江頭四詠:丁香その実を乾燥させて,蘭と麝香の華麗で貴いとされるものの中に落ち込んだとしても,素朴で誠実に生き、おのが身を粉骨砕身にしてまでと,考えるのは止めたいものだ。

 

2013年8月6日  同じ日の紀頌之5つのブログ
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江頭四詠:丁香  蜀中転々 杜甫 <519>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2790 杜甫詩1000-519-752/1500 

     

詩 題: 作時:762年 寶應元年 杜甫51歳 

卷別: 卷二二七  文體: 五言古詩 

詩題: 江頭四詠:丁香 

寫作地點: 成都(劍南道北部 / 益州 / 成都

掲 載; 杜甫1000首の519首目 蜀中転々場面

杜甫ブログ1500回予定の-752回目   40851

作年: 寶應元年  762  51 

 

錦江のほとりの草堂にあるもの凡そ五種についてよんだ詩である。宝応元年の作。

 

江頭四詠。丁香                       

丁香體柔弱,亂結枝猶墊。細葉帶浮毛,疏花披素豔。

深栽小齋後,庶近幽人占。墮蘭麝中,休懷粉身念。

 

江頭四詠。梔子(くちなしのみ)       

梔子比眾木,人間誠未多。于身色有用,與道氣傷和。

紅取風霜實,青看雨露柯。無情移得汝,貴在映江波。

 

江頭四詠。鸂鶒(けいせき)

故使籠寬織,須知動損毛。看雲莫悵望,失水任呼號。

六翮曾經剪,孤飛卒未高。且無鷹隼慮,留滯莫辭勞。

       

江頭四詠:花鴨

花鴨無泥滓,階前每緩行。羽毛知獨立,黑白太分明。

不覺群心妒,休牽眾眼驚。稻粱霑汝在,作意莫先鳴。

 

江頭五詠・麗春(『詳注』巻一〇)

百草競春華,麗春應最勝。少須顔色好,多漫枝條剩。

紛紛桃李枝,處處總能移。如何此貴重?卻怕有人知。

海棠花05 

               

 

 



 

 

詩文:
 
江頭四詠。丁香

(大江のほとりで五首を詠う。その丁香の詩)

丁香體柔弱,亂結枝猶墊。

丁子がはえている その実は,柔かそうで若々しく見えるが,あちこちに入り乱れて実を結んでくると枝は垂れ下がってくる。

細葉帶浮毛,疏花披素豔。

細い葉の表面には産毛がたくさんあり,まばらに花がさき、白くふっくらとしておおわれている。

深栽小齋後,庶近幽人占。

この木をわたしの小さい書斎の後ろに植えてみる,できることならばこの丁子で我家の周りをいっぱいにしたいものである。

晚墮蘭麝中,休懷粉身念。

その実を乾燥させて,蘭と麝香の華麗で貴いとされるものの中に落ち込んだとしても,素朴で誠実に生き、おのが身を粉骨砕身にしてまでと,考えるのは止めたいものだ。

 

丁香 體 柔弱なり,亂結 枝 猶の墊【た】る。

細葉 浮毛を帶ぶ,疏花 素豔【そえん】を披【ひら】く。

深く栽す 小齋の後,庶【こいねが】わくば近ずかん 幽人をして占【しめ】しむるに。

晚に墮つる 蘭麝【らんじゃ】の中に,粉身の念を懷【いだ】くを休【や】む。

 

『江頭四詠。丁香』 現代語訳と訳註

丁子005(本文)

丁香體柔弱,亂結枝猶墊。

細葉帶浮毛,疏花披素豔。

深栽小齋後,庶近幽人占。

晚墮蘭麝中,休懷粉身念。

 

 

(下し文)

丁香 體 柔弱なり,亂結 枝 猶の墊【た】る。

細葉 浮毛を帶ぶ,疏花 素豔【そえん】を披【ひら】く。

深く栽す 小齋の後,庶【こいねが】わくば近ずかん 幽人をして占【しめ】しむるに。

晚に墮つる 蘭麝【らんじゃ】の中に,粉身の念を懷【いだ】くを休【や】む。

 

(現代語訳)

(大江のほとりで五首を詠う。その丁香の詩)

丁子がはえている その実は,柔かそうで若々しく見えるが,あちこちに入り乱れて実を結んでくると枝は垂れ下がってくる。

細い葉の表面には産毛がたくさんあり,まばらに花がさき、白くふっくらとしておおわれている。

この木をわたしの小さい書斎の後ろに植えてみる,できることならばこの丁子で我家の周りをいっぱいにしたいものである。

その実を乾燥させて,蘭と麝香の華麗で貴いとされるものの中に落ち込んだとしても,素朴で誠実に生き、おのが身を粉骨砕身にしてまでと,考えるのは止めたいものだ。

 

 

(訳注)

江頭五詠。丁香

(大江のほとりで五首を詠う。その丁香の詩)

詩人として、静かに小さく、その姿勢を維持して生きていることを丁子に比喩している。

 

丁香體柔弱,亂結枝猶墊。

丁子がはえている その実は,柔かそうで若々しく見えるが,あちこちに入り乱れて実を結んでくると枝は垂れ下がってくる。

・丁香:丁子 クローブとも言い、清熱・瀉火・去痰・鎮咳の作用があり、漢方薬では解熱、鎮痛、鎮静、消炎、利尿などなどに用いられる。

・體:ありかた。きまり。体裁。詩文の形式。

 

 

細葉帶浮毛,疏花披素豔。

細い葉の表面には産毛がたくさんあり,まばらに花がさき、白くふっくらとしておおわれている。

 

 

深栽小齋後,庶近幽人占。

この木をわたしの小さい書斎の後ろに植えてみる,できることならばこの丁子で我家の周りをいっぱいにしたいものである。

・小齋:わたしの小さい書斎。小は謙譲語。

・幽人:幽は隠遁を意味し、杜甫自身を意味する。。

 

 

晚墮蘭麝中,休懷粉身念。

その実を乾燥させて,蘭と麝香の華麗で貴いとされるものの中に落ち込んだとしても,素朴で誠実に生き、おのが身を粉骨砕身にしてまでと,考えるのは止めたいものだ。

・晚 丁子の実を乾燥させること。

・蘭麝:蘭と麝香(じやこう)の香り。よい香りのこと。高貴に匂うもので後宮官僚、朝廷を意識させる。

★杜甫の詩は貧乏くさい詩、田舎者ということで、六朝から続く宮廷、色街の艶閨詩などとは一線を引く儒家、隠遁者、素朴な誠実な詩人でありたいということを詠っている。