春の気配があるといっても、さすがに開いていない梅の花ではわたしの愁眼をおどろかすことはできないけれど、正月の酒に山椒の花を入れて飲むのであるが、その代用として、遠き長安の空に向かって咲いている「楸花」を入れて酒を呑むということにしよう。

 
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年:765年永泰元年54

卷別:    卷二二九              文體:    七言律詩

詩題:    十二月一日,三首之一

作地點:              雲安(山南東道 / 夔州 / 雲安)

及地點:             

雲安 (山南東道 夔州 雲安) 別名:南楚       

明光殿 (京畿道 京兆府 長安)         

 

 

十二月一日,三首之一

今朝臘月春意動,雲安縣前江可憐。

一聲何處送書雁,百丈誰家上水船。

未將梅蕊驚愁眼,要取楸花媚遠天。

明光起草人所羨,肺病幾時朝日邊。

(病気で、雲安の長江を臨む小閣を借り受け、療養し始めのころ、気分転換に作った詩である)その一

今朝は、まだ、十二月になったばかりというに、春の気配が動き出しているようで、ここ雲安縣の前の長江の様子も、可愛らしいと思えるようだ。

雁が一声鳴いて飛んでゆくが、何処に書簡を届けるのだろうか、百丈の闌で、舟を引っ張ってゆくのは何処の邸宅にゆくのだろうか。

春の気配があるといっても、さすがに開いていない梅の花ではわたしの愁眼をおどろかすことはできないけれど、正月の酒に山椒の花を入れて飲むのであるが、その代用として、遠き長安の空に向かって咲いている「楸花」を入れて酒を呑むということにしよう。

郎官になっているので、明光殿で詔勅の起草をせねばならないので人に羨ましがられるけれども、今、自分は肺病を患っているから、どれだけ太陽が上り下りするのを見れば、参朝できるのであろうかわからないのである。

 

(十二月一日,三首の一)

今朝 臘月 春意動く,雲安 縣前 江憐れむ可し。

一聲 何れの處に書を雁に送らん,百丈 誰が家に 水の船に上らん。

未だし梅蕊を將って 愁眼を驚かさざらしむ,楸花【しょうか】を取って遠天に媚びんと要す。

明光 起草 人の羨む所なり,肺病 幾時か 日邊を朝せん。

 

 

『十二月一日,三首之一』 現代語訳と訳註

(本文)

十二月一日,三首之一

今朝臘月春意動,雲安縣前江可憐。

一聲何處送書雁,百丈誰家上水船。

未將梅蕊驚愁眼,要取楸花媚遠天。

明光起草人所羨,肺病幾時朝日邊。

 

(含異文)

今朝臘月春意動,雲安縣前江可憐。

聲何處送書雁,百丈誰家上水船【百丈誰家上瀨船】。

未將梅蕊驚愁眼,要取楸花媚遠天【更取楸花媚遠天】【更取椒花媚遠天】【要取椒花媚遠天】

明光起草人所羨,肺病幾時朝日邊。

 

(下し文)

(十二月一日,三首の一)

今朝 臘月 春意動く,雲安 縣前 江憐れむ可し。

一聲 何れの處に書を雁に送らん,百丈 誰が家に 水の船に上らん。

未だし梅蕊を將って 愁眼を驚かさざらしむ,楸花【しょうか】を取って遠天に媚びんと要す。

明光 起草 人の羨む所なり,肺病 幾時か 日邊を朝せん。

 

 

(現代語訳)

(病気で、雲安の長江を臨む小閣を借り受け、療養し始めのころ、気分転換に作った詩である)その一

今朝は、まだ、十二月になったばかりというに、春の気配が動き出しているようで、ここ雲安縣の前の長江の様子も、可愛らしいと思えるようだ。

雁が一声鳴いて飛んでゆくが、何処に書簡を届けるのだろうか、百丈の闌で、舟を引っ張ってゆくのは何処の邸宅にゆくのだろうか。

春の気配があるといっても、さすがに開いていない梅の花ではわたしの愁眼をおどろかすことはできないけれど、正月の酒に山椒の花を入れて飲むのであるが、その代用として、遠き長安の空に向かって咲いている「楸花」を入れて酒を呑むということにしよう。

郎官になっているので、明光殿で詔勅の起草をせねばならないので人に羨ましがられるけれども、今、自分は肺病を患っているから、どれだけ太陽が上り下りするのを見れば、参朝できるのであろうかわからないのである。

 

 

(訳注)

十二月一日,三首之一

(病気で、雲安の長江を臨む小閣を借り受け、療養し始めのころ、気分転換に作った詩である)その一

杜甫は、県令の厳某に頼んで、長江を臨む小閣を借り受け、療養し始めた。病状はよくならず、翌年春まで続く。持病の喘息、と神経痛で足が動かない状況であった。この時の詩が妙に明るいのはめいった気分を改めたかったのであろう。

 

今朝臘月春意動,雲安縣前江可憐。

今朝はもう、十二月になったばかりというに、春の気配が動き出しているようで、ここ雲安縣の前の長江の様子も、可愛らしいと思えるようだ。

臘月 12月の異名で.別に、 おうとう(黄冬)、おとづき(弟月)、おやこづき(親子月)、かぎりのつき(限月)、くれこづき(暮来月)、けんちゅうげつ(建丑月)、ごくげつ(極月)、しわす(師走)、はるまちつき(春待月)、ばんとう(晩冬)、ひょうげつ(氷月)、ぼさい(暮歳)、がある。

雲安縣 夔州府雲安縣で、現在の重慶市奉節、雲陽である。

 

一聲何處送書雁,百丈誰家上水船。

雁が一声鳴いて飛んでゆくが、何処に書簡を届けるのだろうか、百丈の竹縄で、舟を引っ張ってゆくのは何処の邸宅にゆくのだろうか。

 

未將梅蕊驚愁眼,要取楸花媚遠天。

春の気配があるといっても、さすがに開いていない梅の花ではわたしの愁眼をおどろかすことはできないけれど、正月の酒に山椒の花を入れて飲むのであるが、その代用として、遠き長安の空に向かって咲いている「楸花」を入れて酒を呑むということにしよう。

楸花 花楸樹は植物の名である。ナナカマド、バラ科の落葉高木,高山植物、園芸植物、薬用植物学名で、正月の酒に山椒の花を入れて飲むものであるが、その代用として、「楸花」を入れて酒を呑むという意味。節句には酒に時節の花を入れて飲む。

 

明光起草人所羨,肺病幾時朝日邊。

郎官になっているので、明光殿で詔勅の起草をせねばならないので人に羨ましがられるけれども、今、自分は肺病を患っているから、どれだけ太陽が上り下りするのを見れば、参朝できるのであろうかわからないのである。

明光起草 郎官になっているので、明光殿で詔勅の起草をせねばならない。

 朝廷に赴くこと。

日邊 太陽が上り下りすること。天子が太陽であるからそのおそばにいること。