(巡察で行く先々でうまい酒が飲めることを予想して、胸中が悶えると詠う)〔厳二殿が刺史(しし)の巡察に随行するというのでこの詩を贈る。〕

 
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765年永泰元年54-33 《撥悶【贈嚴二別駕】》 杜甫index-15 杜甫<833 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4900 杜甫詩1500-833-1151/2500

 

 

 

年:765年永泰元年54-33

卷別:    卷二二九              文體:    七言律詩

詩題:    撥悶〔贈嚴二別駕〕

作地點:              忠州(山南東道 / 忠州 / 忠州)

及地點:雲安 (山南東道 夔州 雲安) 別名:南楚         

交遊人物:嚴別駕              書信往來

 

悶撥〔贈嚴二別駕〕

(巡察で行く先々でうまい酒が飲めることを予想して、胸中が悶えると詠う)〔厳二殿が刺史(しし)の巡察に随行するというのでこの詩を贈る。〕
聞道雲安麴米春,纔傾一醆即醺人。

聞くところによると、雲安の“麴米春”というお酒は、一盃飲めば、すぐに人を酔わせるという。

乘舟取醉非難事,下峽消愁定幾巡。

舟に乗ったら別に酔ってしまうことは難しいことではないはずだ。三峡に向って下ってゆけば、憂さ晴らしするのに数回は、飲まないといけないはずである。

長年三老遙憐汝,棙柁開頭捷有神。

長年にわたって、かじ取りの「三老」も、もう遠くから、その汝という酒を愛しておるから、早く飲もうと思って、舟先(開頭)を開くにも、楫を操ることも素早くやっておるではないか。

已辦青錢防雇直,當令美味入吾脣。

既に自分の船賃と酒の代金を支払うために、青銅錢を用意しているのであるから、美味しいやつを一時も速く私の唇に入れさせてくれないか。

 

悶を撥【はら】う〔嚴二の別駕するに贈る〕

聞道く 「雲安の“麴米春”,纔かに一醆を傾ければ即ち人を醺せしむ」と。

舟に乘じ醉を取るは難事に非らず,峽を下り 愁を消すは定めて幾巡ぞ。

長年 三老 遙かに汝を憐れむ,棙柁【れつだ】開頭 捷 神有り。

已に青錢を辦じて 雇直を防ぎ,當に美味を令て吾が脣に入らん。

 

巫山十二峰002 

『撥悶』 現代語訳と訳註

(本文)

撥悶〔贈嚴二別駕〕

聞道雲安麴米春,纔傾一醆即醺人。

乘舟取醉非難事,下峽消愁定幾巡。

長年三老遙憐汝,棙柁開頭捷有神。

已辦青錢防雇直,當令美味入吾脣。

 

(含異文)

聞道雲安麴米春【案:唐人呼酒為春。】,纔傾一醆即醺人。

乘舟取醉非難事,下峽消愁定幾巡。

長年三老遙憐汝,棙柁開頭捷有神【棙柁鳴鐃捷有神】。

已辦青錢防雇直,當令美味入吾脣。

 

(下し文)

悶を撥【はら】う〔嚴二の別駕するに贈る〕

聞道く 「雲安の“麴米春”,纔かに一醆を傾ければ即ち人を醺せしむ」と。

舟に乘じ醉を取るは難事に非らず,峽を下り 愁を消すは定めて幾巡ぞ。

長年 三老 遙かに汝を憐れむ,棙柁【れつだ】開頭 捷 神有り。

已に青錢を辦じて 雇直を防ぎ,當に美味を令て吾が脣に入らん。

 

(現代語訳)

(巡察で行く先々でうまい酒が飲めることを予想して、胸中が悶えると詠う)〔厳二殿が刺史(しし)の巡察に随行するというのでこの詩を贈る。〕

聞くところによると、雲安の“麴米春”というお酒は、一盃飲めば、すぐに人を酔わせるという。

舟に乗ったら別に酔ってしまうことは難しいことではないはずだ。三峡に向って下ってゆけば、憂さ晴らしするのに数回は、飲まないといけないはずである。

長年にわたって、かじ取りの「三老」も、もう遠くから、その汝という酒を愛しておるから、早く飲もうと思って、舟先(開頭)を開くにも、楫を操ることも素早くやっておるではないか。

既に自分の船賃と酒の代金を支払うために、青銅錢を用意しているのであるから、美味しいやつを一時も速く私の唇に入れさせてくれないか。

 

 三峡 巫山十二峰001

(訳注)

撥悶〔贈嚴二別駕〕

(巡察で行く先々でうまい酒が飲めることを予想して、胸中が悶えると詠う)〔厳二殿が刺史(しし)の巡察に随行するというのでこの詩を贈る。〕

別駕【べつが】 古代中国で、刺史(しし)の巡察に随行する官。自分も別に乗り物をもつところからいう。

 

聞道雲安麴米春,纔傾一醆即醺人。

聞くところによると、雲安の“麴米春”というお酒は、一盃飲めば、すぐに人を酔わせるという。

雲安 夔州府の縣名。杜甫はしばらくここで過ごす。

麴米春 雲安の酒の銘柄。

 さかずき。

 酔わせること。

 

乘舟取醉非難事,下峽消愁定幾巡。

舟に乗ったら別に酔ってしまうことは難しいことではないはずだ。三峡に向って下ってゆけば、憂さ晴らしするのに数回は、飲まないといけないはずである。

 三峡。

幾巡 航行の難所がいくつもあり、その度に酒を呑むこと。

 

長年三老遙憐汝,棙柁開頭捷有神。

長年にわたって、かじ取りの「三老」も、もう遠くから、その汝という酒を愛しておるから、早く飲もうと思って、舟先(開頭)を開くにも、楫を操ることも素早くやっておるではないか。

長年三老 このあたりの訛の言葉で、「長年」は篙師のことで、「三老」は舵取り(柁工)という。

遙憐汝 汝は、雲安の“麴米春”というお酒のことで、それがはるか先にあるということ。

棙柁 舵取り(柁工)があつかうこと。

開頭 船の進路方向をひらくこと。これは、「長年」は篙師のやくわり。

捷有神 早くやることが神がかりである。酒を早く飲みたいために急いでやっているということ。

 

已辦青錢防雇直,當令美味入吾脣。

既に自分の船賃と酒の代金を支払うために、青銅錢を用意しているのであるから、美味しいやつを一時も速く私の唇に入れさせてくれないか。

 じゅんびをすること。

青錢 銅銭のこと。

防雇直 防は準備すること、雇は船賃、直は酒大

美味 うまい味の酒、雲安の“麴米春”のこと。
云亭