杜甫詳注 杜詩の訳注解説 漢文委員会

士族の子で、のほほんとしていた杜甫を変えたのは、三十代李白にあって、強いカルチャーショックを受けたことである。その後十年、就活に励んだ。同時に極限に近い貧困になり、家族を妻の実家に送り届けるときの詩は、そして、子供の死は、杜甫の詩を格段に向上させた。安史の乱直前から、捕縛され、長安での軟禁は、詩にすごみと分かりやすさのすぐれたしにかえてゆき、長安を脱出し、鳳翔の行在所にたどり着き、朝廷に仕えたことは、人間関係の複雑さを体験して、詩に深みが出ることになった。そして、朝廷における疎外感は詩人として数段高めさせてくれた。特に、杜甫の先生に当たる房琯関連の出来事、二十数首の詩は内容のあるものである。  一年朝廷で死に直面し、そして、疎外され、人間的にも成長し、これ以降の詩は多くの人に読まれる。  ◍  華州、秦州、同谷  ◍  成都 春満喫  ◍  蜀州、巴州、転々。 ◍  再び成都 幕府に。 それから、かねてから江陵にむかい、暖かいところで養生して、長安、朝廷に上がるため、蜀を発し、 ◍  忠州、雲州   ◍  夔州   ◍  公安  そして、長安に向かうことなく船上で逝くのである。  本ブログは、上記を完璧に整理し、解説した仇兆鰲の《杜詩詳注》に従い、改めて進めていく。

杜甫の詩、全詩、約1500首。それをきちんと整理したのが、清、仇兆鰲注解 杜詩詳注である。その後今日に至るまで、すべてこの杜詩詳注に基づいて書かれている。筆者も足掛け四年癌と戦い、いったんこれを征することができた。思えば奇跡が何度も起きた。
このブログで、1200首以上掲載したけれど、ブログ開始時は不慣れで誤字脱字も多く、そして、ブログの統一性も不十分である。また、訳注解説にも、手抜き感、不十分さもあり、心機一転、杜詩詳注に完全忠実に初めからやり直すことにした。
・そして、全唐詩と連携して、どちらからでも杜詩の検索ができるようにした。
・杜甫サイトには語順検索、作時編年表からも検索できるようにした。
杜甫詩の4サイト
● http://2019kanbun.turukusa.com/
● http://kanbunkenkyu.webcrow.jp
● http://kanbunkenkyu.web.fc2.com/
● http://kanbuniinka15.yu-nagi.com

抒情詩

白水崔少府十九翁高齋三十韻 杜甫 125 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 121-#5

白水崔少府十九翁高齋三十韻 杜甫 125 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 121-#5



-#4
坐久風頗怒,晚來山更碧。
相對十丈蛟,欻翻盤渦坼。
何得空裡雷,殷殷尋地脈。
煙氛藹崷崒,魍魎森慘戚。
昆侖崆峒顛,回首如不隔。』

-#5
前軒頹反照,巉絕華嶽赤。
南の軒にたいして照り返しがすこし衰えてきた。非常にけわしくそびえる華嶽がまっかにみえている。
兵氣漲林巒,川光雜鋒鏑。
どこにいてもいくさの気配が林や小高い山にみなぎり、川の光は刀や槍の先、鋒鏑の光とまじり合うように感じるのである。
知是相公軍,鐵馬雲霧積。
それでなにがわかるのかというと哥舒翰相公の大軍勢がそのあたりに駐屯していて、鉄の防具をつけた馬がたくさんあっまって、雲霧の様に砂塵をおこしているのだということがわかるのである。
玉觴淡無味,胡羯豈強敵?
それを考えると手にするうるわしく飾った杯もさっぱり水くさくて味がない。まさか叛乱軍どもは強敵というのではないはずではないか(それがじっさいには強いのでどうしたのかという意)。
長歌激屋樑,淚下流衽席。』

我がうたう長歌は部屋内の梁にあたって勢いをまし、涙はくだって衣のつまやむしろ敷きに流れている。』

-#6
人生半哀樂,天地有順逆。
慨彼萬國夫,休明備徵狄。
猛將紛填委,廟謀蓄長策。
東郊何時開?帶甲且未釋。』
欲告清宴罷,難拒幽明迫。
三嘆酒食旁,何由似平昔!』


-#4
坐久しくして風頗る怒る 晩来山更に碧なり
相対す十丈の校 数ち盤渦を和えして塀く
何ぞ得ん空裏の雷 殿殿として地腺を尋ぬるを
煙気高として酋奉 魅魅森として惨戚
良禽畦桐の巌 首を回らせば隔たらざるが如し』

-5

前軒反照怒る 唆絶華嶽赤し、

兵気林轡に斬る 川光鋒鏑に雑わる

知る是れ相公の軍 傲馬雲霧積めることを

玉腸淡として味無し 胡掲豊に強敵ならんや

長歌屋梁に激す 涙下って裡席に流る』

-#6
人生哀楽半ばなり 天地順逆有り
慨す彼の万国の夫 休明には征秋に備えしを
猛将紛として墳委す 廟謀長策を蓄う
東郊何の時か開けん 帯甲且未だ釈けず』
宴の罷むを告げんと欲す 幽明の迫るを拒み難し
歎す酒食の傍 何に由ってか平昔に似ん』



白水崔少府十九翁高齋三十韻 現代語訳と訳註 -#5
(本文) -#5

前軒頹反照,巉絕華嶽赤。
兵氣漲林巒,川光雜鋒鏑。
知是相公軍,鐵馬雲霧積。
玉觴淡無味,胡羯豈強敵?
長歌激屋樑,淚下流衽席。』

(下し文) -#5
前軒反照怒る 唆絶華嶽赤し、
兵気林轡に斬る 川光鋒鏑に雑わる
知る是れ相公の軍 傲馬雲霧積めることを
玉腸淡として味無し 胡掲豊に強敵ならんや
長歌屋梁に激す 涙下って裡席に流る』

(現代語訳)
南の軒にたいして照り返しがすこし衰えてきた。非常にけわしくそびえる華嶽がまっかにみえている。
どこにいてもいくさの気配が林や小高い山にみなぎり、川の光は刀や槍の先、鋒鏑の光とまじり合うように感じるのである。
それでなにがわかるのかというと哥舒翰相公の大軍勢がそのあたりに駐屯していて、鉄の防具をつけた馬がたくさんあっまって、雲霧の様に砂塵をおこしているのだということがわかるのである。
それを考えると手にするうるわしく飾った杯もさっぱり水くさくて味がない。まさか叛乱軍どもは強敵というのではないはずではないか(それがじっさいには強いのでどうしたのかという意)。
我がうたう長歌は部屋内の梁にあたって勢いをまし、涙はくだって衣のつまやむしろ敷きに流れている。』


(語訳と訳註)
-#5
(之より唐王朝に関して情勢の見方、考え方について述べている。)
前軒頹反照,巉絕華嶽赤。
南の軒にたいして照り返しがすこし衰えてきた。非常にけわしくそびえる華嶽がまっかにみえている。
前軒 南面ののきば。○頹反照 夕陽のてりかえしがおとろえてきたことをいう。○巉絕 非常にけわしくそびえる。○華嶽  狭西省華陰県。中国五山のひとつ。西嶽華山標高1997メートル、南は秦嶺に連なっている。白水からは南方にみえる。
長安黄河
 
兵氣漲林巒,川光雜鋒鏑。
どこにいてもいくさの気配が林や小高い山にみなぎり、川の光は刀や槍の先、鋒鏑の光とまじり合うように感じるのである。
兵気 いくさの気。林巒 林や小高い山。○雑鋒鏑 鋒は刃のほさき、鏑は矢のかぶら、これは鋒鏑の光をいう、雑とは川の水の光と鋒鏑の光とがいりまじること。


知是相公軍,鐵馬雲霧積。
それでなにがわかるのかというと哥舒翰相公の大軍勢がそのあたりに駐屯していて、鉄の防具をつけた馬がたくさんあっまって、雲霧の様に砂塵をおこしているのだということがわかるのである。
相公軍 相公は宰相の職にある哥舒翰をさす。安禄山の反するや翰を以て太子先鋒兵馬元帥となし、明年(天宝十五載)正月、尚書左僕射・同中書門下平章事に進位した。時に翰は二十万の兵を統べて潼関を守った。潼関は華州の東にあり、長安から東流してきた渭水と、何流してきた黄河が直角に折れて東流する。その折れ曲がるところで渭水と合流する。この地点から流れが急流になるので軍事上重要地点なのだ。○鉄馬 鉄の防具をつけた馬。○雲霧横 雲霧の如く堆積する、多くあつまることをいう。


玉觴淡無味,胡羯豈強敵?
それを考えると手にするうるわしく飾った杯もさっぱり水くさくて味がない。まさか叛乱軍どもは強敵というのではないはずではないか(それがじっさいには強いのでどうしたのかという意)。
玉觴 主人が自己にだしてくれたさかずきをいう、玉とはうるわしく飾っていう。○胡掲 えびす、安禄山の叛乱軍をいう。
 
長歌激屋樑,淚下流衽席。』
我がうたう長歌は部屋内の梁にあたって勢いをまし、涙はくだって衣のつまやむしろ敷きに流れている。』
長歌 声をひいてうたううた。○屋梁 部屋に出ている梁のこと。○衽席 衣のつま及びむしろ。

白水崔少府十九翁高齋三十韻 杜甫 124 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 121-#4

白水崔少府十九翁高齋三十韻 杜甫 124 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 121-#4



-#4
坐久風頗怒,晚來山更碧。
しばらくここに坐っていた、すると風がおこったようにつよくなった。日も夕方になって山の色はいっそう碧がふかくなってみえる。
相對十丈蛟,欻翻盤渦坼。
川の方面では十丈もあろうかという蛟いる、たちまちのうちに水面にうずまきを作り、くりかえして水面を裂くようにひらくのだ。
何得空裡雷,殷殷尋地脈。
まさか天上の雷がいるのではあるまい、しかし、ごうごうとした音は地面まで尋ねて来て鳴りひびいているのだ。
煙氛藹崷崒,魍魎森慘戚。
靄ガスがもやくやとして山のそびゆる様にあがって高くたち、罔両という怪物もひっそりとしてかなしんでいるかのよう。
昆侖崆峒顛,回首如不隔。』

しかし崑崙山や崆峒山の頂は仙人の棲むところである、頭を回してみまわしてみると遠く隔たっているとはおもわれないのだ。』


-#5
前軒頹反照,巉絕華嶽赤。
兵氣漲林巒,川光雜鋒鏑。
知是相公軍,鐵馬雲霧積。
玉觴淡無味,胡羯豈強敵?
長歌激屋樑,淚下流衽席。』

-#4
坐久しくして風頗る怒る 晩来山更に碧なり
相対す十丈の校 数ち盤渦を和えして塀く
何ぞ得ん空裏の雷 殷殷として地脉を尋ぬるを
煙気高として酋奉 魅魅森として惨戚
良禽畦桐の巌 首を回らせば隔たらざるが如し』



白水崔少府十九翁高齋三十韻 現代語訳と訳註 -#4
(本文)

坐久風頗怒,晚來山更碧。
相對十丈蛟,欻翻盤渦坼。
何得空裡雷,殷殷尋地脉。
煙氛藹崷崒,魍魎森慘戚。
昆侖崆峒巓,回首如不隔。』

(下し文)
坐久しくして風頗る怒る 晩来山更に碧なり。
相対す十丈の蛟(みずち) 欻(たちま)ち盤渦を翻えして坼(ひら)く。
何ぞ得ん空裏の雷 殷殷として地脉(ちみゃく)を尋ぬるを。
煙気 藹(あい)として崷崒(しゅうしゅつ)  魍魎(もうりょう)森として惨戚(さんせき)。
崑崙崆峒の巓(いただき) 首を回らせば隔たらざるが如し』

(現代語訳)
しばらくここに坐っていた、すると風がおこったようにつよくなった。日も夕方になって山の色はいっそう碧がふかくなってみえる。
川の方面では十丈もあろうかという蛟いる、たちまちのうちに水面にうずまきを作り、くりかえして水面を裂くようにひらくのだ。
まさか天上の雷がいるのではあるまい、しかし、ごうごうとした音は地面まで尋ねて来て鳴りひびいているのだ。
靄ガスがもやくやとして山のそびゆる様にあがって高くたち、罔両という怪物もひっそりとしてかなしんでいるかのよう。
しかし崑崙山や崆峒山の頂は仙人の棲むところである、頭を回してみまわしてみると遠く隔たっているとはおもわれないのだ。』


  
(語訳と訳註)-#4
坐久風頗怒,晚來山更碧。

しばらくここに坐っていた、すると風がおこったようにつよくなった。日も夕方になって山の色はいっそう碧がふかくなってみえる。


相對十丈蛟,欻翻盤渦坼。
川の方面では十丈もあろうかという蛟いる、たちまちのうちに水面にうずまきを作り、くりかえして水面を裂くようにひらくのだ。
十丈蛟 十丈の身長あるみずち、白水の川の水中の魔物をいう。○盤渦 わにまぐうずまき。○ 水面を裂開することをいう。


何得空裡雷,殷殷尋地脈。
まさか天上の雷がいるのではあるまい、しかし、ごうごうとした音は地面まで尋ねて来て鳴りひびいているのだ。
何得 反語:得ず という意、そうはありえないのに、なんでそうであるのかととがめていうこころ。○空裡雷 空中で鳴るかみなり。○殷殷 雷の鳴る音のさま。○尋地脉 地脉までたずね来てそこで鳴る。これは実景を叙している「盤渦坼」を形容してきょうちょうしているのである。水の渦巻き音が雷のごとく地面まで尋ね来たようであること。

 
煙氛藹崷崒,魍魎森慘戚。
靄ガスがもやくやとして山のそびゆる様にあがって高くたち、罔両という怪物もひっそりとしてかなしんでいるかのよう。
○煙氛 靄ガス(わるいき)。○ もやくやとして。○崷崒 高峻なさま。○魍魎 中国の自然界の精鬼。罔両・美豆波ともいう。『淮南子』には、「罔両は状は三歳の小児の如し、色は赤黒し、目は赤く耳は長く、美しい髪をもつ」と記される。『本草綱目』には、「罔両は好んで亡者の肝を食べる。それで『周礼』に、戈(ほこ)を執って壙(つかあな)に入り、方良(罔両)を駆逐する、とあるのである。本性、罔両は虎と柏とを怖れす。また、弗述(ふつじゆつ)というのがいて、地下にあり死人の脳を食べるが、その首に柏を挿すと死ぬという。つまりこれは罔両である」と記されている。。○ しずかにたちならぶさま。○惨威 かなしみうれえる。

 
昆侖崆峒巓,回首如不隔。』
しかし崑崙山や崆峒山の頂は仙人の棲むところである、頭を回してみまわしてみると遠く隔たっているとはおもわれないのだ。』
昆侖崆峒 崑崙山、崆峒山、渭水を挟んで左右に聳える山であるが、ともに仙人の居る山。朝廷、皇居を意味するもの。

白水崔少府十九翁高齋三十韻 杜甫 123 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 121-#3

白水崔少府十九翁高齋三十韻 杜甫 123 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 121-#3


-#3
吏隱適情性,茲焉其窟宅。
主人は官僚であって隠遁者の生活をするのがその惰性にかなっているのでそれでこのような場所を自己のいわやの居宅としているのだ。(半官半隠をいう)
白水見舅氏,諸翁乃仙伯。
わたしはこの白水でおじの崔明府に面会しに来たのだが諸翁たちはみな仙人のなかの長であるとも申すべき人々だ。
杖藜長松下,作尉窮穀僻。
自分はここへ来て、背の高い松の木の下であかぎの杖をついてやすむのである、あなたはこんな奥まってだれもこぬ様な渓谷の地に尉官となっておられるのだ(即ち半分、仙人)。
為我炊雕胡,逍遙展良覿。』

自分のために菰米をたいてくれます。それで自分もここでぶらぶらしながらみなさんとの御面会するにつけてのこころのうちを十分にのべることができるのだ。』


-#4
坐久風頗怒,晚來山更碧。
相對十丈蛟,欻翻盤渦坼。
何得空裡雷,殷殷尋地脈。
煙氛藹崷崒,魍魎森慘戚。
昆侖崆峒顛,回首如不隔。』

-3

吏隠惰性に通す 玄鳶に其れ窟宅とす

白水舅氏を見る 諸翁は乃ち仙伯なり

葬を杖く長松の下 尉と作る窮谷の僻なるに

我が為めに離胡を炊ぐ 造造艮覿を展ぶ』



白水崔少府十九翁高齋三十韻 現代語訳と訳註 -#3
(本文)

吏隱適情性,茲焉其窟宅。
白水見舅氏,諸翁乃仙伯。
杖藜長松下,作尉窮穀僻。
為我炊雕胡,逍遙展良覿。』

(下し文)
吏隠惰性に通す 玄鳶に其れ窟宅とす
白水舅氏を見る 諸翁は乃ち仙伯なり
葬を杖く長松の下 尉と作る窮谷の僻なるに
我が為めに離胡を炊ぐ 造造艮覿を展ぶ』

(現代語訳)
主人は官僚であって隠遁者の生活をするのがその惰性にかなっているのでそれでこのような場所を自己のいわやの居宅としているのだ。(半官半隠をいう)
わたしはこの白水でおじの崔明府に面会しに来たのだが諸翁たちはみな仙人のなかの長であるとも申すべき人々だ。
自分はここへ来て、背の高い松の木の下であかぎの杖をついてやすむのである、あなたはこんな奥まってだれもこぬ様な渓谷の地に尉官となっておられるのだ(即ち半分、仙人)。
自分のために菰米をたいてくれます。それで自分もここでぶらぶらしながらみなさんとの御面会するにつけてのこころのうちを十分にのべることができるのだ。』


(語訳と訳註)-#3
吏隱適情性,茲焉其窟宅。
主人は官僚であって隠遁者の生活をするのがその惰性にかなっているのでそれでこのような場所を自己のいわやの居宅としているのだ。(半官半隠をいう)
○適 かなう。○惰性 主人のこころをいう。○茲焉 ここにての義。○窟宅 いわや、おりところ。


白水見舅氏,諸翁乃仙伯。
わたしはこの白水でおじの崔明府に面会しに来たのだが諸翁たちはみな仙人のなかの長であるとも申すべき人々だ。
舅氏 母方のおじ、崔明府をさす。○諸翁 これはひろく他の諸翁をさして崔十九翁をその中にこめていっている。○仙伯 仙人の伯の階級にある者、伯はそのなかの長、かしらである。


杖藜長松下,作尉窮穀僻。
自分はここへ来て、背の高い松の木の下であかぎの杖をついてやすむのである、あなたはこんな奥まってだれもこぬ様な渓谷の地に尉官となっておられるのだ(即ち半分、仙人)。
枚泰 あかぎのつえをつく、これは自己についていう。○窮谷僻 ゆきづまった谷のかたよっているところ。


為我炊雕胡,逍遙展良覿。』
自分のために菰米をたいてくれます。それで自分もここでぶらぶらしながらみなさんとの御面会するにつけてのこころのうちを十分にのべることができるのだ。』
 たいてくれる。○雕胡 菰米(まこもにみのるこめ)のことという。○展良覿 展は志をのびやかにする、艮覿は良会。心おきない会合であるから艮会というのであろう。

秋雨嘆三首 其一 杜甫 : kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 誠実な詩人杜甫特集 86

秋雨嘆三首 其一 杜甫 : kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 誠実な詩人杜甫特集 86(就職活動中 住まい:杜曲の家)
天宝13載 754年 43歳

754年 夏の間は、何将軍を訪れたり、舟遊びに一緒したり、納涼でにわか雨に逢ったりしたが、晴天が続いた後、秋になると、六十日間も雨が降りつづき、前年の日照りと今年は長雨、水害と交互に関中を襲い食糧不足に陥った。城内では米の値段が高騰した。

秋雨嘆三首  其一
雨中百草秋爛死、階下決明顏色鮮
著葉滿枝翠羽蓋、開花無數黃金錢
涼風蕭蕭吹汝急、恐汝後時難獨立
堂上書生空白頭、臨風三嗅馨香泣


秋雨嘆三首  其二 
闌風伏雨秋紛紛、四海八荒同一雲。
去馬来牛不復弁、濁涇清渭何当分。
禾頭生耳黍穂黒、農夫田父無消息。
城中斗米換衾裯、相許寧論両相直。


秋雨嘆三首  其三
長安布衣誰比數,反鎖衡門守環堵。
老夫不出長蓬蒿,稚子無憂走風雨。
雨聲颼颼催早寒,胡雁翅濕高飛難。
秋來未曾見白日,泥汙後土何時乾?


其一
雨中百草秋爛死,階下決明顏色鮮。
秋になって長雨が続く中、収穫の予定していたものが熟す前に腐ってしまっている、それなのに宮中の中にいる者たちは、色つやがいいのだ。
著葉滿枝翠羽蓋,開花無數黃金錢。
扇や日傘に翡翠の羽をいっぱいつけている、その花を開かせるにはどれだけ多くの黄金がかかったのか
涼風蕭蕭吹汝急,恐汝後時難獨立。
涼しい風がひゅうひゅうと吹いてきて次にもっと急に吹いてくる、後ろに倒されそうで一人立っているのが難しいほどなのだ
堂上書生空白頭,臨風三嗅馨香泣。

座敷の中に上がったままで書文しか能がない自分は空しく白髪頭を抱え込む、こんな風を前にして三回目の徳化を祈って香を焚き泣いてしまう。



秋になって長雨が続く中、収穫の予定していたものが熟す前に腐ってしまっている、それなのに宮中の中にいる者たちは、色つやがいいのだ。
御おぎや日傘に翡翠の羽をいっぱいつけている、その花を開かせるにはどれだけ多くの黄金がかかったのか
涼しい風がひゅうひゅうと吹いてきて次にもっと急に吹いてくる、後ろに倒されそうで一人立っているのが難しいほどなのだ
座敷の中に上がったままで書文しか能がない自分は空しく白髪頭を抱え込む、こんな風を前にして三回目の徳化を祈って香を焚き泣いてしまう。




秋の雨を嘆く三首  其の一

雨中の百草は秋に爛れて死せるに,階下の決明は顏色の鮮けき。
葉を著けては滿枝の翠羽の蓋(かさ),花を開きては無數の黃金の錢。
涼風は蕭蕭として汝を吹くに急に,時に後れし汝の獨り立に難きかと恐る。
堂上の書生は空しく白頭,風の臨(まえ) に三たび馨香を嗅ぎて泣く。




雨中百草秋爛死,階下決明顏色鮮。
秋になって長雨が続く中、収穫の予定していたものが熟す前に腐ってしまっている、それなのに宮中の中にいる者たちは、色つやがいいのだ。
爛死 熟れる前に腐って落ちること。○階下 きざはしのもと。○決明 宮廷の中のもの。



著葉滿枝翠羽蓋,開花無數黃金錢。
御おぎや日傘に翡翠の羽をいっぱいつけている、その花を開かせるにはどれだけ多くの黄金がかかったのか
滿枝 飾り物がいっぱいになる。○翠羽蓋 翡翠の羽で飾った蓋。



涼風蕭蕭吹汝急,恐汝後時難獨立。
涼しい風がひゅうひゅうと吹いてきて次にもっと急に吹いてくる、後ろに倒されそうで一人立っているのが難しいほどなのだ
蕭蕭 風の吹く音。



堂上書生空白頭,臨風三嗅馨香泣。
座敷の中に上がったままで書文しか能がない自分は空しく白髪頭を抱え込む、こんな風を前にして三回目の徳化を祈って香を焚き泣いてしまう。
堂上 堂は家の主要な居室、座敷というところか。○書生 書文しか能がないという意。○馨香 香を焚いて災いのないことを祈ることの意。

陪諸貴公子丈八溝携妓納涼晩際遇雨二首其二 杜甫 :kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 誠実な詩人杜甫特集 74

陪諸貴公子丈八溝携妓納涼晩際遇雨二首其二 杜甫 :kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 誠実な詩人杜甫特集 74
754年天宝13載43歳



陪諸貴公子丈八溝携妓納涼晩際遇雨二首
其二
雨来霑席上、風急打船頭。
夕立がやってきて席上をぬらしてしまった、突風が吹いて船のへさきをまよわせ打ってしまった。
越女紅裙湿、燕姫翠黛愁。
越の妓女は紅のはかまをぬらして困り顔、燕姫は眉根にしわをよせて愁い顔になった。
艫侵堤柳繋、幔卷浪花浮。
船をさまよわさぬように艫綱で堤上の柳へかけてつなぎつける。狼しぶきが花のようにちるので幔幕はすっかり巻きあげた。
帰路翻蕭颯、陂塘五月秋。

夕立で一時はおおさわざをしたけど、帰りみちはかえってさっぱりした感じだ。船のすすむ池堤には五月なのに秋のようなすずしさがただよった。


夕立がやってきて席上をぬらしてしまった、突風が吹いて船のへさきをまよわせ打ってしまった。
越の妓女は紅のはかまをぬらして困り顔、燕姫は眉根にしわをよせて愁い顔になった。
船をさまよわさぬように艫綱で堤上の柳へかけてつなぎつける。狼しぶきが花のようにちるので幔幕はすっかり巻きあげた。
夕立で一時はおおさわざをしたけど、帰りみちはかえってさっぱりした感じだ。船のすすむ池堤には五月なのに秋のようなすずしさがただよった。


諸貴公子に陪して、丈八溝に妓を携えて涼を納(いるる)、晩際に 雨に遇う 二首  其の二
雨 来たって席上を霑(うるお)し、風 急にして船頭(せんとう)を打つ。
越女(えつじょ) 紅裙(こうくん)湿(うるお)い、燕姫(えんき)翠黛(すいたい)愁(うれ)う。
艫(ともずな)は堤柳(ていりゅう)を侵して繋(か)け、幔(まん)は浪花(ろうか)を卷いて浮かぶ。
帰路(きろ) 翻(かえ)って蕭颯(しょうさつ)、陂塘(ひとう)  五月 秋なり



雨来霑席上、風急打船頭。
夕立がやってきて席上をぬらしてしまった、突風が吹いて船のへさきをまよわせ打ってしまった。
船頭 へさき。



越女紅裙湿、燕姫翠黛愁。
越の妓女は紅のはかまをぬらして困り顔、燕姫は眉根にしわをよせて愁い顔になった。
越女 浙江省の女。○ はかま。○燕姫 河北省の女。越は南、燕は北、つまり諸国の美妓をそろえたということである。○翠黛 みどりのかきまゆ。
 

艫侵堤柳繋、幔卷浪花浮。
船をさまよわさぬように艫綱で堤上の柳へかけてつなぎつける。狼しぶきが花のようにちるので幔幕はすっかり巻きあげた。
○艫侵 船をただよわさぬようにするための艫綱(ともづな) ○ 船にはったまんまく。○浪花 なみの花。

帰路翻蕭颯、陂塘五月秋。
夕立で一時はおおさわざをしたけど、帰りみちはかえってさっぱりした感じだ。船のすすむ池堤には五月なのに秋のようなすずしさがただよった。
蕭颯 さっぱりしたさま。○陂塘 陂と塘どちらも、いけ、づつみを意味する語。〇五月秋 五月の時節で秋のようにすずしい気候。


重過何氏五首 其五 杜甫 :kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 誠実な詩人杜甫特集 72

重過何氏五首 其五 杜甫 :kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 誠実な詩人杜甫特集 72
(就職活動中 長安郊外 杜曲の家)

 其の五の詩で、杜甫の生活の困窮したようすが語られる。延恩匭に三度も賦と表(上書)を投じたけれども、宮中からは何の音沙汰もない。杜甫は微禄でもいいから何とか禄にありついて、故郷の鞏県か陸渾荘にもどって土に親しむ生活をするのもいいと思ったりする。何をやってもうまくいかないときは行かないものである。朝廷がまともでない状態で官僚たちの間に、不満と不安が渦巻いていた。

754年天宝13載43歳 

重過何氏五首  其五
到此應常宿、相留可判年。
此の園へ来てから自分はいっでもここに宿泊するのである、将軍から引止められれば一年でも費すことができるのだ(しかしそんなにいつまでも居られるはずもない)。
蹉跎暮容色、悵望好林泉。
今うまく志を得ないので晩年の容色についてもよくはないだろう、ここを去ろうとしてみるとうらめしくこの大好きな庭園を眺めてしまう。
何日霑微祿、歸山買薄田。
いつになったら少しばかりの官禄にありついて故郷の山へかえって痩せ田地でも買うことができるのか。
斯遊恐不遂、把酒意茫然。

このような遊びは恐らくはなしとげることができないかもしれない。だから酒杯を手にしてはいるが先のことを考えるとただぼんやりして何も考えられない。いる。


此の園へ来てから自分はいっでもここに宿泊するのである、将軍から引止められれば一年でも費すことができるのだ(しかしそんなにいつまでも居られるはずもない)。
今うまく志を得ないので晩年の容色についてもよくはないだろう、ここを去ろうとしてみるとうらめしくこの大好きな庭園を眺めてしまう。
いつになったら少しばかりの官禄にありついて故郷の山へかえって痩せ田地でも買うことができるのか。
このような遊びは恐らくはなしとげることができないかもしれない。だから酒杯を手にしてはいるが先のことを考えるとただぼんやりして何も考えられない。いる。



重ねて何氏に過る 五首 其の五
此(ここ)に到っては応(まさ)に常に宿すべく
相い留(とど)めらるれば年を判(す)つ可し
蹉跎(さた)たる暮(くれ)の容色(ようしょく)
悵望(ちょうぼう)す  好林泉(こうりんせん)
何の日か微禄(びろく)に霑(うるお)い
山に帰りて薄田(はくでん)を買わん
斯(こ)の遊び  恐らくは遂げざらん
酒を把(と)りて意(い)は茫然(ぼうぜん)たり





この欝は此の園に別れようとするこころをのべる。之によれば作者は長安を辞して河南の方へかえろうとする意が動きつつあるのを見る。其の別れの情の深いことを知ることができよう。



到此應常宿、相留可判年。
此の園へ来てから自分はいっでもここに宿泊するのである、将軍から引止められれば一年でも費すことができるのだ(しかしそんなにいつまでも居られるはずもない)。
 園をさす。○常宿 いつもとまる。○相留 こちらを引きとめること。○判年 判は拚に通じ、拚はすてること。拚年とは一年の久しきをすてさることをいう。



蹉跎暮容色、悵望好林泉。
今うまく志を得ないので晩年の容色についてもよくはないだろう、ここを去ろうとしてみるとうらめしくこの大好きな庭園を眺めてしまう。
蹉跎 つまずくさま、失意のさま。○ 暮年、老年をいう。作者は今年四十三歳である。○容色 すがた、かおつき。○恨望 うらめしそうにながめる。○好林泉 将軍のこの園をさす。



何日霑微祿、歸山買薄田。
いつになったら少しばかりの官禄にありついて故郷の山へかえって痩せ田地でも買うことができるのか。
罵微 禄官に仕えてすこしばかりの俸禄にありつく。零はその恩典にうるおうことをいう。○帰山 山は故郷の山をいう。○薄田 地味のよくない田地。



斯遊恐不遂、把酒意茫然
このような遊びは恐らくはなしとげることができないかもしれない。だから酒杯を手にしてはいるが先のことを考えるとただぼんやりして何も考えられない。
斯遊 この山林でのあそび。○不遂 なしとげることができぬ。○把酒 酒杯をとる。○茫然 ぼんやり。

重過何氏五首 其四 杜甫 :kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 誠実な詩人杜甫特集 71

重過何氏五首 其四 杜甫 :kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 誠実な詩人杜甫特集 71
(就職活動中 長安郊外 杜曲の家)


重過何氏五首 其四
頗怪朝参懶、應耽野趣長。
将軍が朝会への参列をなまけておられるのをすこぶる不思議に思っていたが、それはきっと田畑、野辺の趣きの尽きないでただそのことに耽っておられることによるのである。
雨抛金鎖甲、苔臥綠沈槍。
雨が降るのに金属を鎖あみにしたよろいをほったらかしにしている。苔の上には深緑の漆塗りの槍もねかせている。
手自移蒲柳、家纔足稲梁。
将軍は手ずから水楊を植えかえているが、家計はやっと食べるだけの米があるばかりであるという。
看君用幽意、白日到義皇。

まのあたりに見る、あなたが自然を愛する気持をもっている、陶淵明が言った、「真昼間に昼寝をしていて太古の帝王伏義氏の理想時代以上に人になった」境地にに到達されているのであろう。



将軍が朝会への参列をなまけておられるのをすこぶる不思議に思っていたが、それはきっと田畑、野辺の趣きの尽きないでただそのことに耽っておられることによるのである。
雨が降るのに金属を鎖あみにしたよろいをほったらかしにしている。苔の上には深緑の漆塗りの槍もねかせている。
将軍は手ずから水楊を植えかえているが、家計はやっと食べるだけの米があるばかりであるという。
まのあたりに見る、あなたが自然を愛する気持をもっている、陶淵明が言った、「真昼間に昼寝をしていて太古の帝王伏義氏の理想時代以上に人になった」境地にに到達されているのであろう。




頗る怪しむ 朝参の懶を、応に野趣の長きに耽るなるべし
雨に抛つ 金鎖の甲、苔に臥す 綠沈の槍。
手もて自ら蒲柳を移し、家は綠沈かに稲梁足る。
看る 君が幽意を用て、白日 義皇に到るを。




頗怪朝参懶、應耽野趣長。
将軍が朝会への参列をなまけておられるのをすこぶる不思議に思っていたが、それはきっと田畑、野辺の趣きの尽きないでただそのことに耽っておられることによるのである。
頗怪 すこぶるあやしむ。 ○朝参 日が昇る時にある朝礼。 ○ ものうい。めんどうだ。なまける。 ○ ~を想像するということ。 ○ 野辺の仕事にふける。 ○野趣長。田畑、野辺の趣きの尽きないこと。



雨抛金鎖甲、苔臥綠沈槍。
雨が降るのに金属を鎖あみにしたよろいをほったらかしにしているし、苔の上には深緑の漆塗りの槍もねかせている。
雨抛 雨が降るのにほったらかしにしていること。 ○金鎖甲 金属を鎖あみにしたよろい。○ ねかせている。〇綠沈槍 柄の部分を深緑の漆で塗った槍。


 
手自移蒲柳、家纔足稲梁。
将軍は手ずから水楊を植えかえているが、家計はやっと食べるだけの米があるばかりであるという。
  移植する。○蒲柳 水楊。弓の矢の材料となる。○稲梁 こめのよいいね。



看君用幽意、白日到義皇。
まのあたりに見る、あなたが自然を愛する気持をもっている、陶淵明が言った、「真昼間に昼寝をしていて太古の帝王伏義氏の理想時代以上に人になった」境地にに到達されているのであろう。
用幽意 隠遁者の幽静を愛好する心を持っていること。  ○白日 真昼間 ○到義皇 太古の三皇の一人である帝王伏義氏。その時代には人類の理想の生活があったとされる。陶淵明の語に、夏の日に北窓の下に昼寝をしているとき、清風が颯として吹いてくると、現状を超越した「自から義皇よりも上の人」になったような気持がするとある(『晋書』隠逸伝)。


○韻  
長、槍、梁、皇。

重過何氏五首 其一 杜甫 :kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 誠実な詩人杜甫特集 68

重過何氏五首 其一 杜甫 :kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 誠実な詩人杜甫特集 68(就職活動中 杜曲の家)

753年天宝13載、春43歳。


この年、長安は日照りと水害に交互に見舞われた。これまで奉天県令の父杜閑の援助があったので、かろうじて妻子と杜甫が浪人暮らしができた。その父が死去し、父の後妻とその子など、十人の大家族になっている。暮らしは更に大変で、知人の助けで、城内から田舎(長安南郊の少陵原の杜曲に家を借る)に移った。
 杜曲に転居して間もない晩春のころに、杜甫は何将軍に書簡を書いた。住所の移転などを伝えたのだろう。
しばらくして何将軍から遊びに来ないかという返事が届き、杜甫は大喜びで出かけていった。

前に何将軍の山林に遊んだ詩十首(9/9~9/18のブログ)があるが、これはふたたび遊んで作ったものである。製作時は、前遊は夏であり、此の遊は天宝十三載の春である。


重過何氏五首 其一
問訊東橋竹,將軍有報書。倒衣還命駕,高枕乃吾廬。
花妥鶯捎蝶,溪喧獺趁魚。重來休沐地,真作野人居。

其二
山雨尊仍在,沙沈榻未移。犬迎曾宿客,鴉護落巢兒。
雲薄翠微寺,天清皇子陂。向來幽興極,步屣過東籬。

其三
落日平臺上,春風啜茗時。石欄斜點筆,桐葉坐題詩。
翡翠鳴衣桁,蜻蜓立釣絲。自今幽興熟,來往亦無期。

其四
頗怪朝參懶,應耽野趣長。雨拋金鎖甲,苔臥綠沈槍。
手自移蒲柳,家才足稻粱。看君用幽意,白日到羲皇。

其五
到此應常宿,相流可判年。蹉跎暮容色,悵望好林泉。
何日沾微祿,歸山買薄田?斯遊恐不遂,把酒意茫然。




杜甫68 五言律詩
重過何氏五首 其一

問訊東橋竹、将軍有報書。
若竹の季節になりましたが東橋の竹はいかがな様子でしょうと尋ねやったところ、将軍から竹は今盛りだ遊びに来ないかとの返事があった。
倒衣還命駕、高枕乃吾廬。
よろこびすぎて着物をさかさに着たりしながらも、逡巡しながらもまた、馬の支度をして出かけてきたのだが、この山荘では枕を高くして寝ることができわが家のような気やすさをおぼえた。
花妥鶯捎蝶、渓喧獺趁魚。
花が垂れ落ちるかと見えたのは鶯にたたき落とされた蝶々であった、谷川のせせらぎがやかましくなったと思ったらかわうそが魚をおいかける音だった。
重来休沐地、真作野人居。

将軍公休日のこの地に重ねておとずれたのだが、ここは将軍という地位の方なのに農民の住居のような感じがしてくる。



若竹の季節になりましたが東橋の竹はいかがな様子でしょうと尋ねやったところ、将軍から竹は今盛りだ遊びに来ないかとの返事があった。
よろこびすぎて着物をさかさに着たりしながらも、逡巡しながらもまた、馬の支度をして出かけてきたのだが、この山荘では枕を高くして寝ることができわが家のような気やすさをおぼえた。
花が垂れ落ちるかと見えたのは鶯にたたき落とされた蝶々であった、谷川のせせらぎがやかましくなったと思ったらかわうそが魚をおいかける音だった。
将軍公休日のこの地に重ねておとずれたのだが、ここは将軍という地位の方なのに農民の住居のような感じがしてくる。


重ねて何氏に過る 五首 其の一
東橋(とうきょう)の竹を問訊(もんじん)するに将軍より報書(ほうしょ)有り
衣(ころも)を倒さにして還(ま)た駕(が)を命じ、枕を高うすれば乃(すなわ)ち吾が廬(いおり)なり
花の妥(お)つるは鶯の蝶を捎(かす)めるにて、渓(たに)の喧(かまびす)しきは獺の魚を趁(お)うなり
重ねて休沐(きゅうもく)の地に来たれば、真(しん)に野人(やじん)の居(きょ)と作(な)る




重過何氏五首 其一

問訊東橋竹,將軍有報書。
若竹の季節になりましたが東橋の竹はいかがな様子でしょうと尋ねやったところ、将軍から竹は今盛りだ遊びに来ないかとの返事があった。
問訊 うかがう。~のことをたずねる。○報書 返事の手紙



倒衣還命駕,高枕乃吾廬。
よろこびすぎて着物をさかさに着たりしながらも、逡巡しながらもまた、馬の支度をして出かけてきたのだが、この山荘では枕を高くして寝ることができ、あたかもわが家のような気やすさをおぼえた。
倒衣 あわてて着物をさかさに着ること。『詩経』斉風・東方未明の詩の 「東方の末だ明けざるに、衣裳を顕倒す」を縮めたもの。○ 厚かましく思う心を抑えて、やっぱり行くことにしたとの意。○命駕 乗り物の支度を命じることから、杜甫は馬に乗り移動していたので、ここでは馬仕立てで出かけるという意味。
 いかにも。あたかも。



花妥鶯捎蝶,溪喧獺趁魚。
花が垂れ落ちるかと見えたのは鶯が蝶々のわきをかすめていったからであった、谷川のせせらぎがやかましくなったと思ったらかわうそが魚をおいかける音だった。
花妥 花が咲き散るのではなく、しぼみ垂れて落ちること。妥穏の意。妥はやすらか。おだやか。たれる。おちる=堕。○ すれすれに通り過ぎる。かすめる。○ かわうそ。



重來休沐地,真作野人居。
将軍公休日のこの地に重ねておとずれたのだが、ここは将軍という地位の方なのに農民の住居のような感じがしてくる。
休沐 将軍や官吏が休暇をもらって休養する。唐時代は、10日に1日公休があった。○野人 土着の人。農夫。農民。 

○韻 書、廬、魚、居。

陪鄭広文遊何将軍山林十首 其二 杜甫 :kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 誠実な詩人杜甫特集 56

陪鄭広文遊何将軍山林十首 其二 杜甫 :kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 誠実な詩人杜甫特集 56

753年天宝12載 42歳  五言律詩



陪鄭広文遊何将軍山林十首 其二
百頃風潭上,千章夏木清。
百頃ばかりの面積の風をうける池のほとりに千本ほどの夏木立ちが清らかにしげっている。
卑枝低結子,接葉暗巢鶯。
木立ちのひくい枝はたれさがって実をむすんでいるし、くっつきあった葉かげの暗いところに鶯が巣をくっている。
鮮鯽銀絲膾,香芹碧澗羹。
新鮮な「ふな」で銀糸のようななますにされていた、澄んだ石清水でつくられた香ばしい「せり」のお汁をだされる。
翻疑柁樓底,晩飯越中行。

今屋形船の底の部屋で晩めしをたべているとなんだか、昔年、浙江地方を旅したときのようにおもわれてならない。



百頃ばかりの面積の風をうける池のほとりに千本ほどの夏木立ちが清らかにしげっている。
木立ちのひくい枝はたれさがって実をむすんでいるし、くっつきあった葉かげの暗いところに鶯が巣をくっている。
新鮮な「ふな」で銀糸のようななますにされていた、澄んだ石清水でつくられた香ばしい「せり」のお汁をだされる。
今屋形船の底の部屋で晩めしをたべているとなんだか、昔年、浙江地方を旅したときのようにおもわれてならない。


百頃(ひゃくけい) 風潭(ふうたん)上  千章 夏木清し
卑枝は低くして子を結び 接葉は暗くして鶯を巣しむ
鮮鯽(せんそく) 銀糸の膾(なます) 香芹(こうきん)碧澗(へきかん)の羮(あつもの)
翻って疑う 柁楼(だろう)の底(そこ) 晩飯(ばんはん)越中(えつちゅう)を行くかと



百頃風潭上,千章夏木清。
百頃ばかりの面積の風をうける池のほとりに千本ほどの夏木立ちが清らかにしげっている。
百頃 けい頃は凡そ百畝の面積をいう。○風潭 風のふきわたるふち。池もある盆地のようなところの峠の風の通り道。○千章 千本。



卑枝低結子,接葉暗巢鶯。
木立ちのひくい枝はたれさがって実をむすんでいるし、くっつきあった葉かげの暗いところに鶯が巣をくっている。
卑枝 木のひくいところから出ているえだ。○ 下に向いてさがる。○ 木の実。○接葉 くっつきあった葉。○ 葉かげのくらいこと。



鮮鯽銀絲膾,香芹碧澗羹。
新鮮な「ふな」で銀糸のようななますにされていた、澄んだ石清水でつくられた香ばしい「せり」のお汁をだされる。
鮮鯽 せんそく 新鮮なふな。○銀糸膾 銀の糸筋のような千切りなます。○香芹 香高いせり。○碧澗 岩間の澄んだ水。○ あつもの、お汁。



翻疑柁樓底,晩飯越中行。
今屋形船の底の部屋で晩めしをたべているとなんだか、昔年、浙江地方を旅したときのようにおもわれてならない。
柁樓 舵取りの付いた屋形船。○晩飯 夕食。○越中 越の国、今の浙江省地方。杜甫は二十歳の頃に呉越の地方に周遊したが、詩としては、56歳の時夔州での作「壮遊」に
・・・・・・・
王謝風流遠、闔閭丘墓荒。
剣池石壁仄、長洲芰荷香。
嵯峨閶門北、清廟映迴塘。
毎趨呉太伯、撫事涙浪浪。
蒸魚聞匕首、除道哂耍章。
枕戈憶勾踐、渡浙想秦皇。
越女天下白、鑑湖五月涼。
剡渓蘊秀異、欲罷不能忘。
・・・・・・・
(詩の大意)
晋の王導や謝安の風流は遠くへだたり、呉王闔閭の墓は荒れていた
剣池には 石の壁が傾きかかり、長洲苑には菱や蓮の花が匂っている
高く聳える閶門の北、清らかな廟が  まわりの池に影をさす
呉太伯の塚に参るたびに、昔を想って涙はつきない
魚腹に匕首を隠した専諸の故事を聞き、故郷に錦を飾る朱買臣の話をおかしく思う
戈を枕にした越王勾踐のことを憶い、浙江を渡れば始皇帝の昔を想う
越の女は天下に聞こえた色白の美人、鑑湖のあたりは五月であるのに涼しいと感ずる
剡渓には山水の奇勝があつまり、想い出は忘れようとしても忘れられない
とある

陪鄭広文遊何将軍山林十首 其一 杜甫 :kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 誠実な詩人杜甫特集 55

陪鄭広文遊何将軍山林十首 其一 杜甫 :kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 誠実な詩人杜甫特集 55

天宝12載 753年 42歳  五言律詩
紀頌之の漢詩ブログは取り上げたシリーズ、たとえば、この十首すべて取り上げていく。

廣文館博士の鄭虔とともに何将軍の山荘に遊んでの詩。

其一の詩は長安の南郊外、詩中「南塘」街道にそってある何将軍の山荘に赴くところから始まる。




陪鄭広文遊何将軍山林十首 其一
不識南塘路,今知第五橋。
これまで南塘の路がどこにあるのか知らずにいた、今はそこを経過してさらに第五橋までも知ることになった。
名園依綠水,野竹上青霄。
来てみると何氏の名園が緑水に添って広がっており、野生の竹が空を凌ぐばかり茂っている。
穀口舊相得,濠梁同見招。
漢の谷口の鄭子真といわれる鄭虔先生とわたしはふるくから心を許した仲なので、今回の何氏園へ荘子の濠梁の遊びのように一緒に招かれたのだ。
平生為幽興,未惜馬蹄遙。

平生からひとり幽閑に興じている、そのためなら路程がはるか遠くても愛馬で出かけることを惜しみはしないのだ

これまで南塘の路がどこにあるのか知らずにいた、今はそこを経過してさらに第五橋までも知ることになった。
来てみると何氏の名園が緑水に添って広がっており、野生の竹が空を凌ぐばかり茂っている。
漢の谷口の鄭子真といわれる鄭虔先生とわたしはふるくから心を許した仲なので、今回の何氏園へ荘子の濠梁の遊びのように一緒に招かれたのだ。
平生からひとり幽閑に興じている、そのためなら路程がはるか遠くても愛馬で出かけることを惜しみはしないのだ。


識らず  南塘の路  今は知る 第五橋
名園は緑水に依り  野竹は青霄を上(さ)す
谷口とは旧より相得 濠梁に同じく招かれぬ
平生幽興の為には  未だ馬蹄の遥かなるを惜しまず


○鄭広文 鄭虔。虔は天宝九載広文館の博士となった。作者の親友である。鄭廣文  唐の鄭虔のこと。玄宗その才を愛し、特に「廣文館」を置きて 鄭虔を博士とせしことによる。詩書畫に巧みにして「鄭虔三絶」にて知らる。李白、杜甫らと交際す。何将軍の山荘にともに遊んだ廣文先生こと鄭虔は、杜甫が心を許した友であった。当時の杜甫は、科挙に落ちて前途の望みを絶たれ、就職活動もうまくゆかず、鬱々たる毎日を過ごしていた、鄭虔はそんな杜甫にとって、自分の境遇に似たものを感じさせた。鄭虔は廣文館博士という官職についていたが、単に名誉職的なものだったようだ。○何将軍 何は姓、名は未詳。○山林 園林。林中に山がある故に山林という。杜甫の住居は少陵原に在り、何将軍の山林は少陵原の西南にあった。
 長安と何将軍
長安洛陽鳳翔Map



不識南塘路,今知第五橋。
これまで南塘の路がどこにあるのか知らずにいた、今はそこを経過してさらに第五橋までも知ることになった。
南塘 地名、所在は未詳。ただ韋曲(少陵原の南に流れる欒川の隈曲の名)の附近にあると思われる。塘はため池、堤、土手ということで長安の南の土手の道ということか。〇第五橋 橋名。第五は姓、姓によって橋の名となる。韋曲の西にあったという。塘と橋、共に山林に至る途中経過の処である。地図上第五橋と詩の内容から何将軍の山林を橙色で示した。



名園依綠水,野竹上青霄。
来てみると何氏の名園が緑水に添って広がっており、野生の竹が空を凌ぐばかり茂っている。
名園 有名な園、何氏の園をさす。○ よりそうこと。○野竹 野生の竹。○青零 あおぞら。



穀口舊相得,濠梁同見招。
漢の谷口の鄭子真といわれる鄭虔先生とわたしはふるくから心を許した仲なので、今回の何氏園へ荘子の濠梁の遊びのように一緒に招かれたのだ。
谷口 漢の鄭子真は賢人にして長安の南の子牛谷の口にかくれて鄭、道を楽しみひっそりと暮らし、世間との交際(まじわり)を絶ち 精神を安らかに保とうと考えた。その名は長安にまで著われた。ここは同姓の故事を借りて鄭虔をさす。○ ふるくよりの義。○相得 心を許した仲の意、交際の親しいことをいう。○濠梁 濠は水の名、梁は石橋。「荘子」秋水欝に荘子が恵子と濠梁の上に遊んだ問答がある、この園で遊ぶことを意味する。

平生為幽興,未惜馬蹄遙。
平生からひとり幽閑に興じている、そのためなら路程がはるか遠くても愛馬で出かけることを惜しみはしないのだ。
幽興 幽静の興趣。○未惜 情は愛惜すること、おしむ。○馬蹄進 とおく馬足をはこぶこと。

假山 杜甫

假山 杜甫 紀頌之の漢詩ブログ杜甫詩 特集  13
天宝1載 742年 31歳、この年結婚している。
天宝の初、我が太夫人の堂下に於て、土を塁ねてに慈竹を植え、この詩を作る。


假  山(仮 山)
天賓初。南曹小司冠男。於我太夫人堂下。
塁土馬山。一匿盈尺。以代彼朽木。承諸焚香瓷甌。
甌甚安夫。旁植慈竹。蓋立教峰。嶔岑嬋娟
宛有塵外致。乃不知興之所至。而作是詩。

天宝の初、自分のおじで小司寇の官で吏部省の南曹の兼官の人が、我が継祖母の太夫人の堂の下に、土をもってつき山をつくった。一モッコで高さ一尺になる。普通に作る木製の朽木の台に代えて、香を焚く陶器の壺を載せるのだ。のせてみると壺のすわりが安定している。そのそばに慈竹を植えた。築山のそびえが嶺のようで、竹の色もちょうどいい。とがったりまるまったり、神の御庭のような趣がある。じぶんは面白さをおぼえてこの詩を作った。
○仮山 つきやま。○天宝 唐の玄宗の年号742-756。○南曹小司寇舅 舅は母方のおじをいう、其の人については未詳。南曹とは吏部省の南曹で兼官であり、小司寇は舅の本官である。○太夫人 作者の祖父、杜審言の継室慮氏をさす。慮氏は天宝三載五月陳留で歿した。○塁 累と同じ。○匱 簣の作もある、モッコのこと。○朽木 くちた木。普通ならば香炉の台などは木で造る。○承 うける、のせる。○套甑 すえもののつぼ。○安 おちつきのよいこと。○慈竹 しのだけの類。○数峰 土山の峰をいう。○巌卑 山のけわしいさま。○輝娼 竹のうつくしいさま。○致 おもむき。○所至 至とは極まるをいう



假山
一匱功盈尺、三峰意出羣。
一モッコの土を盛りあげて一尺あまりの山をつくりあげた。その山の三つの峰は他の羣峰よりも傑出しているかとみるのだ。
望中疑在野、幽處欲生雲。
これをながめると広野にでもいるのかとみまちがえるほどだ、その奥ふかき静まった処からは雲が沸き起こるかとおもわれる。
慈竹春陰覆、香爐暁勢分。
慈竹は春のくもりを得て平地をおおい、香炉からは暁の煙が幾筋か分れてたちのぼっている。
惟南将獻壽、佳氣日氤氳。 

この土山は彼の尊き南山のようにそのことほぎを祖母に奉るかのように日々その周囲にめでたい気をただよわせている。

一モッコの土を盛りあげて一尺あまりの山をつくりあげた。その山の三つの峰は他の羣峰よりも傑出しているかとみるのだ。
これをながめると広野にでもいるのかとみまちがえるほどだ、その奥ふかき静まった処からは雲が沸き起こるかとおもわれる。
慈竹は春のくもりを得て平地をおおい、香炉からは暁の煙が幾筋か分れてたちのぼっている。
この土山は彼の尊き南山のようにそのことほぎを祖母に奉るかのように日々その周囲にめでたい気をただよわせている。


一置功尺に盈つ 三峰意羣を出づ
望中野に在るかと疑う 幽処雲を生ぜんと欲す
慈竹春陰覆う 香炉暁勢分る
惟れ南将に寿を献ぜんとす 佳気日に氤氳(いんうん)たり


一匱功盈尺、三峰意出羣。
一モッコの土を盛りあげて一尺あまりの山をつくりあげた。その山の三つの峰は他の羣峰よりも傑出しているかとみるのだ。
功 土盛りのわざをいう。〇三峰 土山の数。○ 峰を活物としてみる。○出羣 同類より傑出している。


望中疑在野、幽處欲生雲。

これをながめると広野にでもいるのかとみまちがえるほどだ、その奥ふかき静まった処からは雲が沸き起こるかとおもわれる。

在野 堂下とは思えぬ荒野にいるようなさま。○幽処 おくふかいしずかなところ。○春陰 春時のくもり。


慈竹春陰覆、香爐暁勢分。
慈竹は春のくもりを得て平地をおおい、香炉からは暁の煙が幾筋か分れてたちのぼっている。
暁勢 勢とは香煙の勢い。○惟南 南は南山をいう、「詩経」に「南山之寿ノ如シ」とある。


惟南将獻壽、佳氣日氤氳。 
この土山は彼の尊き南山のようにそのことほぎを祖母に奉るかのように日々その周囲にめでたい気をただよわせている。
佳気 めでたい気、山の気をいう。○氤氳 もやもやしているさ


(詩題の下し文)
天宝の初、南曹の小司寇男、我が太夫人の堂下に於て、土を塁ねてつき山を為る。一置尺に盈つ。以て彼の朽木に代え、諸の香を焚く瓷甌を永く、甌甚だ安かなり。傍らに慈竹を植う。蓋し嘉の数峰、嶔岑嬋娟として宛も塵外の致有り。乃ち興の至る所を知らず、而して是の詩を作る

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