(この蜀という地には一時でも居たくない、中央の暗躍で四六時中権力闘争をしている、何とか三峡を早く下るようになりたいと詠う。)この大江は、諸侯の天子に拝謁するように江水が朝宗し、東海に流入することは、万人の共に取る常識なのである。此の義を解せざる汝ら盗賊どもをだれが尊敬するものがあろうか。
765年永泰元年54歲-47 《長江,二首之一》 杜甫index-15 杜甫<847> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4970 杜甫詩1500-847-1165/2500765年永泰元年54歲-47
年: 永泰元年
寫作時間: 765年
寫作年紀: 54歲
卷別: 卷二二九 文體: 五言律詩
詩題: 長江,二首之一
詩序:
作地點: 雲安(山南東道 / 夔州 / 雲安)
及地點:
長江 (山南東道 夔州 雲安) 別名:蜀江、漢江
涪州 (山南西道 涪州 涪州)
萬州 (山南東道 萬州 萬州)
瞿塘峽 (山南東道 夔州 夔州) 別名:瞿塘
長江,二首之一
眾水會涪萬,瞿塘爭一門。
朝宗人共挹,盜賊爾誰尊。
孤石隱如馬,高蘿垂飲猿。
歸心異波浪,何事即飛翻。
(この蜀という地には一時でも居たくない、中央の暗躍で四六時中権力闘争をしている、何とか三峡を早く下るようになりたいと詠う。)
多くの水が涪州万州に会合し、それらの水が更に瞿塘峡が一門に向かって争いながれる。
この大江は、諸侯の天子に拝謁するように江水が朝宗し、東海に流入することは、万人の共に取る常識なのである。此の義を解せざる汝ら盗賊どもをだれが尊敬するものがあろうか。
瞿塘では灔澦のひとつ石がかくれてわずかに馬のごとく、高処のひめかつらから水をのもうとする猿が垂れさがっている。
自分はそこをとおって荊州の方へゆこうとするのだが、自分の帰郷をおもう心は波浪ならいざ知らず波浪でもないくせに、いかなるせいかびっくりかえりつつあるのである。
(長江,二首の一)
衆水 涪 万に会し、瞿塘 一門を争う。
朝宗 人 共に拇り、盗賊 爾をば 誰か尊ばん。
孤石隱れて 馬の如し、高蘿に飲猿垂る。
帰心は 波浪に異なり、何事ぞ即ち飛翻するや。
『長江,二首之一』 現代語訳と訳註
(本文)
長江,二首之一
眾水會涪萬,瞿塘爭一門。
朝宗人共挹,盜賊爾誰尊。
孤石隱如馬,高蘿垂飲猿。
歸心異波浪,何事即飛翻。
(下し文)
(長江,二首の一)
衆水 涪 万に会し、瞿塘 一門を争う。
朝宗 人 共に拇り、盗賊 爾をば 誰か尊ばん。
孤石隱れて 馬の如し、高蘿に飲猿垂る。
帰心は 波浪に異なり、何事ぞ即ち飛翻するや。
(現代語訳)
(この蜀という地には一時でも居たくない、中央の暗躍で四六時中権力闘争をしている、何とか三峡を早く下るようになりたいと詠う。)
多くの水が涪州万州に会合し、それらの水が更に瞿塘峡が一門に向かって争いながれる。
この大江は、諸侯の天子に拝謁するように江水が朝宗し、東海に流入することは、万人の共に取る常識なのである。此の義を解せざる汝ら盗賊どもをだれが尊敬するものがあろうか。
瞿塘では灔澦のひとつ石がかくれてわずかに馬のごとく、高処のひめかつらから水をのもうとする猿が垂れさがっている。
自分はそこをとおって荊州の方へゆこうとするのだが、自分の帰郷をおもう心は波浪ならいざ知らず波浪でもないくせに、いかなるせいかびっくりかえりつつあるのである。
(訳注)
長江,二首之一
(この蜀という地には一時でも居たくない、中央の暗躍で四六時中権力闘争をしている、何とか三峡を早く下るようになりたいと詠う。)
○長江 長江は朝宗がきちんとなされ、常識の川であるが、その常識が護れない連中がいるということでこの詩を作っている。
眾水會涪萬,瞿塘爭一門。
多くの水が涪州万州に会合し、それらの水が更に瞿塘峡が一門に向かって争いながれる。
○涪万 涪州と万州のこと、涪州は重慶府の東北部にあり、万州は雲安(今の雲陽)の西南にある、雲安よりいえば浩・万はともに上流にあたる。この地点では、西南北之三方から支流が長江に合流する地点である。合流点に宿場町が形成されている。
○雀塘争一門 瞿塘峡は峡の名、夔州奉節県東十三里にある。広渓峡とも西陵峡ともいう。一門とは瞿塘峡の両岸が絶壁をなして門の如くであり、三峡の巫峡、西陵峡もおなじであることをいう、争とは争い赴くことをいう、雀塘争一門とは「争二赴雀塘之一門こことで、争の字の主語は上旬の「衆水」である。
朝宗人共挹,盜賊爾誰尊。
この大江は、諸侯の天子に拝謁するように江水が朝宗し、東海に流入することは、万人の共に取る常識なのである。此の義を解せざる汝ら盗賊どもをだれが尊敬するものがあろうか。
○朝宗 【ちょうそう】1 《「朝」は春に、「宗」は夏に天子に謁見する意》古代中国で、諸侯が天子に拝謁すること。2 多くの河川がみな海に流れ入ること。3 権威あるものに寄り従うこと。中國の河川は東流して海に入るということで、常識という意味になり、西南北の三方から支流が長江に合流して、東流するのである。「「詩経」(沔水)に、「沔たる彼の流水は、海に朝宗す」とあり、その鄭箋に、諸侯が春に天子にまみえることを朝といい、夏まみえることを宗という、とみえる。ここは諸侯が天子に帰する如く衆水が海に帰することをいう。
〇人共挹 挹はくみとることをいう、「詩経」(洞酌)に、「洞く彼の行淩を酌み、彼に挹りて茲に注ぐ」とみえる。ここは朝宗の義を取ることをいう。
○盗賊 永泰元年四月厳武は成都に卒した、行軍司馬杜済らは共に郭英乂を節度使となそうと請い、漢州の刺史崔旰、大将王崇俊を節度使となそうと請うたが、たまたま朝廷はすでに英乂を任命した。英乂は崇俊を殺し、旰を召して成都に還らせた。旰がやって来なかったために、英乂は兵をひきいて旰を攻めたが大敗して還り、簡州に弄ったが、普州の刺史韓澄は英乂を殺し、印・櫨・剣三州の牙将は各々兵を挙げて旰を討った。蜀中は大いに乱れた。盗賊は崔旰らの諸将をいう。この裏に、朝廷内の宦官、賀蘭進明、第五琦らとの裏取引があったから、杜甫はこの者たちを忌み嫌った。
○爾誰尊 爾をば誰か尊ばんや。爾とは盗賊をさす。朝廷な犬が権力闘争がなされていたので、諸侯への重しが効かなくなっていること。
孤石隱如馬,高蘿垂飲猿。
瞿塘では灔澦のひとつ石がかくれてわずかに馬のごとく、高処のひめかつらから水をのもうとする猿が垂れさがっている。
○孤石 峡の水中にある灔澦堆の石をいう、この石は冬、水が滴れるときは水面にあらわれること二十余丈、夏、水が潜るときは没する、大きさは馬のごとくである。
○隠如馬 馬のちんぽこ。
○高蘿 高い処に生えているひめかつら。
○飲猿 川で水を飲もうとするさるをいう。
歸心異波浪,何事即飛翻。
自分はそこをとおって荊州の方へゆこうとするのだが、自分の帰郷をおもう心は波浪ならいざ知らず波浪でもないくせに、いかなるせいかびっくりかえりつつあるのである。
○異波浪 心という無形物と波浪という有形物を比較していう。
○飛翻 翻の字は波浪の縁語である。飛の字によって心の働きを見せている。
h769 長江二首
永泰元年 765年 54歳
第一首は長江のながれの東海に帰することを説き、盗賊の其の義を知らぬことをいい、自己の帰心の翻浪に似ていることをのべて結びとした。永泰元年雲安にあっての作。
1 眾水會涪萬,瞿塘爭一門。朝宗人共挹,盜賊爾誰尊。
孤石隱如馬,高蘿垂飲猿。歸心異波浪,何事即飛翻。
2 浩浩終不息,乃知東極臨。眾流歸海意,萬國奉君心。
色借瀟湘闊,聲驅灩澦深。未辭添霧雨,接上遇衣襟。
(長江,二首の一)
衆水 涪 万に会し、瞿塘 一門を争う。
朝宗 人 共に拇り、盗賊 爾をば 誰か尊ばん。
孤石隱れて 馬の如し、高蘿に飲猿垂る。
帰心は 波浪に異なり、何事ぞ即ち飛翻するや。