杜甫《野望》金華山の北側で涪江の流れの右岸、西に位置する辺りの野原を見る。ここにきて早、風も日ざしも仲冬そのものになって始めて冷たく凍えるのを感じるのである。遠く西の連山をみればその山脈は越の方へ連なって蜀地全体にわだかまり盆地にする。水流は巴州、渝州の地方へ散らばってさら五渓の方へ下る。

 

2013年9月5日  同じ日の紀頌之5つのブログ
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孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。

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李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。    
女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。    
孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。    
李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150

 

638 七言律詩 《野望》 蜀中転々 杜甫 <543  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2940 杜甫詩1000-543-782/1500

 

詩 題:野望

作時:762 寶應元年 杜甫51歳 

卷別: 卷二二七  文體: 七言律詩 

作地點: 射洪(劍南道北部 / 梓州 / 射洪

及地點: 金華山 (劍南道北部 梓州 射洪、嶲州 (劍南道南部 嶲州 嶲州別名:越 、巴州 (山南西道 巴州 巴州別名:巴中、巴 、渝州 (山南西道 渝州 渝州別名:渝 、射洪 (劍南道北部 梓州 射洪  

掲 載; 杜甫1000首の543首目-場面 蜀中転々

杜甫ブログ1500回予定の-782回目   40881

射洪県の野外にあって眺望してよんだ詩。宝応元年十一月、射洪県にあっての作。

 

 

野望

(野の景色を見る)

金華山北涪水西,仲冬風日始淒淒。

金華山の北側で涪江の流れの右岸、西に位置する辺りの野原を見る。ここにきて早、風も日ざしも仲冬そのものになって始めて冷たく凍えるのを感じるのである。

山連越蟠三蜀,水散巴渝下五溪。

遠く西の連山をみればその山脈は越の方へ連なって蜀地全体にわだかまり盆地にする。水流は巴州、渝州の地方へ散らばってさら五渓の方へ下る。

獨鶴不知何事舞,饑烏似欲向人啼。

私の様な一匹の鶴が舞いつつあるがそれはいかなる事があるためなのか。また、私の身代わりか餓え烏がいるがそれは人に向かって啼いて窮状を訴えんとするかの様子がある。

射洪春酒寒仍綠,目極傷神誰為攜。

射洪でつくりこむ春向けの新酒の清酒は今からはや緑色をして飲めそうだが、この極目傷神のおりから、だれか自分のためにそれを持ってきて飲ませてくれるものはないか。

 

(野 望)

金華山の北涪【ふ】水の西、仲冬風日始めて淒淒たり。

山は越えつずい連なり、三蜀に蟠わだかまり、水は巴渝に散じて五溪に下る。

独鶴【どくかく】知らず何事あってか舞う、餓烏【きう】人に向かって啼かんと欲するに似たり。

射洪の春酒 寒きも仍ち緑なり、目極まりて神を傷ましむ誰か為に携【たずさ】えん。

 

 

『野望』 現代語訳と訳註

denen03350(本文)

野望

金華山北涪水西,仲冬風日始淒淒。

山連越蟠三蜀,水散巴渝下五溪。

獨鶴不知何事舞,饑烏似欲向人啼。

射洪春酒寒仍綠,目極傷神誰為攜。

 

詩文(含異文)

金華山北涪水西【金華山南涪水西】,仲冬風日始淒淒。

山連越蟠三蜀,水散巴渝下五溪。

獨鶴不知何事舞,飢烏似欲向人啼。

射洪春酒寒仍綠,目極傷神誰為攜。 

 

 

(下し文)

(野 望)

金華山の北涪【ふ】水の西、仲冬風日始めて淒淒たり。

山は越【えつずい】に連なり、三蜀に蟠【わだかま】り、水は巴渝に散じて五溪に下る。

独鶴【どくかく】知らず何事あってか舞う、餓烏【きう】人に向かって啼かんと欲するに似たり。

射洪の春酒 寒きも仍ち緑なり、目極まりて神を傷ましむ誰か為に携【たずさ】えん。

 

 

(現代語訳)

(野の景色を見る)

金華山の北側で涪江の流れの右岸、西に位置する辺りの野原を見る。ここにきて早、風も日ざしも仲冬そのものになって始めて冷たく凍えるのを感じるのである。

遠く西の連山をみればその山脈は越の方へ連なって蜀地全体にわだかまり盆地にする。水流は巴州、渝州の地方へ散らばってさら五渓の方へ下る。

私の様な一匹の鶴が舞いつつあるがそれはいかなる事があるためなのか。また、私の身代わりか餓え烏がいるがそれは人に向かって啼いて窮状を訴えんとするかの様子がある。

射洪でつくりこむ春向けの新酒の清酒は今からはや緑色をして飲めそうだが、この極目傷神のおりから、だれか自分のためにそれを持ってきて飲ませてくれるものはないか。

 

 

(訳注)

野望

(野の景色を見る)

同名の『野望』詩は、下のようにある。

秦州抒情詩(20) 野望 杜甫 <305> kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1382 杜甫詩 700- 425

野望因過常少仙 成都5-(5) 杜甫 <458  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2235 杜甫詩1000-458-641/1500

野望 七言律詩 成都5-(35) 杜甫 <460  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2385 杜甫詩1000-460-671/1500

 

 

金華山北涪水西,仲冬風日始淒淒。

金華山の北側で涪江の流れの右岸、西に位置する辺りの野原を見る。ここにきて早、風も日ざしも仲冬そのものになって始めて冷たく凍えるのを感じるのである。

○金華山 四川省潼川府射洪県北二里(1.2km)にある。

○北 北の字は(本文)示す南に作る。山は涪江の傍にあり、その北側を云うか、南側のどちらかを示す。

○涪水西 涪水は涪江、府内を大体において北より東南に貫き流れる川である、西というのは涪江の右岸側にあるということで、涪江の西側にということ。

○仲冬 十一月。冬は10.11,12月であるからいう。

○風日 風及び太陽の様子。

○凄凄 つめたいさま。

 成都遂州00

 















山連越
蟠三蜀,水散巴渝下五溪。

遠く西の連山をみればその山脈は越の方へ連なって蜀地全体をにわだかまり盆地にする。水流は巴州、渝州の地方へ散らばってさら五渓の方へ下る。

○越 四川西南外夷(吐蕃の影響の強い当たり)の地方。

〇三蜀 四川の地、秦漢以後に蜀郡・広漢郡・犍為郡を置いた、これを三蜀という。○巴渝 巴州渝州、四川の東南部にあたる。

○五溪/五谿 雄渓・樠渓・力渓・璑渓・酉渓をいう、貴州北部にあり、北流して長江に入る。

 

獨鶴不知何事舞,饑烏似欲向人啼。

私の様な一匹の鶴が舞いつつあるがそれはいかなる事があるためなのか。また、私の身代わりか餓え烏がいるがそれは人に向かって啼いて窮状を訴えんとするかの様子がある。

○独鶴 杜甫自身の客境をあらわす。

○饑烏 対句として、貧苦をあらわす。

 

射洪春酒寒仍綠,目極傷神誰為攜。

射洪でつくりこむ春向けの新酒の清酒は今からはや緑色をして飲めそうだが、この極目傷神のおりから、だれか自分のためにそれを持ってきて飲ませてくれるものはないか。

○射洪 県の名、溝川府三台県治(唐の梓州)の東南にある。

○春酒 春になればできあがる酒、今は仲冬であるから酒としては未成品であるはずのもので、しかるにそれを早く飲みたいとの意をのべたものである。

○寒仍綠 まだ仲冬で寒いのだがそれでも緑色に澄んでいるというのである。生酒の澄ました部分であろう。

〇目極 どこまでもととおくながめること。

○傷神 こころをいたましめる。

○誰為携 「何人か我が為めにその酒をたずさえ来たらん」の意。詩人李白5x5