杜甫  西閣三度期大昌嚴明府,同宿不到  

問子能來宿,今疑索故要。匣琴虛夜夜,手板自朝朝。

金吼霜鐘徹,花催臘炬銷。早鳧江檻底,雙影漫飄颻。

(大昌縣の縣令の厳君が自分の家に来て一緒に泊まると約束したので、西閣で三度までと期限を決めて待ったがとうとう来なかったのでこの詩を読んだ。)貴方にお尋ねしたとき、「手前の宅へ来て泊まられるというので西閣に迎えに来るように」とのお話であったが、今、あなたが私に、何でこのような迎えを強要されるのか、と疑うのである。ここに箱に入った琴が毎夜、毎夜むなしく待ち続け、これに対して、あなたは、毎朝、毎朝、手板を執って公務を忙しくしておられる。あなたを待つのに、夜は蝋燭の火の華が、次々燃えてなくなるまで待ち続け、竟に朝になり、霜に響く鐘の音が金声を吼え出す頃になる。朝見ると江辺の西閣の欄干の下で、鳧がおり、二つ並んだ鳧の影を見るのであるが、その鳧はふわり、ふわりといたずらに浮んでいるばかりである。

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杜甫詩1500-940-1438/2500

年:766年大暦元年55

卷別:    卷二二九              文體:    五言律詩

詩題:    西閣三度期大昌嚴明府,同宿不到

作地點:              目前尚無資料

及地點:              西閣 (山南東道 夔州 奉節)              

大昌 (山南東道 夔州 大昌)              

交遊人物:嚴   雲安    當地交遊(山南東道 夔州 雲安)

 

 

西閣三度期大昌嚴明府,同宿不到

(大昌縣の縣令の厳君が自分の家に来て一緒に泊まると約束したので、西閣で三度までと期限を決めて待ったがとうとう来なかったのでこの詩を読んだ。)

問子能來宿,今疑索故要。

貴方にお尋ねしたとき、「手前の宅へ来て泊まられるというので西閣に迎えに来るように」とのお話であったが、今、あなたが私に、何でこのような迎えを強要されるのか、と疑うのである。

匣琴虛夜夜,手板自朝朝。

ここに箱に入った琴が毎夜、毎夜むなしく待ち続け、これに対して、あなたは、毎朝、毎朝、手板を執って公務を忙しくしておられる。

金吼霜鐘徹,花催臘炬銷。

あなたを待つのに、夜は蝋燭の火の華が、次々燃えてなくなるまで待ち続け、竟に朝になり、霜に響く鐘の音が金声を吼え出す頃になる。

早鳧江檻底,雙影漫飄颻。

朝見ると江辺の西閣の欄干の下で、鳧がおり、二つ並んだ鳧の影を見るのであるが、その鳧はふわり、ふわりといたずらに浮んでいるばかりである。

 

(西閣 三度び大昌の嚴明府の,同宿するを期するに到らず)

子に問えば 「能く來り宿せん」という,今 疑う 故要を索むるを。

匣琴 虛しく夜夜,手板 自ら朝朝。

金 吼えて 霜鐘 徹し,花 催して臘炬 銷す。

早鳧 江檻の底,雙影 漫に飄颻たり

夔州東川卜居図詳細 001 

 

 

『西閣三度期大昌嚴明府,同宿不到』 現代語訳と訳註解説
(
本文)

西閣三度期大昌嚴明府,同宿不到

問子能來宿,今疑索故要。

匣琴虛夜夜,手板自朝朝。

金吼霜鐘徹,花催臘炬銷。

早鳧江檻底,雙影漫飄颻。


西閣三度期大昌嚴明府,同宿不到(含異文) 問子能來宿,今疑索故要。匣琴虛夜夜,手板自朝朝。金吼霜鐘徹,花催臘炬銷【花催蠟炬銷】。早鳧江檻底,雙影漫飄颻。


(下し文)
(西閣 三度び大昌の嚴明府の,同宿するを期するに到らず)

子に問えば 「能く來り宿せん」という,今 疑う 故要を索むるを。

匣琴 虛しく夜夜,手板 自ら朝朝。

金 吼えて 霜鐘 徹し,花 催して臘炬 銷す。

早鳧 江檻の底,雙影 漫に飄颻たり。

(現代語訳)
(大昌縣の縣令の厳君が自分の家に来て一緒に泊まると約束したので、西閣で三度までと期限を決めて待ったがとうとう来なかったのでこの詩を読んだ。)

貴方にお尋ねしたとき、「手前の宅へ来て泊まられるというので西閣に迎えに来るように」とのお話であったが、今、あなたが私に、何でこのような迎えを強要されるのか、と疑うのである。

ここに箱に入った琴が毎夜、毎夜むなしく待ち続け、これに対して、あなたは、毎朝、毎朝、手板を執って公務を忙しくしておられる。

あなたを待つのに、夜は蝋燭の火の華が、次々燃えてなくなるまで待ち続け、竟に朝になり、霜に響く鐘の音が金声を吼え出す頃になる。

朝見ると江辺の西閣の欄干の下で、鳧がおり、二つ並んだ鳧の影を見るのであるが、その鳧はふわり、ふわりといたずらに浮んでいるばかりである。


(訳注)

西閣三度期大昌嚴明府,同宿不到

(大昌縣の縣令の厳君が自分の家に来て一緒に泊まると約束したので、西閣で三度までと期限を決めて待ったがとうとう来なかったのでこの詩を読んだ。)

 二人の待ち合わせる約束日。

大昌 巫山縣。白帝城を奥に入り草堂河を北に百里遡った所にある。

嚴明府 大昌縣の縣令の厳某。明府は縣令に対する敬称。

 

問子能來宿,今疑索故要。

貴方にお尋ねしたとき、「手前の宅へ来て泊まられるというので西閣に迎えに来るように」とのお話であったが、今、あなたが私に、何でこのような迎えを強要されるのか、と疑うのである。

問子 子は嚴太守、太守にどうすればよいかと質問したことをいう。

能來宿 こちらに来て宿することができるという。

索故要 索は先方が求める事。故要は固邀すること。待ち続けることをいう。

 

匣琴虛夜夜,手板自朝朝。

ここに箱に入った琴が毎夜、毎夜むなしく待ち続け、これに対して、あなたは、毎朝、毎朝、手板を執って公務を忙しくしておられる。

匣琴 歓迎のために琴を取り出すことが無い、箱に入ったままの琴。

虛夜夜 むなしく何日もまっていること。

手板 板は、笏を取って仕事に励むことをいう。

 

金吼霜鐘徹,花催臘炬銷。

あなたを待つのに、夜は蝋燭の火の華が、次々燃えてなくなるまで待ち続け、竟に朝になり、霜に響く鐘の音が金声を吼え出す頃になる。

金吼 金声を吼え出す。

霜鐘徹 霜に響くようによく通る鐘の音。

花催 蝋燭の火花が催す。

臘炬銷 蝋燭の火の華が、次々燃えてなくなるまで待ち続けることをいう。

 

早鳧江檻底,雙影漫飄颻。

朝見ると江辺の西閣の欄干の下で、鳧がおり、二つ並んだ鳧の影を見るのであるが、その鳧はふわり、ふわりといたずらに浮んでいるばかりである。

早鳧 朝早くの鳧。

江檻底 江辺の西閣の欄干の下の方。

雙影 二つ並んだ鳧の影を見る。

漫飄颻 ふわり、ふわりといたずらに浮んでいるばかりである。
杜甫55歳756年作品