杜甫  夜宿西閣曉呈元二十一曹長  

城暗更籌急,樓高雨雪微。稍通綃幕霽,遠帶玉繩稀。

門鵲晨光起,牆烏宿處飛。寒江流甚細,有意待人歸。
(ある夜、西閣に泊まって、翌曉に、元曹長に贈呈した詩、“元曹長”に向って歸心の切なるを訴える。)城は昏くて漏刻の浮箭の音が急いだように聞こえてきて、楼の高い処には雨交じりの雪がかすかになってくる。次第、次第に薄絹のとばり幕に雨晴霽の色が通るようになり、遠く玉繩星も稀少なかげさえおびるようになる。城門に飛ぶカササギは晨の光に起きだしてきた、帆柱に泊まった烏は、元曹長の泊まったところで飛び立つ。長江の冬の寒々とした流れははなはだか細い流れであるけれども、それでも故郷に帰ろうとする意志を持ち続けるものにとって、帰る意思は変わるものではないのである。

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杜甫詩1500-935-1433/2500

年:766年大暦元年55-

卷別:    卷二二九              文體:    五言律詩

詩題:    夜宿西閣曉呈元二十一曹長

作地點:              奉節(山南東道 夔州 奉節)

及地點:              西閣 (山南東道 夔州 奉節)              

交遊人物:元二十一曹長    書信往來

 

 

夜宿西閣曉呈元二十一曹長

(ある夜、西閣に泊まって、翌曉に、元曹長に贈呈した詩、“元曹長”に向って歸心の切なるを訴える。)

城暗更籌急,樓高雨雪微。

城は昏くて漏刻の浮箭の音が急いだように聞こえてきて、楼の高い処には雨交じりの雪がかすかになってくる。

稍通幕霽,遠帶玉繩稀。

次第、次第に薄絹のとばり幕に雨晴霽の色が通るようになり、遠く玉繩星も稀少なかげさえおびるようになる。

門鵲晨光起,牆烏宿處飛。

城門に飛ぶカササギは晨の光に起きだしてきた、帆柱に泊まった烏は、元曹長の泊まったところで飛び立つ。

寒江流甚細,有意待人歸。

長江の冬の寒々とした流れははなはだか細い流れであるけれども、それでも故郷に帰ろうとする意志を持ち続けるものにとって、帰る意思は変わるものではないのである。

 

(夜 西閣に宿し 曉 元二十一曹長に呈す)

城 暗くして更籌 急なり,樓 高くして雨雪 微なり。

稍く通ず 綃幕の霽,遠く帶ぶ 玉繩 稀なるを。

門鵲 晨光に起く,牆烏 宿處に飛ぶ。

寒江 流れ 甚だ細なり,人の歸るを待つに意有り。

 

夔州東川卜居図詳細 001 

『夜宿西閣曉呈元二十一曹長』現代語訳と訳註解説
(
本文)
夜宿西閣曉呈元二十一曹長

城暗更籌急,樓高雨雪微。

稍通綃幕霽,遠帶玉繩稀。

門鵲晨光起,牆烏宿處飛。

寒江流甚細,有意待人歸。

夜宿西閣曉呈元二十一曹長(含異文)

城暗更籌急,樓高雨雪微。稍通綃幕霽,遠帶玉繩稀。門鵲晨光起【門鵲晨光喜】,牆烏宿處飛【檣烏宿處飛】。寒江流甚細,有意待人歸。

 

(下し文)
(夜 西閣に宿し 曉 元二十一曹長に呈す)

城 暗くして更籌 急なり,樓 高くして雨雪 微なり。

稍く通ず 綃幕の霽,遠く帶ぶ 玉繩 稀なるを。

門鵲 晨光に起く,牆烏 宿處に飛ぶ。

寒江 流れ 甚だ細なり,人の歸るを待つに意有り。

(現代語訳)
(ある夜、西閣に泊まって、翌曉に、元曹長に贈呈した詩、“元曹長”に向って歸心の切なるを訴える。)

城は昏くて漏刻の浮箭の音が急いだように聞こえてきて、楼の高い処には雨交じりの雪がかすかになってくる。

次第、次第に薄絹のとばり幕に雨晴霽の色が通るようになり、遠く玉繩星も稀少なかげさえおびるようになる。

城門に飛ぶカササギは晨の光に起きだしてきた、帆柱に泊まった烏は、元曹長の泊まったところで飛び立つ。

長江の冬の寒々とした流れははなはだか細い流れであるけれども、それでも故郷に帰ろうとする意志を持ち続けるものにとって、帰る意思は変わるものではないのである。

李白の足跡003
(訳注)

夜宿西閣曉呈元二十一曹長

(ある夜、西閣に泊まって、翌曉に、元曹長に贈呈した詩、“元曹長”に向って歸心の切なるを訴える。)

766年大暦元年55、夔州の作。

西閣 寓居の西閣。西閣を詩題としている同じ年の作品は以下の通り。

1713西閣雨望》、《1714西閣三度期大昌嚴明府,同宿不到》、《1715西閣,二首之一》、《1716西閣,二首之二》、《1812西閣口號》【呈元二十一。】、《1813閣夜》、《1815西閣曝日》、《1816不離西閣,二首之一》、《1817不離西閣,二首之二》、《1813閣夜》、《1717西閣夜》

元二十一曹長 もと役所の同僚であった元某人。

 

城暗更籌急,樓高雨雪微。

城は昏くて漏刻の浮箭の音が急いだように聞こえてきて、楼の高い処には雨交じりの雪がかすかになってくる。

更籌急 漏刻の浮箭の音が急いだように聞こえてくる。

 

稍通綃幕霽,遠帶玉繩稀。

次第、次第に薄絹のとばり幕に雨晴霽の色が通るようになり、遠く玉繩星も稀少なかげさえおびるようになる。

稍通 次第次第に。

綃幕霽 薄絹のとばり幕に雨晴霽の色が通るようになる

玉繩 北斗七星の第五を玉衡といい、玉衡の北の二つからなる星の名を玉衡星という。この星も動かないので沈んでいかないし、低くならない。銀の燭台の蝋燭の芯が燃え尽きて低くなる方が分かり易い。・玉繩:玉縄星。二つからなる星の名。玉衡の北にある

溫庭筠《0119更漏子六首其五》「銀燭盡,玉繩低,一聲村落雞。」そこには、座敷に一人、銀燭台の蝋燭をつけたまま官妓が横たわる、輝く玉縄星も低くなり、蝋燭の芯ももうすでに短くなっていて、夜明けを告げる鶏が一番の時を知らせてくる。

『花間集』全詩訳注解説(改訂)-1溫庭筠19《更漏子六首其五》溫庭筠66首巻一19-19〉漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-5292

 

門鵲晨光起,牆烏宿處飛。

城門に飛ぶカササギは晨の光に起きだしてきた、帆柱に泊まった烏は、元曹長の泊まったところで飛び立つ。

門鵲 門の辺りに集まり、飛ぶカササギ。カササギが七夕に橋を架けて、牽牛と織女を会わせるという。わが邦では、転じて宮中の階(みはし。きざはし)を謂う(かささぎの渡せる橋に…)。つまりあの人とはまだ切れてはいない。

牆烏 帆柱にあつまり、泊まった烏。

 

寒江流甚細,有意待人歸。

長江の冬の寒々とした流れははなはだか細い流れであるけれども、それでも故郷に帰ろうとする意志を持ち続けるものにとって、帰る意思は変わるものではないのである。

流甚細 水量が少なく船の航行できる水幅が狭くなっている。

有意 変わらない意思がある。

人歸 故郷に帰ろうとする意志を持ち続けるひと。
山南東道北部唐州随州01