのである。
つきぬごとくすたることのないものなのである。
3戲為六絕句,六首之三
(戲れということで六絕句をつくってみた,六首の三番目)
縱使盧王操翰墨,劣于漢魏近風騷。
たとえば四傑に詩文を作らせたとして、それは漢魏が『詩経』、「楚辞」に近いおもむきがあるのとくらべれば劣るにしても、どうして四傑の作品はたいしたものではないか。
龍文虎脊皆君馭,曆塊過都見爾曹。
竜文虎青のすがたをした駿馬のごとくみな人の馭すべき乗りものたるに十分なるものである。而してそれをわらう汝らこそは馳せて国都をすぐるとき塊を歴てつまずく駕馬のごとく、そのときはじめて汝らの驚馬たるを見うるならん。
縦【たと】い盧王【ろおう】をして翰墨【かんぼく】を操ること、漢魏の風騒に近きより劣らしむるも。
竜文 虎脊【こせき】皆 君が馭なり、歴塊【れきかい】過都【かと】爾が曹を見ん。
『戲為六絕句,六首之三』 現代語訳と訳註
(本文)
戲為六絕句,六首之三
縱使盧王操翰墨,劣于漢魏近風騷。
龍文虎脊皆君馭,曆塊過都見爾曹。
(下し文)
縦【たと】い盧王【ろおう】をして翰墨【かんぼく】を操ること、漢魏の風騒に近きより劣らしむるも。
竜文 虎脊【こせき】皆 君が馭なり、歴塊【れきかい】過都【かと】爾が曹を見ん。
(現代語訳)
(戲れということで六絕句をつくってみた,六首の三番目)
たとえば四傑に詩文を作らせたとして、それは漢魏が『詩経』、「楚辞」に近いおもむきがあるのとくらべれば劣るにしても、どうして四傑の作品はたいしたものではないか。
竜文虎青のすがたをした駿馬のごとくみな人の馭すべき乗りものたるに十分なるものである。而してそれをわらう汝らこそは馳せて国都をすぐるとき塊を歴てつまずく駕馬のごとく、そのときはじめて汝らの驚馬たるを見うるならん。
(訳注)
戲為六絕句,六首之三
(戲れということで六絕句をつくってみた,六首の三番目)
此の第三首は初唐四傑を弁護する点で第二首と似ている。
縱使盧王操翰墨,劣于漢魏近風騷。
たとえば四傑に詩文を作らせたとして、それは漢魏が『詩経』、「楚辞」に近いおもむきがあるのとくらべれば劣るにしても、どうして四傑の作品はたいしたものではないか。
○縱使 この二字は次句までへかかる。
〇盧王 前詩にみえる、ここは慮王をいって楊齢をいわないがすべて四傑についていったものであろう。
○操翰墨 ふでとすみをとる、文章をつづることをいう。○漢魏近風騷 風騒は「詩経」の詩には〇風で編纂しているをさしていう、騒は『楚辞、離騒』で屈原宋玉らの韻文をいう。漢覿時代の作品は風騒のおもかげがあると称せられる。
龍文虎脊皆君馭,曆塊過都見爾曹。
竜文虎青のすがたをした駿馬のごとくみな人の馭すべき乗りものたるに十分なるものである。而してそれをわらう汝らこそは馳せて国都をすぐるとき塊を歴てつまずく駕馬のごとく、そのときはじめて汝らの驚馬たるを見うるならん。
○龍文虎脊 駿馬の姿をいう、四傑を駿馬にたとえる、竜文の語は「漢書」西域伝費にみえ、虎青は漢の「天馬歌」にみえる。
○君馭 駁は御におなじ、馬をあやつること、ここはあやつるのにたえるものの意、君の字は人君をさすとする説と一般人をさすとする説とがあるが、余は一般人とみる。
○曆塊過都 漢の王褒の「聖主ノ賢臣ヲ得ル頒」の「都ヲ過ギ国ヲ越エルトキハ蹴(ツマズ)クコト塊ヲ歴ルガ若シ」に本づく。ただしここはつまずくという意に用いたもののごとくである、「都を過ぐるとき塊を歴てつまずくごとく」といぅほどの意。
○爾曹 軽薄文士の四傑をわらう者をさす。