杜甫《巻15-61 楊監又出畫鷹十二扇 -#1》(殿中監楊君が叉十二枚のついたての鷹の画をだしてみせた。その事をよんだ詩。)ちかごろ馮紹正といふ者が能く猛鳥のさまをえがいた。
766年大暦元年55歲-22-1奉節-14 《巻15-61 楊監又出畫鷹十二扇 -#1》 杜甫index-15 杜甫<885-1> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ5370
杜甫詩1500-885-1-1245/2500766年大暦元年55歲-22-1
年:766年大暦元年55歲
卷別: 卷二二一 文體: 五言古詩
詩題: 楊監又出畫鷹十二扇
寫及地點:驪山 (京畿道 京兆府 驪山) 別名:東山
大明宮 (京畿道 京兆府 長安) 別名:永安宮、蓬萊宮、含元殿、蓬萊殿
交遊人物:楊炎 當地交遊(山南東道 夔州 夔州)
【同時期関連性のあるもの】
<!--[if !supportLists]-->① <!--[endif]-->巻15-41 毒熱寄簡崔評事十六弟(大暦元年初秋、残暑が厳しくたまらない暑さの中、従弟の評事官である徘行13の崔公輔より年少の徘行16の内弟崔某にこの詩を手紙として送った)
<!--[if !supportLists]-->② <!--[endif]-->巻15-60 殿中楊監見示張旭草書圖(朝廷の殿中省の高官の楊が菱州の地に立ち寄った際、張旭の草書図を見せてくれたので、お礼に詠んだもの)【《毒熱寄簡崔評事十六弟》と同様、朝廷によろしく計らってくれという意味を含んだ詩である】
<!--[if !supportLists]-->③ <!--[endif]-->巻15-61 楊監又出畫鷹十二扇
<!--[if !supportLists]-->④ <!--[endif]-->巻15-62 送殿中楊監赴蜀見相公
<!--[if !supportLists]-->⑤ <!--[endif]-->巻15-63 贈李十五丈別
③楊監又出畫鷹十二扇#1
(殿中監楊君が叉十二枚のついたての鷹の画をだしてみせた。その事をよんだ詩。)
近時馮紹正,能畫鷙鳥樣。
ちかごろ馮紹正といふ者が能く猛鳥のさまをえがいた。
明公出此圖,無乃傳其狀。
いま君がもちだした圖は馮紹正の画の模写と添え書きで世に伝えるものである。
いま君がもちだした圖は馮紹正の画の模写と添え書きで世に伝えるものである。
殊姿各獨立,清絕心有向。
非凡な姿が十二枚それぞれ濁立しており、鷹のすみきったこころはなにか目的物をねらっている様だ。
疾禁千里馬,氣敵萬人將。
この鷹のはやいことは千里の馬にも相当するであろう。鷹の意気は萬人の大勝にも匹敵するであろう。
憶昔驪山宮,冬移含元仗。
これにつけておもいだすは冬になると玄宗皇帝は含元殿から儀仗を驪山の華清官へおうつしになった。
#2
天寒大羽獵,此物神俱王。
當時無凡材,百中皆用壯。
粉墨形似間,識者一惆悵。
干戈少暇日,真骨老崖嶂。
為君除狡兔,會是翻韝上。
(楊監 又た出畫鷹十二扇をだす。)#1
近時の馮紹正,能く鷙鳥の樣を畫く。
明公 此の圖を出だして,乃ち其の狀を傳うること無からん。
殊姿 各の獨立し,清絕 心 向うこと有り。
疾 禁す 千里の馬,氣 敵す 萬人の將。
憶う昔 驪山の宮,冬移す含元の仗。
#2
天 寒くして大いに羽獵【うりょう】す,此の物は 神と俱に王【さかん】にす。
當時 凡材無く,百中 皆 壯なるを用う。
粉墨 形似の間,識者 一つに惆悵す。
干戈 暇日少くし,真骨 崖嶂に老ゆ。
君が為に狡兔を除き,會【かなら】ず是れ韝上【こうじょう】に翻えらん。
(含異文)
近時馮紹正【:官少府監,善畫鷹鳥。】,能畫鷙鳥樣。明公出此圖,無乃傳其狀。殊姿各獨立,清絕心有向【清絕心有尚】。疾禁千里馬,氣敵萬人將。憶昔驪山宮,冬移含元仗。天寒大羽獵,此物神俱王。當時無凡材,百中皆用壯。粉墨形似間,識者一惆悵。干戈少暇日,真骨老崖嶂。為君除狡兔,會是翻韝上【會是飛韝上】。
『楊監又出畫鷹十二扇』 現代語訳と訳註解説
(本文)
楊監又出畫鷹十二扇#1
近時馮紹正,能畫鷙鳥樣。
明公出此圖,無乃傳其狀。
殊姿各獨立,清絕心有向。
疾禁千里馬,氣敵萬人將。
憶昔驪山宮,冬移含元仗。
(下し文)
(楊監 又た出畫鷹十二扇をだす。)#1
近時の馮紹正,能く鷙鳥の樣を畫く。
明公 此の圖を出だして,乃ち其の狀を傳うること無からん。
殊姿 各の獨立し,清絕 心 向うこと有り。
疾 禁す 千里の馬,氣 敵す 萬人の將。
憶う昔 驪山の宮,冬移す含元の仗。
(現代語訳)
(殿中監楊君が叉十二枚のついたての鷹の画をだしてみせた。その事をよんだ詩。)
ちかごろ馮紹正といふ者が能く猛鳥のさまをえがいた。
いま君がもちだした圖は馮紹正の画の模写と添え書きで世に伝えるものである。
非凡な姿が十二枚それぞれ濁立しており、鷹のすみきったこころはなにか目的物をねらっている様だ。
この鷹のはやいことは千里の馬にも相当するであろう。鷹の意気は萬人の大勝にも匹敵するであろう。
これにつけておもいだすは冬になると玄宗皇帝は含元殿から儀仗を驪山の華清官へおうつしになった。
(訳注)
楊監又出畫鷹十二扇#1
(殿中監楊君が叉十二枚のついたての鷹の画をだしてみせた。その事をよんだ詩。)
楊 朝廷の高官の楊殿中監が菱州の地に立ち寄ったもの。
屏風のように十二曲の衝立のよなもの。
近時馮紹正,能畫鷙鳥樣。
ちかごろ馮紹正といふ者が能く猛鳥のさまをえがいた。
馮紹正 開元八年に戶部侍郎となる。鷹、鶻雞、雉を画いた作品が多い。開元2年 714年 正月、教坊を蓬莱宮側におき、玄宗みずから法曲を教授す、これを梨園の弟子という。天宝6載 747年 天下に詔して、一芸に通ずるものを長安に集めて試験す。馮紹正がその中の一人であったこと。唐の張彥遠の《歷代名畫記‧唐朝上、巻九》に「馮紹正 開元中任少府監, 八年為戶部侍郎。 尤善鷹鶻雞雉, 盡其形態, 觜眼腳爪毛彩俱妙。曾於禁中畫五龍堂,亦稱其善,有降雲蓄雨之感。」とある。
鷙鳥 猛鳥。
明公出此圖,無乃傳其狀。
いま君がもちだした圖は馮紹正の画の模写と添え書きで世に伝えるものである。
明公 楊殿中監のこと。
傳其狀 馮紹正の画の模写と添え書きで世に伝える。。
殊姿各獨立,清絕心有向。
非凡な姿が十二枚それぞれ濁立しており、鷹のすみきったこころはなにか目的物をねらっている様だ。
清絕 神気のすみきっているをいう。
心有向 鷹の心が或る目的に向つていることをいう。
疾禁千里馬,氣敵萬人將。
この鷹のはやいことは千里の馬にも相当するであろう。鷹の意気は萬人の大勝にも匹敵するであろう。
疾禁 眼にもとまらないほど速く走ること。
憶昔驪山宮,冬移含元仗。
これにつけておもいだすは冬になると玄宗皇帝は含元殿から儀仗を驪山の華清官へおうつしになった。