杜甫  江上  

江上日多雨,蕭蕭荊楚秋。高風下木葉,永夜攬貂裘。

勳業頻看鏡,行藏獨倚樓。時危思報主,衰謝不能休。

(江のほとりの宅にあっての感をのべる)

江上には毎日雨ばかりで、楚地の秋は蕭々として、宋玉の「悲愁」を連想してさびしい。風は、谷合に高く吹いて木の葉は散りおちる、だから、秋の夜ながにあたっては、貂裘をひっぱりだして着ることになる。勲業のことが気になるからたびたび鏡で容顔を照らしてみるし、 行くべきか蔵【かくれ】るべきかと迷うて、ただひとり閣楼によりかかって考える。時、国家危急、世が安泰でないからどうにかして君の御恩にむくいたいとおもうて、老衰の身ながら、その思いをやめることができないほど真剣である。

766-138杜甫 《1551江上》 杜甫詩index-15-766年大暦元年55-138 <1010> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ6730

 

 
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 杜甫詩1500-1010-1508/2500

卷別: 卷二三○  文體: 五言律詩 

詩題: 江上 

作地點: 夔州(山南東道 / 夔州 / 夔州) 

 

江上

(江のほとりの宅にあっての感をのべる)

江上日多雨,蕭蕭荊楚秋。

江上には毎日雨ばかりで、楚地の秋は蕭々として、宋玉の「悲愁」を連想してさびしい。

高風下木葉,永夜攬貂裘。

風は、谷合に高く吹いて木の葉は散りおちる、だから、秋の夜ながにあたっては、貂裘をひっぱりだして着ることになる。

勳業頻看鏡,行藏獨倚樓。

勲業のことが気になるからたびたび鏡で容顔を照らしてみるし、 行くべきか蔵【かくれ】るべきかと迷うて、ただひとり閣楼によりかかって考える。

時危思報主,衰謝不能休。

時、国家危急、世が安泰でないからどうにかして君の御恩にむくいたいとおもうて、老衰の身ながら、その思いをやめることができないほど真剣である。

(江 上)

江上 日々に雨多し、蕭蕭たり荊楚の秋。

高風 木葉 下り、永夜 貂裘を攬る。

勲業 頻りに鏡を看て、行蔵 独り楼に倚る。

時危くして 報主を思い、衰謝にも休する能わず。

 

 

『江上』 現代語訳と訳註解説
(
本文)

江上

江上日多雨,蕭蕭荊楚秋。

高風下木葉,永夜攬貂裘。

勳業頻看鏡,行藏獨倚樓。

時危思報主,衰謝不能休。

(下し文)
(江 上)

江上 日々に雨多し、蕭蕭たり荊楚の秋。

高風 木葉 下り、永夜 貂裘を攬る。

勲業 頻りに鏡を看て、行蔵 独り楼に倚る。

時危くして 報主を思い、衰謝にも休する能わず。


(現代語訳)
(江のほとりの宅にあっての感をのべる)

江上には毎日雨ばかりで、楚地の秋は蕭々として、宋玉の「悲愁」を連想してさびしい。

風は、谷合に高く吹いて木の葉は散りおちる、だから、秋の夜ながにあたっては、貂裘をひっぱりだして着ることになる。

勲業のことが気になるからたびたび鏡で容顔を照らしてみるし、 行くべきか蔵【かくれ】るべきかと迷うて、ただひとり閣楼によりかかって考える。

時、国家危急、世が安泰でないからどうにかして君の御恩にむくいたいとおもうて、老衰の身ながら、その思いをやめることができないほど真剣である。


(訳注)

江上

(江のほとりの宅にあっての感をのべる)

江上は起句の二字を切りとって用いたもの。大暦元年夔州にあっての作。

 

江上日多雨,蕭蕭荊楚秋。

江上には毎日雨ばかりで、楚地の秋は蕭々として、宋玉の「悲愁」を連想してさびしい。

○日多雨 蜀巴楚は雨が多い。

《卷一○48 重簡王明府》

甲子西南異,冬來只薄寒。江雲何夜盡?蜀雨幾時乾?

行李須相問,窮愁豈有寬。君聽鴻雁響,恐致稻粱難。

重簡王明府 五言律詩 成都5-(19) 杜甫 <468  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2305 杜甫詩1000-468-655/1500

《卷一四07 到村》

碧澗雖多雨,秋沙先少泥。蛟龍引子過,荷芰逐花低。

老去參戎幕,歸來散馬蹄。稻粱須就列,榛草即相迷。

蓄積思江漢,疏頑惑町畦。暫酬知己分,還入故林棲。

《到村》 杜甫index-14 764年 杜甫<781 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4570 杜甫詩1500-781-1085/2500

○荊楚 荊楚は一木にして二名、故に国号となすにもまた二名がある、「春秋」においては魯の荘公の世までは皆「荊」と書いてあるが、公元年に至って「楚人伐鄭」と書いてある、此の頃から楚と改めたのである。ここの荊楚は夔州地方をさしていう。楚の秋、宋玉の悲愁を連想して言う。宋玉《九辯》 「悲哉秋之為氣也!蕭瑟兮草木搖落而變衰」

九辯 宋玉 <00-#1>もっとも影響を与えた詩文 630 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2134

高風下木葉,永夜攬貂裘。

風は、谷合に高く吹いて木の葉は散りおちる、だから、秋の夜ながにあたっては、貂裘をひっぱりだして着ることになる。

○貂裘 貂裘は、てんの皮ごろも。裘をとるのは寒さを防ぐためである。同時期の作にも「貂裘」について詠っている。《卷一七18 月》「四更山吐月,殘夜水明樓。塵匣元開鏡,風簾自上鉤。兔應疑鶴髮,蟾亦戀貂裘。斟酌姮娥寡,天寒奈九秋。」

 

勳業頻看鏡,行藏獨倚樓。

勲業のことが気になるからたびたび鏡で容顔を照らしてみるし、 行くべきか蔵【かくれ】るべきかと迷うて、ただひとり閣楼によりかかって考える。

○勲業 老いているけれど、恩に報いるため勲業を立てることができるか否かが心配であることをいう。

○看鏡 老顔をてらしてみること。

○行蔵 行くべきか蔵【かくれ】るべきかについてかんがえること。

 

時危思報主,衰謝不能休。
時、国家危急、世が安泰でないからどうにかして君の御恩にむくいたいとおもうて、老衰の身ながら、その思いをやめることができないほど真剣である。

○報主 天子の恩にむくいる。

○衰謝 気力の衰え減じていること。

〇休 思いをやめることをいう。

 

江上日多雨,蕭蕭荊楚秋。 

高風下木葉,永夜攬貂裘。 

勳業頻看鏡,行藏獨倚樓。 

時危思報主,衰謝不能休。