杜甫  江月  

江月光於水,高樓思殺人。天邊長作客,老去一沾巾。

玉露團清影,銀河沒半輪。誰傢挑錦字,滅燭翠眉顰。

(夔州で長江の上の月を見て感慨を述べたもの)江上の月が水の上でより強く光っている、これを江辺の高楼で眺めると非常に強くもの思いにふけさせるのである。自分はもうずっと長く天の果てのようなとことの旅人なっている、歳を取ってきたせいか涙がよくこぼれて手拭巾が濡れてしまう。清し丸満の月影の前に玉の露はまんまるにたたえ、銀河の中に半輪の姿が没してしまった。今頃は、誰かの留守居の婦人の家具にむかって回文錦字の刺繍にいどんでいるが、燈火の消えたところで眉根に皺を寄せていることであろうか。

 

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  杜甫詩1500-1009-1507/2500

年:766年大暦元年55-133

卷別: 卷二三○  文體: 五言律詩 

詩題:草閣 

作地點:夔州(山南東道 / 夔州 / 夔州) 

 

 

江月

(夔州で長江の上の月を見て感慨を述べたもの)

江月光於水,高樓思殺人。

江上の月が水の上でより強く光っている、これを江辺の高楼で眺めると非常に強くもの思いにふけさせるのである。

天邊長作客,老去一沾巾。

自分はもうずっと長く天の果てのようなとことの旅人なっている、歳を取ってきたせいか涙がよくこぼれて手拭巾が濡れてしまう。

玉露團清影,銀河沒半輪。

清し丸満の月影の前に玉の露はまんまるにたたえ、銀河の中に半輪の姿が没してしまった。

誰傢挑錦字,滅燭翠眉顰。

今頃は、誰かの留守居の婦人の家具にむかって回文錦字の刺繍にいどんでいるが、燈火の消えたところで眉根に皺を寄せていることであろうか。

 

(江月)

江月 水においてより光る,高樓 人を思殺す。

天邊 長く客と作る,老い去って 一に巾を沾す。

玉露 清影に團たり,銀河に 半輪沒す。

誰が傢か 錦字を挑して,燭 滅して翠眉顰【ひそ】むや

 

『江月』 現代語訳と訳註解説
(
本文)

江月

江月光於水,高樓思殺人。

天邊長作客,老去一沾巾。

玉露團清影,銀河沒半輪。

挑錦字,滅燭翠眉顰

(下し文)
(江月)

江月 水においてより光る,高樓 人を思殺す。

天邊 長く客と作る,老い去って 一に巾を沾す。

玉露 清影に團たり,銀河に 半輪沒す。

誰が傢か 錦字を挑して,燭 滅して翠眉顰【ひそ】むや

(現代語訳)
(夔州で長江の上の月を見て感慨を述べたもの)

江上の月が水の上でより強く光っている、これを江辺の高楼で眺めると非常に強くもの思いにふけさせるのである。

自分はもうずっと長く天の果てのようなとことの旅人なっている、歳を取ってきたせいか涙がよくこぼれて手拭巾が濡れてしまう。

清し丸満の月影の前に玉の露はまんまるにたたえ、銀河の中に半輪の姿が没してしまった。

今頃は、誰かの留守居の婦人の家具にむかって回文錦字の刺繍にいどんでいるが、燈火の消えたところで眉根に皺を寄せていることであろうか。


(訳注)

江月

(夔州で長江の上の月を見て感慨を述べたもの)

 

江月光於水,高樓思殺人。

江上の月が水の上でより強く光っている、これを江辺の高楼で眺めると非常に強くもの思いにふけさせるのである。

江月 長江を照らすつき。

光於水 水に照る月の方がより光るが、月はさらにそれより白い。

思殺人 人は杜甫をさし、思殺は非常に甚だしくもの思いに深けさせることを言う。

 

天邊長作客,老去一沾巾。

自分はもうずっと長く天の果てのようなとことの旅人なっている、歳を取ってきたせいか涙がよくこぼれて手拭巾が濡れてしまう。

 

玉露團清影,銀河沒半輪。

清し丸満の月影の前に玉の露はまんまるにたたえ、銀河の中に半輪の姿が没してしまった。

玉露團清影 露が葉上などで丸く固まっているさまをいい、そのむこうにつきがまるくきよくかがやくことをいう。

銀河 あまのがわ。

沒半輪 月が西の山の端に沈んでいくことをいう。

 

誰傢挑錦字,滅燭翠眉顰。

今頃は、誰かの留守居の婦人の家具にむかって回文錦字の刺繍にいどんでいるが、燈火の消えたところで眉根に皺を寄せていることであろうか。

 家具、日用家具。楽器。

挑錦字 長年帰って来ない夫。故郷に残る妻は、その夫に対する情を一章の詩に作り、手ずから錦にその字句を織り込んで、一本を夫のもとに送り、一本を役人に献上した。この話は時の帝の耳に入り、夫は無事帰されたという。帝を感激させたこの故事は、織錦回文詩や回文錦字詩などと呼ばれて、後世の詩人たちにも詠まれるということをいう。

滅燭 夜なべをしているからいつかは燈火の火は消える。

翠眉顰 徴兵により出兵した夫の心配をしていること、愁いを言う。