(某省員外郎の李布があらたに司議郎に除せられ、萬州の別駕を兼ねたというのでこの詩を寄せた。)君は東宮付きであるから君の名は漢の博望苑の諸官にまじわったようなものであるし、君の職はむかし後漢の周景が陳蕃の別駕の輿に題した職とおなじになったことを述べるのである。
廣徳2年764-101-#1 《寄李十四員外布十二韻〔自注:新除司議郎,兼萬州別駕,雖尚伏枕,已聞理裝。〕》 杜甫index-14 764年 杜甫<773-#1> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4510 杜甫詩1500-773-#1-1073/2500
製作年: 764年 廣德二年 53歲
卷別: 卷二二八 文體: 五言古詩
詩題: 寄李十四員外布十二韻〔自注:新除司議郎,兼萬州別駕,雖尚伏枕,已聞理裝。〕
作地點: 成都(劍南道北部 / 益州 / 成都)
及地點: 博望苑 (京畿道 京兆府 長安) 別名:望苑
黃牛峽 (山南東道 峽州 黃牛山) 別名:黃牛
交遊人物: 李布 書信往來
寄李十四員外布十二韻〔自注:新除司議郎,兼萬州別駕,雖尚伏枕,已聞理裝。〕
名參漢望苑,職述景題輿。
(某省員外郎の李布があらたに司議郎に除せられ、萬州の別駕を兼ねたというのでこの詩を寄せた。)
巫峽將之郡,荊門好附書。
君は東宮付きであるから君の名は漢の博望苑の諸官にまじわったようなものであるし、君の職はむかし後漢の周景が陳蕃の別駕の輿に題した職とおなじになったことを述べるのである。
遠行無自苦,內熱比何如。
君は巫峡のある夔州の郡へ行かれようとするが、荊州の方に手紙を託するのに好都合なので恃みたい。
しかし、君は決して遠くへ旅行するのにわざとおのれをくるしめるようなことはならないことだ。病気で発熱することが多いと聞いたがこの頃はどうなのだ。
正是炎天闊,那堪野館疏。
まさにこれからは炎天が続きそれに炎天の道が広く遠くまで続くし、この度は田野で宿すこと窗めったにないから耐えられるだろう。
#2
黃牛平駕浪,畫鷁上凌虛。
試待盤渦歇,方期解纜初。
悶能過小徑,自為摘嘉蔬。
渚柳元幽僻,村花不掃除。
#3
宿陰繁素柰,過雨亂紅蕖。
寂寂夏先晚,泠泠風有餘。
江清心可瑩,竹冷髮堪梳。
直作移巾几,秋帆發弊廬。
名參漢望苑【案:漢武為太子置博望苑以通賓客。】,職述景題輿【案:周景為陳蕃題輿。】。巫峽將之郡,荊門好附書。
遠行無自苦,內熱比何如。
正是炎天闊,那堪野館疏。
黃牛平駕浪,畫鷁上凌虛。
試待盤渦歇,方期解纜初。
悶能過小徑,自為摘嘉蔬【日為摘嘉蔬】。
渚柳元幽僻,村花不掃除。
宿陰繁素柰,過雨亂紅蕖。
寂寂夏先晚,泠泠風有餘。
江清心可瑩,竹冷髮堪梳【竹冷髮宜梳】。
直作移巾几,秋帆發弊廬。
(李十四員外布に寄す十二韻〔新たに司議郎に除せられ,萬州の別駕を兼ね,尚お伏枕にすと雖も,已に裝を理むと聞く。〕 )
#1
名は參わる漢の望苑,職は述ぶ景が題輿。
巫峽 將に郡に之かんとす,荊門 好し書を附す。
遠行 自ら苦しむこと無れ,內熱 比のごろ 何如。
正に是れ 炎天 闊し,那ぞ堪えん 野館の疏なるに。
#2
黃牛 駕浪平らかに,畫鷁【がげき】上りて 虛を凌ぐ。
試みて盤渦の歇むを待ちて,方に期せよ 解纜【かいらん】の初め。
悶 能く小徑に過らば,自ら為に嘉蔬を摘まん。
渚柳 元と幽僻なり,村花 掃除せず。
#3
宿陰 素柰【そたい】繁く,過雨 紅蕖【こうきょ】亂る。
寂寂 夏先づ晚る,泠泠 風 餘り有る。
江 清くして 心 瑩【きよ】くす可し,竹 冷にして 髮 梳くに堪える。
直ちに巾几【きんき】を移すを作し,秋帆 弊廬を發せよ。
『寄李十四員外布十二韻』 現代語訳と訳註
(本文)
寄李十四員外布十二韻〔自注:新除司議郎,兼萬州別駕,雖尚伏枕,已聞理裝。〕
#1
名參漢望苑,職述景題輿。
巫峽將之郡,荊門好附書。
遠行無自苦,內熱比何如。
正是炎天闊,那堪野館疏。
(下し文)
(李十四員外布に寄す十二韻〔新たに司議郎に除せられ,萬州の別駕を兼ね,尚お伏枕にすと雖も,已に裝を理むと聞く。〕 )
#1
名は參わる漢の望苑,職は述ぶ景が題輿。
巫峽 將に郡に之かんとす,荊門 好し書を附す。
遠行 自ら苦しむこと無れ,內熱 比のごろ 何如。
正に是れ 炎天 闊し,那ぞ堪えん 野館の疏なるに。
(現代語訳)
(某省員外郎の李布があらたに司議郎に除せられ、萬州の別駕を兼ねたというのでこの詩を寄せた。)
君は東宮付きであるから君の名は漢の博望苑の諸官にまじわったようなものであるし、君の職はむかし後漢の周景が陳蕃の別駕の輿に題した職とおなじになったことを述べるのである。
君は巫峡のある夔州の郡へ行かれようとするが、荊州の方に手紙を託するのに好都合なので恃みたい。
しかし、君は決して遠くへ旅行するのにわざとおのれをくるしめるようなことはならないことだ。病気で発熱することが多いと聞いたがこの頃はどうなのだ。
まさにこれからは炎天が続きそれに炎天の道が広く遠くまで続くし、この度は田野で宿すこと窗めったにないから耐えられるだろう。
(訳注)
寄李十四員外布十二韻〔自注:新除司議郎,兼萬州別駕,雖尚伏枕,已聞理裝。〕
李十四員外布に寄す十二韻〔新たに司議郎に除せられ,萬州の別駕を兼ね,尚お伏枕にすと雖も,已に裝を理むと聞く。
(某省員外郎の李布があらたに司議郎に除せられ、萬州の別駕を兼ねたというのでこの詩を寄せた。)
○司義郎 東宮の官属で侍従規諌し、啓奏を駁正し、東宮の記注を記録することをつかさどる。太子左春坊に司議郎四人を設けるとされている。
○萬州 夔州府の萬縣。
○別駕 州の属官。
○伏枕 病気で寝付いたこと。
○理裝 旅の出発準備の旅支度すること
#1
名參漢望苑,職述景題輿。
君は東宮付きであるから君の名は漢の博望苑の諸官にまじわったようなものであるし、君の職はむかし後漢の周景が陳蕃の別駕の輿に題した職とおなじになったことを述べるのである。
○漢望苑 漢の博望苑のこと。漢の武帝の時戻太子冠す。賓客を通じせしめ東宮にあった博望苑で司議郎が対応した。
○職述 能く古人の職に倣うをいうという職のことを述べる。
○景題輿 後漢の周景が陳蕃の別駕の輿に題した職になったことをいう。
巫峽將之郡,荊門好附書。
君は巫峡のある夔州の郡へ行かれようとするが、荊州の方に手紙を託するのに好都合なので恃みたい。
○巫峽 中国・長江三峡の二番目の峡谷。重慶市巫山県の大寧河の河口から湖北省巴東県官渡口まで全長45km。 上流側の巫山県は四川盆地東端にあり、巫山山脈をはじめ東西方向に伸びる細長い褶曲山脈多数が並行して走っている。
○荊門 荊州。湖北省荊州府をさす。この江水(嘉陵江)は南流して長江に入り東流して荊州、南京、上海に達する。孟浩然『峴山送蕭員外之荊州』とか李白『贈王判官時余歸隱居廬山屏風疊』「荊門倒屈宋、梁苑傾鄒枚。」では荊州のことを指す。
○附書 手紙を付託する。
遠行無自苦,內熱比何如。
しかし、君は決して遠くへ旅行するのにわざとおのれをくるしめるようなことはならないことだ。病気で発熱することが多いと聞いたがこの頃はどうなのだ。
○自苦 自分で自分を苦しめる。
○內熱 病気で発熱する。
○比 このごろ。
正是炎天闊,那堪野館疏。
まさにこれからは炎天が続きそれに炎天の道が広く遠くまで続くし、この度は田野で宿すこと窗めったにないから耐えられるだろう。
○闊 遠くへ広がる
○野館 幔幕に倚り田野で宿すこと。
○疏 まばら、稀少である。