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それから裴冕君がいる施州の風土がどんな性質かということを聞いたり、また田野の開拓されている様子をもきいた。

刺史裴君はむかしの後漢の寇恂を借りた故事に似た人物だから諸郡が競って同君を借りたいと願うのもあたりまえのこととおもう。

いまや北風があつい瘴癘の気を吹き飛ばし去って、つかれて老いたこの身も散歩でもしたくなった。

渚をぶらつけば、兼葭をわたる風は寒く、高き山の路をくぐりゆけば蘿や蔦がおおいかぶさる。

 

 

 

 

杜甫 《東屯の詩》   11

 

瀼西宅では余剰の野菜を売っていた可能性もあった。さらに薬草の売買に関しては、求職中の長安時代から、生活費を稼ぐために薬草を採集したり、秦州では、薬草売りでもして生計を立てようかと考えていたり、成都時代には実際に薬草園を持っていたりした'⒃'。杜甫は生きていくために、このような経済活動にも早くから手を染めてきた。一方的に高官や知人等の経済的援助に、頼っていただけではないのである。

 自活の道をさぐっていた杜甫の姿は、もっと注目されてしかるべきである。もちろん官を辞めてからの杜甫の後半生は、結局は人の援助に頼らざるを得ない生活であった。しかし薬草を採集し、野菜を種え、蜜柑園と稲作を経営して生計の足しにし、少しでも自立しようとしていたその姿勢は、杜甫の精神の有り様を考えるうえで重要である。

 

  詩題

全唐詩

杜少陵

1  寄裴施州(卷二○(四)一八一○)

卷二二一 019

20-100

2  鄭典設自施州歸(卷二○(四)一八一二)

卷二二一  20

20-101

3  觀公孫大娘弟子舞劍器行並序(卷二○(四)一八一五)

卷二二二 012

20-102

4 寫懷二首其一(卷二○(四)頁一八一八)

卷二二二  09

20-103

5 寫懷二首其二(卷二○(四)頁一八二○)

卷二二二  10

21-01

6 冬至(卷二一(四)一八二三)

巻二三一-0011

21-02

 

1

寄裴施州

〔裴冕坐李輔國貶施州刺史〕

廊廟之具裴施州,宿昔一逢無此流。金鐘大鏞在東序,冰壺玉衡懸清秋。

#2

自從相遇感多病,三為客寬邊愁。堯有四嶽明至理,漢二千石真分憂。

幾度寄書白鹽北,苦寒贈我青羔裘。

#3

霜雪回光避錦袖,龍蛇動篋蟠銀鉤。紫衣使者辭複命,再拜故人謝佳政。

將老已失子孫憂,後來況接才華盛。

 

2

鄭典設自施州歸

吾憐滎陽秀,冒暑初有適。名賢慎所出,不肯妄行役。

旅茲殊俗遠,竟以屢空迫。

#2

南謁裴施州,氣合無險僻。攀援懸根木,登頓入天石。

青山自一川,城郭洗憂慼。

#3

聽子話此邦,令我心悅懌。其俗則純樸,不知有主客。

溫溫諸侯門,禮亦如古昔。

4

敕廚倍常羞,杯盤頗狼藉。時雖屬喪亂,事貴賞匹敵。

中宵愜良會,裴鄭非遠戚。

5

群書一萬卷,博涉供務隙。他日辱銀鉤,森疏見矛戟。

倒屣喜旋歸,畫地求所歷。

6

乃聞風土質,又重田疇闢。刺史似寇恂,列郡宜競惜。

北風吹瘴癘,羸老思散策。

7

渚拂蒹葭塞,嶠穿蘿蔦冪。此身仗兒僕,高興潛有激。

孟冬方首路,強飯取崖壁。歎爾疲駑駘,汗溝血不赤。

8

終然備外飾,駕馭何所益。我有平肩輿,前途猶准的。

翩翩入鳥道,庶蹉跌厄。

 

3

觀公孫大娘弟子舞劍器行並序

 大曆二年十月十九日,夔州別駕元持(一作特)宅,見臨潁李十二娘舞劍器,壯其蔚跂。問其所師(一本此下有答字),曰:「余公孫大娘弟子也。」開元三載,余尚童稚,記於郾城,觀公孫氏舞劍器、渾,瀏灕頓挫,獨出冠時。自高頭宜春、梨園二伎(一作教)坊人,洎外供奉舞女(從《英華》,他本無舞女字)曉是舞者,聖文神武皇帝初,公孫一人而已。玉貌錦(一作繡)衣,況余白首,今茲弟子,亦匪盛顏。既辨其由來,知波瀾莫二。撫事慷慨,聊為〈劍器行〉。

#3

昔有佳人公孫氏,一舞劍氣動四方。觀者如山色沮喪,天地為之久低昂。

火霍如羿射九日落,矯如群帝驂龍翔。

#4

來如雷霆收震怒,罷如江海凝清光。絳脣朱袖兩寂寞,況有弟子傳芬芳。

臨潁美人在白帝,妙舞此曲神揚揚。

#5

與余問答既有以,感時撫事增惋傷。先帝侍女八千人,公孫劍器初第一。

五十年間似反掌,風塵傾動昏王室。梨園子弟散如煙,女樂餘姿映寒日。

#6

金粟堆南木已拱,瞿唐石城草蕭瑟。玳筵急管曲復終,樂極哀來月東出。

老夫不知其所往,足繭荒山轉愁疾。

 

4

寫懷二首其一

勞生共乾坤,何處異風俗。冉冉自趨競,行行見羈束。

無貴賤不悲,無富貧亦足。

萬古一骸骨,鄰家遞歌哭。鄙夫到巫峽,三如轉燭。

全命甘留滯,忘情任榮辱。

朝班及暮齒,日給還粟。編蓬石城東,采藥山北谷。

用心霜雪間,不必條蔓綠。

非關故安排,曾是順幽獨。達士如弦直,小人似鉤曲。

曲直我不知,負暄候樵牧。

5

寫懷二首其二

夜深坐南軒,明月照我膝。驚風翻河漢,梁棟已出日。

群生各一宿,飛動自儔匹。

吾亦驅其兒,營營為私實。天寒行旅稀,暮日月疾。

榮名忽中人,世亂如蟣蝨。

古者三皇前,滿腹志願畢。胡為有結繩,陷此膠與漆。

禍首燧人氏,厲階董狐筆。

君看燈燭張,轉使飛蛾密。放神八極外,俯仰俱蕭瑟。

終契如往還,得匪合仙術。

 

6

冬至

年年至日長為客,忽忽窮愁泥殺人。

江上形容吾獨老,天邊風俗自相親。

杖藜雪後臨丹壑,鳴玉朝來散紫宸。

心折此時無一寸,路迷何處見三秦。


 

767年大暦256

  鄭典設自施州歸(卷二(四)一八一二)#6

杜詩詳注卷二○(四)一八一○

全唐詩卷二二一 018

杜少陵集巻20-100 -訳注1260

漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の杜詩ブログ

 

 

鄭典設自施州歸(卷二○(四)一八一二)

杜甫詩1500-1063-1551-#1/2500

年:767年大暦256-5-#1

卷別:全唐詩    卷二二一  20           杜少陵集 巻二〇100 

文體:    五言古詩        杜詩校注 卷二○(四)一八一二

詩題:    鄭典設自施州歸

作地點:              目前尚無資料

及地點:              施州 (黔中道 施州 施州)    

滎陽 (都畿道 鄭州 滎陽)   

交遊人物/地點:鄭典設      書信往來

裴冕      詩文提及(黔中道 施州 施州)

 

鄭典設自施州歸 #1

(典設郎の鄭某が施州から歸ったおりの感じをのべた詩。)

吾憐滎陽秀,冒暑初有適。

自分は気の毒におもっていたのだが、それは滎陽鄭氏の優秀な人物たる君が暑さを冒して初め他方へでかけていったことについてである。

名賢慎所出,不肯妄行役。

名のある賢人は出処進退をつつしみ、みだりに旅に出ることはしないものである、

旅茲殊俗遠,竟以屢空迫。

それに南の風俗のちがった遠方へ旅に出たのは.「屡ば空し」つまり貧窮に迫られての事であったというのである。

#2

南謁裴施州,氣合無險僻。

君は南のかた裴施州に面會にいったのだ。先方と意気投合していることだから、途中の険阻避遠で大変さも眼中に無かつた。

攀援懸根木,登頓入天石。

あるいは根あがりの樹木をよじたり、あるいは天までつき入って聳え立った石の上にあがったりしている。

青山自一川,城郭洗憂慼。

それで、ついに青山のあいだに自ずと一川の流れている施州について、その城郭の様子ですっかり愁いのこころを洗い去った。

#3

聽子話此邦,令我心悅懌。

君が施州の様子を話してくれるのをきいていると、自分のこころはうれしくなるのである。

其俗則純樸,不知有主客。

施州の風俗は淳僕で一般人民のあいだでは、主人もお客も区別がないという親密さである。

溫溫諸侯門,禮亦如古昔。

そして、温情がある州の長官の門でも、古代のままの禮が残っている。

#4

敕廚倍常羞,杯盤頗狼藉。

裴長官はその台所の人にいいつけて客に普段の倍もある御馳走をすすめさせる、宴席では盃と料理盛り付けの大皿や盤が足の踏み場もないほど頗る狼藉たるものがある。

時雖屬喪亂,事貴賞匹敵。

いまの時世は喪乱のときであるのにかかわらず、地場風俗と施政者の温情で、ここでは尊貴の人に対しても同輩に対するとおなじにされている。

中宵愜良會,裴鄭非遠戚。

その夜ながのたのしき會において主客は意にかなった満足を得る、もとより裴氏と鄭氏とは親戚であるという関係もあるのではあるが。

 (鄭典設 施州より歸る) #1

吾は憐れむ滎陽の秀,暑を冒して初め適く有り。

名賢は出る所を慎む,肯て妄りに行役せず。

茲の殊俗の遠きに旅するは,竟に屢空に迫らるるを以てなり。
#2

南のかた裴施州に謁す,氣合して險僻を無みす。

攀援す 懸根の木,登頓す 入天の石。

青山 自ら一川,城郭 憂慼を洗う。

#3

子が 此の邦を話すを聽けば,我をして 心 悅懌せしむ。
其の俗は則ち純樸にして,主客有るを知らず。

溫溫たり 諸侯の門,禮も亦た 古昔の如し。

#4

廚に敕めて常羞に倍せしむ,杯盤 頗る狼藉たり。

時 喪亂に屬すと雖も,貴に事えて 匹敵に賞つ。

中宵 良會に愜う,裴 鄭は 遠戚に非ず。

#5

群書一萬卷,博涉供務隙。

というのも、裴君は一萬巻もさまざまの書籍をたくわえ、公務のひまなおりにはそれ等にひろく目を通しているから、話が面白いのである。

他日辱銀鉤,森疏見矛戟。

また前日のことであるが、裴君から手紙をもらったが、その文字は銀鈎のごとく、森疎たる矛戟をみるがごとくであった。

倒屣喜旋歸,畫地求所歷。

君はその裴君のいたところから歸られたので、自分は狂喜してくつの後ろを倒して、いそいでひっかけて出迎え、裴君との経歴談を地面に圖をかいてもらってもとめるのである。

#6

乃聞風土質,又重田疇闢。

それから裴冕君がいる施州の風土がどんな性質かということを聞いたり、また田野の開拓されている様子をもきいた。

刺史似寇恂,列郡宜競惜。

刺史裴君はむかしの後漢の寇恂を借りた故事に似た人物だから諸郡が競って同君を借りたいと願うのもあたりまえのこととおもう。

北風吹瘴癘,羸老思散策。

いまや北風があつい瘴癘の気を吹き飛ばし去って、つかれて老いたこの身も散歩でもしたくなった。

渚拂蒹葭塞,嶠穿蘿蔦冪。

渚をぶらつけば、兼葭をわたる風は寒く、高き山の路をくぐりゆけば蘿や蔦がおおいかぶさる。

#7

此身仗兒僕,高興潛有激。孟冬方首路,強飯取崖壁。

歎爾疲駑駘,汗溝血不赤。

#8

終然備外飾,駕馭何所益。我有平肩輿,前途猶准的。

翩翩入鳥道,庶蹉跌厄。

 

#5

群書 一萬卷,博涉 務隙に供す。

他日 銀鉤を辱【かたじけな】くし,森疏 見矛戟をる。

倒屣【とうし】旋歸を喜ぶ,地に畫きて所歷を求む。
#6

乃ち聞く 風土の質,又た重ぬ 田疇 闢けたりと。

刺史 寇恂に似たり,列郡 宜しく競い惜るべし。

北風 瘴癘を吹く,羸老 散策を思う。

渚を拂えば 蒹葭塞し,嶠を穿てば 蘿蔦冪う。

#7

此の身 兒僕に仗るも,高興 潛に 激する有り。
孟冬 方に首路,強いて飯いて 崖壁を取らん。

爾を歎ず 疲れたる駑駘,汗溝 血 赤からず。

#8

終然 外飾を備うるも,駕馭 何ぞ益する所かあらん。

我に平肩の輿有り,前途 猶お 准的なり。

翩翩として 鳥道に入れば,庶わくば 蹉跌の厄よりせん

 

 

作時年:

767

大暦2

56

全唐詩

卷二二一  20

文體:

 五言古詩

杜詩詳注

卷二○(四)一八一二

杜少陵集巻二〇100  / 杜詩全訳1261

詩題:

 鄭典設自施州歸

序文

 

作地點:

目前尚無資料

及地點:

 施州 (黔中道 施州 

滎陽 (都畿道 鄭州 滎陽)   

0

 

交遊人物:

鄭典設

書信往來

裴冕

 詩文提及(黔中道 施州 施州)

 

  鄭典設自施州歸

  此當是大厯二年作。太唐志東官典、設郎四人掌 子湯沐

  汎掃鋪陳事而杜臆施州舊屬州路明改為施州衛屬湖廣 之建始縣舊𨽻

  施州在府南五百里志云民雜夷獠頗有華風

吾憐滎陽秀、冒暑初有適。名賢慎出處、上聲一/作所出不肯妄行役

殊俗一作/竟以屢//迫。

首敘往施之/ 見冒暑而行為迫於空乏耳

予滎陽鄭氏郡名見陸機/詩出處鮮為諧  季行役 屢空 論語

南謁裴施州、氣合無險僻。攀援懸根木、登頓入天草堂陳浩/然並作矢石。

青山自一川、城郭洗憂戚。

一作慼投次敘往施景事援/意氣相 忘乎險僻矣攀 

二句中途厯險青山二句到時覽勝懸梁武帝詩攀援/傍玉澗 江總賦岸木懸根 杜臆 根木葢榕也根

生枝上纍纍下垂未見者以為竒南荒山水粗惡青山/一川便足賞心矣 謝靈運詩山行窮登頓 入矢石

當作入天石鮑照詩青㝠摇烟樹穹跨負天石公瞿唐/詩入天猶石色足証矢字之訛 憂戚與遠戚字同意

異作不/犯重 

聴子話此邦、令/我心恱懌。其俗則一作/淳樸、不知有主客。

温温諸侯門、禮亦如古昔。

敕廚倍常羞、盃盤頗狼籍。時雖屬//亂、事貴當一作/匹敵。

中宵愜良裴鄭非戚。

羣書一萬巻、博涉供務隙。他日辱銀鈎、森疎見矛

次述典設之言交上四見施州風俗之美中八見裴公 情之厚下四兼誌典設文學之優尊不知 

主客皆能親厚諸侯門指裴刺史 杜臆往事 貴適當匹敵之人也一時雖喪亂而事則

貴與匹敵者相賞貴字與雖字相應皆屬活字不如前解 裴向曾寄書於公故有龍蛇動篋蟠銀

鈎之句此云銀鈎矛正引證其善書耳若云贈書於鄭恐辱字不去 詩悅懌汝美 元希聲詩

粤在古昔叔滑稽傳履舄交錯盃盤狼籍敵左傳媚人曰蕭同 子非他寡君之母也若以匹 則

亦晋君之母也傳言齊晋相匹詩引之以見裴鄭之相匹耳賛劉向楊雄博極羣書南史顔協博涉

羣書 漢書傳傅亮感物賦夜清務隙游目藝苑於薛道衡詩布字改銀鈎書

苑歐陽詢真行之書出 大令森然如武庫矛

倒屣喜旋歸、畫/地求一作/所厯。

乃聞風土質、又重/田疇闢。刺史似寇恂、列郡宜競借。

咨昔切一作惜結此敘歸來情事乃 上起下應畫地所厯應上山川風土田疇應上俗淳寇恂宜借

上諸侯 崔駰傳駰見竇憲倒屣迎注倒屣不上踵也安詩薄言旋歸任昉表畫地成抵掌可述

注謂張 世 借寇注 見朱注競借從草堂本為正謝靈運山居賦怨浮齡/之如借叶入聲音迹 

北風吹瘴癘、羸老思散拂蒹葭寒、一作/嶠穿蘿蔦羃。

此身仗兒僕、髙興/潛有激。孟冬方首/路、飯取崖壁。

歎爾疲駑駘、汗溝血不赤。

終然備外飾、駕馭何所益。我有平肩輿、前途猶凖的。

翩翩入鳥道、庶蹉跌厄。

此自敘欲往施州之意散上八擬行期下八商行計 而行渚拂水行也嶠穿山行也

方首路謂孟冬方啓行 注厯險非駑馬所堪必肩輿可免蹉跌將自巳陪結文情逸宕實

杜臆後數句乃對面商量之語輒以入詩此是真情 事 此章六句者三段十六句者兩段

羃詩蒹葭蒼蒼亮鶴曰詩注蔦一名女蘿羃如伍子胥 面之羃 傅 詩旌首路顔延之詩

首路跼險汗李陵書春風多厲飯為佳昭赭白馬賦膺門沫赭 溝走血注汗溝馬中脊

也 明太子詩終然類管窺子晉書王獻之乘平肩輿入顧辟疆園 溫 昇表實當年之凖的

乃一世之權衡 

 

『鄭典設自施州歸』 現代語訳と訳註解説

(本文)

#6

乃聞風土質,又重田疇闢。

刺史似寇恂,列郡宜競惜。

北風吹瘴癘,羸老思散策。

渚拂蒹葭塞,嶠穿蘿蔦冪。

 

(下し文)

#6

乃ち聞く 風土の質,又た重ぬ 田疇 闢けたりと。

刺史 寇恂に似たり,列郡 宜しく競い惜るべし。

北風 瘴癘を吹く,羸老 散策を思う。

渚を拂えば 蒹葭塞し,嶠を穿てば 蘿蔦冪う。

 

(現代語訳)

それから裴冕君がいる施州の風土がどんな性質かということを聞いたり、また田野の開拓されている様子をもきいた。

刺史裴君はむかしの後漢の寇恂を借りた故事に似た人物だから諸郡が競って同君を借りたいと願うのもあたりまえのこととおもう。

いまや北風があつい瘴癘の気を吹き飛ばし去って、つかれて老いたこの身も散歩でもしたくなった。

渚をぶらつけば、兼葭をわたる風は寒く、高き山の路をくぐりゆけば蘿や蔦がおおいかぶさる。

 

(訳注)

鄭典設自施州歸 

(典設郎の鄭某が施州から歸ったおりの感じをのべた詩。)大暦二年十月の作。

6

乃聞風土質,又重田疇闢。

それから裴冕君がいる施州の風土がどんな性質かということを聞いたり、また田野の開拓されている様子をもきいた。

36    風土質 施州の風土の性質をいう。

37    又重 又重ねて聞く。

38    田疇闢 田地の畝が開けていること。

  

刺史似寇恂,列郡宜競惜。

刺史裴君はむかしの後漢の寇恂を借りた故事に似た人物だから諸郡が競って同君を借りたいと願うのもあたりまえのこととおもう。

39    寇恂・競惜 後漢の光武帝、寇恂を穎川の太守とした、また汝南に移す、穎川に盗み起るやその人民光武にむかひ復び寇恂君か借りること一年ならんと請ひたり。是を以て寇恂を裴冕に比す。

 

北風吹瘴癘,羸老思散策。

いまや北風があつい瘴癘の気を吹き飛ばし去って、つかれて老いたこの身も散歩でもしたくなった。

40    瘴癘 特殊の気候や風土によって起こる伝染性の熱病。マラリアなど。

41    羸老 杜甫自身が老いて疲れたことを言う。

42    散策 杖を突いてぶらつく。

  

渚拂蒹葭塞,嶠穿蘿蔦冪。

渚をぶらつけば、兼葭をわたる風は寒く、高き山の路をくぐりゆけば蘿や蔦がおおいかぶさる。

43    渚拂 水辺を進んでゆく。

44    蒹葭塞 《詩経国風:秦風、蒹葭》「兼葭蒼蒼、白露為霜。所謂伊人、在水一方。」(兼葭蒼蒼たり、白露霜と為る。所謂伊【こ】の人、水の一方に在り。)葦が青々と茂り、白い露が霜になった、評判のこの人は、河の向こう側に住んでいる、河の流れに逆らって訪ねたいと思っても、水路は険しくかつ長い、

45  嶠穿 険しい山道を行く。

46  蘿蔦冪 蘿や蔦がおおいかぶさる。