巴地の人々は、いつも小さな兵乱を起している、蜀の節度使軍の使者でさえともすると帰ってこないことがあるのである。こんな時、自分は歳をとって老化してゆくにもかかわらず、この身一つで、船の帆を上げて飄々と百蠻の地を犯してまでの旅をせねばならないのである。(早くなおして旅立ちたい)

 
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765年永泰元年54-53 《將曉,二首之一》 杜甫index-15 杜甫<853 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ5000 

杜甫詩1500-853-1171/2500765年永泰元年54-53

 

 

年:765年永泰元年54

卷別:    卷二二九              文體:    五言律詩

詩題:    將曉,二首之一

作地點:              雲安(山南東道 / 夔州 / 雲安)

 

 

將曉,二首之一

石城除擊柝,鐵鎖欲開關。

鼓角悲荒塞,星河落曙山。

巴人常小梗,蜀使動無還。

垂老孤帆色,飄飄犯百蠻。

(雲安の病床で世の明ける時に思い付いたことをうたう。)

岩石に囲まれた塞城で、夜まわりの拍子木の音が聴こえなくなった。城門の妷の閂が射してあったが、それが、明けられようとする。

草が荒れほうだいの塞に軍営の鼓角が悲しく鳴り響く。星、銀河があけぼのの山に落ちかかってゆく。

ここ巴地の人々は、いつも小さな兵乱を起している、蜀の節度使軍の使者でさえともすると帰ってこないことがあるのである。

こんな時、自分は歳をとって老化してゆくにもかかわらず、この身一つで、船の帆を上げて飄々と百蠻の地を犯してまでの旅をせねばならないのである。(早くなおして旅立ちたい)

 

(將に曉けんとす,二首の一)

石城 擊柝【げきたく】除かる,鐵鎖 關を開かんと欲す。

鼓角 荒塞を悲しみ,星河 曙山に落つ。

巴人は常に小梗す,蜀使は動【やや】もすれば還ること無し。

老ゆるに垂【なんな】んとして 孤帆の色,飄飄として 百蠻を犯す。

 

將曉,二首之二

軍吏回官燭,舟人自楚歌。

寒沙蒙薄霧,落月去清波。

壯惜身名晚,衰慚應接多。

歸朝日簪笏,筋力定如何。
蜀中転々圖
 

『將曉,二首之一』 現代語訳と訳註解説

(本文)

將曉,二首之一

石城除擊柝,鐵鎖欲開關。

鼓角悲荒塞,星河落曙山。

巴人常小梗,蜀使動無還。

垂老孤帆色,飄飄犯百蠻。

 

(含異文)

石城除擊柝,鐵鎖欲開關。

鼓角悲荒塞,星河落曙山【星河落曉山】。

巴人常小梗,蜀使動無還。

垂老孤帆色,飄飄犯百蠻【飄飄犯白蠻】。

 

(下し文)

(將に曉けんとす,二首の一)

石城 擊柝【げきたく】除かる,鐵鎖 關を開かんと欲す。

鼓角 荒塞を悲しみ,星河 曙山に落つ。

巴人は常に小梗す,蜀使は動【やや】もすれば還ること無し。

老ゆるに垂【なんな】んとして 孤帆の色,飄飄として 百蠻を犯す。

瞿塘峡001 

(現代語訳)

(雲安の病床で世の明ける時に思い付いたことをうたう。)

岩石に囲まれた塞城で、夜まわりの拍子木の音が聴こえなくなった。城門の妷の閂が射してあったが、それが、明けられようとする。

草が荒れほうだいの塞に軍営の鼓角が悲しく鳴り響く。星、銀河があけぼのの山に落ちかかってゆく。

ここ巴地の人々は、いつも小さな兵乱を起している、蜀の節度使軍の使者でさえともすると帰ってこないことがあるのである。

こんな時、自分は歳をとって老化してゆくにもかかわらず、この身一つで、船の帆を上げて飄々と百蠻の地を犯してまでの旅をせねばならないのである。(早くなおして旅立ちたい)

 

(訳注)

將曉,二首之一

(雲安の病床で世の明ける時に思い付いたことをうたう。)

吐蕃と回紇が朝廷の不安定さに付け込んで、西域の各地を脅かしていて、成都は最も不安定の国境地帯であり、雲安は南と西の脅威から東に対しての西の防衛地点であったから、病床に遭有った杜甫の耳にも情報が入ってきたことに対してこの詩を述べている。このころ、渝州、開州の刺史殺害事件がある。

 

石城除擊柝,鐵鎖欲開關。

岩石に囲まれた塞城で、夜まわりの拍子木の音が聴こえなくなった。城門の妷の閂が射してあったが、それが、明けられようとする。

石城 雲安には大小の天然の要塞である石城山があったという。

除擊柝 夜まわりの拍子木の音が聴こえなくなった。夜空が白じんで来たことを意味する。

鐵鎖 日が沈む時に城門の閂をかけ、夜明ければ、城門の閂をあける。

 

鼓角悲荒塞,星河落曙山。

草が荒れほうだいの塞に軍営の鼓角が悲しく鳴り響く。星、銀河があけぼのの山に落ちかかってゆく。

鼓角 夜明けに伴い角笛と、整列、点呼の太鼓と打ち鳴らすこと。

荒塞 兵乱が続いていることで、綺麗な状態にするゆとりがない荒れ果てた城塞をいう。

星河 星、銀河。

 

巴人常小梗,蜀使動無還。

ここ巴地の人々は、いつも小さな兵乱を起している、蜀の節度使軍の使者でさえともすると帰ってこないことがあるのである。

巴人 巴は現在の四川省の東部分保寧・重慶方面のことで、閬州、渝州、夔州をいう。

小梗 渝州、開州の刺史殺害事件、などのこと。

蜀使 使は節度使、兵馬使の騒乱をいう。剣南東川節度使兵馬使段子璋の乱、剣南西川節度使兵馬使徐知道の乱と杜甫が成都に入ってたてつづけに起こり、蜀中転々とした苦い思いがある。

無還 任地で殺され、朝廷に帰ることが出来なかったことをいう。

 

垂老孤帆色,飄飄犯百蠻。

こんな時、自分は歳をとって老化してゆくにもかかわらず、この身一つで、船の帆を上げて飄々と百蠻の地を犯してまでの旅をせねばならないのである。(早くなおして旅立ちたい)

垂老 歳をとって老化してゆくこと。特にこの地で喘息と通風で動けなかったので、老いを特に感じていたのだろう。

孤帆色 身一つで、船の帆を上げて船出しようという気持ち。

犯百蠻 南蛮の地に接した地点であり、異民族の間にいることをいう。
巫山十二峰004