《述古,三首之一》ひもがながすぎることで栗毛の駿馬はつかれるものだ、万里をゆくだけの能力をもった姿は無いわけではない。馬は悲鳴をあげて、涙を地におとす、いったいこの馬を駁する者はだれであるか、道も知らぬでは馬がかわいそう。


2013年9月21日  同じ日の紀頌之5つのブログ
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作者: 杜甫  763年 廣德元年  52 

卷別: 卷二一九  文體: 五言古詩 

詩題: 述古,三首之一 

作地點: 梓州(劍南道北部 / 梓州 / 梓州

 

 

述古三首 其一  

(古へのことをのべる。)

赤驥頓長纓,非無萬里姿。

ひもがながすぎることで栗毛の駿馬はつかれるものだ、万里をゆくだけの能力をもった姿は無いわけではない。

悲鳴至地,為問馭者誰。

馬は悲鳴をあげて、涙を地におとす、いったいこの馬を駁する者はだれであるか、道も知らぬでは馬がかわいそう。

鳳凰從東來,何意複高飛。

今度は鳳凰が東から飛来してきた。どういうつもりなのかまた高く飛び去っていったという。

竹花不結實,念子忍朝饑。

竹の花には実がむすばれないということで、きっとおまえは朝ひもじくて、それをがまんしているということなのだろう。

古時君臣合,可以物理推。

此の駿馬と鳳凰の道理で推してかんがえれば、古来賢臣と明君は逢うべくして遭っているということなのだ。

賢人識定分,進退固其宜。

賢い人は本来定まった本分をしっかりと認識しているものだ、進んで仕えるべきときは進んで仕えるし、退いて去るべきときには退いて去ってしまうもので、進もうが退こうがそのどちらも適宜におこなうということである。

 

(古を述ぶ 三首 その一)

赤旗 長纓に頓し、万里の姿無きに非ず。

悲鳴 涙 地に至り、為に問う駁する者は誰ぞと。

鳳凰 東より来たり、何の意ぞ復た高飛す。

竹花 実を結ばず、子 朝饑を忍ぶことを念う。

古来君臣の合、以て物理 推す可し。

賢人 定分を識り、進退 固より其の宜なり。

駿馬02 

 

『述古三首』 現代語訳と訳註

(本文) 述古三首 其一  

赤驥頓長纓,非無萬里姿。

悲鳴至地,為問馭者誰。

鳳凰從東來,何意複高飛。

竹花不結實,念子忍朝饑。

古時君臣合,可以物理推。

賢人識定分,進退固其宜。

 

詩文(含異文)

赤驥頓長纓,非無萬里姿。悲鳴淚至地,為問馭者誰。

鳳凰從東來【鳳凰從天來】,何意復高飛。竹花不結實,念子忍朝飢。

古時君臣合,可以物理推。賢人識定分,進退固其宜【進退因其宜】【進用固其宜】【進用因其宜】。 

 

 

(下し文)

(古を述ぶ 三首 その一)

赤旗 長纓に頓し、万里の姿無きに非ず。

悲鳴 涙 地に至り、為に問う駁する者は誰ぞと。

鳳凰 東より来たり、何の意ぞ復た高飛す。

竹花 実を結ばず、子 朝饑を忍ぶことを念う。

古来君臣の合、以て物理 推す可し。

賢人 定分を識り、進退 固より其の宜なり。

 

 

(現代語訳)

(古へのことをのべる。)

ひもがながすぎることで栗毛の駿馬はつかれるものだ、万里をゆくだけの能力をもった姿は無いわけではない。

馬は悲鳴をあげて、涙を地におとす、いったいこの馬を駁する者はだれであるか、道も知らぬでは馬がかわいそう。

今度は鳳凰が東から飛来してきた。どういうつもりなのかまた高く飛び去っていったという。

竹の花には実がむすばれないということで、きっとおまえは朝ひもじくて、それをがまんしているということなのだろう。

此の駿馬と鳳凰の道理で推してかんがえれば、古来賢臣と明君は逢うべくして遭っているということなのだ。

賢い人は本来定まった本分をしっかりと認識しているものだ、進んで仕えるべきときは進んで仕えるし、退いて去るべきときには退いて去ってしまうもので、進もうが退こうがそのどちらも適宜におこなうということである。

 

 

(訳注)

述古三首 其一  

(古へのことをのべる。)

此の篇は賢人が明君にであわないことをいう。

○述古 いにしえの逸話・出来事をのべて今の政治・情勢を諷したもの。その一は、玄宗と粛宗のことをいう。

 

赤驥頓長纓,非無萬里姿。

ひもがながすぎることで栗毛の駿馬はつかれるものだ、万里をゆくだけの能力をもった姿は無いわけではない。

○赤驥 くりげの駿馬。

○頓 つかれること。

○長纓 ながいひものたずな、ひもがじゃまになってつかれる。

○万里姿 一日に万里をゆくだけの能力があるすがた。

 

悲鳴至地,為問馭者誰。

馬は悲鳴をあげて、涙を地におとす、いったいこの馬を駁する者はだれであるか、道も知らぬでは馬がかわいそう。

為問 このためにとう。道も知らずに馬を走らせることをいう。

 

鳳凰從東來,何意複高飛。

今度は鳳凰が東から飛来してきた。どういうつもりなのかまた高く飛び去っていったという。

○何意 どんなつもりか。

○高飛 たかく飛び去る。

 

竹花不結實,念子忍朝饑。

竹の花には実がむすばれないということで、きっとおまえは朝ひもじくて、それをがまんしているということなのだろう。

○竹花不結実 鳳凰は竹の実を食べるといわれる。

○子 おまえ、鳳風をさす。

○朝饑 あさのひもじさ。

 

古時君臣合,可以物理推。

此の駿馬と鳳凰の道理で推してかんがえれば、古来賢臣と明君は逢うべくして遭っているということなのだ。

○君臣合 合とは際会しあうこと。

○物理推 物事の道理として推進されるということ。

 

賢人識定分,進退固其宜。

賢い人は本来定まった本分をしっかりと認識しているものだ、進んで仕えるべきときは進んで仕えるし、退いて去るべきときには退いて去ってしまうもので、進もうが退こうがそのどちらも適宜におこなうということである。

○定分 定まった本分。

〇固其宜 退いて去るべきときには退いて去ってしまうもので、進もうが退こうがそのどちらも適宜におこなう。