杜甫 中宵
西閣百尋餘,中宵步綺疏。飛星過水白,落月動沙虛。
擇木知幽鳥,潛波想巨魚。親朋滿天地,兵甲少來書。
(その夜、眠れず夜半に西閣を歩いて感をのべた詩。)
西閣は百尋あまりの高さの処にある、眠れないから、夜半に高閣のすかし彫りにした窓のあたりをぶらついてみる。
空を見上げると流星が落ちて過ぎると水面に白く見え、落ちかかる月の光が、空虚にみえる沙原にさしている
月明りは木深く棲む鳥がどの樹にとまろうかとまごついているのもわかるし、巨大な魚もはやこっそり波間に影をひそめたことと想像される。
こうした折、自分の親戚朋友は天地に満ちるほどいるけれど、長い間の兵乱があるためにどこからも来る手紙はほんとに少ない。
766年-142杜甫 《1704中宵》 杜甫詩index-15-766年大暦元年55歲-142 <1014> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ6750
杜甫詩1500-1014-1512/2500
年:766年大暦元年55歲-142
卷別: 卷二三○ 文體: 五言律詩
詩題: 中宵
作地點: 奉節(山南東道 / 夔州 / 奉節)
及地點: 西閣 (山南東道 夔州 奉節)
中宵
(その夜、眠れず夜半に西閣を歩いて感をのべた詩。)
西閣百尋餘,中宵步綺疏。
西閣は百尋あまりの高さの処にある、眠れないから、夜半に高閣のすかし彫りにした窓のあたりをぶらついてみる。
飛星過水白,落月動沙虛。
空を見上げると流星が落ちて過ぎると水面に白く見え、落ちかかる月の光が、空虚にみえる沙原にさしている.
擇木知幽鳥,潛波想巨魚。
月明りは木深く棲む鳥がどの樹にとまろうかとまごついているのもわかるし、巨大な魚もはやこっそり波間に影をひそめたことと想像される。
親朋滿天地,兵甲少來書。
こうした折、自分の親戚朋友は天地に満ちるほどいるけれど、長い間の兵乱があるためにどこからも来る手紙はほんとに少ない。
(中 宵)
西閣は百尋に余る、中宵 綺疏に歩す。
飛星 過ぎて水白く、落月 動きて沙 虚し。
擇木 幽鳥を知る、潜波 巨魚を想う。
親朋は 天地に滿つ,兵甲に 來書少し。
『中宵』 現代語訳と訳註解説
(本文)
中宵
西閣百尋餘,中宵步綺疏。
飛星過水白,落月動沙虛。
擇木知幽鳥,潛波想巨魚。
親朋滿天地,兵甲少來書。
(下し文)
(中 宵)
西閣は百尋に余る、中宵 綺疏に歩す。
飛星 過ぎて水白く、落月 動きて沙 虚し。
擇木 幽鳥を知る、潜波 巨魚を想う。
親朋は 天地に滿つ,兵甲に 來書少し。
(現代語訳)
(その夜、眠れず夜半に西閣を歩いて感をのべた詩。)
西閣は百尋あまりの高さの処にある、眠れないから、夜半に高閣のすかし彫りにした窓のあたりをぶらついてみる。
空を見上げると流星が落ちて過ぎると水面に白く見え、落ちかかる月の光が、空虚にみえる沙原にさしている
月明りは木深く棲む鳥がどの樹にとまろうかとまごついているのもわかるし、巨大な魚もはやこっそり波間に影をひそめたことと想像される。
こうした折、自分の親戚朋友は天地に満ちるほどいるけれど、長い間の兵乱があるためにどこからも来る手紙はほんとに少ない。
(訳注)
中宵
(その夜、眠れず夜半に西閣を歩いて感をのべた詩。)766年大暦元年55歲、夔州にあって-142首目の作。
○中宵 よなか。夜半。中夜。黄昏以後をいう。
西閣百尋餘,中宵步綺疏。
西閣は百尋あまりの高さの処にある、眠れないから、夜半に高閣のすかし彫りにした窓のあたりをぶらついてみる。
○西閣 夔州寓居の西閣。
〇百尋 尋は八尺。180m
○椅疏 あやぎぬの如くすかし彫りにした格子窓。
飛星過水白,落月動沙虛。
空を見上げると流星が落ちて過ぎると水面に白く見え、落ちかかる月の光が、空虚にみえる沙原にさしている
○飛星過水白,落月動沙虛 上三字下二字の句としてみるのがよい、飛星過とは流星が水面におちてすぎることをいう。
○落月動 落ちかかる月の光が照り沿うことをいう。
○沙虚 虚とは誰も見えない沙面の広く横たわるさまをいう。
擇木知幽鳥,潛波想巨魚。
月明りは木深く棲む鳥がどの樹にとまろうかとまごついているのもわかるし、巨大な魚もはやこっそり波間に影をひそめたことと想像される。
○擇木知幽鳥,潛波想巨魚 暗に自己をたとえる。
親朋滿天地,兵甲少來書。
こうした折、自分の親戚朋友は天地に満ちるほどいるけれど、長い間の兵乱があるためにどこからも来る手紙はほんとに少ない。
〇滿天地 多くあることをいう。
○兵甲 乱をいう。
○来書 こちらへくるてがみ。
(中 宵)
西閣は百尋に余る、中宵 綺疏に歩す。
飛星 過ぎて水白く、落月 動きて沙 虚し。
擇木 幽鳥を知る、潜波 巨魚を想う。