曲江對酒 杜甫詩kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 246
曲江のほとりで酒にむかって作った詩。前詩と同年の作。
758年乾元元年春、左拾遺であったときの作。
l 臘日
l 紫宸殿退朝口號
l 春宿左省
l 晚出左掖
l 題省中院壁
l 送賈閣老出汝州
l 曲江二首 其一
l 曲江二首 其二
l 曲江封酒
l 曲江封雨
l 曲江陪鄭八丈南史飲
l 奉陪贈附馬韋曲二首 其一
l 奉陪贈附馬韋曲二首 其二
曲江對酒
苑外江頭坐不歸,水精宮殿轉霏微。
春景色に誘われ、わたしはこの芙蓉苑の外、曲江の池畔で官舎に帰らないままにすわりこんであたりをながめる、水の妖精が生まれ出て水の宮殿がその光を輝かせ、霧のように飛散する水珠も輝く。
桃花細逐楊花落,黃鳥時兼白鳥飛。
それから桃の花は微細に落ちち、やなぎの花、柳絮の散るあとを追いかけて落ちてまた落ちる、黄色の鳥たちは時を同じにして一斉に白色の鳥たちと飛びたつ。
縱飲久判人共棄,懶朝真與世相違。
勝手きままにすきなだけ酒を呑んで長いあいだ自暴自棄になり人も相手をしてくれない、参朝することが億劫になってしまい、世間の人皆から見放されてしまっている、実際自分も世の人とは違背しているのである。
吏情更覺滄洲遠,老大悲傷未拂衣。
官吏としての今の心持は、これまでよりももっと滄洲の仙境と隔たりができた様な気がするばかりで、こんなに年を取ってからでは衣を払って仙境に向って去って行けないことを傷み悲しむだけなのである。
(曲江にて酒に對す)
苑外江頭に坐して帰らず、水精の宮殿 転【うたた】霏微【ひび】たり。
桃花【とうか】細【こまや】かに梨花を逐うて落ち、黄鳥【こうちょう】時兼【とも】にして白鳥と飛ぶ。
飲を縦【ほしいまま】にし久しく判して人共に棄つ、朝するに懶【ものうし】く真に世と相違【たご】う・
吏情【りじょう】更に覚ゆ滄洲【そうしゅう】の遠きを、老大【ろうだい】徒【いたずらに】に傷む未だ衣を払わざるを。
現代語訳と訳註
(本文) 曲江對酒
苑外江頭坐不歸,水精宮殿轉霏微。
桃花細逐楊花落,黃鳥時兼白鳥飛。
縱飲久判人共棄,懶朝真與世相違。
吏情更覺滄洲遠,老大悲傷未拂衣。
(下し文)曲江にて酒に對す
苑外江頭に坐して帰らず、水精の宮殿 転【うたた】霏微【ひび】たり。
桃花【とうか】細【こまや】かに梨花を逐うて落ち、黄鳥【こうちょう】時に白鳥と兼に飛ぶ。
飲を縦【ほしいまま】にし久しく判して人共に棄つ、朝するに懶【ものうし】く真に世と相違【たご】う・
吏情【りじょう】更に覚ゆ滄洲【そうしゅう】の遠きを、老大【ろうだい】徒【いたずらに】に傷む未だ衣を払わざるを。
(現代語訳)
春景色に誘われ、わたしはこの芙蓉苑の外、曲江の池畔で官舎に帰らないままにすわりこんであたりをながめる、水の妖精が生まれ出て水の宮殿がその光を輝かせ、霧のように飛散する水珠も輝く。
それから桃の花は微細に落ちち、やなぎの花、柳絮の散るあとを追いかけて落ちてまた落ちる、黄色の鳥たちは時を同じにして一斉に白色の鳥たちと飛びたつ。
勝手きままにすきなだけ酒を呑んで長いあいだ自暴自棄になり人も相手をしてくれない、参朝することが億劫になってしまい、世間の人皆から見放されてしまっている、実際自分も世の人とは違背しているのである。
官吏としての今の心持は、これまでよりももっと滄洲の仙境と隔たりができた様な気がするばかりで、こんなに年を取ってからでは衣を払って仙境に向って去って行けないことを傷み悲しむだけなのである。
(訳注)曲江對酒
曲江其三というべき連続の作品である。七言律詩。【首聯】【頷聯】【頸聯】【尾聯】で構成。同じ四分割の絶句の起承転結の一線の曲折にはならない。中の【頷聯】【頸聯】については対句が絶対条件である。
苑外江頭坐不歸,水精宮殿轉霏微。 【首聯】
春景色に誘われ、わたしはこの芙蓉苑の外、曲江の池畔で官舎に帰らないままにすわりこんであたりをながめる、水の妖精が生まれ出て水の宮殿がその光を輝かせ、霧のように飛散する水珠も輝く。
○苑 芙蓉苑。○江 曲江。○水精、宮殿 水に映り輝く宮殿。水精は水の精。水星、辰星。水の中から産する珠。水の妖精。「珠水精、故以禦火灾」(珠は水精、故に以て火灾を禦【ふせ】ぐ)とある。また、水精宮とすれば、水晶で飾られた宮殿と見る場合も考えられるが、詩の雰囲気と杜甫のその時の心情を合わせて水晶の宮殿ではない。○転 いよいよ、看るみるうちにいよいよ。○霏微 春光掩映のさまと、水気のこまかに飛散とぶさまのふたつの意味をいう。
桃花細逐楊花落,黃鳥時兼白鳥飛。 【頷聯】
それから桃の花は微細に落ちち、やなぎの花、柳絮の散るあとを追いかけて落ちてまた落ちる、黄色の鳥たちは時を同じにして一斉に白色の鳥たちと飛びたつ。
○細 花なる徴小物が微小物を逐う故にこまかという。○逐 元来はおいはらう義であるが、唐時の俗用にあって後おいすがる義にも用いる。追涼というべきを逐涼という類であり、ここでは後追いの意味。○梨花 諸本楊花に作る、桃と楊と開花の時が同じくないからとて梨花という説もあるが、楊花、柳架とする。○兼 「ともに」と訓ずるものがおおいのでしたがうが、読みにより意味は変わらない。
縱飲久判人共棄,懶朝真與世相違。 【頸聯】
勝手きままにすきなだけ酒を呑んで長いあいだ自暴自棄になり人も相手をしてくれない、参朝することが億劫になってしまい、世間の人皆から見放されてしまっている、実際自分も世の人とは違背しているのである。
○縦飲 勝手きままにすきなだけ酒をのむ。○久判 「重過何氏」詩の第五首に見える。物を揮い棄てること、ここは自棄の義で、すて身、やけくそ、の意。
重過何氏五首 其五
到此應常宿、相留可判年。
蹉跎暮容色、悵望好林泉。
何日霑微祿、歸山買薄田。
斯遊恐不遂、把酒意茫然。
〇人共棄 世間の人はみなともに我をすてる、あいてにせぬことをいう。○懶朝 朝廷へ参向するのにものうい、病気欠勤をすること。○与世相違 世人と相そむいていること、人交流をしない。
吏情更覺滄洲遠,老大悲傷未拂衣。 【尾聯】
官吏としての今の心持は、これまでよりももっと滄洲の仙境と隔たりができた様な気がするばかりで、こんなに年を取ってからでは衣を払って仙境に向って去って行けないことを傷み悲しむだけなのである。
○吏情 官吏としてのこころ、作者杜甫はこの時左拾遺を拜命している。○更覚 更とはこれまでも思っていたがそれよりもさらに、これまでよりももっとの義。半官半隠が理想であるが、それより、完全に隠棲したいという意味で次の「滄洲」を意識する。○滄洲 蒼海の向こうにある仙境をいう。○遠 こちらとへだたりがある。○老大 自己のとしよりの身であることをいう。こんなに年を取ってからでは。○悲傷 別には徒傷とするその場合 むだにかなしみいたむこと。○払衣 衣のちりをはらいさり、ここを去り滄洲に向かうことをいう。

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