むかし、私が酒の席で、晋の王戎のように、如意の舞を踊ったことがあったが、今日も、この宴の盛り上がりに牽かれるように、無理に踊ろうと思うので見てほしいものだ。

 
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765年永泰元年54-35

 

 

年:765年永泰元年54

卷別:    卷二二九              文體:    五言律詩

詩題:    宴忠州使君姪宅

作地點:              忠州(山南東道 / 忠州 / 忠州)

及地點:             

忠州 (山南東道 忠州 忠州)              

湖灘 (山南東道 萬州 萬州)              

漁陽 (河北道南部 薊州 漁陽)           

交遊人物:杜使君(おい)

 

 

宴忠州使君姪宅

(忠州の刺史である甥の家で酒宴をしたことを詠った詩)

出守吾家姪,殊方此日歡。

我が杜家から血を引く一族の甥は中央に出てから、この忠州の長官に赴任しているので、他郷ながら、今日はここでの楽しみをすることになった。

自須遊阮巷,不是怕湖灘。

我叔父という関係である私を自然に竹林の七賢の阮籍が甥の阮咸が巷で遊んだようにすべてを準備してくれている。そうはいっても私にはこれから、湖灘の難関があるからと言って、それを怖がってここに留まることはできないのである。

樂助長歌逸,杯饒旅思寬。

この宴においては長閑に歌を謡えば音楽がそれを助けてくれるし、盃が大きくて存分の飲めるから旅の心が十分にくつろぐのを後押ししてくれる。

昔曾如意舞,牽率強為看。

そういえば、むかし、私が酒の席で、晋の王戎のように、如意の舞を踊ったことがあったが、今日も、この宴の盛り上がりに牽かれるように、無理に踊ろうと思うので見てほしいものだ。

 

 

(忠州の姪使君が宅に宴す)

出でて守たる 吾が家姪【かてつ】,殊方【しゅほう】にて此の日 歡ぶ。

自ら須らく阮巷に遊び,是れ湖灘【こだん】を怕るることならず。

樂は助く 長歌の逸なるを,杯は饒【ゆた】かにす 旅思の寬なるを。

昔、曾って 如意の舞し,牽率【けんそつ】強いて為して看る。

 

蜀中転々圖 

『宴忠州使君姪宅』 現代語訳と訳註

(本文)

宴忠州使君姪宅

出守吾家姪,殊方此日歡。

自須遊阮巷,不是怕湖灘。

樂助長歌逸,杯饒旅思寬。

昔曾如意舞,牽率強為看。

 

(含異文)

出守吾家姪,殊方此日歡。

自須遊阮巷【自須遊阮舍】,不是怕湖灘【不是怕溪灘】。

樂助長歌逸【樂助長歌送】,杯饒旅思寬【林饒旅思寬】。

昔曾如意舞,牽率強為看。

 

(下し文)

(忠州の姪使君が宅に宴す)

出でて守たる 吾が家姪【かてつ】,殊方【しゅほう】にて此の日 歡ぶ。

自ら須らく阮巷に遊び,是れ湖灘【こだん】を怕るることならず。

樂は助く 長歌の逸なるを,杯は饒【ゆた】かにす 旅思の寬なるを。

昔、曾って 如意の舞し,牽率【けんそつ】強いて為して看る。

 

(現代語訳)

(忠州の刺史である甥の家で酒宴をしたことを詠った詩)

我が杜家から血を引く一族の甥は中央に出てから、この忠州の長官に赴任しているので、他郷ながら、今日はここでの楽しみをすることになった。

我叔父という関係である私を自然に竹林の七賢の阮籍が甥の阮咸が巷で遊んだようにすべてを準備してくれている。そうはいっても私にはこれから、湖灘の難関があるからと言って、それを怖がってここに留まることはできないのである。

この宴においては長閑に歌を謡えば音楽がそれを助けてくれるし、盃が大きくて存分の飲めるから旅の心が十分にくつろぐのを後押ししてくれる。

そういえば、むかし、私が酒の席で、晋の王戎のように、如意の舞を踊ったことがあったが、今日も、この宴の盛り上がりに牽かれるように、無理に踊ろうと思うので見てほしいものだ。

 

 

(訳注)

宴忠州使君姪宅

(忠州の刺史である甥の家で酒宴をしたことを詠った詩)

忠州 重慶市に位置する、唐代に忠州設置。重慶市の東北、夔州府の南西。

忠州使君姪宅 杜甫の甥が忠州の刺史をしていた。

 

出守吾家姪,殊方此日歡。

我が杜家から血を引く一族の甥は中央に出てから、この忠州の長官に赴任しているので、他郷ながら、今日はここでの楽しみをすることになった。

出守 太守は中央から赴任をしてきた。

家姪 杜家から血を引く一族の甥のこと。

殊方 他の土地。他郷。

 

自須遊阮巷,不是怕湖灘。

叔父という関係である私を自然に竹林の七賢の阮籍が甥の阮咸が巷で遊んだようにすべてを準備してくれている。そうはいっても私にはこれから、湖灘の難関があるからと言って、それを怖がってここに留まることはできないのである。

阮巷 竹林の七賢の阮籍が甥の阮咸といっしょに巷で遊んだことに喩える。

湖灘 山南東道 萬州にある難関場所の名。

 

樂助長歌逸,杯饒旅思寬。

この宴においては長閑に歌を謡えば音楽がそれを助けてくれるし、盃が大きくて存分の飲めるから旅の心が十分にくつろぐのを後押ししてくれる。

樂 音楽。楽器での演奏。

長歌逸 のどかに一節を長く引っ張って歌い、こぶしを利かす。

杯饒 盃が大きくて存分の飲めること。

寬 ゆるやか。くつろぐ。

 

昔曾如意舞,牽率強為看。

そういえば、むかし、私が酒の席で、晋の王戎のように、如意の舞を踊ったことがあったが、今日も、この宴の盛り上がりに牽かれるように、無理に踊ろうと思うので見てほしいものだ。

如意舞 晉の王戎が鳥のように舞をしたことをいう。西晋の高級官吏。竹林の七賢の一人。琅邪 (山東省) の人。字は濬沖。官吏としてはあえてその職分を尽そうともしなかった。廉潔な一面をもつが,利殖にたけて莫大な財産を積み,金銭に関しては親子,親戚の情愛も感じない人物であったとされる。

牽率 宴の盛り上がりに牽かれるように。

強為看 無理に踊ろうと思うので見てほしい