杜甫《倦夜〔倦秋夜〕》 さわやかな初秋の夜、風はないのにやわらかな竹の葉づれの音は、竹の涼さをよび、臥所のに伝わってくる。野に滿面にてらす月はこの庭の隅にくまなくいっぱいにさしこんでいる。

2013年11月20日 の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場
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Ⅱ中唐詩・晩唐詩
 
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孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。
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695 《倦夜〔倦秋夜〕》 蜀中転々 杜甫 <602>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3320 杜甫詩1000-602-858/1500

 

 

詩 題:倦夜〔倦秋夜〕

作時:763年 廣德元年 杜甫52歳 

卷別: 卷二二七  文體: 五言律詩 

掲 載; 杜甫1000首の602首目-場面

杜甫ブログ1500回予定の-858回目

 

倦夜

(けだるくねつかれぬ夜。)

竹涼侵臥,野月滿庭隅。

さわやかな初秋の夜、風はないのにやわらかな竹の葉づれの音は、竹の涼さをよび、臥所のに伝わってくる。野に滿面にてらす月はこの庭の隅にくまなくいっぱいにさしこんでいる。

重露成涓滴,稀星乍有無。

竹の葉に露の滴がささやかに重なり、しずくとなっておちるし、あまりに月が明るいので、まばらな星の光はみえたりふと消えたりする。

暗飛螢自照,水宿鳥相呼。

竹林の暗がりを螢は飛んで自分のまわりだけを照らし、水鳥は水のほとりに宿ってたがいに友を呼びかわしている。

萬事干戈裏,空悲清夜徂。

平穏であるここの万事さえも兵乱のうちにあるのである。自分はかかるありさまをながめつつこの清らかな夜がすぎゆくことを悲しく思うしかないのである。 

(倦【だる】い夜)

竹の涼しさは臥【ふしど】の侵り、野の月は庭の隅に滿つ。

重なれる露は涓【ささや】かに滴【したた】るし、稀らなる星は乍有りて無し。

暗きに飛ぶ螢は自ずから照し、水に宿る鳥は相い呼ぶ。

万事は千戈の裏なり、空しく悲しむ清夜の徂くを。 

tsuki001
『倦夜』 現代語訳と訳註

(本文)

倦夜

竹涼侵臥,野月滿庭隅。

重露成涓滴,稀星乍有無。

暗飛螢自照,水宿鳥相呼。

萬事干戈裏,空悲清夜徂。

(含異文)

竹涼浸臥,野月滿庭隅【野月遍庭隅】。

重露成涓滴,稀星乍有無。

暗飛螢自照,水宿鳥相呼【飛螢自照水,宿鳥競相呼】。

萬事干戈裡,空悲清夜徂。 

 

(下し文)

(倦【だる】い夜)

竹の涼しさは臥【ふしど】の侵り、野の月は庭の隅に滿つ。

重なれる露は涓【ささや】かに滴【したた】るし、稀らなる星は乍有りて無し。

暗きに飛ぶ螢は自ずから照し、水に宿る鳥は相い呼ぶ。

万事は千戈の裏なり、空しく悲しむ清夜の徂くを。

 

(現代語訳)

(けだるくねつかれぬ夜。)

さわやかな初秋の夜、風はないのにやわらかな竹の葉づれの音は、竹の涼さをよび、臥所のに伝わってくる。野に滿面にてらす月はこの庭の隅にくまなくいっぱいにさしこんでいる。

竹の葉に露の滴がささやかに重なり、しずくとなっておちるし、あまりに月が明るいので、まばらな星の光はみえたりふと消えたりする。

竹林の暗がりを螢は飛んで自分のまわりだけを照らし、水鳥は水のほとりに宿ってたがいに友を呼びかわしている。

平穏であるここの万事さえも兵乱のうちにあるのである。自分はかかるありさまをながめつつこの清らかな夜がすぎゆくことを悲しく思うしかないのである。

蜀の山50055

 

(訳注)

倦夜

(けだるくねつかれぬ夜。)

【首聯】【頷聯】【頸聯】までは完全対句で、上句と下句で二枚のことなった絵をみるようである。【尾聯】はこの平和な景色の中で自分自身の置かれている現状、心情を詠う。

 

竹涼侵臥,野月滿庭隅。

さわやかな初秋の夜、風はないのにやわらかな竹の葉づれの音は、竹の涼さをよび、臥所のに伝わってくる。野に滿面にてらす月はこの庭の隅にくまなくいっぱいにさしこんでいる。

臥内 ねどこのなか。

  

 滿 庭隅

 

重露成涓滴,稀星乍有無。

竹の葉に露の滴がささやかに重なり、しずくとなっておちるし、あまりに月が明るいので、まばらな星の光はみえたりふと消えたりする。

成 完成する。

涓滴 ささやかなしずく

乍有無 ふと見えたりふと消える。

重露  

稀星 乍 

 

暗飛螢自照,水宿鳥相呼。

竹林の暗がりを螢は飛んで自分のまわりだけを照らし、水鳥は水のほとりに宿ってたがいに友を呼びかわしている。

蛍・鳥.零落孤独な杜甫自身の象徴。

自照 自分の周りだけをそっと照らす。

暗飛 螢 自

水宿 鳥 相

 

萬事干戈裏,空悲清夜徂。

平穏であるここの万事さえも兵乱のうちにあるのである。自分はかかるありさまをながめつつこの清らかな夜がすぎゆくことを悲しく思うしかないのである。

万事 竹、月、露、星、蛍、鳥などをさす。

干戈 戦乱。

空 なにもすることができず、ただぼんやりとしていること。

徂 すぎ去ること。

萬事 干戈 裏

空悲 清夜 徂

 

真竹003 

(倦夜について)

竹涼侵臥,野月滿庭隅。(竹の涼しさは臥【ふしど】のに侵り、野の月は庭の隅に滿つ。)

さわやかな初秋の夜、風はないのに竹の葉づれのおとはしずかな夜を象徴するものであり、その雰囲気の中核となるものは、寝室の窓の外に、月光を受けて光る竹であった。竹と竹の簟が「涼」という抽象名詞に集約され、寝室の中にまでしみこむ竹の葉づれの音、そこを抜けて來るわずかな風は、「侵す」とたくみに表現されている。

やがて、杜甫の目は、竹のすずしさにさそわれて、しだいに遠くへとうつり、「見よ旅の夜の月影は、庭のすみずみにまで、みちあふれているではないか。閬州か梓州の外の原野をも照らす月である。いわばそれは人間の生活とまじりあった都市の月ではなく、旅の夜の老妻と過ごす自然のはだかの形で示す月である。

756

『月夜』

今夜鄜州月、閨中只独看。

遥憐小児女、未解憶長安。

香霧雲鬟湿、清輝玉臂寒。

何時倚虚幌、双照涙痕乾。

月夜 杜甫  kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 144

月夜 と家族を詠う詩について 杜甫  kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 150

kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 149 李白の家族の詩について(6

kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 148 夜雨寄北

竹涼侵臥,野月滿庭隅。(竹の涼しさは臥【ふしど】のに侵り、野の月は庭の隅に滿つ。)

上句の竹は、下句の月光の中にうかび出ることによって、いよいよ掠しげにけむり、下の句の月は、竹を中心としてけむることによって、一層きよらかである、自然はあくまでも平和にみちて、清き夜を徂かせ、時時きこえる水鳥の聾も、杜甫にとっても、自然は完全なへいわなものであり、人間の世界にも、自然のような正しい秩序をもち充たそうということ、それが杜甫の一生を通じての願望であり、この願望に封する誠賛な情熱こそ、杜甫のすべての詩の源泉であり基調であった。

端正で誠実な表現、それもまた人間の秩序を愛する心の、また一のあらわれであるのだ。この素晴らしい【首聯】の入りによって、【頷聯】【頸聯】の情景がきれいに続くのである。
tsuki04






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