酒を呑むほどにのどが渇くときには錦江の水がきよらかにながれているのはうれしいことだ。だから、酔った挙句、夕暮れの波打ち際言って口を灌ぐのだ。そして、河原の軟らかい砂に穏やかに傾いて座る、暫く眠ったようで冷たい石の側で眠りが醒めたところだ。
廣徳2年764-93 《軍中醉飲寄沈八劉叟【案:一作暢當詩。】【案:他集互見。】》 杜甫index-14 764年 杜甫<794> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4660 杜甫詩1500-794-1103/2500廣徳2年764-93
制作年: 764年廣德二年53歲
卷別: 卷二三四 文體: 五言律詩
詩題: 軍中醉飲寄沈八劉叟〔暢當詩〕
交遊人物:沈八・ 劉叟 <書信往來>
軍中醉飲寄沈八劉叟
(節度使軍、幕府で川辺に幔幕を張って、宴を催した時に、沈八、劉叟にこの詩を寄せたものである)
酒渴愛江清,餘甘漱晚汀。
酒を呑むほどにのどが渇くときには錦江の水がきよらかにながれているのはうれしいことだ。だから、酔った挙句、夕暮れの波打ち際言って口を灌ぐのだ。
軟沙攲坐穩,冷石醉眠醒。
そして、河原の軟らかい砂に穏やかに傾いて座る、暫く眠ったようで冷たい石の側で眠りが醒めたところだ。
野膳隨行帳,華音發從伶。
将軍が出向いて来て幔幕を張ったところに、野外の宴用のお膳が用意されている。都から随行してきた音楽人、妓優たちはこの地方の音楽ではない雅な音楽が歌いだされる。
數杯君不見,醉已遣沈冥。
君達、見たまえ、ほんの数杯の酒で、すっかりこんな前後不覚の態になってしまうというしまつだ。
(軍中の醉飲 沈八、劉叟に寄す):
酒渴 江の清きを愛し,餘甘 晚汀に漱ぐ。
軟沙 攲坐【きざ】穩やかに,冷石 醉眠 醒む。
野膳 行帳に隨い,華音 從伶より發す。
數杯 君見ずや,都て已に沈冥なら遣む。
『軍中醉飲寄沈八劉叟』 現代語訳と訳註
(本文)
軍中醉飲寄沈八劉叟
酒渴愛江清,餘甘漱晚汀。
軟沙攲坐穩,冷石醉眠醒。
野膳隨行帳,華音發從伶。
數杯君不見,醉已遣沈冥。
(下し文)
(軍中の醉飲 沈八、劉叟に寄す):
酒渴 江の清きを愛し,餘甘 晚汀に漱ぐ。
軟沙 攲坐【きざ】穩やかに,冷石 醉眠 醒む。
野膳 行帳に隨い,華音 從伶より發す。
數杯 君見ずや,都て已に沈冥なら遣む。
(現代語訳)
(節度使軍、幕府で川辺に幔幕を張って、宴を催した時に、沈八、劉叟にこの詩を寄せたものである)
酒を呑むほどにのどが渇くときには錦江の水がきよらかにながれているのはうれしいことだ。だから、酔った挙句、夕暮れの波打ち際言って口を灌ぐのだ。
そして、河原の軟らかい砂に穏やかに傾いて座る、暫く眠ったようで冷たい石の側で眠りが醒めたところだ。
将軍が出向いて来て幔幕を張ったところに、野外の宴用のお膳が用意されている。都から随行してきた音楽人、妓優たちはこの地方の音楽ではない雅な音楽が歌いだされる。
君達、見たまえ、ほんの数杯の酒で、すっかりこんな前後不覚の態になってしまうというしまつだ。
(訳注)
軍中醉飲寄沈八劉叟
(節度使軍、幕府で川辺に幔幕を張って、宴を催した時に、沈八、劉叟にこの詩を寄せたものである)
軍中 厳武の剣南西川節度使軍、幕府。
沈八劉叟 この二人の人物については未詳。
酒渴愛江清 餘甘漱晚汀
軟沙攲坐穩 冷石醉眠醒
野膳隨行帳 華音發從伶
數杯君不見 都已遣沈冥
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酒渴愛江清,餘甘漱晚汀。【餘酣漱晚汀】
酒を呑むほどにのどが渇くときには錦江の水がきよらかにながれているのはうれしいことだ。だから、酔った挙句、夕暮れの波打ち際言って口を灌ぐのだ。
酒渴 酒を呑むほどにのどが渇くこと。
餘甘 酔った挙句~をする。
漱 口をそそぐ。
晚汀 夕暮れの波打ち際。
軟沙攲坐穩,冷石醉眠醒。
そして、河原の軟らかい砂に穏やかに傾いて座る、暫く眠ったようで冷たい石の側で眠りが醒めたところだ。
軟沙 かわらの砂がやわらかいこと。
攲坐 傾いて座る。
野膳隨行帳,華音發從伶。
将軍が出向いて来て幔幕を張ったところに、野外の宴用のお膳が用意されている。都から随行してきた音楽人、妓優たちはこの地方の音楽ではない雅な音楽が歌いだされる。
野膳 野外の宴でのお膳。
行帳 出向いて来て幔幕を張ること。
華音 蜀や否かの音楽でなく、都の音楽。
從伶 追従してきた音楽
數杯君不見,都已遣沈冥。【醉已遣沈冥】
君達、見たまえ、ほんの数杯の酒で、すっかりこんな前後不覚の態になってしまうというしまつだ。
都 すべて。
沈冥 酔って正体を失うさまをいう。