杜甫《贈別賀蘭銛》  年を取った馬は飛び跳ねて走ることを嫌がる。情け容赦のない蒼鷹でさえ愁うことには容易になれるものだ。高士であり、賢人である儒者がいまだ世に知られていないことではあるが、その清廉潔白な生活で、自分はもとより、かわいいわが乳飲み子でさえ飢えさせているのである。


2014年1月30日 の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場
Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩
 
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Ⅱ中唐詩・晩唐詩
 
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《潮州刺史謝上表》(6)韓愈(韓退之) Ⅱ中唐詩 <938>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3674韓愈詩-242-(6)
●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。"
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●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている
Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集 Fc2ブログ 270 《和席八〔夔〕十二韻》 韓愈  kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 3676 (01/30)
●●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩。唐から五代詩詞。花間集
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廣徳2764-8-1 《贈別賀蘭銛》 蜀中転々 杜甫 <658-1>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3675 杜甫詩1000-658-1-929/1500752-1

 

 

年:  764  廣德二年  53

卷別: 卷二二○  文體: 五言古詩 

詩題: 贈別賀蘭銛 

作地點: 目前尚無資料 

及地點:  湖州 (江南東道 湖州 湖州) 別名:興、   ・岷山 (劍南道北部 茂州 岷山) 別名:西山、汶山     

交遊人物/地點: 賀蘭銛 當地交遊(山南西道 閬州 閬州)

 

 

贈別賀蘭銛 #1

(賀蘭銛君にこの詩を贈って別れる。)

黃雀飽野粟,群飛動荊榛。 

食べ飽きることがないという「黃雀」でさえ、野になっている粟に飽きてしまったら、群れをなして飛んで、イバラとハシバミが茂る雑木林に移動するだろう。

今君抱何恨,寂寞向時人。 

今の君の立場はそのようなもので、何の怨みを抱くことがあろうか。それはたしかに、一般人の中に入っていくのは心寂しく淋しい思うことであろう。

老驥倦驤首,蒼鷹愁易馴。 

年を取った馬は飛び跳ねて走ることを嫌がる。情け容赦のない蒼鷹でさえ愁うことには容易になれるものだ。

高賢世未識,固合嬰飢貧。

高士であり、賢人である儒者がいまだ世に知られていないことではあるが、その清廉潔白な生活で、自分はもとより、かわいいわが乳飲み子でさえ飢えさせているのである。#2 

國步初返正,乾坤尚風塵。 

悲歌鬢髮白,遠赴湘春。 

我戀岷下芋,君思千里蓴。 

生離與死別,自古鼻酸辛。 

蜀中転々圖 

(賀蘭銛【がらんせん】に贈り別る)

黃雀 野粟に飽き,群飛して 荊榛に動く。 

今君は何の恨を抱きしか,寂寞として 時として人に向う。 

老驥 驤首を倦き,蒼鷹 愁いて馴み易し。 

高賢 世未だ識らざるなり,固より嬰 飢貧せしに合う。

#2 

國の步みは初めて正に返し,乾坤 尚お風塵。 

悲歌 鬢髮白にし,遠赴 湘春。 

我れ戀きは岷下り芋とし,君思う千里の蓴を。 

生離れるは死別を與う,古え自り 鼻 酸辛たり。 

杏の白花012 

 

『贈別賀蘭銛』 現代語訳と訳註

(本文)

贈別賀蘭銛 #1

黃雀飽野粟,群飛動荊榛。 

今君抱何恨,寂寞向時人。 

老驥倦驤首,蒼鷹愁易馴。 

高賢世未識,固合嬰飢貧。

 

(下し文)

(賀蘭銛【がらんせん】に贈り別る)

黃雀 野粟に飽き,群飛して 荊榛に動く。 

今君は何の恨を抱きしか,寂寞として 時として人に向う。 

老驥 驤首を倦き,蒼鷹 愁いて馴み易し。 

高賢 世未だ識らざるなり,固より嬰 飢貧せしに合う。

 

(現代語訳)

(賀蘭銛君にこの詩を贈って別れる。)

食べ飽きることがないという「黃雀」でさえ、野になっている粟に飽きてしまったら、群れをなして飛んで、イバラとハシバミが茂る雑木林に移動するだろう。

今の君の立場はそのようなもので、何の怨みを抱くことがあろうか。それはたしかに、一般人の中に入っていくのは心寂しく淋しい思うことであろう。

年を取った馬は飛び跳ねて走ることを嫌がる。情け容赦のない蒼鷹でさえ愁うことには容易になれるものだ。

高士であり、賢人である儒者がいまだ世に知られていないことではあるが、その清廉潔白な生活で、自分はもとより、かわいいわが乳飲み子でさえ飢えさせているのである。

 

 

(訳注)

贈別賀蘭銛

(賀蘭銛君にこの詩を贈って別れる。)

○賀蘭銛 事歴は詳かでない。別にこの詩の数か月後に作った「寄賀蘭銛」詩がある。

朝野歡後,乾坤震盪中。相隨萬里日,總作白頭翁。

晚仍分袂,江邊更轉蓬。勿雲俱異域,飲啄幾回同。

一時太平全盛で朝となく野となく歓娯をつくしたあと、にわかに兵乱がおこって天地がうごきだしたまっさいちゅう。そのとき君と自分とは万里の遠くまで相随ってきたが、いまやふたりとも白髪のじいさんとなってしまった。いま歳の晩だというのにもやっぱり袂を分かたねばならぬそのうえ此の蜀の江辺で蓬のごとくころがりあるくのである。ここはおたがい他郷の地だから悲しいなどとはいいたもうな、こうやっていっしょに飲食することのできることは生涯に幾度あるのだとおもわれるか、そこを楽しむべきではないか。

玄武門 

 

黃雀 野粟 ,群飛 荊榛

食べ飽きることがないという「黃雀」でさえ、野になっている粟に飽きてしまったら、群れをなして飛んで、イバラとハシバミが茂る雑木林に移動するだろう。

「黃雀」飛禽、雀。陰暦5月に吹く東南の風。この風の吹くころ海魚が変じて黄雀になるという中国の言い伝えによる。《季 夏》

「野粟」粟。中国の華北・中原において、黄河文明以来の主食は専ら粟米(谷子)であり、「米」という漢字も本来はアワを示す文字であったといわれている。また、隋唐で採用された税制である租庸調においても、穀物を納付する「租」は粟で納付されるのが原則(本色)であった。「螳螂、蝉を窺い、黄雀、後に在り」を成語として用い、目先の利益にばかり気をとられて後ろから迫っている危険に気がつかないことのたとえに使うようになった。

「荊榛」イバラとハシバミ。また、それらが茂る雑木林。 

 

今君 抱何恨 ,寂寞 時人

今の君の立場はそのようなもので、何の怨みを抱くことがあろうか。それはたしかに、一般人の中に入っていくのは心寂しく淋しい思うことであろう。

「寂寞」1 ひっそりとして寂しいさま。じゃくまく。「人居を遠く離れた―たる別世界にも」〈柳田・山の人生〉2 心が満たされずにもの寂しいさま。じゃくまく。 

 

老驥 驤首 ,蒼鷹 易馴

年を取った馬は飛び跳ねて走ることを嫌がる。情け容赦のない蒼鷹でさえ愁うことには容易になれるものだ。

「倦」【倦きる】あきる. 疲れていやになる。長く続けてぐったりし、うんざりする。 【倦む】あぐむ. 物事をしとげられないで、どうしてよいか困る。 同じ状態が長くつづいて、いやになる。もてあます。あぐねる。 「攻め倦む」. 【倦む】うむ. 物事にあきて、いやになる。退屈する。。

「驤首」馬が走る時に首を持ち上げること。馬がはねて躍り上がること。馬が払いのけるように首を振りもたげる。

頭。

「蒼鷹」1 羽毛が青色を帯びている鷹(たか)。しらたか。2 1が猛々しいところから》情け容赦のない役人のたとえ。。

 

高賢 未識 ,固合嬰飢貧

高士であり、賢人である儒者がいまだ世に知られていないことではあるが、その清廉潔白な生活で、自分はもとより、かわいいわが乳飲み子でさえ飢えさせているのである。

「高賢」高士であり、賢人である儒者。高潔、誠実な人が多いといっても、国を成り立たせることができない。嬰児を飢餓から守ってやることもできない。杜甫自身も、羌村にいた娘を飢餓で死なせてしまった。
珠櫻001