杜甫《客亭》眠れない夜を過ごしたが、秋の部屋のまどがまだ曙の色をおびている。そとでは木の葉が落ちつつあるのにさらに川風が高く吹いている。

 

2013年9月2日  同じ日の紀頌之5つのブログ
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李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150

 


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 五言律詩 《客亭》 蜀中転々 杜甫 <540>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2925 杜甫詩1000-540-779/1500      

 

詩 題:客亭

作時:762年 寶應元年 杜甫51歳 

掲 載; 杜甫1000首の540首目-場面

杜甫ブログ1500回予定の-779回目   40878

梓州の寓居の亭でのさまをのべた。前の「客夜」と同時の作であろう。宝応元年梓州にあっての作。

 

客亭

(友人の厳武を送っての旅の客居の亭)

秋窗猶曙色,落木更天風。

眠れない夜を過ごしたが、秋の部屋のまどがまだ曙の色をおびている。そとでは木の葉が落ちつつあるのにさらに川風が高く吹いている。

日出寒山外,江流宿霧中。

すでに冠雪していて寒山の外から太陽がでてくる、昨日からまだ晴れない霧のなかに涪江の水がながれている。

聖朝無棄物,老病已成翁。

この唐王朝にはうち棄てられて置かれるものということはないのである。そして、自分は老衰、疾病でなにごともなすことなくしてすっかりおじいさんになってしまった。

多少殘生事,飄零似轉蓬。

これからどれほどかの老いさきの事があろう。それは零落れて蓬の転がりゆくに任すような流浪の生活をするにとどまるのである。

 

(客 亭)

秋窓【しゅうそう】猶お曙色【しょくしょく】たり、落木 更に天風あり。

日は出づ 寒山の外、江は流る 宿霧【しゅくむ】の中。

聖朝【せいちょう】棄物無し、衰病【すいびょう】己に翁と成る。

多少 残生の事、諷零【ひょうれい】転蓬【てんほう】に任す。


 

『客亭』 現代語訳と訳註

aki010(本文)

客亭

秋窗猶曙色,落木更天風。

日出寒山外,江流宿霧中。

聖朝無棄物,老病已成翁。

多少殘生事,飄零似轉蓬。

 

詩文(含異文)

秋窗猶曙色,落木更天風【落木更高風】【木落更天風】【木落更高風】。

日出寒山外,江流宿霧中。

聖朝無棄物,老病已成翁【老病已衰翁】。

多少殘生事,飄零似轉蓬。

 

(下し文)

(客 亭)

秋窓【しゅうそう】猶お曙色【しょくしょく】たり、落木 更に天風あり。

日は出づ 寒山の外、江は流る 宿霧【しゅくむ】の中。

聖朝【せいちょう】棄物無し、衰病【すいびょう】己に翁と成る。

多少 残生の事、諷零【ひょうれい】転蓬【てんほう】に任す。

 

 

(現代語訳)

aki03

(友人の厳武を送っての旅の客居の亭)

眠れない夜を過ごしたが、秋の部屋のまどがまだ曙の色をおびている。そとでは木の葉が落ちつつあるのにさらに川風が高く吹いている。

すでに冠雪していて寒山の外から太陽がでてくる、昨日からまだ晴れない霧のなかに涪江の水がながれている。

この唐王朝にはうち棄てられて置かれるものということはないのである。そして、自分は老衰、疾病でなにごともなすことなくしてすっかりおじいさんになってしまった。

これからどれほどかの老いさきの事があろう。それは零落れて蓬の転がりゆくに任すような流浪の生活をするにとどまるのである。

 

 

(訳注)

客亭

(友人の厳武を送っての旅の客居の亭)

・客亭 客居している所の亭。

 

秋窗猶曙色,落木更天風。

眠れない夜を過ごしたが、秋の部屋のまどがまだ曙の色をおびている。そとでは木の葉が落ちつつあるのにさらに川風が高く吹いている。

・猶 曙色 猶は日が昇ってしばらくたっているのに、未だにというほどの意味。曙色は朝焼けの色。当時は夜真っ暗なので朝まだきから日が昇るころの輝きは印象的なもので「曙色」ということでそのすべてを表現しているのである。

 

日出寒山外,江流宿霧中。

すでに冠雪していて寒山の外から太陽がでてくる、昨日からまだ晴れない霧のなかに涪江の水がながれている。

・寒山 晩秋にはすでに冠雪しているのでこういう。

・宿霧 夕べからの霧が晴れない状況を云う。盆地の秋の霧はなかなか晴れない。

 

聖朝無棄物,老病已成翁。

この唐王朝にはうち棄てられて置かれるものということはないのである。そして、自分は老衰、疾病でなにごともなすことなくしてすっかりおじいさんになってしまった。

・聖朝無棄物 「野に遺賢なし」杜甫自身棄てられた存在であるということ。『老子』巧用第二十七「是以聖人 常善救人 故無棄人 常善救物 故無棄物 是謂襲明 故善人者 ...」(是を以って聖人は 常に善く人を救う 故に棄人無し 常に善く物を救う 故に棄物無し 是を襲明(しゅうめい)と謂う 故に善人は・・・)に基づいている。

・成翁 すっかり老人になってしまった。

 

多少殘生事,飄零似轉蓬。

これからどれほどかの老いさきの事があろう。それは零落れて蓬の転がりゆくに任すような流浪の生活をするにとどまるのである。

・多少 いくらか。

諷零 おちぶれてさまよう。杜甫『不見』「不見李生久,佯狂真可哀!世人皆欲殺,吾意獨憐才。敏捷詩千首,飄零酒一杯。匡山讀書處,頭白好歸來。」不見 五言律詩 成都5-(33) 杜甫 <458  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2375 杜甫詩1000-458-669/1500

・轉蓬 砂漠の植物で、茎が四方に伸びて広がり、上で合して球状になったころ、秋風にあうと根こそぎ吹きちぎられ、すさまじい勢いで砂漠をころがって行く。人があてどもなく流浪することの比喩に用いられる。杜甫はよく使う。杜甫『野人送朱櫻』 「西蜀櫻桃也自紅,野人相贈滿筠籠。 數回細寫愁仍破,萬顆勻圓訝許同。憶昨賜霑門下省,退朝擎出大明宮。金盤玉箸無消息,此日嘗新任轉蓬。」

野人送朱櫻 蜀中転々 杜甫 <500  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2690 杜甫詩1000-500-732/1500

 

四川省西部地区略図 

 

 




























 


客亭

秋窗猶曙色,落木更天風。

日出寒山外,江流宿霧中。

聖朝無棄物,老病已成翁。

多少殘生事,飄零似轉蓬。

(客 亭)

秋窓【しゅうそう】猶お曙色【しょくしょく】たり、落木 更に天風あり。

日は出づ 寒山の外、江は流る 宿霧【しゅくむ】の中。

聖朝【せいちょう】棄物無し、衰病【すいびょう】己に翁と成る。

多少 残生の事、諷零【ひょうれい】転蓬【てんほう】に任す。