杜甫  船下夔州郭宿,雨不得上岸,別王十二判官  

依沙宿舸船,石瀨月娟娟。風起春燈亂,江鳴夜雨懸。

晨鐘雲外,勝地石堂煙。柔櫓輕鷗外,含悽覺汝賢。
(自分の船が夔州に向けて下ろうとしている時、雲安の城の外、くるわで船を繋留した。その時雨が降ってきて、地面が濡れたので上陸できなかった、そこでこの詩を作って王判官に別れを告げたのである。)

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杜甫詩1500-932-1430/2500

年:766年大暦元年55

卷別:    卷二二九              文體:    五言律詩

詩題:    船下夔州郭宿,雨不得上岸,別王十二判官【船下夔州郭宿,雨不得上岸,別王二十判官】

及地點:              夔州 (山南東道 夔州 夔州) 別名:夔府、信州、夔國  

交遊人物:王十二判官       當地交遊(山南東道 夔州 雲安)

 

 

船下州郭宿,雨不得上岸,別王十二判官【船下夔州郭宿,雨不得上岸,別王二十判官】

(自分の船が夔州に向けて下ろうとしている時、雲安の城の外、くるわで船を繋留した。その時雨が降ってきて、地面が濡れたので上陸できなかった、そこでこの詩を作って王判官に別れを告げたのである。)

依沙宿舸船,石瀨月娟娟。

自分たちの乗る大船は沙はらのそばでとまっている。石の多い浅瀬には月の光がきらきらうつくしくうごいている。

風起春燈亂,江鳴夜雨懸。

やがて風が吹きおこって船につるしてある春の燈がみだれうごき、江の水音がどうっと鳴って夜の雨が高く懸ってきた。

晨鐘雲外勝地石堂煙。

そのうちに晨の鐘がなりわたってきたが雲のいる岸辺は、しめっている。あなたのおられる景色のよい場所、石堂のあたりは煙って目もとどかぬ。

柔櫓輕外,含悽覺汝賢。

わたしはこのまま軽やかに泛んでいる鴎をとおりぬけて柔かに櫓の音をさせて夔州へいってしまう。別れるにあたってものがなしさが胸にこもり、ただただ日ごろのあなたの賢かりしことがしみじみと感ぜられるのである。

 

(船 に下るとき郭宿す,雨にいて岸に上るを得ず,王十二判官に別る)

沙に依りて 舸船に宿す,石瀨 月 娟娟たり。

風 起りて 春燈亂れ,江 鳴りて 夜雨懸る。

晨鐘 雲外勝地 石堂煙る。

柔櫓 輕の外,含悽 汝が賢なるを覺ゆ。

 

夔州東川卜居図詳細 001 

『船下夔州郭宿,雨不得上岸,別王十二判官』 現代語訳と訳註解説
(
本文)

船下夔州郭宿,雨不得上岸,別王十二判官【船下夔州郭宿,雨不得上岸,別王二十判官】

依沙宿舸船,石瀨月娟娟。

風起春燈亂,江鳴夜雨懸。

晨鐘雲外,勝地石堂煙。

柔櫓輕鷗外,含悽覺汝賢。

(下し文)
(
船 夔州に下るとき郭宿す,雨にいて岸に上るを得ず,王十二判官に別る)

沙に依りて 舸船に宿す,石瀨 月 娟娟たり。

風 起りて 春燈亂れ,江 鳴りて 夜雨懸る。

晨鐘 雲外い,勝地 石堂煙る。

柔櫓 輕鷗の外,含悽 汝が賢なるを覺ゆ。

(現代語訳)
(自分の船が夔州に向けて下ろうとしている時、雲安の城の外、くるわで船を繋留した。その時雨が降ってきて、地面が濡れたので上陸できなかった、そこでこの詩を作って王判官に別れを告げたのである。)

自分たちの乗る大船は沙はらのそばでとまっている。石の多い浅瀬には月の光がきらきらうつくしくうごいている。

やがて風が吹きおこって船につるしてある春の燈がみだれうごき、江の水音がどうっと鳴って夜の雨が高く懸ってきた。

そのうちに晨の鐘がなりわたってきたが雲のいる岸辺は、しめっている。あなたのおられる景色のよい場所、石堂のあたりは煙って目もとどかぬ。

わたしはこのまま軽やかに泛んでいる鴎をとおりぬけて柔かに櫓の音をさせて夔州へいってしまう。別れるにあたってものがなしさが胸にこもり、ただただ日ごろのあなたの賢かりしことがしみじみと感ぜられるのである。


(訳注)

船下夔州郭宿,雨不得上岸,別王十二判官【船下夔州郭宿,雨不得上岸,別王二十判官】

(自分の船が夔州に向けて下ろうとしている時、雲安の城の外、くるわで船を繋留した。その時雨が降ってきて、地面が濡れたので上陸できなかった、そこでこの詩を作って王判官に別れを告げたのである。)

郭宿 雲安の城の外、くるわで船を繋留した。

上岸 上陸すること。

王十二判官 母方の従兄弟で成都尹であった王判官。 

694 《送王十五判官扶侍還黔中〔得開字。〕》 蜀中転々 杜甫 <601  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3315 杜甫詩1000-601-857/1500

 

依沙宿舸船,石瀨月娟娟。

自分たちの乗る大船は沙はらのそばでとまっている。石の多い浅瀬には月の光がきらきらうつくしくうごいている。

舸船 大型船。

石瀨 石が多い早瀬。

月娟娟 月の光がきらきらうつくしくうごいている。

 

風起春燈亂,江鳴夜雨懸。

やがて風が吹きおこって船につるしてある春の燈がみだれうごき、江の水音がどうっと鳴って夜の雨が高く懸ってきた。

春燈 船につるしている燈火。

 たかく遠くにかかる。

 

晨鐘雲外勝地石堂煙。

そのうちに晨の鐘がなりわたってきたが雲のいる岸辺は、しめっている。あなたのおられる景色のよい場所、石堂のあたりは煙って目もとどかぬ。

晨鐘 朝方の鐘の音。

雲外 雲が横たわっている江外の岸が雨に濡れている。

勝地 風光明美な場所。

石堂 石造りの御堂。

 雨が降って川面が煙っている様相。

 

柔櫓輕鷗外,含悽覺汝賢。

わたしはこのまま軽やかに泛んでいる鴎をとおりぬけて柔かに櫓の音をさせて夔州へいってしまう。別れるにあたってものがなしさが胸にこもり、ただただ日ごろのあなたの賢かりしことがしみじみと感ぜられるのである。

柔櫓 柔らかに舟をこいでいること。

輕鷗外 軽やかに水に浮いているカモメの側に。

含悽覺 物悲しさを胸の内に持つ。

汝賢 汝は、王判官をさす。日ごろのあなたの賢かりしこと。

 

 

(船 に下るとき郭宿す,雨にいて岸に上るを得ず,王十二判官に別る)

沙に依りて 舸船に宿す,石瀨 月 娟娟たり。

風 起りて 春燈亂れ,江 鳴りて 夜雨懸る。

晨鐘 雲外勝地 石堂煙る。

柔櫓 輕の外,含悽 汝が賢なるを覺ゆ。
杜甫55歳756年作品