767-236  送高司直尋封閬州(卷二一(四)一八二八) -3 - 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之 訳注解説Blog11178

 

 

767-236

 

 

 送高司直尋封閬州(卷二一(四)一八二八)  -3

 

杜甫詳注 訳注解説

 

 

漢文委員会kanbuniinkai紀頌之 訳注解説Blog11178

 

 

 

 

送高司直尋封閬州

(高司直が閬州の長官封某の部下となるのに水鬼苦役の夔州に立ち寄った時送別の宴で花を添える、この詩を披露して詠んだ。)

丹雀銜書來,暮棲何樹。

めでたい知らせを嘴にくわえて天子聖王のもとに運ぶのは丹雀のようなあなたが、この夜うらぶれてどの土地の木に宿るおつもりなのか。

驊騮事天子,辛苦在道路。

あの天子の名馬の驊騮のように陛下にお仕えしたあなたが、このような幸い旅をしておられる。

司直非冗官,荒山甚無趣。

あなたの任ぜられていた大理、司直は閑職 ではないはずだが、今、どうしてこのような風情のない荒れ山に迷いこまれたのか。

借問泛舟人,胡為入雲霧。

お尋ね するが、あなたは舟を浮かべて旅をして、なぜ雲や霧の中に入っていかれるのか。

#2

與子姻婭間,既親亦有故。

あなたと私は王族の末裔で姻戚の関係であり、親族にして旧知のあいだ柄でもある。

萬里長江邊,邂逅一相遇。

遠く西の万里のさきから流れてきて、遠く東の東海(太平洋)に流れさる長江のほとりで、思いがけず、偶然にもまたお会いした。

長卿消渴再,公幹沈綿屢。

私は司馬相知のように糖尿病がぶりかえし、建安七子の一人である劉楨のように長患いを 繰り返している。

清談慰老夫,開卷得佳句。

そのような時、あなたの高雅な談論はこの老いぼれを慰め、詩巻を開けば すばらしい詩句を目にすることができる。

#3

時見文章士,欣然澹情素。

今、文章の士といわれる文学に秀でたあなたとお会いできたこと、心の底から喜んで本心を話しておるのである。

伏枕聞別離,疇能忍漂寓。

長安に帰らねばならないのに、持病が悪化し、養生のためこの地に伏せて いる時に、せっかく会えたあなたと別れなければならないと聞けば、いったい誰がこのようなさすらいの境遇 に堪えておれようか。

良會苦短促,溪行水奔注。

良い出会いというものは実に短いものであり、あなたが峡谷に舟を進ませれば、川の水は奔流となって行く手を遮るかもしれない。

熊羆咆空林,遊子慎馳騖。

陸行するならクマとヒグマがひと気のない林で吠える声が響き渡るであろうし、このような場所から旅人として出発し、あわてて進むのはおやめなさい。

#4

西謁巴中侯,艱險如跬步。

主人不世才,先帝常特顧。

拔為天軍佐,崇大王法度。

淮海生清風,南翁尚思慕。

#5

公宮造廣廈,木石乃無數。

初聞伐松柏,猶臥天一柱。

我瘦書不成,成字讀亦誤。

為我問故人,勞心練征戍。

 

(高司直の封閬州を尋ぬるを送る)

丹雀書をみて来たり、暮れに何れの郷の樹にか棲む。

驊騮 天子に事え、辛苦 道路に在り。

司直 は冗官に非ず、荒山 甚だ 趣無し。

借間す 舟を泛ぶるの人、胡為れぞ雲霧に入るやと。

#2

子とは姻婭の間、既に親にして亦た故有り。

万里長江の辺、避返して亦た相い遇えり

長卿 消渇 再びし、公幹 沈綿 屡しばなり。

清談 老夫を慰め、巻を開けば 佳句を得たり。

#3

時に文章の士を見、欣然として情素を談ず。

枕に伏して別離を聞けば、たれか能く漂寓するに忍びんや。

良会 苦だ短促、渓行すれば水奔注す。

熊熊空林にほゆ、遊子馳鷲を慎め。

#4

西のかた巴中侯に謁せんとし、難険踵歩の如し。

主人不世の才、先帝常に特に顧る。

抜きて天軍の佐と為り、崇大す王の法度を。

准海清風生じ、南翁尚お思罫す。

#5

公営広度を造り、木石乃ち無数。

初め聞く松柏を伐つを、猶お臥す天の一柱を。

我れ病みて書成らず、字を成すも読めば亦た誤る。

我が為に故人に問え、心を労して征戊を練るかと

 

杜詩詳注 関係個所

時見文章士、欣然談一作/情素。伏枕聞離、疇能忍漂寓。

苦短促、溪行水奔注。熊羆咆空林、遊子慎馳騖。

西謁巴中侯、艱險一作/如跬步。此為司直惜。 清談、屬高。 談情/屬公。

 水行恐奔注、陸行恐遇熊羆、特以巴侯舊契、故視艱險如跬步耳。

情素〕 遊蔡傳公、孫鞅之事孝公披腹心示情素。

馳騖〕 曹植《節澤賦》: 步北林而馳騖。 

巴中〕 巴中侯、指封閬州。

跬步〕 《越/絶書》 曽無跬步之勞。 按:半步曰跬。

主人不世才、先帝常特顧。拔為天軍佐、崇大王法度。淮海生清風、南翁尚思慕。

造廣厦、木石乃無數。初聞伐松柏、猶卧天一柱。此稱閬州之賢。須封初為宿衛官、又嘗仕於淮海、

乃歴來宦迹。 且廣厦 梁棟之材、乃採松柏而舍天柱、惜其未得大用也。

天軍佐〕 《漢・天文志》: 虚危南有衆星、曰羽林天軍。

崇大王法度〕 言王朝法度、能尊崇而擴大之。 朱穆《崇厚論》:天不崇大、則覆情不廣。

清風〕 《詩》: 穆如清風。

廣厦〕 趙曰: 凡官府貴處、謂/之公。 《左傳》: 搆其公 桓譚。 

《新 論》:雍門周謂孟嘗君曰:「足下居則廣厦高堂、連闥洞房。」 

天一〕 《神異經》: 崑崙有銅柱其高入天謂之天柱

我病一作/書不成、成字讀一作/亦誤。為/我問故人、勞心練征戍。末以/寄語

 

 

杜詩詳注〔四〕《送高司直尋封閬州》訳注解説

(本文)

3

時見文章士,欣然澹情素。

伏枕聞別離,疇能忍漂寓。

良會苦短促,溪行水奔注。

熊羆咆空林,遊子慎馳騖。

 

(下し文)

(高司直の封閬州を尋ぬるを送る)

#3

 

(現代語訳)

(高司直が閬州の長官封某の部下となるのに水鬼苦役の夔州に立ち寄った時送別の宴で花を添える、この詩を披露して詠んだ。)#3

今、文章の士といわれる文学に秀でたあなたとお会いできたこと、心の底から喜んで本心を話しておるのである。

長安に帰らねばならないのに、持病が悪化し、養生のためこの地に伏せて いる時に、せっかく会えたあなたと別れなければならないと聞けば、いったい誰がこのようなさすらいの境遇 に堪えておれようか。

良い出会いというものは実に短いものであり、あなたが峡谷に舟を進ませれば、川の水は奔流となって行く手を遮るかもしれない。

陸行するならクマとヒグマがひと気のない林で吠える声が響き渡るであろうし、このような場所から旅人として出発し、あわてて進むのはおやめなさい。

 

 

(訳注解説)

送高司直尋封閬州

(高司直が閬州の長官封某の部下となるのに水鬼苦役の夔州に立ち寄った時送別の宴で花を添える、この詩を披露して詠んだ。)

【題意】杜詩詳注卷二一(四)一八二四、杜少陵詩集四四七。杜詩全譯〔四〕P543

制作時767年、制作地は前詩と同じ夔州。封氏を尋ねるのを送別した詩。高司直は未詳。司直は大理司直を指し、 杜佑『通典』巻二五「職官七」によれば、皇帝の命を承けて使者として派遣されて地方の官吏を尋問し、大理寺(検察庁)で疑獄事件を処理する時には評議に加わる。ただし、高司直 は閬州刺史である封氏の部下となるために赴任すると考えられることから、司直は現職ではなく前職であろう。封閬州も未詳。郁賢暗『唐刺史考全編』二八八四頁は、安史の乱以後、遠くない時期に封議が閬州刺史を務めていたと推測する。

 

#3

此は司直との惜す。 清談、屬高す。 談情屬公。水行 恐らく奔注をみ、陸行 恐らく熊羆に遇す、特に以て巴侯に舊契す、故に艱險を跬步の如くと視るのみ。

時見文章士,欣然澹情素。

今、文章の士といわれる文学に秀でたあなたとお会いできたこと、心の底から喜んで本心を話しておるのである。

文章士 文章に優れた人物。「為文章操紙筆立書」(文章を為るときは、紙筆を操って立ちどころに書く。

情素 本心。① 平素からの感情。もとからの思い。② 汚れのない気持。潔白な気持。誠意。情素〕 遊蔡傳公、孫鞅之事、孝公 腹心を披い情素を示す。

 

伏枕聞別離,疇能忍漂寓。

長安に帰らねばならないのに、持病が悪化し、養生のためこの地に伏せて いる時に、せっかく会えたあなたと別れなければならないと聞けば、いったい誰がこのようなさすらいの境遇 に堪えておれようか。

漂寓 さまよって他郷に仮住まいする。

 

良會苦短促,溪行水奔注。

良い出会いというものは実に短いものであり、あなたが峡谷に舟を進ませれば、川の水は奔流となって行く手を遮るかもしれない。

良書 良い 出会い。

溪行 谷川を進む。ここでは長汀を遡る。この二句と次の二句は、送別の宴を開いた夔州が水陸駅であることで、陸行と水行するものがあり、そのどちらも難航が予想されるたびであることを言う。

 

熊羆咆空林,遊子慎馳騖。

陸行するならクマとヒグマがひと気のない林で吠える声が響き渡るであろうし、このような場所から旅人として出発し、あわてて進むのはおやめなさい。

空林 ひと気のない林。

遊子 旅人。

馳驚  速く馳せる。馳騖〕 曹植《節澤賦》: 步北林而馳騖。