杜甫《屏跡,三首之一自分は老衰の年にあたって満足して引っ込んだのであり、自己の高臥の境に対してはしずかな事がらを以てささげているのだ。

 

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屏跡,三首之一  蜀中転々 杜甫 <525>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2820 杜甫詩1000-525-758/1500

 

詩 題:屏跡,三首之一

作時:762年 寶應元年 杜甫51歳 

掲 載; 杜甫1000首の525首目-場面

杜甫ブログ1500回予定の-758回目

 

浣花草堂は杜甫が自由に処分できる個人の財産ではなかった。おそらく成都の洪水対策の地域であった。そういう土地であるから、杜甫についてきた弟や下男、農夫付きの農園が附属していたと考えられる。杜甫が農業に傾倒していくきっかけになった事には間違いない。その農園を耕作する必要はなかったし、麦や黍の穀物および野菜などの商品作物の経営、管理にも直接関与しなかったと思われる。ただ、できた農作物の一部を成都で打っていることも、詩に見える。それは、いくつかの詩の中で散発的に詠じられている表現により浮かび上がってくる。

 

 

 屏跡 三首

衰年甘屏跡,幽事供高臥。

自分は老衰の年にあたって満足して引っ込んだのであり、自己の高臥の境に対してはしずかな事がらを以てささげているのだ。

鳥下竹根行,龜開萍葉過。

すなわち庭には、鳥がおりてきて竹の根もとあたりをあるいている。水中の亀は萍の葉をかきわけて過ぎてゆく自分の行く道を開いている。

年荒酒價乏,日並園蔬課。

今年の作がらが凶作で酒をかう銭は乏しいいので、はたけ仕事の日課を増して働くことにしている。

酌甘泉歌,歌長擊樽破。

労働の後のうまい水を飲み歌い、なお酒をくみながら酔いがまわりうたいだす。歌のこえ長くしてついに樽をうちわるに至る。(これ以上は酒を買えないから最後の酒と思ったのだろう)

 

(屏跡 三首 之一)

衰年【すいねん】屏跡【へいせき】甘んず,幽事【ゆうじ】高臥【こうが】供す。

鳥は竹根【ちくこん】に下り行き,龜は萍葉【を】過ぎ開く。

年荒【ねんこう】にして酒價【しゅか】乏し,日を並べて園蔬【えんそ】を課す。

猶り甘泉の歌いて酌す,歌長くして樽を擊ちて破る。

 

 

『屏跡 三首 之一』 現代語訳と訳註

(本文)

衰年甘屏跡,幽事供高臥。

鳥下竹根行,龜開萍葉過。

年荒酒價乏,日並園蔬課。

猶酌甘泉歌,歌長擊樽破。

 

詩文(含異文)

用拙存吾道【用拙誠吾道】,幽居近物情。

桑麻深雨露,燕雀半生成。

村鼓時時急,漁舟箇箇輕。

杖藜從白首,心跡喜雙清。 

 

(下し文)

(屏跡 三首 之一)

衰年【すいねん】屏跡【へいせき】甘んず,幽事【ゆうじ】高臥【こうが】供す。

鳥は竹根【ちくこん】に下り行き,龜は萍葉【を】過ぎ開く。

年荒【ねんこう】にして酒價【しゅか】乏し,日を並べて園蔬【えんそ】を課す。

猶り甘泉の歌いて酌す,歌長くして樽を擊ちて破る。

 

 

(現代語訳)

自分は老衰の年にあたって満足して引っ込んだのであり、自己の高臥の境に対してはしずかな事がらを以てささげているのだ。

すなわち庭には、鳥がおりてきて竹の根もとあたりをあるいている。水中の亀は萍の葉をかきわけて過ぎてゆく自分の行く道を開いている。

今年の作がらが凶作で酒をかう銭は乏しいいので、はたけ仕事の日課を増して働くことにしている。

労働の後のうまい水を飲み歌い、なお酒をくみながら酔いがまわりうたいだす。歌のこえ長くしてついに樽をうちわるに至る。(これ以上は酒を買えないから最後の酒と思ったのだろう)

 

 

(訳注)

屏跡 三首 之一

竹林0021浣花草堂において人とのまじらいをせず隠遁生活していることをのべる。762年、宝応元年、杜甫51の作。

同じ年の晩春から初夏にかけて、五十一歳の杜甫は隠遁を題にした連作の七言律詩『屏跡』三首を作った。三首とも隠遁生活の有り様をそれぞれ具体的にうたうが、其一では中国の隠者には欠かせない酒のことを詠じる。詩の後半に、「年荒酒價乏、日併園蔬課。」(年(みのり)は荒(ふさく)にして酒の価(もとで)は乏しく、日びに園(はたけ)の蔬(やさい)の課(しごと)を併(あわ)す。)

「獨酌甘泉歌、歌長撃樽破。」 (独り甘き泉を酌みて歌い、歌長くして樽を撃ちて破る。)

とある。その年の(おそらくは麦の)収穫が不作なために酒を買う元手が足りず、結局酒がわりに甘泉の水を飲まなければならないとぼやいている。前年には杜甫自身、『遣意二首、其一』黍(きび)を醸(かも)して酒を作ったこともあるが(「衰年に黍を釀すを催(うなが)す」、今年は酒代がないことを嘆いているのである。この部分から杜甫の草堂には生活の収入源となる農園があったらしいことが見て取れる。①.草堂の農園に麦が作られていたことは、後に掲げるが『為農』「細麦より軽花落つ」や『絶句漫興九首』其八「江畔の細き麦は復た繊繊たり」などとあることから十分考えられる。

 

衰年甘屏跡,幽事供高臥。

自分は老衰の年にあたって満足して引っ込んだのであり、自己の高臥の境に対してはしずかな事がらを以てささげているのだ。

○衰年 老衰の時期。

○屏跡 屏はしりぞける、跡は行跡、わが行跡を世間からひっこめること。

○幽事 しずかなことがら、すなわち鳥亀課疏などの事。

○高臥 枕を高くして臥すこと。

 

鳥下竹根行,龜開萍葉過。

すなわち庭には、鳥がおりてきて竹の根もとあたりをあるいている。水中の亀は萍の葉をかきわけて過ぎてゆく自分の行く道を開いている。

○萍 うきぐさ。

○荒 作がらのわるいこと。

 

年荒酒價乏,日並園蔬課。

今年の作がらが凶作で酒をかう銭は乏しいいので、はたけ仕事の日課を増して働くことにしている。

○酒價 酒の代金、酒かい銭。

〇日並 一日に二三日分の仕事をする、併は兼のごとくである。

○園蔬 はたけの野菜つくり。

○課 仕事の分量をわりつけてする、野菜を売って酒銭を得ようとすることをいう。

 

猶酌甘泉歌,歌長擊樽破。

労働の後のうまい水を飲み歌い、なお酒をくみながら酔いがまわりうたいだす。歌のこえ長くしてついに樽をうちわるに至る。(これ以上は酒を買えないから最後の酒と思ったのだろう)

○独酌甘泉歌 甘泉はうまい水、酒のことでがないので水を飲むこと、このままにとくときは次句の「擊樽」は水をつめたたるをうつものとみないわけにはいかない、不自然ではなかろうか。一本に此の句を独酌酎且歌に作っているというが、そちらがよいのではなかろうか。
DCF00006