望木瓜山 李白 Kanbuniinkai紀頌之の漢詩 李白特集350 -233
朝廷追放を機に、李白は現実世界への強い不満と同時に、理想の世への強烈なあこがれを抱くにいたった。道士としての生き方の中に、世俗的な政治の世界での栄達を混入することの誤りに気づいたのだと思われる。自己の内なる世界に深く向き合うことを通して、彼は自己覚醒する。これ以後の李白は専一に仙界の日々を願うようになり、また深みのある山の詩を書くようになっていく。
望木瓜山
早起見日出。 暮見棲鳥還。
客心自酸楚。 況對木瓜山。
木瓜山を望む
早く起きて 日の出づるを見、幕に棲鳥の還るを見る。
客心 白のずから酸楚、況んや木瓜山に対するをや。
望木瓜山 現代語訳と訳註
(本文)望木瓜山
早起見日出。 暮見棲鳥還。
客心自酸楚。 況對木瓜山。
(下し文)木瓜山を望む
早く起きて 日の出る を見、幕に横島の還る を見る。
客心 自(おのずから)酸楚、況や木瓜山に対する をや。
(現代語訳)
毎日、朝早く起きて日の出を見て、日の暮れにねぐらにいそぐ鳥のかえってゆくのを見る。(おなじことをしているだけなのだ。)
でもその当たり前も、旅先にあるわたしの心は、自然とかなしくなり、そしてすっぱいものを食べたときの感覚になってくる。それというのは、すっぱい味を連想させる木瓜山を前にしては、なおさらのことだ。
(訳注) 望木瓜山
○木瓜山 湖南省常徳県洞庭湖の西側に位置し、陶淵明の。桃源郷に近いところ。詩の雰囲気も陶淵明の雰囲気を持っている。もうひとつは、秋浦、いまの安徽省貴地県と、どちらにも木瓜山という山があり、ともに李白がよく遊んだところ。この詩はどちらなのか、わからない。
早起見日出。 暮見棲鳥還。
毎日、朝早く起きて日の出を見て、日の暮れにねぐらにいそぐ鳥のかえってゆくのを見る。(おなじことをしているだけなのだ。)
○ 榛鳥 ねぐらに帰る鳥。
客心自酸楚。 況對木瓜山。
でもその当たり前も、旅先にあるわたしの心は、自然とかなしくなり、そしてすっぱいものを食べたときの感覚になってくる。それというのは、すっぱい味を連想させる木瓜山を前にしては、なおさらのことだ。
○客心 旅人の心。○酸楚 すっぱい。つらい、かなしい。○木瓜 ばら科の落葉溶木。和名ボケ。実は形が小瓜のよう、味は酸味を帯びる。
木瓜の花 木瓜の実
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