杜甫 奉節-24  《巻15-49 雨,二首之一》日が陰った状態が長く続いているから、水の淵の深い所に蛟龍が出てきて船が転覆するかもしれないし、海賊や山賊、戦の残党兵などがどれほどいるかもしれないけれど、水の流れが速いので、怖いのはそれほど長く続くものではない。

 

 
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 ●杜甫の全作品1500首を訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。" 
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杜甫詩1500-897-1272/2500766年大暦元年55-33

 

 

 

 

 

 

 

 

 

杜少陵集

詩題

記事

 


ID

初句

作時

1

15

47


峽雲行清曉

766

2

15

48


行雲遞崇高,

766

3

15

49

雨二首之一

青山澹無姿,

766

4

15

50

雨二首之二

空山中宵陰,

766

5

15

55


萬木雲深隱

767

6

15

60


始賀天休雨,

767

 

 

 

 

 

 

 

 

 

年:766年大暦元年55

卷別:    卷二二一              文體:    五言古詩

詩題:    雨,二首之一

作地點:              夔州(山南東道 / 夔州 / 夔州)

 

 

1549 雨,二首之一

(強い雨が降り続いて、足止めをされた旅の者が風雨が止んで曇り空、時折小雨が降る程度で船出していったのを詠う。)

青山澹無姿,白露誰能數。

遠くかすむ山々がさらに霧雨でぼんやりとして姿が見えない。枝や葉っぱに雨の雫がのこるが、それは誰も数えきれるものではない。足止めされていた客を送る人が多く涙を流す人も多く何人いるのか此れも数えられない。

片片水上雲,蕭蕭沙中雨。

空の雨雲も薄くなって水の上には、行く雲が片片とうごくけれど、渡し場付近の砂浜にはさらさらと霧雨が降っている。

殊俗狀巢居,曾臺俯風渚。

ここ南の異文化風俗は変わっていて、木の上に巣を作るような住居があり、見下ろして生活しているが、私の住居も高台にあり、これらの風俗や、渚の出来事も上から見下ろしているのである。

佳客適萬里,沈思情延佇。

足止めを食らっていたこの地にとって良い旅人達が、瞿塘峡・三峡を下って万里の先に往こうとしているし、別れを惜しんで深く沈みこみ別れの情に耐え切れずじっと立ち止まって眺めている。

挂帆遠色外,驚浪滿楚。

暫くすると帆を高く掲げた船は、遠くの山影の向うに姿を消してゆく。呉楚に往くまでには、三峡の驚くほどの波が嫌というほどたくさんあるのである。

久陰蛟螭出,寇盜復幾許。

日が陰った状態が長く続いているから、水の淵の深い所に蛟龍が出てきて船が転覆するかもしれないし、海賊や山賊、戦の残党兵などがどれほどいるかもしれないけれど、水の流れが速いので、怖いのはそれほど長く続くものではない。

 

1549(雨,二首の一)

青山 澹として姿無く,白露 誰か能く數えん。

片片たり 水上の雲,蕭蕭たり 沙中の雨。

殊俗なり 巢居に狀たるを,曾臺より 風渚を俯す。

佳客 萬里に適き,沈思して 情延に佇す。

帆を挂いて遠色の外,浪に驚いて 楚に滿つ。

久しく陰り 蛟螭出づ,寇盜 復た幾許【いくばく】ぞ。

 

(含異文)

青山澹無姿,白露誰能數。

片片水上雲,蕭蕭沙中雨。

殊俗狀巢居,曾臺俯風渚【曾臺附風渚】。

佳客適萬里,沈思情延佇。

挂帆遠色外,驚浪滿楚。

久陰蛟螭出,寇盜復幾許【冠蓋復幾許】。

 

夔州東川卜居図詳細 001 

『雨,二首之一』 現代語訳と訳註解説
(
本文)

雨,二首之一

青山澹無姿,白露誰能數。

片片水上雲,蕭蕭沙中雨。

殊俗狀巢居,曾臺俯風渚。

佳客適萬里,沈思情延佇。

挂帆遠色外,驚浪滿楚。

久陰蛟螭出,寇盜復幾許。


(下し文)
(雨,二首の一)

青山 澹として姿無く,白露 誰か能く數えん。

片片たり 水上の雲,蕭蕭たり 沙中の雨。

殊俗なり 巢居に狀たるを,曾臺より 風渚を俯す。

佳客 萬里に適き,沈思して 情延に佇す。

帆を挂いて遠色の外,浪に驚いて 楚に滿つ。

久しく陰り 蛟螭出づ,寇盜 復た幾許【いくばく】ぞ。


(現代語訳)
(強い雨が降り続いて、足止めをされた旅の者が風雨が止んで曇り空、時折小雨が降る程度で船出していったのを詠う。)

遠くかすむ山々がさらに霧雨でぼんやりとして姿が見えない。枝や葉っぱに雨の雫がのこるが、それは誰も数えきれるものではない。足止めされていた客を送る人が多く涙を流す人も多く何人いるのか此れも数えられない。

空の雨雲も薄くなって水の上には、行く雲が片片とうごくけれど、渡し場付近の砂浜にはさらさらと霧雨が降っている。

ここ南の異文化風俗は変わっていて、木の上に巣を作るような住居があり、見下ろして生活しているが、私の住居も高台にあり、これらの風俗や、渚の出来事も上から見下ろしているのである。

足止めを食らっていたこの地にとって良い旅人達が、瞿塘峡・三峡を下って万里の先に往こうとしているし、別れを惜しんで深く沈みこみ別れの情に耐え切れずじっと立ち止まって眺めている。

暫くすると帆を高く掲げた船は、遠くの山影の向うに姿を消してゆく。呉楚に往くまでには、三峡の驚くほどの波が嫌というほどたくさんあるのである。

日が陰った状態が長く続いているから、水の淵の深い所に蛟龍が出てきて船が転覆するかもしれないし、海賊や山賊、戦の残党兵などがどれほどいるかもしれないけれど、水の流れが速いので、怖いのはそれほど長く続くものではない。

蜀中転々圖
(訳注)

雨,二首之一

(強い雨が降り続いて、足止めをされた旅の者が風雨が止んで曇り空、時折小雨が降る程度で船出していったのを詠う。)

 

青山澹無姿,白露誰能數。

遠くかすむ山々がさらに霧雨でぼんやりとして姿が見えない。枝や葉っぱに雨の雫がのこるが、それは誰も数えきれるものではない。足止めされていた客を送る人が多く涙を流す人も多く何人いるのか此れも数えられない。

青山 遠くかすむ山々。遠近法を詠う。

白露 枝や葉っぱに雨の雫がのこる。或は霧雨という所か。

 

片片水上雲,蕭蕭沙中雨。

空の雨雲も薄くなって水の上には、行く雲が片片とうごくけれど、渡し場付近の砂浜にはさらさらと霧雨が降っている。

蕭蕭 さらさらと霧雨が降る。

 

殊俗狀巢居,曾臺俯風渚。

ここ南の異文化風俗は変わっていて、木の上に巣を作るような住居があり、見下ろして生活しているが、私の住居も高台にあり、これらの風俗や、渚の出来事も上から見下ろしているのである。

殊俗 南の異文化風俗は変わっていること。

狀巢居 木の上に巣を作るような住居があるということ。長安、中原では、つちを固めた家に住むか、洞窟、土洞の家が多いので、木の上に住むというのに驚いたということ。

曾臺 杜甫の住居が高台にあるということ。

風渚 風俗や、渚の出来事も上から見下ろしているので、この詩の位置関係を示す二句である。

 

佳客適萬里,沈思情延佇。

足止めを食らっていたこの地にとって良い旅人達が、瞿塘峡・三峡を下って万里の先に往こうとしているし、別れを惜しんで深く沈みこみ別れの情に耐え切れずじっと立ち止まって眺めている。

佳客 杜甫の家に来た客ではなく、この港に足止めをされていた、この地にお金を落してゆく宵お客ということ。

延佇 長い時間渚に佇んでいる状態をいう。

 

挂帆遠色外,驚浪滿楚。

暫くすると帆を高く掲げた船は、遠くの山影の向うに姿を消してゆく。呉楚に往くまでには、三峡の驚くほどの波が嫌というほどたくさんあるのである。

遠色外 遠くの山影の向うに姿を消してゆく。奉節は水駅であり、ここから数十里先を見に曲ると瞿塘峡がある。そこまでは帆をかけてゆっくりと舟は進む。この日は霧雨で見えなくなったのであるのだろうか、山陰に隠れて見えなくなったのか遠く霞んでいる状態をいう。

 ここでは三峡を下り終えて、進んだ、呉は江蘇省、楚は湖北省を指す。

 

久陰蛟螭出,寇盜復幾許。

日が陰った状態が長く続いているから、水の淵の深い所に蛟龍が出てきて船が転覆するかもしれないし、海賊や山賊、戦の残党兵などがどれほどいるかもしれないけれど、水の流れが速いので、怖いのはそれほど長く続くものではない。

蛟螭出 水の淵の深い所に蛟龍が出てきて船が転覆するかもしれないということ。蛟龍は淵の奥深いところに潜んでいるとされた。三峡の危険なことをいう。

寇盜 三峡を過ぎたあたりで出没する、海賊や山賊、戦の残党兵などにより、強盗、略奪があるかもしれないということ。

復幾許 通常は距離をいうのに「幾ばく」を用いるが、三峡の流れが速く一気呵成に下るので、水の流れが速いので、怖いのはそれほど長く続くものではないというほどの意。
 杜甫55歳756年作品