草堂に帰ってきたが、何にもできないこと、悶々としていることなど雨が上がったら、秋風に吹っ飛ばすことにする。自分は一方では、帯を手に取って、朱紱をみて官僚の姿を見るけれど、他方、箱を開けて黒の皮衣を見ると、隠遁者でいたいと思うが、いまは、半官半隠というのは許されないのだ。

 
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制作年:              764年廣德二年53

卷 別:              卷二二八              文體:    七言律詩

詩題:    村雨

作地點:              成都(劍南道北部 / 益州 / 成都)

 

 

 村雨

(浣花渓にそぼ降る雨音を聞きながら、その感を詠う)

雨聲傳兩夜,寒事颯高秋。

外に出ないで床に伏していると雨の音はふたばん続いて伝わってくる。幕府で仕事をしたくない、かといって、草堂に帰ってきたが、何にもできないこと、悶々としていることなど雨が上がったら、秋風に吹っ飛ばすことにする。

挈帶看朱紱,開箱睹黑裘。

自分は一方では、帯を手に取って、朱紱をみて官僚の姿を見るけれど、他方、箱を開けて黒の皮衣を見ると、隠遁者でいたいと思うが、いまは、半官半隠というのは許されないのだ。

世情只益睡,盜賊敢忘憂。

世間の事情を考えれば、その考えがどうにもならないものだとわかり、ただ、ますます横になって眠らせるだけであり、今の時代に、盗賊のような輩が絶えないことを思えば、こうして寝ていても、国家を憂い、幕府のことを心配することを忘れることが出来ないのである。

松菊新霑洗,茅齋慰遠遊。

晩秋であっても、この雨で新たに色濃くしている松の木と菊の花が庭にある。それは、我が茅葺の書斎にいて、こうした遠游の旅情の慰めてくれているのだ。

 

(村雨)

雨聲 兩夜に傳わり,寒事 高秋に颯とす。

帶を挈りて 朱紱を看,箱を開きて 黑裘を睹る。

世情に 只だ 益【ますま】す睡り,盜賊に 敢て 憂を忘れんや。

松菊 新に霑洗し,茅齋 遠遊を慰む。

 

晩菊001 

『村雨』 現代語訳と訳註

(本文)

村雨

雨聲傳兩夜,寒事颯高秋。

挈帶看朱紱,開箱睹黑裘。

世情只益睡,盜賊敢忘憂。

松菊新霑洗,茅齋慰遠遊。

 

(下し文)

(村雨)

雨聲 兩夜に傳わり,寒事 高秋に颯とす。

帶を挈りて 朱紱を看,箱を開きて 黑裘を睹る。

世情に 只だ 益【ますま】す睡り,盜賊に 敢て 憂を忘れんや。

松菊 新に霑洗し,茅齋 遠遊を慰む。

 

(現代語訳)

(浣花渓にそぼ降る雨音を聞きながら、その感を詠う)

外に出ないで床に伏していると雨の音はふたばん続いて伝わってくる。幕府で仕事をしたくない、かといって、草堂に帰ってきたが、何にもできないこと、悶々としていることなど雨が上がったら、秋風に吹っ飛ばすことにする。

自分は一方では、帯を手に取って、朱紱をみて官僚の姿を見るけれど、他方、箱を開けて黒の皮衣を見ると、隠遁者でいたいと思うが、いまは、半官半隠というのは許されないのだ。

世間の事情を考えれば、その考えがどうにもならないものだとわかり、ただ、ますます横になって眠らせるだけであり、今の時代に、盗賊のような輩が絶えないことを思えば、こうして寝ていても、国家を憂い、幕府のことを心配することを忘れることが出来ないのである。

晩秋であっても、この雨で新たに色濃くしている松の木と菊の花が庭にある。それは、我が茅葺の書斎にいて、こうした遠游の旅情の慰めてくれているのだ。

金燈花03 

(訳注)

村雨

(浣花渓にそぼ降る雨音を聞きながら、その感を詠う)

村雨 浣花渓に降る雨。そぼ降る雨。

 

雨聲傳兩夜,寒事颯高秋。

外に出ないで床に伏していると雨の音はふたばん続いて伝わってくる。幕府で仕事をしたくない、かといって、草堂に帰ってきたが、何にもできないこと、悶々としていることなど雨が上がったら、秋風に吹っ飛ばすことにする。

寒事 ここの寒は苦しいこと、幕府で仕事をしたくない、かといって、草堂に帰ってきたが、何にもできないこと、悶々としていることなど。

 

【攬】帶看朱紱,開箱睹黑裘。

自分は一方では、帯を手に取って、朱紱をみて官僚の姿を見るけれど、他方、箱を開けて黒の皮衣を見ると、隠遁者でいたいと思うが、いまは、半官半隠というのは許されないのだ。

挈【攬】帶 帯を手に取ること。

朱紱 大夫の朱の皮前だれ、緋衣を賜っていることをいう。

睹 みる。

黑裘 隠遁者が着る上着。

 

世情只益睡,盜賊敢忘憂。

世間の事情を考えれば、その考えがどうにもならないものだとわかり、ただ、ますます横になって眠らせるだけであり、今の時代に、盗賊のような輩が絶えないことを思えば、こうして寝ていても、国家を憂い、幕府のことを心配することを忘れることが出来ないのである。

世情只益睡 世間の事情を考えれば、その考えがどうにもならないものだとわかり、ただ、ますます横になって眠らせるだけであるということ。

忘憂 国家を憂い、幕府のことを心配することを忘れることが出来ない。

 

松菊新霑洗,茅齋慰遠遊。

晩秋であっても、この雨で新たに色濃くしている松の木と菊の花が庭にある。それは、我が茅葺の書斎にいて、こうした遠游の旅情の慰めてくれているのだ。

松菊 古人が愛したもの、陶淵明はじめ詩人が愛した必須アイテム。

霑洗 この雨で新たに色濃くしている

茅齋 杜甫草堂、茅葺の書斎

慰 上句の松菊のことをいう。

遠遊 長い遠い旅をしていること。遠游の旅情。