(閬州から妻子をひきいて予定とはうってかわって蜀(成都)の方へ赴こうとして山路をとおったときの詩。)荊州・江南の南国の方へゆくつもりでじゅんびしていたがそれを果たすことができず、ふたたび西川、錦江の成都に遊ぶことにしたのである。

        
 2014年5月2日の紀頌之5つのブログ 
 ●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場 
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 杜甫詩(1)736~751年 青年期・李白と交遊期・就活の詩 53首杜甫詩(2)752年~754年、43歳 73首(青年期・就活の詩) 杜甫詩(3)755年~756年、45歳 安史の乱に彷徨う 26首杜甫詩(4)作時757年、46歳 安史軍捕縛、脱出、左拾遺 43首杜甫詩(5)758年;乾元元年、47歳 左拾遺、朝廷疎外、左遷 53首杜甫詩 (6)759年;乾元二年、48歳 三吏三別 官を辞す 44首 
 杜甫詩(7)759年;乾元二年、48歳 秦州抒情詩 66首杜甫詩(8)作時759年、48歳 秦州発、同谷紀行、成都紀行 36首杜甫詩(9)760年;上元元年、49歳 成都浣花渓草堂 45首杜甫詩(10)761年;上元二年、50歳 成都浣花渓草堂 82首杜甫詩(11)762年寶應元年 杜甫51歳  浣花渓草堂~蜀中転々 43首杜甫詩(12)762年寶應元年 杜甫51歳 蜀中転々 49首 
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自閬州領妻子卻赴蜀山行 三首之一

(閬州から妻子をひきいて予定とはうってかわって蜀(成都)の方へ赴こうとして山路をとおったときの詩。)

汩汩避群盜,悠悠經十年。

わたしは水の流れにもてあそばれるがごとく多くの盗賊を避けてあるいているが、それは安禄山が叛乱し、以来ゆうに十年のはるかな月日を経てしまった。

不成向南國,複作遊西川。

荊州・江南の南国の方へゆくつもりでじゅんびしていたがそれを果たすことができず、ふたたび西川、錦江の成都に遊ぶことにしたのである。

物役水照,魂傷山寂然。

途中、山水の風光を観賞も全くできないで無用の景色としてしまうのであるが、外物に使役されている身にとっては澄んだ水もいたずらに物象をうつし、魂の傷んでいる身にとっては趣きのある山もさびしいとだけの感じるのである。

我生無倚著,盡室畏途邊。

吾が生涯はまことにたよりないものであって、いま家族をこぞって盗賊や険阻があるおそろしい旅途にあるのである。

 

(閬州より妻子をひきいて卻って蜀赴むく山行 三首の一)

汨汨【いついつ】として群盗を避く、悠悠 十年を経る。

南国に向こうことを成さず、復た西川に遊ぶことを作す。

物に役せられては水虚しく照らし、魂傷みては山寂然たり。

我が生倚著無し、盡室 長途の辺にある。

 

蜀中転々圖 

『自閬州領妻子卻赴蜀山行 三首之一』 現代語訳と訳註

(本文)

自閬州領妻子卻赴蜀山行 三首之一

汩汩避群盜,悠悠經十年。

不成向南國,複作遊西川。

物役水照,魂傷山寂然。

我生無倚著,盡室畏途邊。

 

(下し文)

(閬州より妻子をひきいて卻って蜀赴むく山行 三首の一)

汨汨【いついつ】として群盗をく、悠悠 十年を経る。

南国に向こうことを成さず、復た西川に遊ぶことを作す。

物に役せられては水虚しく照らし、魂傷みては山寂然たり。

我が生倚著無し、盡室 長途の辺にある。

 

(現代語訳)

(閬州から妻子をひきいて予定とはうってかわって蜀(成都)の方へ赴こうとして山路をとおったときの詩。)

わたしは水の流れにもてあそばれるがごとく多くの盗賊を避けてあるいているが、それは安禄山が叛乱し、以来ゆうに十年のはるかな月日を経てしまった。

荊州・江南の南国の方へゆくつもりでじゅんびしていたがそれを果たすことができず、ふたたび西川、錦江の成都に遊ぶことにしたのである。

途中、山水の風光を観賞も全くできないで無用の景色としてしまうのであるが、外物に使役されている身にとっては澄んだ水もいたずらに物象をうつし、魂の傷んでいる身にとっては趣きのある山もさびしいとだけの感じるのである。

吾が生涯はまことにたよりないものであって、いま家族をこぞって盗賊や険阻があるおそろしい旅途にあるのである。

 

(訳注)

自閬州領妻子卻赴蜀山行 三首之一

(閬州から妻子をひきいて予定とはうってかわって蜀(成都)の方へ赴こうとして山路をとおったときの詩。)

○領 びきいる。

○卻 はじめは閬州もしくは梓州より江を下って荊州へ赴こうとしたのだが、それとは反対にということ。

○蜀 成都をさしていう。

○山行 やまじをゆく。

 

汩汩避群盜,悠悠經十年。

わたしは水の流れにもてあそばれるがごとく多くの盗賊を避けてあるいているが、それは安禄山が叛乱し、以来ゆうに十年のはるかな月日を経てしまった。

汩汩 水が早く流れるさま。

○悠悠 はるかなさま。

〇十年 天宝十四年、安禄山の乱が起こってより今年広徳二年まで十年である。

 

不成向南國,複作遊西川。

荊州・江南の南国の方へゆくつもりでじゅんびしていたがそれを果たすことができず、ふたたび西川、錦江の成都に遊ぶことにしたのである。

○南国 刑州地方をさす。

○西川 蜀はこの時東川(梓州)・西川(成都)の二部に分割していた。西川節度使は成都に治したのでこの西川は岷江・錦江の流れをいい、成都をさす。東川は涪江・嘉陵江をしめす。

 

物役水照,魂傷山寂然。

途中、山水の風光を観賞も全くできないで無用の景色としてしまうのであるが、外物に使役されている身にとっては澄んだ水もいたずらに物象をうつし、魂の傷んでいる身にとっては趣きのある山もさびしいとだけの感じるのである。

○物役 我が一身が外物(主として衣食の計をさす)に使役されること。

○水虚照 虚とは無効であること、いたずらにの意である。山の水は清澄にしてよく景物を照映する、これを賞玩することができるならば水に照映の効があるということができよう。これを賞玩することができないならば水の照映するのは無効の照映であるといえよう。

○山寂然 この寂然も上の虚照の類である、山の風景がわが心を慰めるのに足るならば山も寂蓼ではないということができる、今慰めるに足るものがないのでさびしくおぼえるのである。

 

我生無倚著,盡室畏途邊。

吾が生涯はまことにたよりないものであって、いま家族をこぞって盗賊や険阻があるおそろしい旅途にあるのである。

○我生 自己の生涯。

倚著 俺頼附着の意。

○尽室 一家族全体。

畏途 おそろしい旅途、盗賊や険阻があるのは畏途である。
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