杜甫《石研詩》-1その掘り出したままで、まだ磨いていないというだけであって、それは禹が黄河の土木工事をしたときのあまりものとみたいなものである、その石は不思議な形状であり、それを認めるのは、平公ただ一人であった。

 

 
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766年大暦元年55-5-1 《石研詩【自注:平侍御者。】 -#1》 杜甫index-15 杜甫<868-1> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ5155

 

杜甫詩1500-868-1-1202/2500 766年大暦元年55-5-1

 

 

年:766年大暦元年55

卷別:    卷二二一              文體:    五言古詩

詩題:    石研詩〔平侍御者。〕

作地點:              雲安(山南東道 / 夔州 / 雲安)

及地點:              明光殿 (京畿道 京兆府 長安)           

 

 

石研詩〔平侍御者。〕

(侍御史の平某という者が石の硯を得たのでそれを見て詠ったもの)

平公今詩伯,秀發吾所羨。

侍御史の平公は詩の仲間の長の役をしている。その才華の優れていて詩にあらわされていることは、実に羨ましいことである。

奉使三峽中,長嘯得石研。

平公はこの地、三峡の中で使命を奉じられているのであるが、作った詩を長く引っ張って嘯いているうちに石の硯を手に入れたのである。

巨璞禹鑿餘,異狀君獨見。

その掘り出したままで、まだ磨いていないというだけであって、それは禹が黄河の土木工事をしたときのあまりものとみたいなものである、その石は不思議な形状であり、それを認めるのは、平公ただ一人であった。

其滑乃波濤,其光或雷電。

その石の滑らかな事は波濤の如くであり、その石の目が光っているのは、雷電のようである。

聯坳各盡墨,多水遞隱現。

石の窪みは次々連なり、それぞれに磨り具合の違った墨をため、また多くの水気がたがいに見え隠れして潤っている。

 

揮灑容數人,十手可對面。

比公頭上冠,貞質未為賤。

當公賦佳句,況得終清宴。

公含起草姿,不遠明光殿。

致於丹青地,知汝隨顧眄。

 

(石研詩〔平 侍御なる者なり。〕)-1

平公は今の詩伯なり,秀發 吾が羨む所なり。

使を奉ず三峽の中,長嘯 石研を得たり。

巨璞 禹の鑿餘【さくよ】,異狀 君 獨り見る。

其の滑は乃ち波濤なり,其の光は或いは雷電なり。

聯坳【れんおう】各の墨を盡し,多水 遞【たがい】に隱現【いんけん】す。

 -2

揮灑【きさい】數人を容る,十手 面に對す可し。

公が頭上の冠を比し,貞質 未だ賤しと為す。

公が佳句を賦すに當って,況んや清宴を終【しま】うを得るをや。

公の起草の姿を含む,遠からず 明光殿。

丹青の地に致されん,知る 汝が顧眄【こべん】に隨うことを。

 

 

 

『石研詩』-1 現代語訳と訳註解説

(本文)

石研詩〔平侍御者。〕

平公今詩伯,秀發吾所羨。

奉使三峽中,長嘯得石研。

巨璞禹鑿餘,異狀君獨見。

其滑乃波濤,其光或雷電。

聯坳各盡墨,多水遞隱現。

 

(下し文)

(石研詩〔平 侍御なる者なり。〕)

平公は今の詩伯なり,秀發 吾が羨む所なり。

使を奉ず三峽の中,長嘯 石研を得たり。

巨璞 禹の鑿餘【さくよ】,異狀 君 獨り見る。

其の滑は乃ち波濤なり,其の光は或いは雷電なり。

聯坳【れんおう】各の墨を盡し,多水 遞【たがい】に隱現【いんけん】す。

 

(現代語訳)

(侍御史の平某という者が石の硯を得たのでそれを見て詠ったもの)

侍御史の平公は詩の仲間の長の役をしている。その才華の優れていて詩にあらわされていることは、実に羨ましいことである。

平公はこの地、三峡の中で使命を奉じられているのであるが、作った詩を長く引っ張って嘯いているうちに石の硯を手に入れたのである。

その掘り出したままで、まだ磨いていないというだけであって、それは禹が黄河の土木工事をしたときのあまりものとみたいなものである、その石は不思議な形状であり、それを認めるのは、平公ただ一人であった。

その石の滑らかな事は波濤の如くであり、その石の目が光っているのは、雷電のようである。

石の窪みは次々連なり、それぞれに磨り具合の違った墨をため、また多くの水気がたがいに見え隠れして潤っている。

 

 

(訳注)

石研詩〔平侍御者。〕

(侍御史の平某という者が石の硯を得たのでそれを見て詠ったもの)

 

平公今詩伯,秀發吾所羨。

侍御史の平公は詩の仲間の長の役をしている。その才華の優れていて詩にあらわされていることは、実に羨ましいことである。

詩伯 詩の仲間の長の役をしている。

秀發 才華の優れていて詩にあらわされていること。

 

奉使三峽中,長嘯得石研。

平公はこの地、三峡の中で使命を奉じられているのであるが、作った詩を長く引っ張って嘯いているうちに石の硯を手に入れたのである。

長嘯 作った詩を長く引っ張って嘯いていること。閑適であることをいう。

 

巨璞禹鑿餘,異狀君獨見。

その掘り出したままで、まだ磨いていないというだけであって、それは禹が黄河の土木工事をしたときのあまりものとみたいなものである、その石は不思議な形状であり、それを認めるのは、平公ただ一人であった。

巨璞 おおきなあらたま。璞:掘り出したままで、まだ磨いていない玉。その真価や完成された姿をまだ発揮していないが、素質のある人。「

禹鑿餘 禹が黄河の土木工事をした才であっても余力を残していたということ。

 

其滑乃波濤,其光或雷電。

その石の滑らかな事は波濤の如くであり、その石の目が光っているのは、雷電のようである。

其滑 硯の墨を磨る部分をいう。

其光 硯石にある目のような、黒い石部分に稲妻のように光があることをいう。

 

聯坳各盡墨,多水遞隱現。

石の窪みは次々連なり、それぞれに磨り具合の違った墨をため、また多くの水気がたがいに見え隠れして潤っている。

聯坳 硯の海にあたるところが、いくつも連なっている。

各盡墨 墨を磨って、する具合を変えて窪みにそれぞれ違い色にする。

多水 水だけの所も多くあって潤っている。