巴山をみると春の景色がしずかに横たわっているが、朝廷のある北をながめると都には異民族がたむろし、その山はいよいよ遠くまでつづいていて、その道も危なくて、とても都の役人になれと言われてもその気にはなれないのである。
廣徳2年764-61 《傷春,五首之二》 ふたたび成都 杜甫<737> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4015 杜甫詩1500-737-974/250025
傷春,五首 〔二〕
(この第二首は国事より家事に及んで傷んだ)
〔自注:巴閬僻遠,傷春罷,始知春前已收宮闕。〕
(巴蜀の閬州は僻地の田舎だからこの「傷春」の詩をつくってしまったけれど、そのあとに「やっと春より前(763年12月)に代宗が長安の御殿に帰りついたことを知った」というのである。)
鶯入新年語,花開滿故枝。
新年になれば庭に入って鶯は春を告げることばを云うし、花はもとの枝にそのままいっぱいに咲き満ちちるものだ。
天青風卷幔,草碧水通池。
天も春の青さを知らせてくれ、風も行楽の幔幕を巻きあげて報せ、草の色はみどりにして成長し、春水が豊かさを池のもほうに運んでくれる。
牢落官軍速,蕭條萬事危。
国の方はというと唐の国軍兵士は外敵に攻められて簡単に陥落して逃散し、形勢さびしく振るわず万事が危いことだらけである。
鬢毛元自白,淚點向來垂。
自分の髪の毛はもとから白いがもっと白くなったのではないか、この有様では涙のしずくの上に涙が至り、これまでもこれからもに垂れつづけることだろう。
不是無兄弟,其如有別離。
国の事ばかりではない。自分には兄弟がいないのと同然なのだ、いるのに別れたままで連絡も取れないという事実のあることをどうすることもできないのである。
巴山春色靜,北望轉逶迤。
巴山をみると春の景色がしずかに横たわっているが、朝廷のある北をながめると都には異民族がたむろし、その山はいよいよ遠くまでつづいていて、その道も危なくて、とても都の役人になれと言われてもその気にはなれないのである。
(春を傷む 五首〔二〕)
鶯入りて 新年語なり、花開きて故枝【こし】に満つ。
天 靑くして 風 幔【まん】を巻き、草碧にして 水 池に通づ。
牢落【ろうらく】官軍 速く、蕭条 万事 危し。
鬢毛 元【もとも】と自ずから白し、涙点【るいてん】 向い来たりて垂る。
是れ兄弟 無きならず、其れ別離 有るを如せん。
巴山 春色 静なり、北望 転【うた】た透迤【いい】たり。
『傷春,五首 〔二〕』 現代語訳と訳註
(本文)
傷春,五首 〔二〕
〔自注:巴閬僻遠,傷春罷,始知春前已收宮闕。〕
鶯入新年語,花開滿故枝。天青風卷幔,草碧水通池。
牢落官軍速,蕭條萬事危。鬢毛元自白,淚點向來垂。
不是無兄弟,其如有別離。巴山春色靜,北望轉逶迤。
(下し文)
(春を傷む 五首〔二〕)
鶯入りて 新年語なり、花開きて故枝【こし】に満つ。
天 靑くして 風 幔【まん】を巻き、草碧にして 水 池に通づ。
牢落【ろうらく】官軍 速く、蕭条 万事 危し。
鬢毛 元【もとも】と自ずから白し、涙点【るいてん】 向い来たりて垂る。
是れ兄弟 無きならず、其れ別離 有るを如せん。
巴山 春色 静なり、北望 転【うた】た透迤【いい】たり。
(現代語訳)
(この第二首は家事がままならぬ国事のあり方に傷んだ)
新年になれば庭に入って鶯は春を告げることばを云うし、花はもとの枝にそのままいっぱいに咲き満ちちるものだ。
天も春の青さを知らせてくれ、風も行楽の幔幕を巻きあげて報せ、草の色はみどりにして成長し、春水が豊かさを池のもほうに運んでくれる。
国の方はというと唐の国軍兵士は外敵に攻められて簡単に陥落して逃散し、形勢さびしく振るわず万事が危いことだらけである。
自分の髪の毛はもとから白いがもっと白くなったのではないか、この有様では涙のしずくの上に涙が至り、これまでもこれからもに垂れつづけることだろう。
国の事ばかりではない。自分には兄弟がいないのと同然なのだ、いるのに別れたままで連絡も取れないという事実のあることをどうすることもできないのである。
巴山をみると春の景色がしずかに横たわっているが、朝廷のある北をながめると都には異民族がたむろし、その山はいよいよ遠くまでつづいていて、その道も危なくて、とても都の役人になれと言われてもその気にはなれないのである。
(訳注)
傷春,五首 〔二〕 (この第二首は家事がままならぬ国事のあり方に傷んだ)
〔自注:巴閬僻遠,傷春罷,始知春前已收宮闕。〕
鶯、花、天、山の青さ、風、草、池と春は当たり前のように來るし、自分の白髪頭も白さを増していくし、涙を止めようにも止まらず、兄弟は離れ離れのままである。どうしてこんな国になったのか。北の朝廷の方にきたいをしてもだめなのか。
鶯入新年語,花開滿故枝。
新年になれば庭に入って鶯は春を告げることばを云うし、花はもとの枝にそのままいっぱいに咲き満ちちるものだ。
天青風卷幔,草碧水通池。
天も春の青さを知らせてくれ、風も行楽の幔幕を巻きあげて報せ、草の色はみどりにして成長し、春水が豊かさを池のもほうに運んでくれる。
○幌 まく。
牢落官軍速,蕭條萬事危。
国の方はというと唐の国軍兵士は外敵に攻められて簡単に陥落して逃散し、形勢さびしく振るわず万事が危いことだらけである。
○牢落さびしいさま。
*杜甫は、現皇帝の代宗、その前の粛宗に対して厳しい見方をしている。左拾遺から左遷したのも粛宗である。代宗もイェスマンだけを取りたて、気ままな政治をしている。
鬢毛元自白,淚點向來垂。
自分の髪の毛はもとから白いがもっと白くなったのではないか、この有様では涙のしずくの上に涙が至り、これまでもこれからもに垂れつづけることだろう。
*ここはこの国は、この天子、それを支える官僚たちではどうしようもないことをいう。
不是無兄弟,其如有別離。
国の事ばかりではない。自分には兄弟がいないのと同然なのだ、いるのに別れたままで連絡も取れないという事実のあることをどうすることもできないのである。
○如「如何」とおなじ。
*唐は30里に一か所の駅伝制(駅亭・水亭)を整備していた玄宗の時代はきちんと書簡通っていたが、道路・水路もズタズタになっていることをいう。
巴山春色靜,北望轉逶迤。
巴山をみると春の景色がしずかに横たわっているが、朝廷のある北をながめると都には異民族がたむろし、その山はいよいよ遠くまでつづいていて、その道も危なくて、とても都の役人になれと言われてもその気にはなれないのである。
○巴山 閬州の山。
























































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