《別唐十五誡因寄禮部賈侍郎》#1君とは九年もたって、やっと一見することができたのだが、それというのも我々の生涯はたかだか百年というがその年月というものがどれだけのものか。ところがまた万里のお別れをするということで、君を山の隈まで送ろうとするのである。
廣徳2年764-9-1 《別唐十五誡因寄禮部賈侍郎》 蜀中転々 杜甫 <659-1> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3685 杜甫詩1000-659-1-931/1500753-1 4分割
年:
廣德二年
寫作時間: 764年
寫作年紀: 53歲
卷別:
卷二二○ 文體: 五言古詩
詩題:
別唐十五誡因寄禮部賈侍郎【案:賈至。】
及地點: 天門 (河南道
兗州 泰山)
洛陽 (都畿道 河南府 洛陽) 別名:洛城、洛、東洛、洛邑、京洛、河洛、洛下
交遊人物/地點: 賈至 書信往來(京畿道 京兆府 長安)
唐誡
當地交遊(劍南道北部 益州 成都)
別唐十五誡因寄禮部賈侍郎 #1
(唐誡君と別れるによってこの詩を礼部の賈至侍郎に寄せる)#1
九載一相逢,百年能幾何。
君とは九年もたって、やっと一見することができたのだが、それというのも我々の生涯はたかだか百年というがその年月というものがどれだけのものか。
複為萬里別,送子山之阿。
ところがまた万里のお別れをするということで、君を山の隈まで送ろうとするのである。
白鶴久同林,潛魚本同河。
君とはながらく同じ林野にすんだ白鶴のごとく良い詩を交わし合ったし、また同じ河にひそんでいた魚のように仲間内であったものだ。
未知棲集期,衰老強高歌。
ここでわかれてしまうと、いつまた同じところで棲み同じところに集まり得るかという時期はわからないものである、だから、衰老の身を以て強いて高く歌って別れのこころをのべることにするのである。
#2
歌罷兩淒惻,六龍忽蹉跎。相視發皓白,況難駐羲和。』
胡星墜燕地,漢將仍橫戈。蕭條四海內,人少豺虎多。
#3
少人慎莫投,多虎信所過。饑有易子食,獸猶畏虞羅。
子負經濟才,天門鬱嵯峨。飄搖適東周,來往若崩波。』
#4
南宮吾故人,白馬金盤陀。雄筆映千古,見賢心靡他。
念子善師事,歲寒守舊柯。為吾謝賈公,病肺臥江沱。』
(唐十五誡【かい】に別る、因って礼部の賈侍郎に寄す。)
九載一たび相見て、百年能く幾何ぞ。
復た万里の別を為し、子を送る山の阿。
白鶴久しく林を同じくし、潜魚本河を同じくす。
未だ知らず棲集【せいしゅう】の期を、衰老強いて高歌す。
歌罷みて両ながら棲惻し、六竜忽ち蹉跎たり。
相視るに髪皓白なり、況や義和を駐め難きをや。』
胡星 燕地に墜ちしも、漢将 仍お戈を横とう。
蕭條【しょうじょう】たり四海の内、人少なくして豺虎多し。
少人には慎みて投ずること莫れ、多虎は信【まこと】に過ぐる所なり。
飢えては子を易えて食する有り、獣すら猶お虞羅【ぐら】を畏る。
子経済の才を負い、天門鬱として嵯峨【さが】たり。
飄搖【ひょうよう】東周に適【ゆ】き、来往 崩波の若くならん。』
南宮の吾が故人【こじん】、白馬 金盤の陀。
雄筆 千古に映じ、賢を見ては心 他靡【たひ】し。
念う子が善く師事して、歳寒まで舊柯【きゅうか】を守らんことを。
我が為に賈公に謝せよ、肺を病みて江花に臥すと。』
『別唐十五誡因寄禮部賈侍郎』 現代語訳と訳註
(本文)#1
九載一相逢,百年能幾何。複為萬里別,送子山之阿。
白鶴久同林,潛魚本同河。未知棲集期,衰老強高歌。
(下し文)
(唐十五誡【かい】に別る、因って礼部の賈侍郎に寄す。)
九載一たび相見て、百年能く幾何ぞ。
復た万里の別を為し、子を送る山の阿。
白鶴久しく林を同じくし、潜魚本河を同じくす。
未だ知らず棲集【せいしゅう】の期を、衰老強いて高歌す。
(現代語訳)
(唐誡君と別れるによってこの詩を礼部の賈至侍郎に寄せる)#1
君とは九年もたって、やっと一見することができたのだが、それというのも我々の生涯はたかだか百年というがその年月というものがどれだけのものか。
ところがまた万里のお別れをするということで、君を山の隈まで送ろうとするのである。
君とはながらく同じ林野にすんだ白鶴のごとく良い詩を交わし合ったし、また同じ河にひそんでいた魚のように仲間内であったものだ。
ここでわかれてしまうと、いつまた同じところで棲み同じところに集まり得るかという時期はわからないものである、だから、衰老の身を以て強いて高く歌って別れのこころをのべることにするのである。
(訳注)
別唐十五誡因寄禮部賈侍郎 #1
(唐誡君と別れるによってこの詩を礼部の賈至侍郎に寄せる)
唐誡が洛陽へゆくのに別れ、ついでに礼部侍郎賈至に寄せるためによんだ詩。広徳二年秋の作。
○唐十五誡 唐誡は姓名、十五は排行、誡の事蹟は評かでない、此の時誠は東京(洛陽)に赴いて試験をうけるもののようである、作者はそのために彼を貫至に紹介したのである。
○礼部費侍郎 礼部侍郎賈至をいう。至は宝応二年に尚書左丞となり、広徳二年に礼部侍郡に転じた。同年九月、至は楊棺とともに両京の選挙を分掌した、両都に挙人を試みることは至より始まる。
作者と賈至との関係は密なるものがあったことは末尾に示す詩篇があるのによって知ることができる。
九載一相逢,百年能幾何。
君とは九年もたって、やっと一見することができたのだが、それというのも我々の生涯はたかだか百年というがその年月というものがどれだけのものか。
○阿 曲隅(くま)をいう。
複為萬里別,送子山之阿。
ところがまた万里のお別れをするということで、君を山の隈まで送ろうとするのである。
白鶴久同林,潛魚本同河。
君とはながらく同じ林野にすんだ白鶴のごとく良い詩を交わし合ったし、また同じ河にひそんでいた魚のように仲間内であったものだ。
〇白鶴・潜魚 詩人のグループの喩えとして用いる。この頃の詩人は仲間・グループ・徒党内で集まって詠みあった。
未知棲集期,衰老強高歌。
ここでわかれてしまうと、いつまた同じところで棲み同じところに集まり得るかという時期はわからないものである、だから、衰老の身を以て強いて高く歌って別れのこころをのべることにするのである。
○棲集 同じところで棲み同じところに集まる、棲の字は鶴についていい、集の字は魚についていうのである。
賈至(かし) 718年~772年、安史の乱には、玄宗に従って、蜀に避れる。時に中書舎人であった。閣老とは舎人の牛深きものをいう尊称とし、或は門下省と呼びあう場合の称号とする、賈至をさしていうものである。汝州は河南省南陽府に属する。賈至は河南洛陽の人である。此の詩は中書舎人である貿至が長安から河南の汝州へ刺史として出かけるのを送るために作る。
送賈閣老出汝州
西掖梧桐樹,空留一院陰。
艱難歸故裡,去住損春心。
宮殿青門隔,雲山紫邏深。
人生五馬貴,莫受二毛侵。
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賈至に『嶽陽樓宴王員外貶長沙』というのがあり、別詩題に『作南州有贈』とある。
極浦三春草,高樓萬里心。楚山晴靄碧,湘水暮流深。
忽與朝中舊,同爲澤畔吟。停杯試北望,還欲淚沾襟。
早朝大明宮呈両省僚友 賈至
賈至が『早朝大明宮呈両省僚友』で「銀燭朝熏紫陌長、禁城春色暁蒼蒼。千條弱柳垂青瑣、百囀流鶯繞建章。劍佩聲髄玉墀歩、衣冠身惹御爐香。共沐恩波鳳池上、朝朝染翰侍君王。」中書省にある池をいう。長安大明宮図確認すると門下省側には龍首池があり、龍のように曲がりくねり長い池がある。賈至は故事にならって鳳池としたのだろう。
杜甫「奉和賈至舍人早朝大明宮」
早朝大明宮呈両省僚友 賈至 |
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銀燭朝熏紫陌長、禁城春色暁蒼蒼。 |
銀燭 朝に熏じて 紫陌 長し、禁城の春色 暁に蒼蒼たり。 |
千條弱柳垂青瑣、百囀流鶯繞建章。 |
千条の弱柳は青瑣に垂れ、百囀の流鶯は建章を繞る。 |
劍佩聲髄玉墀歩、衣冠身惹御爐香。 |
剣佩 声を玉墀の歩に随い、衣冠 身には御炉の香を惹けり。 |
共沐恩波鳳池上、朝朝染翰侍君王。 |
共に恩波に沐す 鳳池の上とり、朝朝翰を染めて君王に侍す。 |
和賈舎人早朝大明宮之作 王維 |
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絳幘雞人報暁籌、尚衣方進翠雲裘。 |
絳幘【こうさく】の鶏人 暁籌【ぎょうちゅう】を報じ、尚衣【しょうい】方【まさ】に進む 翠雲の裘【きゅう】。 |
九天閶闔開宮殿、万国衣冠拝冕旒。 |
九天の閶闔(しょうこう) 宮殿を開き、万国の衣冠 冕旒【べんりゅう】を拝す |
日色纔臨仙掌動、香煙欲傍袞龍浮。 |
日色 纔【わず】かに仙掌【せんしょう】に臨んで動き、香煙 傍【そ】わんと欲して袞龍【こんりゅう】浮ぶ。 |
朝罷須裁五色詔、佩声帰到鳳池頭。 |
朝【ちょう】罷【や】んで須らく裁すべし 五色の詔、佩声【はいせい】は帰り到る 鳳池の頭【ひとり】。 |
奉和中書賈舎人早朝大明宮 岑參 |
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雞鳴紫陌曙光寒,鶯囀皇州春色闌。 |
鶏鳴いて紫陌曙光寒し、鶯囁じて皇州春色闌なり。 |
金闕曉鐘開萬戶,玉階仙仗擁千官。 |
金闕の暁鐘万戸を開き、玉階の仙仗千官を擁す。 |
花迎劍珮星初落,柳拂旌旗露未乾。 |
花は剣侃を迎えて星初めて落ち、柳は旋旗を払って露未だ乾かず。 |
獨有鳳凰池上客,陽春一曲和皆難。 |
独り鳳皇池上の客有り、陽春の一曲和すること皆難し。 |
奉和賈至舍人早朝大明宮 杜甫 |
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賈至舎人が早【つと】に大明宮に朝するを和し奉る |
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五夜漏聲催曉箭,九重春色醉仙桃。 |
五夜の漏声【ろうせい】暁箭【ぎょうせん】を催す、九重の春色仙桃【せんとう】酔う。 |
旌旗日暖龍蛇動,宮殿風微燕雀高。 |
旌旗【せいき】日 暖【あたた】かにして竜蛇【りゅうだ】動き、宮殿 風 徴【び】にして燕雀【えんじゃく】高し。 |
朝罷香煙攜滿袖,詩成珠玉在揮毫。 |
朝【ちょう】罷【や】みて 香煙【こうえん】携【たずさ】えて 袖に満つ、詩成りて珠玉【しゅぎょく】揮毫【きごう】に在り。 |
欲知世掌絲綸美。池上於今有鳳毛。 |
世々 絲綸【しりん】掌【つかさど】るの美を知らんと欲せば、地上 今に於て鳳毛【ほうもう】有り。 |