杜甫《客夜旅の眠りは眠ろうとしたところでどうして眠り続けることができるものか、とても寝付かれぬ。それに秋の夜長で、空が意地悪く夜明けになってくれようとしないのだ。

 

2013年9月1日  同じ日の紀頌之5つのブログ
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 五言律詩 《客夜》 蜀中転々 杜甫 <539>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2920 杜甫詩1000-539-778/1500

 

詩 題:

作時:762年 寶應元年 杜甫51

掲 載; 杜甫1000首の539首目-場面

杜甫ブログ1500回予定の-778回目   40877

 

卷別: 卷二二七  文體: 五言律詩 

詩題: 客夜 

作地點: 現在まで尚、資料は無い。詩の内容、状況から 宝応元年秋、梓州にあっての作。梓州にあってのたびの夜のこころもちをのべる。妻の手紙を得た夜のことであろう。

tsuki001 

 

客夜

(友人の厳武を送っての旅の夜)

 

客睡何曾著,秋天不肯明。

旅の眠りは眠ろうとしたところでどうして眠り続けることができるものか、とても寝付かれぬ。それに秋の夜長で、空が意地悪く夜明けになってくれようとしないのだ。

捲簾殘月影,高枕遠江聲。

簾を巻き上げてみると残月の影が差し込んでくるし、枕を高くして寝ていると遠くの方で涪江の流れの音が聞こえてくる。

計拙無衣食,途窮仗友生。

自分は世わたりの計が拙くて衣食をもたぬのできがえもできない。こんな逆境にあたってはここの友達に頼っているのである。

老妻書數紙,應悉未歸情。

老妻からちかごろ三四枚の手紙がきた。それによれば妻もわたしが帰らずにいる心持をよく知ってくれたこととおもわれる。

客睡 何ぞ曾て著せん、秋天 肯て明らかならず。

簾を捲【まく】る 残月の影あり、枕を高す 遠江【えんこう】の声あり。

計拙【けいさつ】にして 衣食無し、途窮【みちきゅう】して友生に仗る。

老妻 書数 紙、応に未帰の情を悉【つく】すなるべし。

 

 

『客夜』 現代語訳と訳註

(本文)

金燈花03客夜

客睡何曾著,秋天不肯明。

捲簾殘月影,高枕遠江聲。

計拙無衣食,途窮仗友生。

老妻書數紙,應悉未歸情。

 

詩文(含異文)

客睡何曾著,秋天不肯明。

卷簾殘月影【入簾殘月影】,高枕遠江聲。

計拙無衣食,途窮仗友生。

老妻書數紙,應悉未歸情。 

 

 

(下し文)

客睡 何ぞ曾て著せん、秋天 肯て明らかならず。

簾を捲【まく】る 残月の影あり、枕を高す 遠江【えんこう】の声あり。

計拙【けいさつ】にして 衣食無し、途窮【みちきゅう】して友生に仗る。

老妻 書数 紙、応に未帰の情を悉【つく】すなるべし。

 

 

(現代語訳)

(友人の厳武を送っての旅の夜)

旅の眠りは眠ろうとしたところでどうして眠り続けることができるものか、とても寝付かれぬ。それに秋の夜長で、空が意地悪く夜明けになってくれようとしないのだ。

簾を巻き上げてみると残月の影が差し込んでくるし、枕を高くして寝ていると遠くの方で涪江の流れの音が聞こえてくる。

自分は世わたりの計が拙くて衣食をもたぬのできがえもできない。こんな逆境にあたってはここの友達に頼っているのである。

老妻からちかごろ三四枚の手紙がきた。それによれば妻もわたしが帰らずにいる心持をよく知ってくれたこととおもわれる。

 

 

(訳注)

客夜

(友人の厳武を送っての旅の夜)

○客夜 たびのよる。

 

客睡 何曾 著,秋天 不肯 明 。

旅の眠りは眠ろうとしたところでどうして眠り続けることができるものか、とても寝付かれぬ。それに秋の夜長で、空が意地悪く夜明けになってくれようとしないのだ。

○客睡何曾著 睡著の二字をきりはなして用いているが、客何曾陸著と同意で、睡著はねむりつづけること。残した家族のこと、政情が不安定な事などのため、寝つけぬことを云う。

○不肯明 秋の夜長を云う。意地わるくあけようとせぬということ、ねむれないから、無理繰眠ろうとし、いっそ、早く夜のあけることを望むのだが、望めば望むほど夜は明けないのである、秋の夜長と愁いを強調する句である。

 

卷簾 殘月影 ,高枕 遠 江聲 。

簾を巻き上げてみると残月の影が差し込んでくるし、枕を高くして寝ていると遠くの方で涪江の流れの音が聞こえてくる。

○江 涪江。

 

計拙 無 衣食 ,途窮 仗 友生 。

自分は世わたりの計が拙くて衣食をもたぬのできがえもできない。こんな逆境にあたってはここの友達に頼っているのである。

○友生 ともだち、梓州の武官章彜をさす。厳武を通じて知り合ったものたち。 

 

老妻 書 數紙 ,應悉 未歸 情 。

老妻からちかごろ三四枚の手紙がきた。それによれば妻もわたしが帰らずにいる心持をよく知ってくれたこととおもわれる。

○老妻書 「書は乃ち妻に寄するの書」と注して妻へあてる手紙とといている解説書もあるが、恐らくは妻からの手紙であろう。確かに杜甫は筆まめであるから当然妻に書くがここは、妻からの手紙が嬉しいことの表現なのである。この時代の男性が詩文に「妻」と記すことは超、稀なことである。

○数紙 三四枚。

○悉 妻が知りつくす。

○未帰情 梓州に居て成都へかえらぬ作者のこころ。作者の帰らないのは衣食のためと、戦争は嫌で三峡へ出ようとの考えとの二つによる。

 

 

詩文:

客夜

客睡何曾著,秋天不肯明。

卷簾殘月影,高枕遠江聲。

計拙無衣食,途窮仗友生。

老妻書數紙,應悉未歸情。

客睡 何ぞ曾て著せん、秋天 肯て明らかならず。

簾を捲【まく】る 残月の影あり、枕を高す 遠江【えんこう】の声あり。

計拙【けいさつ】にして 衣食無し、途窮【みちきゅう】して友生に仗る。

老妻 書数 紙、応に未帰の情を悉【つく】すなるべし。