杜甫  不離西閣,二首之一  

江柳非時發,江花冷色頻。地偏應有瘴,臘近已含春。

失學從愚子,無家住老身。不知西閣意,肯別定留人。
(西閣より離れて居を移そうとしているが、なかなか依拠できないでいる事を詠う二首の一)長江の川岸の柳は季節外れの新芽を出している。江辺の花はのびのびはできないものの、頻りにそれらしい色を出そうとしている。この地は南に偏ったところだから、瘴癘の病気が蔓延する、都で臘節と云えば肌寒い早春の移り変わりの時期なのに、此処ではすでに春満開なのである。この時愚かな子供は学問をしていないので仕方がないが、この老人にとっては、此処での棲むべき家もないのであるが、これもまた仕方のないことだ。さて、この西閣の意中はどうだろうか、よくわからない、自分をこの地から別れさそうというのか、それともここへ留めおこうというのか。

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杜甫詩1500-938-1436/2500

年:766年大暦元年55

卷別:    卷二二九              文體:    五言律詩

詩題:    不離西閣,二首之一

作地點:              目前尚無資料

及地點:              西閣 (山南東道 夔州 奉節)              

 

 

不離西閣,二首之一

(西閣より離れて居を移そうとしているが、なかなか依拠できないでいる事を詠う二首の一)

江柳非時發,江花冷色頻。

長江の川岸の柳は季節外れの新芽を出している。江辺の花はのびのびはできないものの、頻りにそれらしい色を出そうとしている。

地偏應有瘴,臘近已含春。

この地は南に偏ったところだから、瘴癘の病気が蔓延する、都で臘節と云えば肌寒い早春の移り変わりの時期なのに、此処ではすでに春満開なのである。

失學從愚子,無家住老身。

この時愚かな子供は学問をしていないので仕方がないが、この老人にとっては、此処での棲むべき家もないのであるが、これもまた仕方のないことだ。

不知西閣意,肯別定留人。

さて、この西閣の意中はどうだろうか、よくわからない、自分をこの地から別れさそうというのか、それともここへ留めおこうというのか。

 

(西閣を離れず,二首の一)

江柳 非時 發し,江花 冷色 頻りなり。

地 偏にして 應に 瘴 有るなるべし,臘 近にして已に春を含む。

失學 愚子に從【まか】し,無家 老身に 住【や】む。

知らず 西閣の意,肯えて 別れしめんや 定めて人を留まらしめんや。

 

安史の乱当時の勢力図 

『不離西閣,二首之一』 現代語訳と訳註解説
(
本文)

不離西閣,二首之一

江柳非時發,江花冷色頻。

地偏應有瘴,臘近已含春。

失學從愚子,無家住老身。

不知西閣意,肯別定留人。
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不離西閣,二首之一(含異文)

江柳非時發,江花冷色頻。地偏應有瘴,臘近已含春。

失學從愚子,無家住老身【無家任老身】。不知西閣意,肯別定留人【肯別定何人】。


(下し文)
(西閣を離れず,二首の一)

江柳 非時 發し,江花 冷色 頻りなり。

地 偏にして 應に 瘴 有るなるべし,臘 近にして已に春を含む。

失學 愚子に從【まか】し,無家 老身に 住【や】む。

知らず 西閣の意,肯えて 別れしめんや 定めて人を留まらしめんや。

(現代語訳)
(西閣より離れて居を移そうとしているが、なかなか依拠できないでいる事を詠う二首の一)

長江の川岸の柳は季節外れの新芽を出している。江辺の花はのびのびはできないものの、頻りにそれらしい色を出そうとしている。

この地は南に偏ったところだから、瘴癘の病気が蔓延する、都で臘節と云えば肌寒い早春の移り変わりの時期なのに、此処ではすでに春満開なのである。

この時愚かな子供は学問をしていないので仕方がないが、この老人にとっては、此処での棲むべき家もないのであるが、これもまた仕方のないことだ。

さて、この西閣の意中はどうだろうか、よくわからない、自分をこの地から別れさそうというのか、それともここへ留めおこうというのか。


(訳注)

不離西閣,二首之一

(西閣より離れて居を移そうとしているが、なかなか依拠できないでいる事を詠う二首の一)

1812西閣口號【案:呈元二十一。】

1713西閣雨望

1816不離西閣,二首之一

1817不離西閣,二首之二

1714西閣三度期大昌嚴明府,同宿不到

1715西閣,二首之一

1716西閣,二首之二

1813閣夜

1717西閣夜

 

江柳非時發,江花冷色頻。

長江の川岸の柳は季節外れの新芽を出している。江辺の花はのびのびはできないものの、頻りにそれらしい色を出そうとしている。

非時發 季節外れにはなが咲く。

冷色 花はのびのびはできないものということ。

 

地偏應有瘴,臘近已含春。

この地は南に偏ったところだから、瘴癘の病気が蔓延する、都で臘節と云えば肌寒い早春の移り変わりの時期なのに、此処ではすでに春満開なのである。

地偏 雲安や夔州奉節は南詔という別の国との国境ということをいう。

瘴 瘴癘病(マラリア)

臘近 臘日のことで、二十四節気「大寒」に近い辰の日のこと。臘日(ろうじつ) もとは狩猟の獲物を先祖に捧げると言う中国の風習が伝わったもの。 小寒後二度目の辰の日、大寒に近い辰の日をいう。

 

失學從愚子,無家住老身。

この時愚かな子供は学問をしていないので仕方がないが、この老人にとっては、此処での棲むべき家もないのであるが、これもまた仕方のないことだ。

失學 勉強をしない。

愚子 杜甫の子、宗文宗武のこと。

無家 住むべき家がないことをいう。

老身 杜甫自身。

 

不知西閣意,肯別定留人。

さて、この西閣の意中はどうだろうか、よくわからない、自分をこの地から別れさそうというのか、それともここへ留めおこうというのか。

西閣意 西閣を擬人化してその意中を聴くということ。

肯別 自分をこの地から別れさそうという意。「敢て我をして別れしめんや。」

 或はという意。

人 人は、杜甫を指す。「我をして留めらしめんや」
夔州東川卜居図詳細 001