《戲題寄上漢中王,三首之三》いま蜀に徐知道、両京には党項羌、東都には史朝義があり、多くの盗賊があるのでわたくしには故郷へかえる路がないのだ。かかるときこの老衰した顔つきであなたとこんな遠方でおあいをしたのです。

 

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五言律詩《戲題寄上漢中王,三首之三》 蜀中転々 杜甫 <546  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2955 杜甫詩1000-546-785/1500

 

 

卷別: 卷二二七  文體: 五言律詩 

詩題: 戲題寄上漢中王,三首之三〔自注:時王在梓州,初至,斷酒不飲,篇有戲述。漢中王瑀,寧王憲之子。〕 

作者: 杜甫  762年 寶應元年  51 

及地點:  成都 (劍南道北部 益州 成都) 蜀、雁池 (河南道 宋州 宋城)

交遊人物: 李瑀

掲 載; 杜甫1000首の546首目-場面杜甫ブログ1500回予定の-785回目   40884

 

 

詩文:

戲題寄上漢中王,三首之三

(戯れて作ってみた詩、漢の親族中の王に寄せ奉る三首の三。)

群盜無歸路,衰顏會遠方。

いま蜀に徐知道、両京には党項羌、東都には史朝義があり、多くの盗賊があるのでわたくしには故郷へかえる路がないのだ。かかるときこの老衰した顔つきであなたとこんな遠方でおあいをしたのです。

尚憐詩警策,猶記酒顛狂。

それにあなたはわたくしの詩に警策のあることを愛せられており、またわたくしが酒をのんで狂い回るくせのあることをお忘れになりません。

魯衛彌尊重,徐陳略喪亡。

あなたは皇室の血を引く筋あいでいよいよ尊貴の地位にあらせられるが、かつて知遇を辱のうした文学者ども、徐・陳に此すべき人たちはあらかたしりぞけられていなくなってしまいました。

空餘枚叟在,應念早升堂。

いたずらに枚乗に此ぶべきわたくしだけがのこっておりまする。どうかこのおやじはずっと以前からお邸の堂にのぼったものであるということをおかんがえくだされたい。

 

(戯れに題して漢中王に寄せ上る 三首)

羣盗に帰路無し、衰顔に遠方に会す。

尚お憐れむ詩の警策、猶お記す酒の顛狂【てんきょう】。

魯衛【ろえい】弥【いよい】よ尊重、徐陳 略【ほぼ】喪亡す。

空しく枚叟【ばいそう】を余して在り、応に念うべし早く堂に升りしことを。

 

 

『戲題寄上漢中王,三首之三』 現代語訳と訳註

(本文)

戲題寄上漢中王,三首之三

群盜無歸路,衰顏會遠方。

尚憐詩警策,猶記酒顛狂。

魯衛彌尊重,徐陳略喪亡。

空餘枚叟在,應念早升堂。

 

詩文(含異文)

群盜無歸路,衰顏會遠方。

尚憐詩警策,猶記酒顛狂【猶憶酒顛狂】。

魯衛彌尊重,徐陳略喪亡【案:用曹丕〈與質書〉。】。空餘枚叟在【空餘故叟在】,應念早升堂。 

 

 

(下し文)

(戯れに題して漢中王に寄せ上る 三首)

羣盗に帰路無し、衰顔に遠方に会す。

尚お憐れむ詩の警策、猶お記す酒の顛狂【てんきょう】。

魯衛【ろえい】弥【いよい】よ尊重、徐陳 略【ほぼ】喪亡す。

空しく枚叟【ばいそう】を余して在り、応に念うべし早く堂に升りしことを。

 

 

(現代語訳)

(戯れて作ってみた詩、漢の親族中の王に寄せ奉る三首の三。)

いま蜀に徐知道、両京には党項羌、東都には史朝義があり、多くの盗賊があるのでわたくしには故郷へかえる路がないのだ。かかるときこの老衰した顔つきであなたとこんな遠方でおあいをしたのです。

それにあなたはわたくしの詩に警策のあることを愛せられており、またわたくしが酒をのんで狂い回るくせのあることをお忘れになりません。

あなたは皇室の血を引く筋あいでいよいよ尊貴の地位にあらせられるが、かつて知遇を辱のうした文学者ども、徐・陳に此すべき人たちはあらかたしりぞけられていなくなってしまいました。

いたずらに枚乗に此ぶべきわたくしだけがのこっておりまする。どうかこのおやじはずっと以前からお邸の堂にのぼったものであるということをおかんがえくだされたい。

 

 

(訳注)

戲題寄上漢中王,三首之三

(戯れて作ってみた詩、漢の親族中の王に寄せ奉る三首の三。)

〔自注:時王在梓州,初至,斷酒不飲,篇有戲述。漢中王瑀,寧王憲之子。〕 

自註:このとき王は梓州にあった。初めてここに至ったということだ。断酒して呑まなかった。詩篇があり戯れてのべてみる。漢中の王李瑀殿で、王としてよりは俊敏な役人の人というところだ。

○戯題 たわむれにかきつける、諸篇に王に酒をねだる意をのべているので戯れという。

○寄上 寄せて献上する。

○漢中王 名を璃といい譲皇帝(寧王)の第六子で汝陽王璡の弟である。玄宗が蜀に幸したときに従って漢中に至り、漢中王に封ぜられ銀青光禄大夫・漢中郡太守を加えられた。のち粛宗を諌めて帝の怒りにふれ蓬州の刺史に貶せられた。ここには漢中王と称しているが蓬州の刺史として何かの事によって梓州に来たのにより作者が彼とあったものとおもわれる。

 

群盜 歸路 ,衰顏 遠方

いま蜀に徐知道、両京には党項羌、東都には史朝義があり、多くの盗賊があるのでわたくしには故郷へかえる路がないのだ。かかるときこの老衰した顔つきであなたとこんな遠方でおあいをしたのです。

○群盗 群盗のはびこるときにあたっての意、群盗とは蜀に徐知道があり、両京には党項羌があり、東都には史朝義があるの類をいう。

○無帰路 自分の故郷へかえるべき道路がない。

○衰顔 かおつきが老衰したときにあたっての意。

○会遠方 王と遠方においてであったこと、遠方とはこの梓州の地をさす。

 

 

尚憐 警策,猶記 顛狂

それにあなたはわたくしの詩に警策のあることを愛せられており、またわたくしが酒をのんで狂い回るくせのあることをお忘れになりません。

○憐、記 ともに王がなすのである、憐は愛すること、記は記憶すること。

○詩・酒 ともに作者自身のこと。

○警策 馬にくれるいましめのむち、詩文の一篇のなかに短いぴりっとこたえるような文句のあることをいう。

○顛狂 よってくるいまわるさま。

 

 

魯衛 彌尊重 ,徐陳 略喪亡

あなたは皇室の血を引く筋あいでいよいよ尊貴の地位にあらせられるが、かつて知遇を辱のうした文学者ども、徐・陳に此すべき人たちはあらかたしりぞけられていなくなってしまいました。

○魯衛 魯も衛も周代には天子の家と親戚のあいだがらである、漢中王は皇族ゆえかくいう、また閲元十四年十一月玄宗が寧王の宅へ行幸して婁したときの詩にも「魯衛情尤モ重シ」の旬がある。

○尊重 とうとくおもい。

○徐陳 魏の徐幹・陳琳、魏の文帝に愛せられた文学者である。

 

 

空餘 枚叟 ,應念 升堂

いたずらに枚乗に此ぶべきわたくしだけがのこっておりまする。どうかこのおやじはずっと以前からお邸の堂にのぼったものであるということをおかんがえくだされたい。

〇枚叟 漢の牧乗、牧乗は梁の孝王の賓客の中で詞賦に最も秀れていた、今かりて自己に此する。

○念 王がおもう。

○早升堂 かつて以前に王邸の堂にのぼり知遇を得たことをいう。

 

(戯れに題して漢中王に寄せ上る 三首)

羣盗に帰路無し、衰顔に遠方に会す。

尚お憐れむ詩の警策、猶お記す酒の顛狂【てんきょう】。

魯衛【ろえい】弥【いよい】よ尊重、徐陳 略【ほぼ】喪亡す。

空しく枚叟【ばいそう】を余して在り、応に念うべし早く堂に升りしことを。