西閣口號【呈元二十一。】

山木抱雲稠,寒江繞上頭。雪崖纔變石,風幔不依樓。

社稷堪流涕,安危在運籌。看君話王室,感動幾銷憂。
(奉節寓居の西閣で口遊んだ詩を元曹長に呈す。)雲の抱きかかえられたように山の樹木が多く立っている、長江の冬の寒々とした流れは廻り、その山頂も廻っている。先ごろまで降っていた雪が崖の石の色を変えてしまったし、風に吹かれてあおられている幔幕は、西閣楼により附かず舞上っている。社稷のことを思えば、涕が流れるのを止めることができないほどだし、国家の安危はこの施政の政の如何にかかっている。こうして君の朝廷、王室のことを語っているのを聴いていると、ただただ、感動していくたびか、憂いを消し去ってくれるのである。

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杜甫詩1500-936-1434/2500

年:766年大暦元年55

卷別:    卷二二九              文體:    五言律詩

詩題:    西閣口號【呈元二十一。】

及地點:              西閣 (山南東道 夔州 奉節)              

 

 

西閣口號【呈元二十一。】

(奉節寓居の西閣で口遊んだ詩を元曹長に呈す。)

山木抱雲稠,寒江繞上頭。

雲の抱きかかえられたように山の樹木が多く立っている、長江の冬の寒々とした流れは廻り、その山頂も廻っている。

雪崖纔變石,風幔不依樓。

先ごろまで降っていた雪が崖の石の色を変えてしまったし、風に吹かれてあおられている幔幕は、西閣楼により附かず舞上っている。

社稷堪流涕,安危在運籌。

社稷のことを思えば、涕が流れるのを止めることができないほどだし、国家の安危はこの施政の政の如何にかかっている。

看君話王室,感動幾銷憂。

こうして君の朝廷、王室のことを語っているのを聴いていると、ただただ、感動していくたびか、憂いを消し去ってくれるのである。

 

西閣口號【呈元二十一。】

山木 雲に抱かれて稠し,寒江 上頭を繞る。

雪崖 纔かに石を變じ,風幔 樓に依らず。

社稷 流涕するに堪たり,安危 運籌に在り。

看る 君が王室を話するを,感動して 幾【いくたび】か憂を銷せん。

 

夔州東川卜居図詳細 001 

『西閣口號』 現代語訳と訳註解説
(
本文)

西閣口號【呈元二十一。】

山木抱雲稠,寒江繞上頭。

雪崖纔變石,風幔不依樓。

社稷堪流涕,安危在運籌。

看君話王室,感動幾銷憂。

(下し文)
西閣口號【呈元二十一。】

山木 雲に抱かれて稠し,寒江 上頭を繞る。

雪崖 纔かに石を變じ,風幔 樓に依らず。

社稷 流涕するに堪たり,安危 運籌に在り。

看る 君が王室を話するを,感動して 幾【いくたび】か憂を銷せん。


(現代語訳)
(奉節寓居の西閣で口遊んだ詩を元曹長に呈す。)

雲の抱きかかえられたように山の樹木が多く立っている、長江の冬の寒々とした流れは廻り、その山頂も廻っている。

先ごろまで降っていた雪が崖の石の色を変えてしまったし、風に吹かれてあおられている幔幕は、西閣楼により附かず舞上っている。

社稷のことを思えば、涕が流れるのを止めることができないほどだし、国家の安危はこの施政の政の如何にかかっている。

こうして君の朝廷、王室のことを語っているのを聴いていると、ただただ、感動していくたびか、憂いを消し去ってくれるのである。


(訳注)

西閣口號【呈元二十一。】

(奉節寓居の西閣で口遊んだ詩を元曹長に呈す。)

杜甫『夜宿西閣曉呈元二十一曹長』の続き篇。

 

山木抱雲稠,寒江繞上頭。

雲の抱きかかえられたように山の樹木が多く立っている、長江の冬の寒々とした流れは廻り、その山頂も廻っている。

寒江 長江の冬の寒々とした流れをいう。『夜宿西閣曉呈元二十一曹長』「寒江流甚細,有意待人歸。」とある

 多い事。

繞上頭 流れが廻り、その山頂も廻っている。上頭とは流れが蛇行する其の曲りの突端をいう。

 

雪崖纔變石,風幔不依樓。

先ごろまで降っていた雪が崖の石の色を変えてしまったし、風に吹かれてあおられている幔幕は、西閣楼により附かず舞上っている。

變石 風雪によって巌の色が白に変わること。

風幔 幔幕が風に翻る。西閣楼の周りに張られた幔幕であろうが舞いあがて役立たないことをいう。

 

社稷堪流涕,安危在運籌。

社稷のことを思えば、涕が流れるのを止めることができないほどだし、国家の安危はこの施政の政の如何にかかっている。

社稷 。1 古代中国で、天子や諸侯が祭った土地の神(社)と五穀の神(稷)。2 朝廷または国家。3 朝廷または国家の尊崇する神。

安危 国家の安危。

運籌 運気・法則を知る。はかりごとをめぐらせてうまく導くこと。施政の政の如何にかかっていること

 

看君話王室,感動幾銷憂。

こうして君の朝廷、王室のことを語っているのを聴いていると、ただただ、感動していくたびか、憂いを消し去ってくれるのである。

君 元二十一曹長。
山南東道北部唐州随州01