767年 【字解集】152.課小豎鉏斫舍北果,林枝蔓荒穢淨,訖移床,三首 155.反照 157.向夕 

 

 

2017125

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767年 【字解集】152.課小豎鉏斫舍北果,林枝蔓荒穢淨,訖移床,三首 155.反照 157.向夕 Ⅲ 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ9645

 

 

 


【字解集】152.課小豎鉏斫舍北果,林枝蔓荒穢淨,訖移床,三首 

課小豎鉏斫舍北果林枝蔓、荒穢淨訖移床,三首 其一

病枕依茅棟,荒鉏淨果林。

背堂資僻遠,在野興清深。

山雉防求敵,江猿應獨吟。

洩雲高不去,隱几亦無心。

 

課小豎鉏斫舍北果林枝蔓、荒穢淨訖移床,三首 其二

眾壑生寒早,長林卷霧齊。

青蟲懸就日,朱果落封泥。

薄俗防人面,全身學馬蹄。

吟詩坐迴首,隨意葛巾低。

 

課小豎鉏斫舍北果林枝蔓、荒穢淨訖移床,三首 其三

籬弱門何向,沙虛岸只摧。

日斜魚更食,客散鳥還來。

寒水光難定,秋山響易哀。

天涯稍曛黑,倚杖更裴回。

(小豎に課して舍北の果林の枝蔓を鋤斫せしめ、荒穢淨め訖りて床を移す,三首 其の一)

病枕茅棟に依り、荒れたるを鋤きて果林を浄む。

堂に背きて僻遠を資り、野に在りて興は清深。

山雉は敵を求むるを防ぎ、江猿は独吟に応ず。

洩雲高くして去らず、几に隠れば亦た無心。

 

(小豎に課して舍北の果林の枝蔓を鋤斫せしめ、荒穢淨め訖りて床を移す,三首 其の二)

衆壑 寒を生ずること早く、長林 霧を巻きて齊し。

青虫 懸りて 日に就き、朱果 落ちて 泥に封ぜらる。

薄俗 人面を防ぎ、全身 馬蹄を学ぶ。

詩を吟じて 座して 首を廻らす、随意なり 葛巾の低るるに。

 

(小豎に課して舍北の果林の枝蔓を鋤斫せしめ、荒穢淨め訖りて床を移す,三首 其の三)

籬 弱くして 門 何にか向かう、沙 虚しくして 岸 只だ摧く。

日斜めにして 魚 更に食らい、客 散じて 鳥 還た来たる。

寒水 光定まり難く、秋山 響き 哀しみ易し。

天涯 稍【ようや】く 曛黑、杖に倚りて 独り 俳個す。

 

課小豎鉏斫舍北果林枝蔓、荒穢淨訖移床,三首 其一

1. (果樹園の傍の、奥座敷の奥の閑静なところに、病床を移すため、僮僕に荒れ地をきれいにする、そこからは山の雉、江辺の猿などの様子がわかると詠う。)

2. 【題意】 大暦二年(七六七)秋、瀼西での作。「僮僕に命じて家の北側の果樹園の無駄な枝を払わせ、ごみ芥を片づけてから、長椅子を移す」。「床」は、寝台にもなる長椅子。原注に、詩題を「秋日閑居三首」に作るとある。詳注四-1735、鈴木注四-306

 

病枕依茅棟,荒鉏淨果林。

茅屋の側に、病床を移そうと、僮僕に荒れた所に鋤を入れさせて、果樹園をきれいにする。

3. 茅棟 茅葺きの家。瀼西の家を指す。

4. 荒鉏 荒れた所に鉏を入れる。「鋭荒(荒れたるを鋭く)」とあるべき語順を、対句中の「病枕」と揃えるために倒置。

5. 果林 漢西の家には、果樹園が附属していた。

 

背堂資僻遠,在野興清深。

堂の北側は、閑静なのが取り柄だ、野にあるようで奥深い趣きがある。

6. 背堂 堂(表座敷)を背にした所。堂の北側。

7. 資 ……を利用する。

 

山雉防求敵,江猿應獨吟。

山の雉は、縄張りを侵す挑戦的な相手を見つけては追い払い、江辺の猿は、仲間の孤独な鳴き声に応じて声をあげる。

8. 山雉防求敵 雉は、別の雉が「敵を求める」かのように自分の縄張りに侵入するのを防ぐ。

9. 江猿應濁吟 川辺の猿は、仲間の孤独な鳴き声に、返事をするように鳴く。「山雉」の句解は「江猿」の句については、猿が独り言をするように自分の鳴き声に呼応して鳴くとする。猿が、杜甫が詩を独吟するのに呼応して鳴くとする。

 

洩雲高不去,隱几亦無心。 
山の洞穴から洩れ出した靄は上空で集まって雲となり、空高くに重い雲となって、留まって動かない。私も脇息にもたれて無心でいる。

10. 洩雲 山から湧き出した雲。東晋・陶淵明の「帰去来の辞」に「雲は無心にして以て洞を出ず」。古来より、洞窟の奥より、湧き出でるというもの。

11. 隠凡 脇息にもたれる。「隠」は去声で読んで、もたれるの意。『荘子』斉物論に「南郭子素、凡に隠りて坐す。」とみえる。

 

課小豎鉏斫舍北果林枝蔓、荒穢淨訖移床,三首 其二

12. (果樹園の傍の、奥座敷の奥の閑静なところに、病床を移すため、僮僕に荒れ地をきれいにする、そこからは山の雉、江辺の猿などの様子がわかると詠う。)その二

 

 

眾壑生寒早,長林卷霧齊。

山々には早くも寒さが訪れ、背の高い果樹の林には、一面に朝霧が流れて、果実を育てる。

13. 眾壑 多くの山。夔州は山の深い谷間にある。

14. 長林 高く茂る林。果樹園などを指す。

 

青蟲懸就日,朱果落封泥。

青い虫が、梢にぶら下がって太陽に寄り添うている、赤い木の実が落ちて泥にまみれる。

15. 懸就日 高い枝にぶら下がっているのを、太陽に近づくといった。

16. 封泥 泥に埋まる。

 

薄俗防人面,全身學馬蹄。

ここは、軽薄な世態風俗なので邪悪な心を抱く人間から自分を守り、身を全うするために『荘子』の馬蹄篇の教えを学ぶのが一番である。

17. 防人面 邪悪な人間から自分を守る。「人面」 は 「人面獣心」 (人の顔の背後に獣の邪悪な心を隠す) の省略。

18. 全身 身体を保全する。畳韻語「ゼンシン」。上旬の 「薄俗」 が畳韻語「ハクゾク」 であるのと対応。

19. 學馬蹄 『荘子』巻四の「馬蹄篇」が教える本性を大事にする生き方を学ぶ。その一節に、「馬は蹄で霜や雪を蹴立て、毛で風の寒さを防ぎ、草を食み、水を飲み、足を上げて駆ける。これが馬の本性である」。しかし、本性に反して人間に調教されると、ついには半分が死んでしまう。人間も、仁義だ礼楽だと、人前で取り繕うことばかりに執心すると不幸になる、という趣旨。

 

吟詩坐迴首,隨意葛巾低。

こうしたことを、繰り返し頭を揺らしては、詩を作り、葛の頭巾がずり落ちてもまるで気にしてはいけないのだ。

20. 迴首 頭を揺らす。詩作に没頭する仕草。

21. 隨意 ……するのに任せる。好きなようにさせておく。

22. 葛巾低 葛の布で作った頭巾が、ずれて傾く。「葛巾」は、家でくつろいだときに着ける頭巾。

 

課小豎鉏斫舍北果林枝蔓、荒穢淨訖移床,三首 其三

23.  (果樹園の傍の、奥座敷の奥の閑静なところに、病床を移すため、僮僕に荒れ地をきれいにする、そこからは山の雉、江辺の猿などの様子がわかると詠う。家の周りの情景を詠う)その三

 

籬弱門何向,沙虛岸只摧。

生垣は結い方が緩いので、門はどこに向かって開いているのかわからないし、土手の砂はもろくて岸は、くずれやすく、川の流れに削られている。

24. 籬弱門何向 家の周囲の生垣の結い方が甘いので、門がどこを向いているかわからない。生垣に隙間が多く、どこからでも出入りできそうなので、どこが入り口かわからないといったもの。

25. 沙虚 土手の砂がもろくて (虚弱)、崩れやすいことをいう。

 

日斜魚更食,客散鳥還來。

日が斜めに傾く頃には、魚はまだ餌を求めるけれど、よそから来た人がいなくなると鳥が舞い戻ってくる。

26. 客散 通行人がいなくなる。「客」はよそから来た者。船着き場の光景であろう。

 

寒水光難定,秋山響易哀。

冷たい流れに、夕日の光が漂い揺らめき、風が木の葉を落として秋の山はもの悲しい音をたてる。

 

天涯稍曛黑,倚杖更裴回。 
ここ天涯の地が次第に翳ってくる時、私は独り杖をつきつつ辺りをさすらうのである。

27. 天涯 地の果て。聾州が辺境にあることをいう。

28. 曛黑 日暮れて暗くなる。双声語「クンコク」。下旬の「俳桐」が畳韻語「ハイカイ」 であるのと対応。

 

 

 

 

【字解集】155.反照 

返照

返照開巫峽,寒空半有無。

已低魚復暗,不盡白鹽孤。

荻岸如秋水,松門似畫圖。

牛羊識僮僕,既夕應傳呼。

(返照)

返照 巫峡を開く、寒空 半ば 有無。

己に低れて 魚復暗く、尽きずして 白塩 孤なり。

荻岸 秋水の如く、松門 画図に似たり。

牛羊 僅僕を識り、既に夕にして 伝呼に応ず。

返照

1. (日が傾けば峡谷の谷の奥まったところまで、日が差し込み、異なった趣を述べ詠う。)

2. 【題意】 大暦二年(七六七)秋、瀼西での作。「返照」は夕日の光。夕日の光を浴びて、巫峡が明暗複雑な光景を繰り広げるさまを描く。。

 

返照開巫峽,寒空半有無。

夕日の光を浴びて巫峡が、全く違った趣を開くのであるが、寒空の下、樹木の根元まで半ばははっきりと見えるが、あるいは半ばは暗くて見えない。

3. 巫峡 夔州のすぐ下流にある長江の渓谷。三峡の一つ。

4. 半有無 詳注は、以下の聯の「己低魚復暗」と「荻岸如秋水」が「半無」に当たり、「不尽白塩孤」と「松門似画図」が「半有」に当たるとし、また、『社臆』巻九が、四つのいずれもが有無の半ばにあり、尾聯はそれが特に巧みだとするのを引く。

 

已低魚復暗,不盡白鹽孤。

魚復浦は谷底の低い所にあるので暗く、白塩山は残照の中に孤峰をくっきりと聳えさせている。

5. 己低魚復暗 「魚復」は魚復浦。牽州のすぐ上流の長江の北岸の地名で、諸葛亮が造った八陣図があったとされる。「己低」は詳注によれば魚復浦が低地にあることをいう。

6. 不義白鹽孤 「白塩」は斐州の東、長江の北岸にあって、埋唐峡を形作る山。現在は、長江南岸の山を自塩山と称するが、これは当時の名称ではない。「不尽」は詳注によれば山の姿が夕陽の光を受けてまだ暗闇に消え尽きていないこと。【補説】参照。「孤」は白塩山の峰が一つだけ奪えること。

 

荻岸如秋水,松門似畫圖。

荻が風になびく岸辺は、秋の川が流れるように見え、松門峡は絵に描いたように美しい。

7. 荻岸如秋水 イネ科ススキ属の植物の一種である荻が両岸に密集して生えている。それが風に揺れるとか水の白波のように見えることを言う。荻の草丈は12.5m程で、河川敷などの湿地に群落を作る身近な多年草である。

8. 松門 夔州付近にあった峡谷。巫峡の一部を指すもの。

 

牛羊識僮僕,既夕應傳呼。 
牛や羊は飼い主の憧僕を忘れず、夕方になると呼び声に応えて集まってくる。

9. 牛羊識僮僕,既夕應傳呼の二句 『詩経』王風「君子子役」の「雞棲于塒、日之夕矣、羊牛下來。」(雞は桀【ねぐら】に棲【やど】る日の夕べ、羊牛は下り括【いた】る。」に基づく

 

 

 

 

 

 

 

【字解集】157.向夕

向夕(卷二○(四)一七三九)

畎畝孤城外,江村亂水中。

深山催短景,喬木易高風。

鶴下雲汀近,雞棲草屋同。

琴書散明燭,長夜始堪終。

(夕に向かう)

献畝 孤城の外、江村 乱水の中。

深山 短景を催し、喬木 高風なり易し。

鶴 下りて 雲汀近く、鶏棲みて 草屋同じ。

琴書 明燭に散ずれば、長夜 始めて終うるに堪えたり。

 

向夕

1. (夕方に向かう頃の、夔州の瀼西の草堂の周りの情景を詠う)

2. 前作「返照」の続編。大暦二年(芙七)冬、瀼西で、夕方に向かい情景を述べる作。

「向夕」は「夕に向かう」、夕方。詳注四-1739、鈴木注四―310

 

畎畝孤城外,江村亂水中。

田畑は白帝城の郊外に広がり、村は流れの定まらない渓流のほとりにある。

3. 畎畝 田畑、田園をいう。① 田のみぞとうね。  田園。田舎。畎とは、田畑の水路という字である。

4. 孤城 ぽつんとある町。白帝城。白帝城は夔州の別称。中国の町は城壁で囲まれているので「城」という。

5. 江村 江辺の村。杜甫が住む演西の村を指す。

6. 乱水 瀼水が増水、渇水に河道の定まらない流水。「不規則な渓流」とする。

 

深山催短景,喬木易高風。

夔州の渓谷は、まわりが深い山なので日の出ている時間は短く、高木には強い風が吹きつけて響きを立てる。

7. 短景 冬の日が短く暮れやすいことをいうが、渓谷は上空は明るいのに、居住部分は暗いからさらに日中が短い。「景」は日の光。

8. 易高風 谷の上級を強く吹き抜ける風を受けやすい。「高風」は強風。。

 

鶴下雲汀近,雞棲草屋同。

鶴は近くのモヤのかかった水辺に降り立ち、鶏は私と同じ茅葺きの家に棲む。

9. 雲汀 モヤのかかる水辺。

10. 草屋 茅葺きの家。杜甫の瀼西の宅。

 

琴書散明燭,長夜始堪終。 
琴と書物を灯火の明かりのなかに広げて楽しむ、これでようやく長い夜を過ごすことができるというものだ。

11. 堪終 終えることができる。過ごせる。「堪」(平声)は可能の意味で、詩では「可」(墜巳と平伏によって使い分ける。