長江の流れに乗って白い帆を張った船が進む、それは長安の方に向かう厳武僕射の棺を乗せた船である。厳武の年老いた母上はきっと昔の姿のままであろうが、部下の分隊はこれまでの様にはゆかずきっと寂しい分隊になるだろう。

 
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765年永泰元年54-30 《哭嚴僕射歸櫬》 杜甫index-15 杜甫<830 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4885 杜甫詩1500-830-1148/2500765年永泰元年54-30

 

 

765年永泰元年54卷別: 卷二二九  文體: 五言律詩 

詩題: 哭嚴僕射歸櫬 

作地點: 目前尚無資料 

交遊人物: 嚴武 詩文提及

 

 

哭嚴僕射歸櫬

(長安にほど近い華陰縣に歸葬するため、棺が忠州を通ったのを哭した詩である。)

素幔隨流水,歸舟返舊京。 

長江の流れに乗って白い帆を張った船が進む、それは長安の方に向かう厳武僕射の棺を乗せた船である。

老親如宿昔,部曲異平生。 

厳武の年老いた母上はきっと昔の姿のままであろうが、部下の分隊はこれまでの様にはゆかずきっと寂しい分隊になるだろう。

風送蛟龍雨,天長驃騎營。 

金の刺繍の蛟龍に雨の文様の葬衣装束を風が後押しして送ってくれる。節度使、成都尹の方に向かって天は光の帯となって長く続いている。

一哀三峽暮,遺後見君情。 

こんなふうに厳武を哭して哀頭の気持ちでいればいつしか三峡の空は暮れかけている。この川べりに残された自分はもう永久に君の顔を見る事はできず、これからは君が世にありし時、この私に対しての厚情だけが思われてくることだろう。

 

(嚴僕射櫬に歸るを哭す)

素幔 流水に隨い,舟を歸して 舊京に返る。 

老親 宿昔の如し,部曲 平生に異る。 

風は送る 蛟龍の雨,天は長し 驃騎の營。 

一たび哀む 三峽の暮,遺後 君が情を見る。 

巫山十二峰002 

 

『哭嚴僕射歸櫬』 現代語訳と訳註

(本文)

哭嚴僕射歸櫬

素幔隨流水,歸舟返舊京。 

老親如宿昔,部曲異平生。 

風送蛟龍雨,天長驃騎營。 

一哀三峽暮,遺後見君情。 

 

(含異文)

素幔隨流水,歸舟返舊京。

老親如宿昔【老親知宿昔】,部曲異平生。

風送蛟龍雨【風逆蛟龍雨】【風逆蛟龍匣】【風送蛟龍匣】,天長驃騎營。

一哀三峽暮,遺後見君情。 

 

(下し文)

(嚴僕射櫬に歸るを哭す)

素幔 流水に隨い,舟を歸して 舊京に返る。 

老親 宿昔の如し,部曲 平生に異る。 

風は送る 蛟龍の雨,天は長し 驃騎の營。 

一たび哀む 三峽の暮,遺後 君が情を見る。 

 

(現代語訳)

(長安にほど近い華陰縣に歸葬するため、棺が忠州を通ったのを哭した詩である。)

長江の流れに乗って白い帆を張った船が進む、それは長安の方に向かう厳武僕射の棺を乗せた船である。

厳武の年老いた母上はきっと昔の姿のままであろうが、部下の分隊はこれまでの様にはゆかずきっと寂しい分隊になるだろう。

金の刺繍の蛟龍に雨の文様の葬衣装束を風が後押しして送ってくれる。節度使、成都尹の方に向かって天は光の帯となって長く続いている。

こんなふうに厳武を哭して哀頭の気持ちでいればいつしか三峡の空は暮れかけている。この川べりに残された自分はもう永久に君の顔を見る事はできず、これからは君が世にありし時、この私に対しての厚情だけが思われてくることだろう。

 

(訳注)

哭嚴僕射歸櫬

(長安にほど近い華陰縣に歸葬するため、棺が忠州を通ったのを哭した詩である。)

嚴僕射 厳武のこと。765年永泰元年4月卒す。年40歳、尚書に僕射を贈られる。

 棺のこと。成都から船で故郷に送られる。

 

素幔隨流水,歸舟返舊京。 

長江の流れに乗って白い帆を張った船が進む、それは長安の方に向かう厳武僕射の棺を乗せた船である。

素幔 白い帆を張った船。

流水 長江の流水。

歸舟 故郷に帰る船。

返舊京 長安の方に向かう。厳武の故郷は長安の東、華州華陰縣である。

 

老親如宿昔,部曲異平生。 

厳武の年老いた母上はきっと昔の姿のままであろうが、部下の分隊はこれまでの様にはゆかずきっと寂しい分隊になるだろう。

老親 厳武の年老いた母上のこと。

部曲 節度使軍のそれぞれの小隊。

 

風送蛟龍雨,天長驃騎營。 

金の刺繍の蛟龍に雨の文様の葬衣装束を風が後押しして送ってくれる。節度使、成都尹の方に向かって天は光の帯となって長く続いている。

蛟龍雨 金の刺繍の蛟龍に雨の文様の葬衣装束のこと。

天長 両岸に山が迫り、天だけが明るくて、成都の方につながっていることをいう。成都での功績で五光が射していると連想させる。

驃騎營 厳武を驃騎将軍霍去病に喩えていて、その将軍の陣営をいう。ここでは、剣南西川節度使、成都尹の陣営。

 

一哀三峽暮,遺後見君情。 

こんなふうに厳武を哭して哀頭の気持ちでいればいつしか三峡の空は暮れかけている。この川べりに残された自分はもう永久に君の顔を見る事はできず、これからは君が世にありし時、この私に対しての厚情だけが思われてくることだろう。

一哀 ここで一たび悲しむこと。

三峽暮 忠州においての時間経過をいう。三峡は忠州を過ぎて舟が向かう方向であり西の明るさに比較して東側の暗い方に進んでゆくことをいう。

遺後 舟を送って、この川べりに残された杜甫のこと。

見君情 君は厳武のこと。これまで厳武から受けた厚い情けのこと。
蜀中転々圖