古風 五十九首 其二十四 李白 :Kanbuniinkai紀頌之の漢詩 李白172 玄宗(5)
玄宗(5)
互いに思いを寄せる楊玉環と彭勃だったが、果毅副将軍はここでいっしょになられてはもともこもない、妨害ししたのである、
そして、武恵妃から楊玉環の家に寿王との縁談が申し込まれるのである。後日になって、彭勃は結婚を楊玉環の父に申し込むのだが、許すはずもない。悲恋に悩む楊玉環であったが、一族の名誉のため、発展・隆盛のため、結婚は着々とすすめられた。深い悲しみの中、遂に運命の日、皇室からのお迎えの護送役の一員に彭勃がいた。
悲恋で嫁いだ楊玉環は次第に寿王の優しさに、少しずつ気持ちが和らいでいった。
一方、736年11月 玄宗皇帝は、宦官の策略にのり、朝議の場で張九齢を罷免し、李林甫を昇進させる。また李瑛が、張九齢を批判した行為が皇帝の怒りを買い“皇太子”の座も廃されてしまう。唐王朝を築いた大宗皇帝から続いてきた忠臣、正統派の家臣をすべて排斥したのであるこれ以降、玄宗皇帝の耳には、正当な情報は全く入らなくなった。これまでも、皇帝に媚を売るものを取り上げてきた玄宗の自業自得の行為であった。
そんな中、玄宗皇帝は芙蓉園の御宴宮で寿王妃・楊玉環と運命の出会いをするのである。
古風 五十九首
其二十四
大車揚飛塵。 亭午暗阡陌。
長安の街では、大きな車がほこりを巻きあげて通り、正午という時間帯であるのに街路が暗くしている。
中貴多黃金。 連云開甲宅。
宮中の宦官でいばっているやつが黄金を沢山ため込んでいる、その家の瓦は雲が連なっているような大邸宅を建てている。
路逢鬥雞者。 冠蓋何輝赫。
町を歩いていて、闘鶏師に出あったが、頭上にのせた冠、車上の被いは、驚くほどピカピカに輝いている。
鼻息干虹霓。 行人皆怵惕。
街中でひけらかすかれらの権勢の荒さは、空の虹にとどくばかりであり、道行く人びとはおそれてよけていくのである。
世無洗耳翁。 誰知堯與跖。
今の世には、穎水で耳を洗って隠居したような清廉潔白な人はいない、聖人の堯帝と大泥棒の跖とを、誰が見分けられるというのか。
長安の街では、大きな車がほこりを巻きあげて通り、正午という時間帯であるのに街路が暗くしている。
宮中の宦官でいばっているやつが黄金を沢山ため込んでいる、その家の瓦は雲が連なっているような大邸宅を建てている。
町を歩いていて、闘鶏師に出あったが、頭上にのせた冠、車上の被いは、驚くほどピカピカに輝いている。
街中でひけらかすかれらの権勢の荒さは、空の虹にとどくばかりであり、道行く人びとはおそれてよけていくのである。
今の世には、穎水で耳を洗って隠居したような清廉潔白な人はいない、聖人の堯帝と大泥棒の跖とを、誰が見分けられるというのか。
古風 其の二十四
大車 飛塵を揚げ、亭午 阡陌暗し。
中貴は 黄金多く、雲に連なって 甲宅を開く。
路に闘鶏の者に逢う、冠蓋 何ぞ輝赫たる。
鼻息 虹霓を干し、行人 皆怵惕す。
世に耳を洗う翁無し、誰か知らん堯と跖と。
大車揚飛塵。 亭午暗阡陌。
長安の街では、大きな車がほこりを巻きあげて通り、正午という時間帯であるのに街路が暗くしている。
○亭午 正午。○阡陌 たてよこのみち。
中貴多黃金。 連云開甲宅。
宮中の宦官でいばっているやつが黄金を沢山ため込んでいる、その家の瓦は雲が連なっているような大邸宅を建てている。
○中貴 宮中において幅をきかしていた宦官。○甲宅 第一等の邸宅。
路逢鬥雞者。 冠蓋何輝赫。
町を歩いていて、闘鶏師に出あったが、頭上にのせた冠、車上の被いは、驚くほどピカピカに輝いている。
○闘鶏 一種のカケ事のあそびで、各自のもつ鶏を闘争させて勝負をきめえ。当時、玄宗をはじめ、唐の皇室や貴族たちの間で闘鶏がはやり、賈昌という男は幼い時から鳥のコトバを聞きわけで、鶏を取扱う特殊な才能があったので引き立てられた。○冠蓋 冠と車の上のおおい。
鼻息干虹霓。 行人皆怵惕。
街中でひけらかすかれらの権勢の荒さは、空の虹にとどくばかりであり、道行く人びとはおそれてよけていくのである。
○虹霓 にじ。○怵惕 おそれてよける。
世無洗耳翁。 誰知堯與跖。
今の世には、穎水で耳を洗って隠居したような清廉潔白な人はいない、聖人の堯帝と大泥棒の跖とを、誰が見分けられるというのか。
○洗耳翁 太古堯帝の時の高士、許由のこと。責帝から天子の位をゆずろうと相談をもちかけられた時、受けつけず、穎水の北にゆき隠居した。堯帝が又、かれを招いて九州の長にしようとしたら、かれは、こういう話は耳がけがれるといって、すぐさま川の水で耳を洗った。李白「迭裴十八図南歸嵩山其二」紀頌之の漢詩 164 参照
○堯与跖 堯は伝説中の古代の聖天子。跖は伝説中の春秋時代の大泥棒。堯と跖といえば聖人と極悪人の代表である。