杜甫詳注 杜詩の訳注解説 漢文委員会

士族の子で、のほほんとしていた杜甫を変えたのは、三十代李白にあって、強いカルチャーショックを受けたことである。その後十年、就活に励んだ。同時に極限に近い貧困になり、家族を妻の実家に送り届けるときの詩は、そして、子供の死は、杜甫の詩を格段に向上させた。安史の乱直前から、捕縛され、長安での軟禁は、詩にすごみと分かりやすさのすぐれたしにかえてゆき、長安を脱出し、鳳翔の行在所にたどり着き、朝廷に仕えたことは、人間関係の複雑さを体験して、詩に深みが出ることになった。そして、朝廷における疎外感は詩人として数段高めさせてくれた。特に、杜甫の先生に当たる房琯関連の出来事、二十数首の詩は内容のあるものである。  一年朝廷で死に直面し、そして、疎外され、人間的にも成長し、これ以降の詩は多くの人に読まれる。  ◍  華州、秦州、同谷  ◍  成都 春満喫  ◍  蜀州、巴州、転々。 ◍  再び成都 幕府に。 それから、かねてから江陵にむかい、暖かいところで養生して、長安、朝廷に上がるため、蜀を発し、 ◍  忠州、雲州   ◍  夔州   ◍  公安  そして、長安に向かうことなく船上で逝くのである。  本ブログは、上記を完璧に整理し、解説した仇兆鰲の《杜詩詳注》に従い、改めて進めていく。

杜甫の詩、全詩、約1500首。それをきちんと整理したのが、清、仇兆鰲注解 杜詩詳注である。その後今日に至るまで、すべてこの杜詩詳注に基づいて書かれている。筆者も足掛け四年癌と戦い、いったんこれを征することができた。思えば奇跡が何度も起きた。
このブログで、1200首以上掲載したけれど、ブログ開始時は不慣れで誤字脱字も多く、そして、ブログの統一性も不十分である。また、訳注解説にも、手抜き感、不十分さもあり、心機一転、杜詩詳注に完全忠実に初めからやり直すことにした。
・そして、全唐詩と連携して、どちらからでも杜詩の検索ができるようにした。
・杜甫サイトには語順検索、作時編年表からも検索できるようにした。
杜甫詩の4サイト
● http://2019kanbun.turukusa.com/
● http://kanbunkenkyu.webcrow.jp
● http://kanbunkenkyu.web.fc2.com/
● http://kanbuniinka15.yu-nagi.com

奉同郭給事湯東靈湫作

奉同郭給事湯東靈湫作 杜甫 116 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 115-#2

奉同郭給事湯東靈湫作 杜甫 116 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 115-#2


奉同郭給事湯東靈湫作
#1
東山氣鴻蒙,宮殿居上頭。君來必十月,樹羽臨九州。
陰火煮玉泉,噴薄漲岩幽。有時浴赤日,光抱空中摟。』
閬風入轍跡,曠原延冥搜。沸天萬乘動,觀水百丈湫。
幽靈斯可佳,王命官屬休。初聞龍用壯,擘石摧林丘。
中夜窟宅改,移因風雨秋。倒懸瑤池影,屈注滄江流。
味如甘露漿,揮弄滑且柔。』

#2
翠旗澹偃蹇,雲車紛少留。
ここへ天子の御旗がうねうねとした動きをしてやってきた、五色の雲を画いた車が多く整列していないでみだれてあっまってきてしばし止まる。
簫鼓蕩四溟,異香泱漭浮。
簫や太鼓の音が湫の四面をふるいうごかしている、そしてえもいわれぬ香りがひろぴろとしてうかんでいる。
鮫人獻微綃,曾祝沉豪牛。
鮫人のような舟人はほそく織ったうすぎぬを湫の霊にたてまつり、曾祝の祭人は毛の多い牛を生贄としてしずめる。
百祥奔盛明,古先莫能儔。
天子の盛明の恩徳は百人は百人に見合ったそれぞれの御加護があるものだ、古代のどんな聖君であっても今の天子に適わないのである。 
坡陀金蝦蟆,出見蓋有由。
そんな時世だから、嶮しい堤ほどもある大きな金色の蛙が出現するのも由来があるというものである。
至尊顧之笑,王母不肯收。
我が君はその蟾蜍を顧みてお笑いになられた。西王母の楊貴妃もその蟾蜍をつかまえさせもされない。
複歸虛無底,化作長黃虯。』

そこで蟾蜍はふたたびがらんどうの水底へもどってしまい、さらに化けて長い黄色の蛟となってしまった。』
飄搖青瑣郎,文采珊瑚鉤。
ここに細事にはかかわらぬ我が青瑣の郎たる郭給事はその文栄のうつくしきことは珊瑚の鉤のようである。
浩歌淥水曲,清絕聽者愁。』

郭給事が作ったこの湫に関する詩、昔の淥水曲にも匹敵するほどの詩を、大声にうたうのである、音調ゆたかでこのうえない清らかなものであり、聴く人はみなかなしくなるのである。


1

東山気濠鴻たり 宮殿上頭に居る、君の来るは必ず十月なり 羽を樹てて九州に臨む。

陰火玉泉を煮る 噴薄巌に漲って幽なり、時有ってか赤目を浴せしむ 光は抱く空中の楼。』

閬風轍跡に入る 曠原冥搜を延く、天に沸いて万乗動く 水を観る百丈の湫。

幽霊斯れ怪む可し 王官属に命じて休せしむ、初め聞く竜壮を用い 石を擘って林丘摧く。

中夜窟宅改まる 移ることは風雨の秋に因ると、倒に懸る瑤池の影 槍江の流れに屈注す。

味は甘露の漿の如し 揮弄すれば滑にして且つ柔なり。』

2

翠旗澹として偃蹇たり 雲車粉として少しく留まる、簫鼓四溟を蕩かす 異香泱として浮ぶ

鮫人微を献じ 曾祝豪牛を沈む、百祥盛明に奔る 古先も能く鱒する莫し。

披陀たる金の蝦娯 出見する蓋し由有り、至尊之を顧みて笑う 王母収め遣めず。

復た虚無の底に帰し 化して長き黄札と作る。』

諷諷たる青瑣の郎  文宋珊瑚の鉤、浩歌すの曲 清絶聴く者愁う』







奉同郭給事湯東靈湫作(後半) 現代語訳と訳註
(本文)#2

翠旗澹偃蹇,雲車紛少留。
簫鼓蕩四溟,異香泱漭浮。
鮫人獻微綃,曾祝沉豪牛。
百祥奔盛明,古先莫能儔。
坡陀金蝦蟆,出見蓋有由。
至尊顧之笑,王母不肯收。
複歸虛無底,化作長黃虯。』

飄搖青瑣郎,文采珊瑚鉤。
浩歌淥水曲,清絕聽者愁。』

(下し文)#2
翠旗澹として偃蹇たり 雲車粉として少しく留まる、簫鼓四溟を蕩かす 異香泱漭として浮ぶ。
鮫人微綃を献じ 曾祝豪牛を沈む、百祥盛明に奔る 古先も能く鱒する莫し。
披陀たる金の蝦娯 出見する蓋し由有り、至尊之を顧みて笑う 王母収め遣めず。
復た虚無の底に帰し 化して長き黄札と作る。』
諷諷たる青瑣の郎  文宋珊瑚の鉤、浩歌す淥水の曲 清絶聴く者愁う』

(現代語訳)
ここへ天子の御旗がうねうねとした動きをしてやってきた、五色の雲を画いた車が多く整列していないでみだれてあっまってきてしばし止まる。
簫や太鼓の音が湫の四面をふるいうごかしている、そしてえもいわれぬ香りがひろぴろとしてうかんでいる。
鮫人のような舟人はほそく織ったうすぎぬを湫の霊にたてまつり、曾祝の祭人は毛の多い牛を生贄としてしずめる。
天子の盛明の恩徳は百人は百人に見合ったそれぞれの御加護があるものだ、古代のどんな聖君であっても今の天子に適わないのである。 
そんな時世だから、嶮しい堤ほどもある大きな金色の蛙が出現するのも由来があるというものである。
我が君はその蟾蜍を顧みてお笑いになられた。西王母の楊貴妃もその蟾蜍をつかまえさせもされない。
そこで蟾蜍はふたたびがらんどうの水底へもどってしまい、さらに化けて長い黄色の蛟となってしまった。』
ここに細事にはかかわらぬ我が青瑣の郎たる郭給事はその文栄のうつくしきことは珊瑚の鉤のようである。
郭給事が作ったこの湫に関する詩、昔の淥水曲にも匹敵するほどの詩を、大声にうたうのである、音調ゆたかでこのうえない清らかなものであり、聴く人はみなかなしくなるのである。


(訳註)
#2
翠旗澹偃蹇,雲車紛少留。

ここへ天子の御旗がうねうねとした動きをしてやってきた、五色の雲を画いた車が多く整列していないでみだれてあっまってきてしばし止まる
翠旗 天子の旗は翠羽を以て夜(かざりのふさ)としてつけるゆえ翠旗という。○澹偃蹇 澹は動くさま、偃蹇はうねっているさま。○雲車 五色の雲を画いた車、これは楊貴妃の車をさしているのであろう。○ 広場いっぱいにひろがってみだれているさま。整列していないこと。○少留 しばしとどまる。


簫鼓蕩四溟,異香泱漭浮。
簫や太鼓の音が湫の四面をふるいうごかしている、そしてえもいわれぬ香りがひろぴろとしてうかんでいる。
○蕩 震いうごかす。〇四瞑 四海、ここは湫の四面のこと。○異香 なみなみならぬよき香、竜を祭るときくゆらすもの。○泱漭 広大なさま。


鮫人獻微綃,曾祝沉豪牛。
鮫人のような舟人はほそく織ったうすぎぬを湫の霊にたてまつり、曾祝の祭人は毛の多い牛を生贄としてしずめる。
○鮫人 南海に鮫人がいた。魚のように水中にすみ、紡績をていたという、時々水をでて人家に来て綿(うすぎぬ)を売るという。鮫人は人魚の類であるが、ここでは舟人をさしていったもの。○献 竜にむかって献ずる。○微綃 いとのほそいうすぎぬ。○曾祝 「穆天子伝」にみえる。曾は重(かさなる)に同じ、曾祝とは累代祝を業とするものをいうか。祝は祭人、神と人との媒介をするもの。○沈豪牛 豪牛は毛のふさふさした牛、沈めるのは之を竜に生贄にささげるためである。 


百祥奔盛明,古先莫能儔。
天子の盛明の恩徳は百人は百人に見合ったそれぞれの御加護があるものだ、古代のどんな聖君であっても今の天子に適わないのである。 
〇百祥 さまざまのめでたいしるし。○奔盛明 奔とは相奔逐することをいう、盛明は天子の徳をいう、何煙の説に百祥の二句は当時の訳を献ずる徒がこの語を為すのだというが、蓋しそうであろう。作者がかく信じて言うのではない。○古先 むかし、先代。○莫能俸 儀はたぐい、今とならぶものがないというのである。○披陀 高大なさま。


坡陀金蝦蟆,出見蓋有由。
そんな時世だから、嶮しい堤ほどもある大きな金色の蛙が出現するのも由来があるというものである。
○金蝦蟆 黄金色のひきがえる、安禄山のこと。2メーターもある巨漢であった。○出見 兄は現に同じ。


至尊顧之笑,王母不肯收。
我が君はその蟾蜍を顧みてお笑いになられた。西王母の楊貴妃もその蟾蜍をつかまえさせもされない。
○至尊 玄宗。○之 蝦蝶をさす。○王母 西王母、楊貴妃をたとえていう。この時楊貴妃の養子となり息子になっていた。○不通収 収とは捕えることをいう、他人に命じてひきをつかまえさせぬ。(命令に従わない)


複歸虛無底,化作長黃虯。』
そこで蟾蜍はふたたびがらんどうの水底へもどってしまい、さらに化けて長い黄色の蛟となってしまった。』
○帰 もどる。○虚無底 霊湫のそこ。○虯 竜の角なき者、蛟。蟾蜍の一段は貴妃のために禄山が増長するにいたったことを諷したものである。養子縁組のこと。奸臣であることをいう。


飄搖青瑣郎,文采珊瑚鉤。
ここに細事にはかかわらぬ我が青瑣の郎たる郭給事はその文栄のうつくしきことは珊瑚の鉤のようである。
○諷諷 俊逸なさま、詩の相手、郭の人がらをいう。○青瑣郎 給事中をいう。漢の時、給事黄門侍郎は日暮に青瑣門内に入ってこたえた。○文宋 文章のあや。○珊瑚鉤 鉤は簾をつるすかぎ型のもの、珊瑚でそれを造る。


浩歌淥水曲,清絕聽者愁。』
郭給事が作ったこの湫に関する詩、昔の淥水曲にも匹敵するほどの詩を、大声にうたうのである、音調ゆたかでこのうえない清らかなものであり、聴く人はみなかなしくなるのである。
○浩歌 大声でうたう。○漁水31 曲 古の詩曲の名という。如何なる歌辞であるかは詳かでないが郭給事の原作をさす。○清絶 音調が非常に清らかなこと。○聴者愁 きく人がかなしくなる。





奉同郭給事湯東靈湫作
#1
東山氣鴻蒙,宮殿居上頭。君來必十月,樹羽臨九州。
陰火煮玉泉,噴薄漲岩幽。有時浴赤日,光抱空中摟。』

閬風入轍跡,曠原延冥搜。沸天萬乘動,觀水百丈湫。
幽靈斯可佳,王命官屬休。初聞龍用壯,擘石摧林丘。
中夜窟宅改,移因風雨秋。倒懸瑤池影,屈注滄江流。
味如甘露漿,揮弄滑且柔。』
#2
翠旗澹偃蹇,雲車紛少留。簫鼓蕩四溟,異香泱漭浮。
鮫人獻微綃,曾祝沉豪牛。百祥奔盛明,古先莫能儔。
坡陀金蝦蟆,出見蓋有由。至尊顧之笑,王母不肯收。
複歸虛無底,化作長黃虯。』

飄搖青瑣郎,文采珊瑚鉤。浩歌淥水曲,清絕聽者愁。』



(郭給事が湯東の霊漱の作に同し奉る)
東山気濠鴻たり 宮殿上頭に居る、君の来るは必ず十月なり 羽を樹てて九州に臨む。
陰火玉泉を煮る 噴薄巌に漲って幽なり、時有ってか赤目を浴せしむ 光は抱く空中の楼。』
閬風轍跡に入る 曠原冥搜を延く、天に沸いて万乗動く 水を観る百丈の湫。
幽霊斯れ怪む可し 王官属に命じて休せしむ、初め聞く竜壮を用い 石を擘って林丘摧く。
中夜窟宅改まる 移ることは風雨の秋に因ると、倒に懸る瑤池の影 槍江の流れに屈注す。
味は甘露の漿の如し 揮弄すれば滑にして且つ柔なり。』

#2
翠旗澹として偃蹇たり 雲車粉として少しく留まる、簫鼓四溟を蕩かす 異香泱漭として浮ぶ。
鮫人微綃を献じ 曾祝豪牛を沈む、百祥盛明に奔る 古先も能く鱒する莫し。
披陀たる金の蝦娯 出見する蓋し由有り、至尊之を顧みて笑う 王母収め遣めず。
復た虚無の底に帰し 化して長き黄札と作る。』
諷諷たる青瑣の郎  文宋珊瑚の鉤、浩歌す淥水の曲 清絶聴く者愁う』




(現代語訳)
長安の東にあたる驪山にはもくもくと煙、湯気が立ち込めている、華清宮の宮殿はその上方にかぶさるように存在している。
我が君がここへおいでになるのはかならず十月になってからだ、ここに羽旗をたてて天下九州のまつりごとにあたられるのである。
ここでは地の底にある火が美しい温泉の水を煮たたせているのだ、そしてその湯気は噴出してあたりに充満し、巌と一緒になって周りを暗くしている。 
時にはその温泉の水は赤き太陽を浸したような色になる、光を抱き込んで空中たかくそびえた楼閣のように見えることもある。』 

ここへ我が君玄宗は周の穆王のように行幸になり、閬風顛ともいうべき仙山は天子の轍のあとにはいったのだ、そして崑崙の曠原でさえ天子の御さぐりをさそっている。
天上に湧きかえり、万乗の御車が動いているのだ、温泉の東にある百丈の湫に水をごらんになる。
湫の中には怪物がいる。ここで天子は従臣のものたちに休息の命を賜わった。
まえもって聞いたことだが、竜は勇壮な力をだした、石をたたき割り、林や丘を切り裂きくだいた。
そうしてその竜は夜なかごろ自分のすまいのいわやをかえ、この秋の風雨、長雨に乗じてこの湫へ移転してきたということなのだ。
そうしてその竜は夜なかごろ自分のすまいのいわやをかえ、この秋の風雨、長雨に乗じてこの湫へ移転してきたということなのだ。
この水を舐めてみると甘くして甘露汁のようである、手で掻きまぜみれば滑かであり、柔かなのである。』


ここへ天子の御旗がうねうねとした動きをしてやってきた、五色の雲を画いた車が多く整列していないでみだれてあっまってきてしばし止まる。
簫や太鼓の音が湫の四面をふるいうごかしている、そしてえもいわれぬ香りがひろぴろとしてうかんでいる。
鮫人のような舟人はほそく織ったうすぎぬを湫の霊にたてまつり、曾祝の祭人は毛の多い牛を生贄としてしずめる。
天子の盛明の恩徳は百人は百人に見合ったそれぞれの御加護があるものだ、古代のどんな聖君であっても今の天子に適わないのである。 
そんな時世だから、嶮しい堤ほどもある大きな金色の蛙が出現するのも由来があるというものである。
我が君はその蟾蜍を顧みてお笑いになられた。西王母の楊貴妃もその蟾蜍をつかまえさせもされない。
そこで蟾蜍はふたたびがらんどうの水底へもどってしまい、さらに化けて長い黄色の蛟となってしまった。』
ここに細事にはかかわらぬ我が青瑣の郎たる郭給事はその文栄のうつくしきことは珊瑚の鉤のようである。
郭給事が作ったこの湫に関する詩、昔の淥水曲にも匹敵するほどの詩を、大声にうたうのである、音調ゆたかでこのうえない清らかなものであり、聴く人はみなかなしくなるのである。



毎日それぞれ一首(長詩の場合一部分割掲載)kanbuniinkai紀 頌之の漢詩3ブログ
05rihakushi350

李白詩350首kanbuniinkai紀頌之のブログ

700Toho shi
kanbuniinkai11の頌之漢詩 杜甫詩700首

800tousouSenshu
kanbuniinkai10 頌之の漢詩 唐宋詩人選集 Ⅰ李商隠150首

 

 

奉同郭給事湯東靈湫作 杜甫 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 115

奉同郭給事湯東靈湫作 杜甫 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 115

 (前半22句11聯・韻)
給事中の郭氏が騒山温泉の東にある霊漱について作った詩に和して作った詩。とほが奉先県に赴くときの作である。
 天宝十四載(755)冬十一月の初め、杜甫は馬車で真夜中に長安を発った。奉先県への路は、冷たい風が北の砂漠地帯から吹きつけてくる。杜甫は四十四歳を過ぎて、やっと官職につけた。自京赴奉先縣詠懷五百字の#1~7まで今回の詩の給事中の郭氏と一緒に語らっていたということなのだ。特に#4~#7につぃては詩の内容の共通点も確認もできる。
白京赴奉先牒詠懐 五百字 
#4
歲暮百草零,疾風高岡裂。天衢陰崢嶸,客子中夜發。
霜嚴衣帶斷,指直不得結。淩晨過驪山,禦榻在嵽嵲。』
(歳暮れて百草零ち、疾風に高岡裂く。天衢 陰として崢嶸たり、客子 中夜に発す。霜は厳しくして衣帯断え、指は直にして結ぶ能わず。晨を凌いで驪山を過ぐれば、御榻は帶臬に在り。)
#5
蚩尤塞寒空,蹴蹋崖谷滑。瑤池氣鬱律,羽林相摩戛。
君臣留歡娛,樂動殷膠葛。賜浴皆長纓,與宴非短褐。』
(蚩尤は寒空に塞がり、崖谷の滑かなるに蹴踏す。瑤池に気は鬱律として、羽林は相い摩戛す。君臣 留まりて懽娯し、楽は動きて膠嵑に殷たり。浴を賜わるは皆な長纓、宴に与かるは短褐に非ず。)


奉同郭給事湯東靈湫作
#1
東山氣鴻蒙,宮殿居上頭。
長安の東にあたる驪山にはもくもくと煙、湯気が立ち込めている、華清宮の宮殿はその上方にかぶさるように存在している。
君來必十月,樹羽臨九州。
我が君がここへおいでになるのはかならず十月になってからだ、ここに羽旗をたてて天下九州のまつりごとにあたられるのである。
陰火煮玉泉,噴薄漲岩幽。
ここでは地の底にある火が美しい温泉の水を煮たたせているのだ、そしてその湯気は噴出してあたりに充満し、巌と一緒になって周りを暗くしている。 
有時浴赤日,光抱空中摟。』

時にはその温泉の水は赤き太陽を浸したような色になる、光を抱き込んで空中たかくそびえた楼閣のように見えることもある。』 
閬風入轍跡,曠原延冥搜。
ここへ我が君玄宗は周の穆王のように行幸になり、閬風顛ともいうべき仙山は天子の轍のあとにはいったのだ、そして崑崙の曠原でさえ天子の御さぐりをさそっている。
沸天萬乘動,觀水百丈湫。
天上に湧きかえり、万乗の御車が動いているのだ、温泉の東にある百丈の湫に水をごらんになる。
幽靈斯可佳,王命官屬休。
湫の中には怪物がいる。ここで天子は従臣のものたちに休息の命を賜わった。
初聞龍用壯,擘石摧林丘。
まえもって聞いたことだが、竜は勇壮な力をだした、石をたたき割り、林や丘を切り裂きくだいた。
中夜窟宅改,移因風雨秋。
そうしてその竜は夜なかごろ自分のすまいのいわやをかえ、この秋の風雨、長雨に乗じてこの湫へ移転してきたということなのだ。
倒懸瑤池影,屈注滄江流。
今この瑤池ともいうべき湫には温泉宮の影が逆さまに懸かって映っている、そして湫からあふれ出る湯水は屈折し、冷水となって大江の流れに注ぎ込むのである。
味如甘露漿,揮弄滑且柔。』

この水を舐めてみると甘くして甘露汁のようである、手で掻きまぜみれば滑かであり、柔かなのである。』

#2
翠旗澹偃蹇,雲車紛少留。簫鼓蕩四溟,異香泱漭浮。
鮫人獻微綃,曾祝沉豪牛。百祥奔盛明,古先莫能儔。
坡陀金蝦蟆,出見蓋有由。至尊顧之笑,王母不肯收。
複歸虛無底,化作長黃虯。』

飄搖青瑣郎,文采珊瑚鉤。浩歌淥水曲,清絕聽者愁。』



(郭給事が湯東の霊漱の作に同し奉る)
東山気濠鴻たり 宮殿上頭に居る、君の来るは必ず十月なり 羽を樹てて九州に臨む。
陰火玉泉を煮る 噴薄巌に漲って幽なり、時有ってか赤目を浴せしむ 光は抱く空中の楼。』
閬風轍跡に入る 曠原冥搜を延く、天に沸いて万乗動く 水を観る百丈の湫。
幽霊斯れ怪む可し 王官属に命じて休せしむ、初め聞く竜壮を用い 石を擘って林丘摧く。
中夜窟宅改まる 移ることは風雨の秋に因ると、倒に懸る瑤池の影 槍江の流れに屈注す。
味は甘露の漿の如し 揮弄すれば滑にして且つ柔なり。』

翠旗澹として偃蹇たり 雲車粉として少しく留まる
簫鼓四溟を蕩かす 異香泱漭として浮ぶ
鮫人微綃を献じ 曾祝豪牛を沈む
百祥盛明に奔る 古先も能く鱒する莫し
披陀たる金の蝦娯 出見する蓋し由有り
至尊之を顧みて笑う 王母収め遣めず
復た虚無の底に帰し 化して長き黄札と作る』
諷諷たる青瑣の郎  文宋珊瑚の鉤
浩歌す淥水の曲 清絶聴く者愁う』


奉同郭給事湯東靈湫作 現代語訳と訳註
(本文)
#1

東山氣鴻蒙,宮殿居上頭。君來必十月,樹羽臨九州。
陰火煮玉泉,噴薄漲岩幽。有時浴赤日,光抱空中摟。』

閬風入轍跡,曠原延冥搜。沸天萬乘動,觀水百丈湫。
幽靈斯可佳,王命官屬休。初聞龍用壯,擘石摧林丘。
中夜窟宅改,移因風雨秋。倒懸瑤池影,屈注滄江流。
味如甘露漿,揮弄滑且柔。』

(下し文)
東山気濠鴻たり 宮殿上頭に居る、君の来るは必ず十月なり 羽を樹てて九州に臨む。
陰火玉泉を煮る 噴薄巌に漲って幽なり、時有ってか赤目を浴せしむ 光は抱く空中の楼。』
閬風轍跡に入る 曠原冥搜を延く、天に沸いて万乗動く 水を観る百丈の湫。
幽霊斯れ怪む可し 王官属に命じて休せしむ、初め聞く竜壮を用い 石を擘って林丘摧く。
中夜窟宅改まる 移ることは風雨の秋に因ると、倒に懸る瑤池の影 槍江の流れに屈注す。
味は甘露の漿の如し 揮弄すれば滑にして且つ柔なり。』


(現代語訳)
長安の東にあたる驪山にはもくもくと煙、湯気が立ち込めている、華清宮の宮殿はその上方にかぶさるように存在している。
我が君がここへおいでになるのはかならず十月になってからだ、ここに羽旗をたてて天下九州のまつりごとにあたられるのである。
ここでは地の底にある火が美しい温泉の水を煮たたせているのだ、そしてその湯気は噴出してあたりに充満し、巌と一緒になって周りを暗くしている。 
時にはその温泉の水は赤き太陽を浸したような色になる、光を抱き込んで空中たかくそびえた楼閣のように見えることもある。』 

ここへ我が君玄宗は周の穆王のように行幸になり、閬風顛ともいうべき仙山は天子の轍のあとにはいったのだ、そして崑崙の曠原でさえ天子の御さぐりをさそっている。
天上に湧きかえり、万乗の御車が動いているのだ、温泉の東にある百丈の湫に水をごらんになる。
湫の中には怪物がいる。ここで天子は従臣のものたちに休息の命を賜わった。
まえもって聞いたことだが、竜は勇壮な力をだした、石をたたき割り、林や丘を切り裂きくだいた。
そうしてその竜は夜なかごろ自分のすまいのいわやをかえ、この秋の風雨、長雨に乗じてこの湫へ移転してきたということなのだ。
今この瑤池ともいうべき湫には温泉宮の影が逆さまに懸かって映っている、そして湫からあふれ出る湯水は屈折し、冷水となって大江の流れに注ぎ込むのである。
この水を舐めてみると甘くして甘露汁のようである、手で掻きまぜみれば滑かであり、柔かなのである。』


(訳註)

奉同郭給事湯東靈湫作
郭給事が湯東の靈湫の作に同し奉る。
 和するをいう。他人が作った詩につけて、我が意をのべること。○郭給事 郭は姓、名は詳かでない、給事は官名、給事中をいう。○湯東靈湫 湯は驪山の温泉をいう。前詩では、華清宮。靈湫とは竜の住む不思議な池をいう。
#1
東山氣鴻蒙,宮殿居上頭。

長安の東にあたる驪山にはもくもくと煙、湯気が立ち込めている、華清宮の宮殿はその上方にかぶさるように存在している。
東山 驪山をいう、長安の東に在るからである。○ 温泉の気。○濠鴻 或は鴻濠に作る、もやくや。○宮殿 華清宮をいう。○上頭 上方にかぶさるように存在するさま。。


君來必十月,樹羽臨九州。
我が君がここへおいでになるのはかならず十月になってからだ、ここに羽旗をたてて天下九州のまつりごとにあたられるのである。
 玄宗。〇十月 玄宗は避寒のため十月に行幸し、歳が尽きて帰る。○樹羽 羽旗をたてる、羽旗は羽をかざった旗。「赴奉先県詠懐」詩の「羽林相摩真ス」と同意であろう。或は楽器の装飾ととくが恐らくは非であろう。○臨九州 九州は天下をいう。天下に臨むとはここで政治を視られることをいう。


陰火煮玉泉,噴薄漲岩幽。
ここでは地の底にある火が美しい温泉の水を煮たたせているのだ、そしてその湯気は噴出してあたりに充満し、巌と一緒になって周りを暗くしている。 
陰火 地の底の火。○玉泉 温泉のうつくしい水。○噴薄 湯気の下よりふきだすさま。


有時浴赤日,光抱空中摟。』
時にはその温泉の水は赤き太陽を浸したような色になる、光を抱き込んで空中たかくそびえた楼閣のように見えることもある。』 
浴赤目 酸化鉄を含んだ温泉巣のこと。ここは温泉が太陽を浸すことをいう。○空中楼 間欠泉のように空中に湧き出る温泉水が樓閣のようにみある。


閬風入轍跡,曠原延冥搜。
ここへ我が君玄宗は周の穆王のように行幸になり、閬風顛ともいうべき仙山は天子の轍のあとにはいったのだ、そして崑崙の曠原でさえ天子の御さぐりをさそっている。
閬風 崑崙山に三角(隅)があり、其の一角を閬風顛(ろうふうてん)という山の名。〇人轍跡 周の穆王は八匹の駿馬に駕して崑崙の上にのぼった。玄宗が騒山に遊ぶのを穆王が崖嵩に遊ぶのに此した。又旬の造り方は天子の馬車が間風を踏むというべきところを逆に聞風が轍跡に入るといったものである。轍跡はくるまのわだちのあと。○曠原 崑崙東北脚の野の名。○延冥捜 延はまねきよせる、冥捜は奥ふかくさぐること、これも上旬の如く、天子が曠原を冥捜するということを、曠原の方が天子の冥捜をひくといいなしたもの。この時代天子は神であるから、このような言い回しをしている。天子に対する思い入れが多いことを示す句である。


沸天萬乘動,觀水百丈湫。
天上に湧きかえり、万乗の御車が動いているのだ、温泉の東にある百丈の湫に水をごらんになる。
沸天やかましい音響が天辺にわきおこる。○万乗動 天子の一行が動きだす。乗は車一台をいう、昔、天子の国は兵車万乗を出し、天子が出御されるときには千乗万騎のお伴があった。○観水 水は霊湫の水。〇百丈 百丈のふかさをいう。○ 低くて狭い湧き出る穴。


幽靈斯可佳,王命官屬休。
湫の中には怪物がいる。ここで天子は従臣のものたちに休息の命を賜わった。
○幽霊 漱の中にすむ怪物をさす。○王命官属休 これは「穆・天子伝」中の語を用いてとる。玄宗が、臣下に命じて休息をたまわることをいう。それは幽霊を観、且つ祭るためである。


初聞龍用壯,擘石摧林丘。
まえもって聞いたことだが、竜は勇壮な力をだした、石をたたき割り、林や丘を切り裂きくだいた。
○初聞 まえかたきく。此の下四句は昔のことをさかのぼって叙する。○竜用壮 牡とは竜の壮なるカをいう。

中夜窟宅改,移因風雨秋。
そうしてその竜は夜なかごろ自分のすまいのいわやをかえ、この秋の風雨、長雨に乗じてこの湫へ移転してきたということなのだ。
居宅 いわあなのすみか、これは竜がこの湫へ来る以前に棲息していた所。○ かわること。○ こちらへ移転すること。○風雨秋 この秋の長雨。
 
倒懸瑤池影,屈注滄江流。
今この瑤池ともいうべき湫には温泉宮の影が逆さまに懸かって映っている、そして湫からあふれ出る湯水は屈折し、冷水となって大江の流れに注ぎ込むのである。
倒懸 この湫上にさかさまにぶらさがる、影がうつることをいう。○瑤池影 瑤池は驪山の温泉をさすが、ここは温泉宮全体をさし、その宮殿楼閣の影を影といっている。○屈注 屈折してそそぐ、この湫は冷水(又は零水)となって北方向の渭水にそそぐ。○滄江流 ひろい川の流れ、渭水をさす。


味如甘露漿,揮弄滑且柔。』 
この水を舐めてみると甘くして甘露汁のようである、手で掻きまぜみれば滑かであり、柔かなのである。』
漿しる。○揮弄ふるいもてあそぶ。○滑且柔 水質のきめのよいこと。



○押韻 蒙,頭。州。幽。摟。/搜。湫。休。丘。秋。流。柔

プロフィール

紀 頌之

Twitter プロフィール
記事検索
最新記事(画像付)
最新記事
記事検索
カテゴリ別アーカイブ
タグクラウド
QRコード
QRコード
記事検索
  • ライブドアブログ