杜甫 瀼西寒望【夔人以澗水通江者為瀼,大昌縣西有千頃池,水分三道,其一南流奉節縣,為西瀼水。】
水色含群動,朝光切太虛。年侵頻悵望,興遠一蕭疏。
猿挂時相學,鷗行炯自如。瞿唐春欲至,定卜瀼西居。
(寒天に瀼水の西をながめたことをのべる。)(夔州の人は山澗の江に通ずるものを瀼という。奉節縣の東に大瀼水があり、大瀼水の発源地は大昌縣の西にある千頃池である。河水の流れは、三分し、北より南に流れてほとんど直角に長江にそそぐ。其の一(梅渓河)が奉節縣にながれる、瀼東瀼西とはこの水の東西をいう。)瀼水の色はさまざまの動物のすがたを包含し、朝のおりの水面の光は虚空にまで接近しておるようにみえる。瀼水の色はさまざまの動物のすがたを包含し、朝のおりの水面の光は虚空にまで接近しておるようにみえる。すなわち猿は樹の枝にぶらさがって互いにまねをしあい、鴎は水上を自在にあるきながら炯然とひかってみえる。ここの瞿塘峡にやがて春が来る、春になったならば自分は定めし瀼西の住居を建設することになるであろう。
766年-82杜甫 《1814瀼西寒望【夔人以澗水通江者為瀼,大昌縣西有千頃池,水分三道,其一南流奉節縣,為西瀼水。】》五言律詩 杜甫詩index-15-766年大暦元年55歲-82 <945> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ6360 杜甫詩1500-945-1443/2500
年:766年大暦元年55歲
卷別: 卷二二九 文體: 五言律詩
詩題: 瀼西寒望【夔人以澗水通江者為瀼,大昌縣西有千頃池,水分三道,其一南流奉節縣,為西瀼水。】
作地點:西閣 (山南東道 夔州 奉節)
及地點:瀼西 (山南東道 夔州 奉節)
瀼西寒望
(寒天に瀼水の西をながめたことをのべる。)
【夔人以澗水通江者為瀼,大昌縣西有千頃池,水分三道,其一南流奉節縣,為西瀼水。】
(夔州の人は山澗の江に通ずるものを瀼という。奉節縣の東に大瀼水があり、大瀼水の発源地は大昌縣の西にある千頃池である。河水の流れは、三分し、北より南に流れてほとんど直角に長江にそそぐ。其の一(梅渓河)が奉節縣にながれる、瀼東瀼西とはこの水の東西をいう。)
水色含群動,朝光切太虛。
瀼水の色はさまざまの動物のすがたを包含し、朝のおりの水面の光は虚空にまで接近しておるようにみえる。
年侵頻悵望,興遠一蕭疏。
瀼水の色はさまざまの動物のすがたを包含し、朝のおりの水面の光は虚空にまで接近しておるようにみえる。
猿挂時相學,鷗行炯自如。
すなわち猿は樹の枝にぶらさがって互いにまねをしあい、鴎は水上を自在にあるきながら炯然とひかってみえる。
瞿唐春欲至,定卜瀼西居。
ここの瞿塘峡にやがて春が来る、春になったならば自分は定めし瀼西の住居を建設することになるであろう。
(瀼西の寒望)
【夔人 以て澗水江に通ずる者は瀼と為し,大昌縣 西に千頃の池有り,水 三道に分れ,其の一 南に奉節縣に流る,西瀼水と為す。】
水色 群動を含む、朝光 太虚に切なり。
年侵して 頻りに帳望す、興遠くして一に蕭疏たり。
猿挂かりて時に相学ぶ、鴎行く 炯として自如たり。
瞿唐 春 至らんと欲す、定めて卜せん瀼西の居。
『瀼西寒望』 現代語訳と訳註解説
(本文)
瀼西寒望【夔人以澗水通江者為瀼,大昌縣西有千頃池,水分三道,其一南流奉節縣,為西瀼水。】
水色含群動,朝光切太虛。
年侵頻悵望,興遠一蕭疏。
猿挂時相學,鷗行炯自如。
瞿唐春欲至,定卜瀼西居。
(下し文)
(瀼西の寒望)
【夔人 以て澗水江に通ずる者は瀼と為し,大昌縣 西に千頃の池有り,水 三道に分れ,其の一 南に奉節縣に流る,西瀼水と為す。】
水色 群動を含む、朝光 太虚に切なり。
年侵して 頻りに帳望す、興遠くして一に蕭疏たり。
猿挂かりて時に相学ぶ、鴎行く 炯として自如たり。
瞿唐 春 至らんと欲す、定めて卜せん瀼西の居。
(現代語訳)
(寒天に瀼水の西をながめたことをのべる。)
(夔州の人は山澗の江に通ずるものを瀼という。奉節縣の東に大瀼水があり、大瀼水の発源地は大昌縣の西にある千頃池である。河水の流れは、三分し、北より南に流れてほとんど直角に長江にそそぐ。其の一(梅渓河)が奉節縣にながれる、瀼東瀼西とはこの水の東西をいう。)
瀼水の色はさまざまの動物のすがたを包含し、朝のおりの水面の光は虚空にまで接近しておるようにみえる。
瀼水の色はさまざまの動物のすがたを包含し、朝のおりの水面の光は虚空にまで接近しておるようにみえる。
すなわち猿は樹の枝にぶらさがって互いにまねをしあい、鴎は水上を自在にあるきながら炯然とひかってみえる。
ここの瞿塘峡にやがて春が来る、春になったならば自分は定めし瀼西の住居を建設することになるであろう。
瀼西寒望
(寒天に瀼水の西をながめたことをのべる。)
大暦元年冬、夔州西閣にあっての作。西の地の険隘なようすをいい、やがてその地に居を移そうと思い、瀼西方面をながめやったものである。明年の春に至って作者はまず赤甲に遷居し、三月に至って瀼西に還ることとなった。
【夔人以澗水通江者為瀼,大昌縣西有千頃池,水分三道,其一南流奉節縣,為西瀼水。】
(夔州の人は山澗の江に通ずるものを瀼という。奉節縣の東に大瀼水があり、大瀼水の発源地は大昌縣の西にある千頃池である。河水の流れは、三分し、北より南に流れてほとんど直角に長江にそそぐ。其の一(梅渓河)が奉節縣にながれる、瀼東瀼西とはこの水の東西をいう。)
○瀼西 瀼水の西、瀼水というは、の事は「夔州歌十絶句」の第五首「瀼東瀼西一萬家,江北江南春冬花。背飛鶴子遺瓊蕊,相趁鳧雛入蔣牙。」・江北江南 長江は大湊水とはちがい西より東へ流れる、よって北岸、南岸をいう。
○寒望 寒天の眺望。
水色含群動,朝光切太虛。
瀼水の色はさまざまの動物のすがたを包含し、朝のおりの水面の光は虚空にまで接近しておるようにみえる。
○群動種種の動くもの、下旬の猿や鴎などをいう。
○朝光 朝の水光。
○切太虚 切は近いこと、太虚は虚空のこと。
年侵頻悵望,興遠一蕭疏。【年終頻悵望】
歳の暮れかかるにあたって自分は現在の住処に不平をもちながらながめると、ここでは塵俗とかけはなれた興趣があって事物がまったくさびしく感ぜられる。
〇年侵 年時が侵して来る、歳の暮れかかることをいう。
○興遠 興趣が塵俗と遠くはなれる。
○粛疎 さびしい様子、すなわち猿鴎などのさま。
猿挂時相學,鷗行炯自如。
すなわち猿は樹の枝にぶらさがって互いにまねをしあい、鴎は水上を自在にあるきながら炯然とひかってみえる。
○猿挂 挂とは樹枝にぶらさがること。
○相学 彼らがお互いにまねをする。
○鴎行 行とは水上をゆくことをいう。
○炯 ひかるさま。
〇西閣 (山南東道 夔州 奉節)如 自由自在。
瞿唐春欲至,定卜瀼西居。
ここの瞿塘峡にやがて春が来る、春になったならば自分は定めし瀼西の住居を建設することになるであろう。
瞿唐 瞿塘峡は中華人民共和国の長江本流に位置する峡谷。巫峡、西陵峡と並び、三峡を構成する。別名は夔峡。 瞿塘峡は三峡のもっとも上流にあり、西は重慶市奉節県の白帝城から、東は重慶市巫山県の大溪鎮までの区間である。
瀼西塞望
水色含群動,朝光切太虛。年侵頻悵望,興遠一蕭疏。
猿掛時相學,鷗行炯自如。瞿唐春欲至,定卜瀼西居。
(瀼西の寒望)
水色 群動を含む、朝光 太虚に切なり。
年侵して 頻りに帳望す、興遠くして一に蕭疏たり。
猿挂かりて時に相学ぶ、鴎行く 炯として自如たり。
瞿唐 春 至らんと欲す、定めて卜せん瀼西の居。