杜甫  西閣,二首之一  

巫山小搖落,碧色見松林。百鳥各相命,孤雲無自心。

層軒俯江壁,要路亦高深。朱紱猶紗帽,新詩近玉琴。

功名不早立,衰病謝知音。哀世非王粲,終然學越吟。
(久しく西閣に留まっていることをなげく)気候が暖かいここ巫山にも少しく木の葉が揺れ、そして堕ち始めている、松原市の緑がよく見えるようになっている。様々な鳥が互いに呼び交わしているが、その上にあるひとひらのはぐれ雲は自我の思い無く浮んでいる。高い軒端から長江河岸の絶壁を見下ろすと要路も高深の場所についている。自分は朱紱を着る身分でありながらまだ隠者のかぶる紗帽をかぶっていて、あたらしく詩をつくれば玉琴にちかよってそれをたったりしている。なぜ自分はもっと早くに功名を立て得なかったのか、今では衰疾のために知己の人人とも交りを断っている様なことなのである。そうして世を哀むこと王粲とおなじようなたぐいではないが、故郷を思うことはおなじであり、つまりは荘舄のごとく越吟を学びつつあるのである。

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杜甫詩1500-941-1439/2500

年:       大曆元年

寫作時間:           766

寫作年紀:           55

卷別:    卷二二九              文體:    五言古詩

詩題:    西閣,二首之一

詩序:   

寫作地點:           目前尚無資料

寫及地點:          

西閣 (山南東道 夔州 奉節)              

巫山 (山南東道 夔州 巫山)              

 

 

西閣,二首之一

(久しく西閣に留まっていることをなげく)

巫山小搖落,碧色見松林。

気候が暖かいここ巫山にも少しく木の葉が揺れ、そして堕ち始めている、松原市の緑がよく見えるようになっている。

百鳥各相命,孤雲無自心。

様々な鳥が互いに呼び交わしているが、その上にあるひとひらのはぐれ雲は自我の思い無く浮んでいる。

層軒俯江壁,要路亦高深。

高い軒端から長江河岸の絶壁を見下ろすと要路も高深の場所についている。

猶紗帽,新詩近玉琴。

自分は朱紱を着る身分でありながらまだ隠者のかぶる紗帽をかぶっていて、あたらしく詩をつくれば玉琴にちかよってそれをたったりしている。

功名不早立,衰病謝知音。

なぜ自分はもっと早くに功名を立て得なかったのか、今では衰疾のために知己の人人とも交りを断っている様なことなのである。

哀世非王粲,終然學越吟。

そうして世を哀むこと王粲とおなじようなたぐいではないが、故郷を思うことはおなじであり、つまりは荘舄のごとく越吟を学びつつあるのである。

 

(西閣,二首の一)

巫山 小しく搖落し,碧色 松林を見る。

百鳥 各の相い命じ,孤雲 自心無し。

層軒 江壁に俯し,要路も亦た 高深なり。

 猶お紗帽,新詩 玉琴に近づく。

功名 早立せず,衰病 知音に謝す。

哀世 王粲に非ざるも,終然 越吟を學ぶ。

 

 山南東道北部唐州随州01

『西閣,二首之一』 現代語訳と訳註解説
(
本文)

西閣,二首之一

巫山小搖落,碧色見松林。

百鳥各相命,孤雲無自心。

層軒俯江壁,要路亦高深。

朱紱猶紗帽,新詩近玉琴。

功名不早立,衰病謝知音。

哀世非王粲,終然學越吟。
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西閣,二首之一(含異文)

巫山小搖落,碧色見松林【碧色是松林】。百鳥各相命,孤雲無自心【孤雲非自心】。層軒俯江壁,要路亦高深。朱紱猶紗帽,新詩近玉琴。功名不早立,衰病謝知音。哀世非王粲【哀世無王粲】,終然學越吟【終朝學越吟】【終然學楚吟】。


(下し文)
(西閣,二首の一)

巫山 小しく搖落し,碧色 松林を見る。

百鳥 各の相い命じ,孤雲 自心無し。

層軒 江壁に俯し,要路も亦た 高深なり。

朱紱 猶お紗帽,新詩 玉琴に近づく。

功名 早立せず,衰病 知音に謝す。

哀世 王粲に非ざるも,終然 越吟を學ぶ。

(現代語訳)
(久しく西閣に留まっていることをなげく)

気候が暖かいここ巫山にも少しく木の葉が揺れ、そして堕ち始めている、松原市の緑がよく見えるようになっている。

様々な鳥が互いに呼び交わしているが、その上にあるひとひらのはぐれ雲は自我の思い無く浮んでいる。

高い軒端から長江河岸の絶壁を見下ろすと要路も高深の場所についている。

自分は朱紱を着る身分でありながらまだ隠者のかぶる紗帽をかぶっていて、あたらしく詩をつくれば玉琴にちかよってそれをたったりしている。

なぜ自分はもっと早くに功名を立て得なかったのか、今では衰疾のために知己の人人とも交りを断っている様なことなのである。

そうして世を哀むこと王粲とおなじようなたぐいではないが、故郷を思うことはおなじであり、つまりは荘舄のごとく越吟を学びつつあるのである。

夔州東川卜居図詳細 001
(訳注)

西閣,二首之一

(久しく西閣に留まっていることをなげく)

同時期の西閣での詩

1812西閣口號【案:呈元二十一。】

1713西閣雨望

1816不離西閣,二首之一

1817不離西閣,二首之二

1714西閣三度期大昌嚴明府,同宿不到

1715西閣,二首之一

1716西閣,二首之二

1813閣夜

1717西閣夜

 

巫山小搖落,碧色見松林。

気候が暖かいここ巫山にも少しく木の葉が揺れ、そして堕ち始めている、松原市の緑がよく見えるようになっている。

 

百鳥各相命,孤雲無自心。

様々な鳥が互いに呼び交わしているが、その上にあるひとひらのはぐれ雲は自我の思い無く浮んでいる。

相命 命は名なり。名を呼びあうことをいう、鳥たちがお互に呼びかわすことをいう。

自心 自我のこころ。

 

層軒俯江壁,要路亦高深。

高い軒端から長江河岸の絶壁を見下ろすと要路も高深の場所についている。

高深 河岸の崖壁に沿った路であるがための要路だから高深の地に在り、深とは層軒より見おろすことをいい、ふかく底にみえることをいう。

 

朱紱猶紗帽,新詩近玉琴。

自分は朱紱を着る身分でありながらまだ隠者のかぶる紗帽をかぶっていて、あたらしく詩をつくれば玉琴にちかよってそれをたったりしている。

朱紱 朱色の革前垂れ。作者自ら緋衣をさしていう。

0224送韋書記赴安西》(卷二(一)一三三)「夫子剡通貴,雲泥相望懸。白頭無藉在,朱紱有哀憐。書記赴三捷,公車留二年。欲浮江海去,此別意茫然。」

0317寄高三十五書記》(卷三(一)一九四)「歎息高生老,新詩日又多。美名人不及,佳句法如何。主將收才子,崆峒足凱歌。聞君已朱紱,且得慰蹉跎。」

紗帽 紗にて作りし帽。隠居のときの冠なり 

近玉琴 自ら玉琴に近づくことをいう、琴を弾じて新詩をうたおうということ。

 

功名不早立,衰病謝知音。

なぜ自分はもっと早くに功名を立て得なかったのか、今では衰疾のために知己の人人とも交りを断っている様なことなのである。

衰病 老衰、疾病。

謝知音 知音の人を辟謝して之に遠ざかる。

 

哀世非王粲,終然學越吟。

そうして世を哀むこと王粲とおなじようなたぐいではないが、故郷を思うことはおなじであり、つまりは荘舄のごとく越吟を学びつつあるのである。

哀世非王粲 魏の王粲、長安の乱を避けて荊州の劉表に依る、七哀詩をつくる。又、登樓賦をつくりて故郷を思う情をのべていう、「鍾儀幽而楚奏兮,莊舄顯而越吟。」と。作者世を哀むは王粲に非ざれども思郷の情は存するをいふなり。

終然 ついに。

學越吟 別には楚吟とするものがあるが、楚地にての越吟の意なり。杜甫の五言律詩《1856卜居》  (卷一八(四)一六○九) 「歸羨遼東鶴,吟同楚執珪。未成遊碧海,著處覓丹梯。雲嶂寬江北,春耕破瀼西。桃紅客若至,定似昔人迷。」とある楚吟とおなじ。昔越の人荘舄といふもの楚に仕えて執珪(楚の貴爵)となる、其の病むや越を思いて越聲をなせしとの故事あり。越吟は越聲にて呻吟するなり、楚吟に楚にて越聲の呻吟をなすなり。杜甫55歳756年作品