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製作年:  764  廣德二年  53

卷別: 卷二二七  文體: 五言律詩 

詩題: 城上【空城】 

及地點:  巴西 (劍南道北部 綿州 巴西)     

 

 

空城〔城上〕

(何にも施政が届かない空しい城郭を詠う)

草滿巴西綠,空城白日長。

希望の春で草草が成長している巴西辺りには緑いっぱいである。誰もいない空しい城郭には日差しが長く当たっている。

風吹花片片,春動水茫茫。

風が吹けば、さきほこるはなはゆらゆらゆれているし、春景色に増水した春水にゆったりと遙か先まで流れて行く。

八駿隨天子,群臣從武皇。

一夜で5000km 走るという8頭の駿馬は穆王という良い天子のもとだから付き従ったのであり、(何もしない、強くもない代宗のまわりには賢臣がいなくて)群臣の者たちは、武力の強い天子に盲目的に従うだけだ。

遙聞出巡守,早晚遍遐荒。

遠くのほうだけで聞こえるという、国を立て直すためには主要の各地を視察・巡守の出征をすることであるの声だが、(これに全く耳をかたむけない代宗であるから、)まあじきに、ここの空城のようにどこもかしこも、遠く離れた未開の異民族の地のようになってしまうことだろう。

詩文(含異文)

草滿巴西綠,空城白日長【城空白日長】。

風吹花片片,春動水茫茫【春送雨茫茫】【春蕩水茫茫】。

八駿隨天子,群臣從武皇。

遙聞出巡守,早晚遍遐荒。 

 

空城〔城上〕

草滿ちる巴西の綠,空城 白日長し。

風吹き花片片たりて,春動き水茫茫たり。

八駿 天子に隨い,群臣 武皇に從う。

遙に聞く巡守に出るを,早晚 遐荒なるを遍ねからん。

姑蘇台02 

 

『空城〔城上〕』現代語訳と訳註

(本文)

空城〔城上〕

草滿巴西綠,空城白日長。

風吹花片片,春動水茫茫。

八駿隨天子,群臣從武皇。

遙聞出巡守,早晚遍遐荒。

 

 

(下し文)

空城〔城上〕

草滿ちる巴西の綠,空城 白日長し。

風吹き花片片たりて,春動き水茫茫たり。

八駿 天子に隨い,群臣 武皇に從う。

遙に聞く巡守に出るを,早晚 遐荒なるを遍ねからん。

 

(現代語訳)

(何にも施政が届かない空しい城郭を詠う)

希望の春で草草が成長している巴西辺りには緑いっぱいである。誰もいない空しい城郭には日差しが長く当たっている。

風が吹けば、さきほこるはなはゆらゆらゆれているし、春景色に増水した春水にゆったりと遙か先まで流れて行く。

一夜で5000km 走るという8頭の駿馬は穆王という良い天子のもとだから付き従ったのであり、(何もしない、強くもない代宗のまわりには賢臣がいなくて)群臣の者たちは、武力の強い天子に盲目的に従うだけだ。

遠くのほうだけで聞こえるという、国を立て直すためには主要の各地を視察・巡守の出征をすることであるの声だが、(これに全く耳をかたむけない代宗であるから、)まあじきに、ここの空城のようにどこもかしこも、遠く離れた未開の異民族の地のようになってしまうことだろう。

 

少陵台 

(訳注)

空城〔城上〕

(何にも施政が届かない空しい城郭を詠う)

○城 綿州巴西の城。
ここ数年、この地は叛乱軍の者たちにいれかわりたちかわり支配され、異民族にも支配された。その間に住民は逃散したということで、荒れ果てた城郭をいうのだが、詩の内容からすると、代宗の無策を批判して、国中が「空城」になってしまうと憂いているのである。全部の聯が対句となっている。

 

草滿巴西綠,空城白日長。

希望の春で草草が成長している巴西辺りには緑いっぱいである。誰もいない空しい城郭には春の日差しが長く当たっている。

 

風吹花片片,春動水茫茫。

風が吹けば、さきほこるはなはゆらゆらゆれているし、春景色に増水した春水にゆったりと遙か先まで流れて行く。

○片々 風が吹いては長い甫方向に向いてしまうこと。強いものには巻かれろ。風の吹くままに揺れていくことをいう。① 二つあるうちの一方。かたほう。かたつかた。   かたすみ。かたわら。

○春動 春けしが変わっていくこと。ここではまず雪解けで河川の水量が増水し、万物が成長していくさまをいう。この聯でこれらの語「片片・茫茫」を次の聯のかたや「穆王八駿」にたいしてどこ捜しても、遙か先まで「群臣」しかいないということをあらわしている。

○茫茫 1 広々としてはるかなさま。「―とした大海原」「―たる砂漠」 2 ぼんやりかすんではっきりしないさま。「―たる記憶」「―と暗路(やみじ)に物を探るごとく」〈露伴・五重塔〉 3 草・髪などが伸びて乱れている。

 

八駿隨天子,群臣從武皇。

一夜で5000km 走るという8頭の駿馬は穆王という良い天子のもとだから付き従ったのであり、(何もしない、強くもない代宗のまわりには賢臣がいなくて)群臣の者たちは、武力の強い天子に盲目的に従うだけだ。

○八駿 穆王八駿のこと。中国の伝説に登場する8頭の駿馬(しゅんめ・よく走る 馬の称)。 紀元前11世紀頃の周王朝の穆王が所有していたとされる。 土を踏まない ほど速く走れる「絶地(ぜっち)」、鳥を追い越せる「翻羽(ほんう)」、一夜で5000km 走るという。

 

遙聞出巡守,早晚遍遐荒。

遠くのほうだけで聞こえるという、国を立て直すためには主要の各地を視察・巡守の出征をすることであるの声だが、(これに全く耳をかたむけない代宗であるから、)まあじきに、ここの空城のようにどこもかしこも、遠く離れた未開の異民族の地のようになってしまうことだろう。

○遐荒 王城からはるか遠く離れた未開の異民族の地。
景陽楼001 

 
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