杜甫  月圓   

孤月當樓滿,寒江動夜扉。委波金不定,照席綺逾依。

未缺空山靜,高懸列宿稀。故園松桂發,萬里共清輝。

(西閣にいて満月の圓きを見て詠んだもの

西閣の高殿の真上にあたって、ただ一つの月が円満に出ており、秋の夜の寒気の中の長江に映し、水面に映る月の光がうごき、それが夜には締める扉に映って動いている。月の光が波のまにまに任せて揺れ、金の波がゆらゆら揺れるが、金波は水上に安定しない、同じ月光が席を照らし、宴席に綾衣がかけられていて、そこに同じ月光に照らされ、それらが合わさっていよいよ満月の夜の興を深める。今宵の月は一分も欠けることなく、寂しい山は静まり返っている、空高くかかって星宿が並んでいるのも月が明るくて稀に見える。今頃、故郷長安では、桂の花が開いている頃であるが、万里を隔てても、この満月の清らかな輝きを浴びていることだろう。

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杜甫詩1500-1013-1511/2500

月圓

(西閣にいて満月の圓きを見て詠んだもの

孤月當樓滿,寒江動夜扉。

西閣の高殿の真上にあたって、ただ一つの月が円満に出ており、秋の夜の寒気の中の長江に映し、水面に映る月の光がうごき、それが夜には締める扉に映って動いている。

委波金不定,照席綺逾依。

月の光が波のまにまに任せて揺れ、金の波がゆらゆら揺れるが、金波は水上に安定しない、同じ月光が席を照らし、宴席に綾衣がかけられていて、そこに同じ月光に照らされ、それらが合わさっていよいよ満月の夜の興を深める。

未缺空山靜,高懸列宿稀。

今宵の月は一分も欠けることなく、寂しい山は静まり返っている、空高くかかって星宿が並んでいるのも月が明るくて稀に見える。

故園松桂發,萬里共清輝。

今頃、故郷長安では、桂の花が開いている頃であるが、万里を隔てても、この満月の清らかな輝きを浴びていることだろう。

(月圓)

孤月 樓に當って滿ち,寒江 夜扉に動く。

波に委して 金 定らず,席を照らして 綺 逾々よ依る。

未だ缺けず 空山 靜かに,高く懸りて 列宿 稀なり。

故園 松桂 發かん,萬里 共に清輝。

 

『月圓』 現代語訳と訳註解説
(
本文)

月圓

孤月當樓滿,寒江動夜扉。

委波金不定,照席綺逾依。

未缺空山靜,高懸列宿稀。

故園松桂發,萬里共清輝。


月圓(卷一七(四)一四六六)

孤月當樓滿,寒江動夜扉。

委波金不定,照席綺逾依。

未缺空山靜,高懸列宿稀。

故園松桂(一作菊)發,萬里共清輝。


(下し文)
(月圓)

孤月 樓に當って滿ち,寒江 夜扉に動く。

波に委して 金 定らず,席を照らして 綺 逾々よ依る。

未だ缺けず 空山 靜かに,高く懸りて 列宿 稀なり。

故園 松桂 發かん,萬里 共に清輝。

(現代語訳)
(西閣にいて満月の圓きを見て詠んだもの

西閣の高殿の真上にあたって、ただ一つの月が円満に出ており、秋の夜の寒気の中の長江に映し、水面に映る月の光がうごき、それが夜には締める扉に映って動いている。

月の光が波のまにまに任せて揺れ、金の波がゆらゆら揺れるが、金波は水上に安定しない、同じ月光が席を照らし、宴席に綾衣がかけられていて、そこに同じ月光に照らされ、それらが合わさっていよいよ満月の夜の興を深める。

今宵の月は一分も欠けることなく、寂しい山は静まり返っている、空高くかかって星宿が並んでいるのも月が明るくて稀に見える。

今頃、故郷長安では、桂の花が開いている頃であるが、万里を隔てても、この満月の清らかな輝きを浴びていることだろう。


(訳注)

月圓

(西閣にいて満月の圓きを見て詠んだもの

西閣所作。謝靈運《登歸瀨三瀑布望兩溪》「 我行乘日垂,放舟候月圓。」

 

孤月當樓滿,寒江動夜扉。

西閣の高殿の真上にあたって、ただ一つの月が円満に出ており、秋の夜の寒気の中の長江に映し、水面に映る月の光がうごき、それが夜には締める扉に映って動いている。

當樓滿 滿は月光の円満なるを言う。西閣の高楼にかかっている満月。

寒江 秋の夜の寒気の中の長江。

動夜扉 動くのは水面に映る月の光であり、それが夜には締める扉に映って動いている。

 

委波金不定,照席綺逾依。

月の光が波のまにまに任せて揺れ、金の波がゆらゆら揺れるが、金波は水上に安定しない、同じ月光が席を照らし、宴席に綾衣がかけられていて、そこに同じ月光に照らされ、それらが合わさっていよいよ満月の夜の興を深める。

委波 月の光が波のまにまに任せて揺れている。

金不定 金の波がゆらゆら揺れて、金波が水上に安定しない様子を言う。

照席 同じ月光が席を照らす。

綺逾依 宴席に綾衣がかけられていて、そこに同じ月光に照らされ、それらが合わさっていよいよ満月の夜の興を深める。

 

未缺空山靜,高懸列宿稀。

今宵の月は一分も欠けることなく、寂しい山は静まり返っている、空高くかかって星宿が並んでいるのも月が明るくて稀に見える。

 

故園松桂發,萬里共清輝。

今頃、故郷長安では、桂の花が開いている頃であるが、万里を隔てても、この満月の清らかな輝きを浴びていることだろう。

故園 故郷長安をいう。

松桂 桂の花。

 花が開いている頃。

萬里 夔州と長安をへだつ距離を言う。

共清輝 長江に、宴席に、空山を照らす清らかな月光が、長安の大明宮の桂の花にもてらしている。