空の部分には寒い空がかかれそこには遠来の旅人がとどまっている。海は青く、東海の仙界に続く滄海であり、新しい画が画き加えられている。このようにして仙界の連山が具合よく描かれ、これに対応するかのように画かれているものの、見るからに貧相な絶海の孤島がある。
廣徳2年764-46 《觀李固請司馬弟山水圖,三首之一》 ふたたび成都 杜甫<670> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3835 杜甫詩1000-670-961/1500780
これまでとこれからの杜甫詩 (14)764年廣徳2年764 杜甫53歳 三月成都へ帰る 100首 #-14 764年廣徳2年 杜甫53歳 100首
製作年:764年 廣德二年 53歲
卷別: 卷二二六 文體: 五言律詩
詩題: 觀李固請司馬弟山水圖,三首之一
及地點: 天台山 (江南東道 台州 天台山)
交遊人物: 李固 ・ 司馬
觀李固請司馬弟山水圖,三首之一
(李固君が司馬が題した山水画を見て詠う三首の一)
簡易高人意,匡床竹火爐。
この画の隠君子に意志を込めて寛大で余裕のあるものになっており、ゆったりした寝床台が部屋の真ん中にあり、竹の香炉には火が見える。
寒天留遠客,碧海挂新圖。
空の部分には寒い空がかかれそこには遠来の旅人がとどまっている。海は青く、東海の仙界に続く滄海であり、新しい画が画き加えられている。
雖對連山好,貪看絕島孤。
このようにして仙界の連山が具合よく描かれ、これに対応するかのように画かれているものの、見るからに貧相な絶海の孤島がある。
群仙不愁思,冉冉下蓬壺。
神仙五山の山々には、愁いを思うことはまったくないのだ。というのも、進んでゆけば蓬莱山の方へ下っていくものであるというものなのだ。
(李固が司馬弟に請うて山水圖を觀る,三首の一)
簡易 高人の意,匡床 竹火の爐。
寒天 遠客を留め,碧海 新圖を挂る。
連山の好に對すと雖も,貪く看る 島孤を絕るを。
群仙 愁思にあらず,冉冉として蓬壺に下る。
『觀李固請司馬弟山水圖,三首之一』 現代語訳と訳註
(本文)
觀李固請司馬弟山水圖,三首之一
簡易高人意,匡床竹火爐。
寒天留遠客,碧海挂新圖。
雖對連山好,貪看絕島孤。
群仙不愁思,冉冉下蓬壺。
(下し文)
(李固が司馬が弟に請うて山水圖を觀る,三首の一)
簡易 高人の意,匡床 竹火の爐。
寒天 遠客を留め,碧海 新圖を挂る。
連山の好に對すと雖も,貪く看る 島孤を絕るを。
群仙 愁思にあらず,冉冉として蓬壺に下る。
(現代語訳)
(李固君が司馬が題した山水画を見て詠う三首の一)
この画の隠君子に意志を込めて寛大で余裕のあるものになっており、ゆったりした寝床台が部屋の真ん中にあり、竹の香炉には火が見える。
空の部分には寒い空がかかれそこには遠来の旅人がとどまっている。海は青く、東海の仙界に続く滄海であり、新しい画が画き加えられている。
このようにして仙界の連山が具合よく描かれ、これに対応するかのように画かれているものの、見るからに貧相な絶海の孤島がある。
神仙五山の山々には、愁いを思うことはまったくないのだ。というのも、進んでゆけば蓬莱山の方へ下っていくものであるというものなのだ。

(訳注)
觀李固請司馬弟山水圖,三首之一
(李固君が司馬が題した山水画を見て詠う三首の一)
弟は別本では第、題となっており、司馬が題した神仙三山或は五山を描いた「山水図」について詠ったものである。
簡易 高人 意 ,匡床 竹 火爐 。
この画の隠君子に意志を込めて寛大で余裕のあるものになっており、ゆったりした寝床台が部屋の真ん中にあり、竹の香炉には火が見える。
・「簡易」蕩佚簡易【とういつかんい】、物事に対して寛大で余裕のある様。 煩雑を省いて大らかな態度で物事を行なうこと。のんびりとして自由な様子。 蕩佚は物事に対して寛大でゆるやかなことを意味する。辺境治道の要諦を訪ねた任尚に対して班超が「政治が察に過ぎれば下々に安んずる場がなくなります。宜しく蕩佚簡易なるを旨とすべきでしょう」と答えた故事から。
・「高人」高士の用語解説 - 1 志が高くりっぱな人格を備えた人物。人格高潔な人。「―世に容(い)れられず」2 世俗を離れて生活している高潔な人物。隠君子。
「意」語義類別:人、狀態、心神氣力、意。
「床」唐代の「ベッド」は「匡床」と呼ばれており、唐詩にはよく登場している。・「願君解羅襦、一酔同匡床」(願はくは君 羅襦を解き、一酔して匡床を同じくせんことを)(唐・喬知之「倡女行」、『全唐詩』第81巻)・「山人無事秋日長、白昼眠匡床」(山人 事無く 秋日長し、白昼 として匡床に眠る)(唐・劉禹錫「観棋歌送師西遊」、『全唐詩』第356巻) 「匡床」の形は現代のものとやや違う。その名前のとおり、三面もしくは三面半にフレームを使用し、それにテントが張られているベッドである。現在の中国ではほとんど使われなくなったが、南方の農村部ではたまに見られる。『中国語大辞典』(1994年版、角川書店)では、「角型のベッド、=筐床」と解説され、学校図書版の平成18年版教科書『中学校 国語3』には、「古い時代の寝台」という説明があり、イラストも付いている。また、吉川幸次郎はその著『新唐詩選』に、「床はベッドであるが、中国のベッドは西洋のそれぐらいの大きさ、あるいはそれ以上の大きさで、部屋の中央に位する。人は夜そこでねるばかりではない。昼間の何くれとない時間をも、その上でくつろぎつつすごす」とベッドの大きさ・置かれた位置・機能を指摘している。
寒天 留 遠客 ,碧海 挂 新圖 。
空の部分には寒い空がかかれそこには遠来の旅人がとどまっている。海は青く、東海の仙界に続く滄海であり、新しい画が画き加えられている。
「寒天」空部分が広く採られている。神仙をイメージさせるもの。
「遠客」後に出てくる、仙郷に向かう旅人をいう。
「碧海」綠の海原。仙界に向かう海、蒼海のこと。
「挂」画きくわえられていることをいう
「新圖」新しく書き加えられたものが全体の絵の中で目立ったものになったのであろう。。
雖對 連山 好 ,貪看 絕島 孤 。
このようにして仙界の連山が具合よく描かれ、これに対応するかのように画かれているものの、見るからに貧相な絶海の孤島がある。
群仙 不 愁思 ,冉冉 下 蓬壺 。
神仙五山の山々には、愁いを思うことはまったくないのだ。というのも、進んでゆけば蓬莱山の方へ下っていくものであるというものなのだ。
・「群仙」神仙の五山をいうがそれらの山々の中で雄雄しく書かれているのが中央に蓬莱山である。。
・「冉冉」しだいに進んでいくさま。また、徐々に侵していくさま。。
・「蓬壺」語義類別:地、閬苑仙境、仙境、蓬壺。《形が壺(つぼ)に似ているところから》蓬莱山(ほうらいさん)の異称。内裏や上皇の御所のたとえ。
五神山
仙人が住むといわれていた五神山には蓬萊、方丈、瀛州、岱輿、員喬があり、そのうちの「岱輿」及び「員喬」は流れて消えてしまったとされている。
東方三神山
蓬萊、方丈・瀛州を東方の三神山といい、渤海湾に面した山東半島のはるか東方の海(渤海とも言われる)にあり、不老不死の仙人が住むと伝えられている。徐福伝説を記した司馬遷『史記』巻百十八『淮南衝山列伝』で記されている。