落日 杜甫 成都(4部)浣花渓の草堂(4 - 22) 
西日の中春景色を堪能して新酒の濁り酒を飲む、至福の時を詠う。上元二年晩春の作。

2013年3月17日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首

 


落日 杜甫 <427>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2080 杜甫詩1000-427-610/1500落日 杜甫 成都(4部)浣花渓の草堂(4 - 22)

詩 題:落日 杜甫 成都(4部)浣花渓の草堂(4 - 22) 
作時761年3月杜甫50歳 
掲 載; 杜甫1000首の427首目-場面4 – 22
杜甫ブログ1500回予定の-610回目   40720 

成都2年目の律詩のシリーズ
・春水 ・江亭 ・早起 ・可惜 ・落日 ・獨酌 ・徐步 ・寒食 ・石鏡 ・琴台 ・朝雨 ・晚晴 ・高楠 ・惡樹


落日
落日在簾鉤,溪邊春事幽。
すだれとその鉤に傾いた太陽のひかりがさしている。浣花渓のあたりに春になって為された作業や春の景色でここはひっそりと静におこなわれている。
芳菲緣岸圃,樵爨倚灘舟。
それはこの江岸に沿ってある田畑には春の草花がにおいにつつむ、早瀬の手前でよせて泊る舟では柴刈りしてめしを炊いている。
啅雀爭枝墜,飛蟲滿院遊。
雀がやってきて枝にとまろうと爭ってがやがやいいながら墜ちたりしている。奥の方の庭には虫がとんで遊んでいる。
濁醪誰造汝?一酌散千愁。

わたしはひとり酒をのむ。いったいこの楽しい酒をだれがつくりはじめたものか、知らない分けてはないけれど、それをちょっとまたいっぱいのめば千万の心配ごとがみな散りうせるものである。

落日(落日)
落日 簾鉤【れんこう】に在り,溪邊【けいへん】春事幽なり。
芳菲【ほうひ】なり岸に緣る圃,樵爨【しょうさん】す灘に倚る舟。
啅雀【とうじゃく】枝を爭うて墜ち,飛蟲【ひちゅう】院に滿ちて遊ぶ。
濁醪【だくろう】 誰か汝を造れる?一酌【いちしゃく】千愁散ぜしむ。

ogawa010
『落日』 現代語訳と訳註
(本文)
落日
落日在簾鉤,溪邊春事幽。
芳菲緣岸圃,樵爨倚灘舟。
啅雀爭枝墜,飛蟲滿院遊。
濁醪誰造汝?一酌散千愁。


(下し文) 落日(落日)
落日 簾鉤【れんこう】に在り,溪邊【けいへん】春事幽なり。
芳菲【ほうひ】なり岸に緣る圃,樵爨【しょうさん】す灘に倚る舟。
啅雀【とうじゃく】枝を爭うて墜ち,飛蟲【ひちゅう】院に滿ちて遊ぶ。
濁醪【だくろう】 誰か汝を造れる?一酌【いちしゃく】千愁散ぜしむ。


(現代語訳)
すだれとその鉤に傾いた太陽のひかりがさしている。浣花渓のあたりに春になって為された作業や春の景色でここはひっそりと静におこなわれている。
それはこの江岸に沿ってある田畑には春の草花がにおいにつつむ、早瀬の手前でよせて泊る舟では柴刈りしてめしを炊いている。
雀がやってきて枝にとまろうと爭ってがやがやいいながら墜ちたりしている。奥の方の庭には虫がとんで遊んでいる。
わたしはひとり酒をのむ。いったいこの楽しい酒をだれがつくりはじめたものか、知らない分けてはないけれど、それをちょっとまたいっぱいのめば千万の心配ごとがみな散りうせるものである。


(訳注)
落日

西日の中春景色を堪能して新酒の濁り酒を飲む、至福の時を詠う。


落日在簾鉤,溪邊春事幽。
すだれとその鉤に傾いた太陽のひかりがさしている。浣花渓のあたりに春になって為された作業や春の景色でここはひっそりと静におこなわれている。
○簾鈎 すだれを巻きあげてとめておくかぎ。
○渓辺 渓は浣花渓。独自に作成した草堂と下線の一巻性を参考にされたい。
○春事幽 春事とは下の四旬のこと、幽は幽静。

杜甫草堂詳細図02
芳菲緣岸圃,樵爨倚灘舟。
それはこの江岸に沿ってある田畑には春の草花がにおいにつつむ、早瀬の手前でよせて泊る舟では柴刈りしてめしを炊いている。
○芳菲 花がかんばしくにおう。
〇緣岸圃 江岸によりそうたはたけ。
○樵菓 しばきを刈ってごはんをたく。
〇倚灘舟 早瀬の手前でよせて泊る舟。


啅雀爭枝墜,飛蟲滿院遊。
雀がやってきて枝にとまろうと爭ってがやがやいいながら墜ちたりしている。奥の方の庭には虫がとんで遊んでいる。
〇啅 とりのさわぐこえのさま。
○争枝 多くのものが一つの枝にとまろうと入り乱れている。
○院 おくにわ。


濁醪誰造汝?一酌散千愁。
わたしはひとり酒をのむ。いったいこの楽しい酒をだれがつくりはじめたものか、知らない分けてはないけれど、それをちょっとまたいっぱいのめば千万の心配ごとがみな散りうせるものである。
○濁醪 にごりざけ。
○誰造汝 誰がこの濁り酒というものを作ったのか。この時期は新種の走りのころである。酒を始めて作ったのは古代の杜康という人物を知りながらとボケることで、新種の喜びを表すものである。
〇一酌 ちょっとまたいっぱい。
○散 濁醪をさす。

杜甫草堂01


春水
三月桃花浪,江流複舊痕。朝來沒沙尾,碧色動柴門。
接縷垂芳餌,連筒灌小園。已添無數鳥,爭浴故相喧。


江亭
坦腹江亭臥,長吟野望時。水流心不競,雲在意俱遲。
寂寂春將晚,欣欣物自私。故林歸未得,排悶強裁詩。


早起
春來常早起,幽事頗相關。帖石防頹岸,開林出遠山。
一丘藏曲折,緩步有躋攀。童樸來城市,瓶中得酒還。


可惜
花飛有底急?老去願春遲。可惜歡娛地,都非少壯時。
寬心應是酒,遣興莫過詩。此意陶潛解,吾生後汝期。


落日
落日在簾鉤,溪邊春事幽。芳菲緣岸圃,樵爨倚灘舟。
啅雀爭枝墜,飛蟲滿院遊。濁醪誰造汝?一酌散千愁。
 

落日(落日)
落日 簾鉤【れんこう】に在り,溪邊【けいへん】春事幽なり。
芳菲【ほうひ】なり岸に緣る圃,樵爨【しょうさん】す灘に倚る舟。
啅雀【とうじゃく】枝を爭うて墜ち,飛蟲【ひちゅう】院に滿ちて遊ぶ。
濁醪【だくろう】 誰か汝を造れる?一酌【いちしゃく】千愁散ぜしむ。